書籍・雑誌

2014/07/05

出版システムや文書共有システムを作った事例

出版システムや文書共有システムを作った事例の資料が最近たくさん出ている。
以下リンクしておく。

注目点は、いくつかある。

1)GitHubやBitbucketを執筆データのリポジトリにする。
2)執筆データはMarkdownのようなテキストファイルで保存
3)ReViewやSphinxなどのツールでPDF・EPUBに変換する
4)定期的にビルドしてDropboxなどに配布する

昔は手書きの原稿用紙に書いて、その後、推敲して修正して、組版に載せていた。
僕も小学校の頃、ガリ版で卒業文集を書いた経験がある。

でも、今は、Wordでもなく、テキストに書いて、即座にビルドして配布する仕組みが普通だろう。
スマフォへ定期的にビルド&配布すれば、通勤や待ち時間でも、著作物をレビューできる。
そのフィードバックを受けて、著作物をさらに洗練させていくことができる。

執筆環境ももっとアジャイルになるべき。

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2011/12/17

ユーザの力を利用するアジャイル開発

グーグルで必要なことはみんなソニーが教えてくれた」を読んで思ったことをメモ。

グーグルで必要なことはみんなソニーが教えてくれた」の著者は、元ソニーのエンジニアの方がソニーで四苦八苦したプロジェクト内容とグーグルへ転職した時の雰囲気について書いていた。

気になった文章は、「走りながらユーザーの力を利用して製品の完成度を継続的に上げていく」「ネットの群衆の英知を使って問題発見と問題修復をやっていく」の二つ。

前者は、製品をすぐに作ってはユーザへフィードバックして評価してもらい、その結果を製品に取り込んで機能改善していくこと。
後者は、すぐに作った製品の完成度があまり良くなくても、ほどほどの品質で早めにリリースして、ユーザにバグ報告とバグ検証をしてもらうような仕組みを作ること。

いずれの文章もAgile開発の発想にとても良く似ている。
ポイントは、「ユーザの力を利用して継続的に製品の完成度を上げる」「ユーザの力を利用して問題発見と問題修復を継続的にやっていく」ということ。
つまり、単なる継続的改善だけでなく、ユーザのフィードバックを吸い上げてその内容を製品へ反映していく仕組みも必要なことを示唆している。

Agile開発の発想がソフトウェア業界だけでなく、ソニーのような家電製品などの業界でも必要とされている。
その事実に正直驚いた。
しかし本を読む限り、その発想を著者が在籍していた時代のソニーは理解できていなかったらしい。
著者は「日本人の完璧主義が足を引っ張っている」と言っている。

アジャイル開発の発想をITエンジニア以外に他業界の技術者が理解して実践していく環境は、現在も揃っていないのではないかと思ったりする。

その中でも、「ユーザの力を利用する」仕組みがとても難しいのだろうと思う。
製品の購入ユーザには熱心な人も入れば、アンチなユーザもいる。
彼らの声を全て正しいと仮定して製品に全て取り込むには現実的に難しい。
また、彼らの声がたくさんあるほど、重要なメッセージを見落としやすい。
そして、ユーザの声を反映した製品を更にユーザに使ってもらえるように、届ける仕組みも大事。

最近流行しているFacebookやTwitterは、そういうユーザの声をリアルタイムに集めやすい。
だからFacebookファンページでユーザの声を収集してはユーザへフィードバックしていく手法で、マーケティングをやっている会社も多いのだろう。

チケット駆動開発でよく使われるRedmineやTracも、高機能化したBTSやITSを単なるバグや課題を収集するシステムではなく、一つのポータルなシステムへ拡張していると思う。
例えば、収集したデータを各種の観点でレポートしたり、問題修復した製品をアナウンスしたり、ユーザと議論するフォーラムがあったり、製品のTipsを公開するWikiがあったりする。
それらの機能があるおかげで、ユーザと製品の開発者がリアルタイムに議論して、より良い製品へ改善していく仕組みが整うはず。

