イノベーションのジレンマ~過剰技術・過剰品質の罠
下記の記事を読んでメモ。
【元ネタ】
【レビューBOOK REVIEW - 半導体業界は"技術立国・ニッポン"の幻想から脱却できるのか | エンタープライズ | マイコミジャーナル
日本の製造業は品質も技術も世界一と言われるが、半導体産業は今や韓国を中心とする新興国に覇権が移った。
その理由は、「過剰技術・過剰品質という病気」を持っているかららしい。
いわゆるガラパゴス現象。
つまり、狭い市場に特化した高品質・高機能な製品は、世界で売れなくなる現象。
日本の携帯も同様の症状に陥っている。
i-modeは確かに優れていたが、今はiPhoneに技術の覇権が移っている。
本屋のコンピュータの本棚を見れば、iPhoneプログラミングの本がわんさか売られている。
販売だけでなく、開発者の興味も移りつつある現状があるのだ。
この現象を説明するモデルは、「イノベーションのジレンマ」という本で既に解説されている。
プロセス改善のような持続的イノベーションの世界を打ち壊す革新的な製品が出て、破壊的イノベーションが生じて、ビジネスのルールが変わってしまうというもの。
「イノベーションのジレンマ」では、ショベルカーやディスクドライブメーカーの産業を例にして、詳しく解説している。
「イノベーションのジレンマ」を読んで僕が最も興味を惹いたのは序章の冒頭だ。
著者が「何故、優良企業が失敗するのか」という研究に取り組むために良い例はないかと探していた時、こんなアドバイスを受けたと言う。
遺伝の研究者は、人間ではなく、ショウジョウバエのように1日で生まれて死ぬ短いサイクルのモデルを使って研究する。
産業界で最も近いショウジョウバエの例は、ディスクドライブメーカーだから、それを元に研究すればいい、と。
この文章を読んで、すごく怖いと思った。
IT業界、半導体業界も、産業界のショウジョウバエのような存在なのかもしれない。
常に破壊的イノベーションを生み出さなければ、取り残されるだけでなく、その産業で生きられなくなる。
プロセス改善という持続的イノベーションだけでは生きていけない。
アジャイル開発なら、ビジネスの変化や要求の変化に対応することで、破壊的イノベーションを取り込むことはできないか?
ソフトウェアアーキテクチャの技術の高さが鍵を握っていると直感している。
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