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2018/04/28

第62回IT勉強宴会のメモ~2人の方法論者によるデータモデリング激レア対談

昨夜の関西IT宴会「2人の方法論者によるデータモデリング激レア対談」が開催された。
自分が後で読み直すために、殴り書きのメモ。
自分の感想も入れておく。
DOA屋さんから見れば、理解してないな、と思われるかもしれないが、気にせずに公開しておく。

2人の方法論者によるデータモデリング激レア対談 - connpass

2人の方法論者によるデータモデリング激レア対談<第62回IT勉強宴会in新大阪> | IT勉強宴会blog

【1】By 佐野さん
オブジェクト指向は、ゲームや組込みシステムには向いているだろう。
しかし、業務システムのように、帳簿組織を起源に持つシステムには、オブジェクト指向は向かない。
帳簿組織の業務はデータモデリングすべき。

【2】By 佐藤さん
昔はT字形ERだったが、今はTMと呼んでいる。
中身は別物。
(注:その意味は、後述)
(注:僕はT字形ERの本しか持っていないので、以後は、T字形ERと書く)

TM手法はOOAみたい、と言われる。
理由は、astahで描けるから。

注:たぶん、下記の記事のことかな?
「データモデリング入門-astah*を使って、TMの手法を使う-」はとても良いモデリング資料: プログラマの思索

T字形ERの対照表は、OOAの関連クラスと同じ。

【3】By 渡辺さん
AS400の頃に、RDBを本格的に触り始めた。
私は理系なので、「テーブルA:カラムa, b, c・・・」とモデルを書いていたが、周りのSEが全く理解してもらえない。
しかし、具体的にモデルを書くと、SEも理解してくれる。
仕方なく(?)、今の渡辺式ER図のようなデータモデルを書いている。

その頃に流行した4CLでモデルのテンプレートを作り、システムを自動生成するような仕組みを作っていた。
そして、自分で、Delphiでモデルのテンプレートを作り、システムを自動生成するようなモデリング支援ツールを自作していた。
それが、今の三要素分析手法のきっかけ。

感想:
DOA屋さんがOOA屋さんと同じくモデル駆動開発に行き着くのは、モデリング支援ツールを作りたかったという動機があるんだろうな、とふと思った。

【4】By 佐藤さん

Coddの論文を元に、商用ベンダーは商用RDBMSを実装した。
しかし、実際にRDBをそのまま使うとパフォーマンスが出ない。
DBMSには、性能が悪化しないように工夫している。
だから、DBMSの仕組みを理解しないと、パフォーマンスが出ない。

T字形ERは、Coddの弱点に気づいて理論として構築した。
でも、まだ欠陥が残っていた。
TM手法を構築して、佐藤さんの中では完全に解決した。

【5】By 佐野さん

OOAを毛嫌いする理由は、関数従属性を前提にしないこと。
モデルでは、単なる関連で書いている。

【6】By 渡辺さん

三要素分析法は、ER図、DFD、アクションツリーから成る。
データの形はER図、仕事の連携はDFDやアクションツリーで表現される。

データの形が決まれば、画面UIはほぼ確定してしまう。
また、データの形が決まれば、バッチ処理も決まってしまう。
仕事の連携が決まれば、システムの機能(仕様)も決まる。

そういう発想から、三要素分析法は生まれた。

XEAD Tools and Resources - 設計方法論 三要素分析法(TEA Method)

【7】By 佐藤さん

インデックス設計でアクセスパスが自然に決まる。
T字形ERでは、アクセスパスは自然に実装される。

なぜモデルは普及しないのか?という質問に対し、
モデルはあって当然。
それをユーザの環境に合わせて、どのように導入するか?をモデラーは考えるべき。

【8】By 渡辺さん

経理マンの専門知識をデータモデルで表現すると、システムの知識を知らない経理マンも、そのデータモデルを理解できる、という経験をした。
そして、経理マンは勝手に自分達でモデルを描き始める。
そういう経験を経て、モデルの重要性を感じている。

注:懇親会で佐藤さんに、T字形ERでは、顧客のビジネスをデータモデルで表現した時、イベントとリソースのテーブルの個数を数えて比較する。
その時、イベントの個数がリソースの個数よりも少なければ、顧客の潜在的なビジネスモデルを構築できる可能性がある、という話を読んで、すごく納得した、と僕は話した。
つまり、イベントとリソースの組合せで新たなイベントを作り出せる可能性があること、それは顧客の新たなビジネスモデルを構築することにつながることと同じ。

すると、佐藤さんから、ああ、その話では続きがあって、そのデータモデルを顧客に見せたら、顧客自身が自分達でビジネスモデルを作り始めたんだよ、と言われた。
その話と同じかな。

