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2019/05/31

規模の経済と経験曲線効果のメモ

規模の経済と経験曲線効果は、どんな事業を起こすにしても、必ず使うビジネス上の経験則と思う。
以下は自分が理解したラフなメモ書き。
間違っていたら後で直す。

【1】規模の経済と経験曲線効果の違いは何か?

「規模の経済」とは、生産規模の拡大により、単位当たりの生産コストが低くなる事。
「経験曲線効果」とは、製品の累積生産量が増加するに従い、製品1単位当たりの生産コストが一定割合で減少すること。
つまり、規模の経済はハード面、経験曲線効果はソフト面に相当する。

規模の経済は、大企業なら大規模な資金を設備投資に振り向けることで実現できるが、中小企業には難しい。
しかし、経験曲線効果なら、中小企業でも、同一の製品の生産を繰り返し行うことで、作業員の経験値が上がることで、コストを下げることができる。

【2】規模の経済は、どんな業界に使われているのか?

たとえば、製造業のように、工場の設備投資と生産工程の標準化活動で成果を出しやすい。
また、規模の経済と経験曲線効果は製造業だけでなく、他の業界でも通用する場合が多い。
たとえば、コンビニや外食チェーンのようなフランチャイズ系列でも、大量仕入れによる原価低減と多店舗展開における販売サービスの標準化にも見られる。
つまり、小売・卸売業などでも、規模の経済の発想は使われている。
労働集約型の業界でも、経験曲線効果をいかに引き出すか、という視点の改善活動は必要らしい。

【3】規模の経済は、資本主義にとってどんな意義を持つのか?

おそらく資本主義というシステムは、設備投資効率を向上させてきた歴史がある。
その要因の一つには、規模の経済によるコスト低減効果があったからではないか。
実際、20世紀の歴史を振り返ると、銀行が全国民から貯蓄を収集し、そのお金で製造業へ大規模な設備投資を行い、大量生産してきた。
その結果、企業も政府もどんどん大規模になり、最終的にはとてつもない大規模な官僚制組織になった。

資本装備率(しほんそうびりつ)とは - コトバンク

(引用開始)
労働量に対する資本量の比率。正しくは労働の資本装備率,あるいは資本集約度という。
資本装備率は個別企業としても,また産業別にも,あるいは国民経済全体としても計測されるが,いずれにせよ雇用労働者数を L ,資本設備額を Kとすれば,この比率は K/Lとして表わされる。
資本装備率の上昇は生産力の増大を意味し,資本主義的経済発展は絶えずこの比率を上昇させる傾向にある。
(引用終了)

よって、規模の経済は資本主義の要となる重要な考え方ではないか?

【4】規模の経済に限界はあるのか?

ある一定規模までは、設備投資や経験曲線効果は有効に作用するが、いずれ壁にぶち当たる。
その壁にぶち当たるまでは、企業は価値連鎖となる工程や活動だけでなく、付随する活動も自社で内製化・内部保持する事で、規模の経済を活かそうとする。
たとえば、以前の日本の製造業では、本業の自動車・電気製品の事業だけでなく、従業員の出張サービスや娯楽サービスなどに至るまで事業として内製化してきた。
そういう事業として内製化した理由はおそらく、規模の経済のメリットを活かすためだったのだろう。

しかし、『プラットフォーム革命』によれば、人員や有形固定資産に縛られること、組織が大規模化することで複雑化する為に、規模の経済の効果は限界にぶち当たる。

プラットフォーム革命の感想~プラットフォーム企業は新たな独占企業である: プログラマの思索

【5】規模の経済が活用できない業界はあるのか?

労働集約的な業種では、規模の経済・経験曲線の効き目は小さいだろう。
サービス業や、会計事務所・病院などのようなプロフェッショナル官僚制組織では、組織の大規模化による規模の経済のメリットが薄いかもしれない。

特に、ソフトウェア開発では、人月の経験則のように、大量の人員による開発は生産性のさらなる低下を生み出すことは既に知られている。

ソフトウェアの複雑性は本質的な性質であって偶有的なものではない: プログラマの思索

一方、IT業界では、限界費用がゼロに近くなり、収穫逓増の法則になる。
たとえば、『プラットフォーム革命』のストーリーでは、IT業界におけるGAFAやBATのようなプラットフォーム企業では、人員や設備などの有形固定資産が無い為、限界費用はゼロとほぼ同じくなるので、規模の経済の限界がないと考えられる。
よって、プラットフォーム企業による自由競争の結果、唯一の企業による自然独占になり、市場と同規模になるまで成長することで、小国のGDPに相当するくらいの独占企業が生まれることになる。

プラットフォーム革命の感想~プラットフォーム企業は新たな独占企業である: プログラマの思索

【6】規模の経済は経済学の考え方と矛盾するのか?

マクロ経済学のどこがヤバいのか

ミクロ経済学の基本的な考え方の一つに、「需要と供給の均衡」がある。
一般に、消費者の需要と生産者の供給量は、交差する1点、均衡価格に必ず落ち着く。

その考え方の前提には、「限界効用の逓減」「限界費用の逓増」の2つがある。
「限界効用の逓減」は分かりやすい。
たとえば、消費者にとって、生ビールの1杯目は美味いが、5杯、10杯と飲み続けると限界効用は低減する。

「限界費用の逓増」は「収穫逓減」と同じ。
たとえば、農業のように、肥料や労働者を増やしても、土地の面積は限界があるので、費用の増加分よりも産出量は少なくなる。

一方、規模の経済の概念はまさにその真逆で、たくさん作るほど「限界費用は低減」していく。
生産者にとって、同一製品を大量生産・同一原材料を大量仕入れすることは、規模の経済により限界費用は低減し、コスト削減につながる。
つまり、「限界費用の逓増」は規模の経済と矛盾する。
この部分はどうつじつまを合わせるように考えたら良いのか?

おそらく、平均費用のグラフを使って、ある一定規模までは「限界費用は低減する」が、上限を超えると「限界費用は逓増」する、と考えることで折り合いを付ける。

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