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2017/02/02

経済数学の直観的方法の感想

『経済数学の直観的方法』のマクロ経済学編確率統計編がとても素晴らしくて、すごくはまった。
下記の感想記事もとてもすばらしい。
以下、ロジカルでないラフなメモ書き。
あやふやな理解で間違っているかもしれないが、その場合は後で直す。

【参考】
『経済数学の直観的方法』 長沼伸一郎著 - ケスケラの読書と旅の日記

『経済数学の直観的方法 確率・統計編』(その1) 長沼伸一郎著 - ケスケラの読書と旅の日記

『経済数学の直観的方法 確率・統計編』(その2) 長沼伸一郎著 - ケスケラの読書と旅の日記

【1】『経済数学の直観的方法』を読むと、現代経済学が、現代数学や現代物理学並みに難解になっている事実が良く分かる。
ミクロ経済学では、消費者の消費行動、企業の購買活動を最小化する・最大化するという文言が多いけれど、それを精緻に理論化するには、解析力学が必要なわけだ。

物理学では、解析力学で使う変数XとXドットは、位置と速度、速度と加速度のように事前に決まる場合が多い。
一方、経済学では、解析力学の前提となる変数がうまく当てはまる場合は少ない。

昔に見つけられたモデルは、消費と消費の変化率から最適成長経路を導出するラムゼイ・モデル。
それ以外の経済モデルはなかなか見当たらなかった。

しかし、著者によれば、ルーカスの合理的期待形成仮説によって、経済事象とその事象を変化させる要素の二つのペアを解析力学の変数とみなすことで、動学的均衡理論が生まれた、というストーリー。
そして、リアルオプションという経済理論が作られて、ノーベル経済学賞を取った。

たとえば、マクロ経済学では、失業率とインフレ率は負の相関であるというフィリップス曲線の理論が出てくるけれど、その理論がそもそも成り立たない場合が現状でよく見られる。

その理由は、インフレを皆がすでに織り込み済みで行動するから、期待通りの経済政策の効果が出ない、というストーリーみたい。
そこで、インフレ率とインフレ変化率の二つを解析力学の変数とみなすことで、経済政策の効果を最大化するようにシミュレーションできるというストーリーなのだろう。

だから、最近の日銀は、国民が織り込み済みの行動を取らないように、故意にサプライズと称した経済政策を次々に打ち出すわけだ。
よって、中央銀行のインフレターゲット政策では、動学的均衡理論が必須のスキルであるということなのだろう。

【1-1】ここで、動学的均衡理論が現代経済学の寵児となった理由は、この理論によって、論文が大量生産されるようになったからだ、と著者は言う。

つまり、ルーカスの合理的期待形成仮説によれば、経済法則は経済事象のパラメータだけでなく、その事象を変化させる要素も考慮しなければならない。
そこで、経済事象のパラメータとそのパラメータを変化させる要素(つまりパラメータの微分)の二つのペアを解析力学の変数とみなすことで、数多くの経済現象の理論をモデル化できるわけだ。
その最たる例が、インフレ期待理論であり、中央銀行がデフレ対策としてその理論を駆使しているわけだ。

但し、著者は、このような優れた理論の価値は認めているが、これによって論文が大量生産される事象については皮肉っぽく言っているように聞こえる。
理論を生み出した超一流の天才と、その理論を拝借して論文を大量生産する一般の学者の違いはそこなんだよ、と。

【2】そんな流れを読むと、文系だから経済学部に行く、という考えは浅はかであり、理論物理学のスキルをマスターしておかないと、そういう最新の経済学に追いつけなくなっているわけだ。
経済学の知識は公務員になるなら必須知識みたいだが、最新の経済学を研究するには、さらに理論物理学のスキルまで必要となると、正直大変なのだろう、と推測する。

物理学のラグランジュアンやハミルトニアンもイメージしにくいが、その概念を経済学で置き換えた場合、どのように考えることができるか?

物理では、ラグランジュアンは最小作用の原理を実現するための概念、ハミルトニアンはエネルギーやポテンシャルみたいな保存則を満たすような概念イメージ。
経済学では、ラグランジュアンは経済政策の成果の最大化やコストの最小化に用いる概念、ハミルトニアンは総資産かGDPみたいなイメージかな。

そう思うと、現代経済学は、既に知られている数学や物理学の理論を片っ端から適用しまくって、その中から上手くいった結果だけを見せているだけなので、そんな背景を知らない理系・文系の人にとっては、本当にチンプンカンプンなのだろうと思う。

以上は自分のもやもやしたアイデアを書いただけなので、もう少し精緻化していく。

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