リソース数がビジネスの可能性に関係する理由: プログラマの思索

候補キーと2次識別子に関する概念: プログラマの思索

【9】By 佐野さん

情報系の大学の学生は、学校でデータモデルを習わない。
UMLは習うのに。
彼らも、Postgresは知っているし、使える。
でも、中身のテーブルは全てサロゲートキーになっている。
関数従属性を気にしていない。
そもそも関数従属性を考える、という行為すらしていない。
テーブルは単にデータを格納するだけ、にすぎない。

【10】By 佐藤さん

元々RADを目指していた。
T字形ERで設計すると、当時100万ステップのプログラムのうち、7割は不要になる。

でも、いつも背中から撃たれた。
同業者から嫌われる。

たとえば、大手SIのSEから、T字形ERみたいなこんなに正規化しすぎるとパフォーマンスが悪くなりますよ。
だから、パフォーマンス向上のために、あえて非正規化を施し、森羅万象テーブルみたいに1個のテーブルに300個以上のカラムを設計する、みたいなデータモデルを作ってくる。

「大規模集積回路モデル」と「板チョコモデル」: 設計者の発言

SIでは、生産性を上げたくない。
人月商売なので、開発者の人数が減ると売上が減ってしまうから。
SIは、高価格で、バグ込みのソフトウェアを納品しているんですよ、と。

【11】By 佐野さん

T字形ERはモノありき、のように感じている。
(注:たぶん、業務システムのリプレース案件では、DOAが最強だからだろう、と思った)

他のDOAの流派でも、AsIsベースが多い。
例えば、請求書をデータモデルにする、とか。

渡辺式DOAの凄い所は、いきなりToBeを描く所。
何もない所から作る。

注:懇親会で佐藤さんから、T字形ERは他のDOAと違う。
他のDOAの流派は具体論ばかり話す。
T字形ERは理論から始める。
だから、数学基礎論から勉強し直した、と言われたのが印象に残った。

Oracleを初めて触り始めた頃、OracleでSQLを書くと、テーブルをJoinした時、小さなテーブルを先に読むとパフォーマンスが遅くなる。
Oracleの中身を知らないと、なぜSQLのパフォーマンスが悪化するのか分からない。

真因は、DB設計できていないから、SQLのパフォーマンスが出ないことにある。
だから、SQLは重視しない。
むしろ、真の問題はデータモデリングにある。

X-TEA Driverの面白い所は、複数のDBも扱える。
例えば、マスタはOracle、トランザクションはPostgres、とかでもOK。
しかも、複数のDBのテーブルもJoinできる。

また、データモデルと業務の整合性も事前にチェックしてくれる。

【12】By 佐藤さん

SQLを何も考えずに書くのは信じられない。

モデルはアトリビュート、インデックス定義が含まれる。
実は、アルゴリズム指示書もある。

その中身は、Input=モデル、Process=アルゴリズム、Output=インデックスのような詳細設計書。
すると、アルゴリズムの部分は、ほとんどプログラム自動生成に近い。
プログラマは不要で、コーダーさんに近い。
SIは不要だね。

【13】By 佐野さん

ORマッパーが普及したので、SQLを書けない人も多い。

一方、SQLマッパーというモノもある。
SQLで書いたモノがオブジェクトになる。
たとえば、下地さんのRMenuではjson形式でSQLを表現でき、そのままパースできるので便利。

注:懇親会で下地さんに聞いたら、RMenuで業務システムを実装したら、最初はあえてインデックスを貼らない。
システムの運用後、データが蓄積されて、遅くなった、と言われたら、該当の画面からjson形式のSQLを抽出し、それをパースしてインデックスを生成して、組み込んでいる。
jsonだからすごく使い勝手がいいよ、と。

【14】By 下地さん

プログラムは使い捨てであるべきだ。
なぜなら、プログラムは資産ではない。
その時限りの費用で計上すべきものだ。

注:その意図は、データモデリングを極めると、テーブル設計さえ確定すれば画面UIはほぼ確定されてしまうので、プログラムはほとんど自動生成できてしまう。
つまり、プログラムで書くべき部分はすごく少なくなる。
すると、プログラムは資産というよりも、データモデルに付随したモノに過ぎない、という考え。

佐藤正美さんも、ソフトウェアを資産と考える考え方は嫌いだ、と言っていた。

但し、会計の理論上では、ソフトウェアは無形固定資産に含まれる。
だから、業務システムは保守フェーズで減価償却費が発生するし、システムの改善は、価値が目減りした資産を増やす行為になるので、会計処理も複雑になるデメリットもある。

注:
アジャイル開発では、ソフトウェア(=プログラム)は、最初は負債であり(なぜなら何もないところに投資するから)、その後、キャッシュを生み出して売上を上げていき、損益分岐点を超えたら初めて黒字になるイメージだ。
そういうアジャイル開発の考え方と整合性は取れるか?

プロエンジニアになるための「アジャイル開発」再入門

「プロエンジニアになるための「アジャイル開発」再入門」が素晴らしい: プログラマの思索

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