アジャイルという発想は僕はとても自然だと思う。
でも、実際の組織に当てはめて運営していくには、まだまだ何かが足りない。

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2011/11/03

日本のIT業界のホラー小説「人形つかい」

一部で有名だったシステム開発の読み物(全23話)を読んでみた。
あらすじはネタバレになるので書かないが、いくつか感想をメモしておく。

【元ネタ】
Press Enter■: 人形つかい(1) 未知との遭遇

日本のIT業界で働いた経験がある人なら、リアリティがありすぎて思わず引き込まれるだろう。
他の業界の人が読んだら、何故今の日本で奴隷のように働くのだろうと不審がるだろう。

感想を二つほど書く。
一つは、日本の製造業に特徴的な多重下請構造をIT業界が真似たことで、技術者が手配師になるか一匹狼の技術者になるかどちらかしか選択肢がない状況になっていること。
この件については過去にも色々考えた。

手配師になるか技術屋で生き残るか: プログラマの思索

個人的には、松原友夫さんの指摘「しかし、品質に関して重大責任を負うに至ったソフトウエア開発ビジネスで、成果責任を負わない派遣形態がかくも横行しているのは日本だけである。 」が最も本質を突いていると考える。

人月ビジネスの特質~成長しないこと: プログラマの思索

日本のソフトウエア産業、衰退の真因 | スラッシュドット・ジャパン

日本のソフトウエア産業、衰退の真因 - 真髄を語る:ITpro

もう一つは、SIが独自に作る俺様フレームワークに技術上だけでなくマネジメント上も致命的な欠陥があること。
この件も過去にも色々考えた。

SIerの俺様フレームワークは最悪に激しく同意: プログラマの思索

SIerの俺様フレームワークは最悪だ

SIが俺様フレームワークを作りたがる理由は、昔のCobol開発のように、上流工程の設計さえできればプログラムは自動生成すればいい、という発想があるのだろうと思う。
その考え方は多分アジャイル開発とは相容れないと思う。

Continuous Delivery~TDDとCIの次に現れた自動化の概念: プログラマの思索

SIerは自動化する対象が違っているのでは? - Togetter

IT勉強会カレンダーを見る限り、日本のIT技術者は向上心があるし、RubyやSeasarなどを日本人が生み出したのだから、技術的に劣っているとは思えない。
オープンソース活動やコミュニティ活動が日本の変革の鍵を握っているように直感している。

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2010/10/06

「Redmineによるタスクマネジメント実践技法」 詳細目次 #TiDD

翔泳社のHPから詳細な目次が公開されたようです。

【元ネタ】
[#TiDD] 出版裏話5:「Redmineによるタスクマネジメント実践技法」 詳細目次: ソフトウェアさかば

さかばさんが書いているように、実際はもう少し多めに書いたのですが、分量が多すぎると言うことでいくつかの章は削除になりました。
でも、その裏話もどこかのコミュニティで少しずつ講演していこうかと思ってます。

さっそく著者には本が届きました。
表紙の艶もよく、白と赤のコンストラストがとても綺麗で、まるで光沢のある曲線的なデザインのiPhoneみたいでした(笑)

RedmineやTracなどのBTSのツールのインストール方法については、既にたくさんの良書が出版されています。
しかし、それらのツールの背後に隠れているチケット駆動開発というプロセスの説明、そしてチケット駆動開発の背後に更に隠れているAgile開発を見出して詳しく説明した本は他にはないと思っています。

Agile開発の運用につまずいている人、ソフトウェア開発のプロジェクト管理に悩んでいる人は是非読んでみて下さい。

Redmineによるタスクマネジメント実践技法 -株式会社翔泳社:SEShop.com

はじめに
   まえがき -平鍋健児-
   まえがき -倉貫義人-
プロローグ -開発現場で試行錯誤した経験談-
   Redmine導入前の問題点
   Tracは使いこなせなかった
   Tracによるチケット駆動開発
   Redmineによるチケット駆動開発で運用を工夫した点
   Redmine導入後
   Redmineによるチケット駆動開発でさらに気付いたこと
   Redmineによるチケット駆動開発の可能性
   まとめ

第1部  チケット駆動開発技法 -BTSによる作業管理-

第1章 障害管理ツール(BTS)
   1. 1 節 ソフトウェア開発の難しさ
   1. 2 節 BTSの歴史
   1. 3 節 オープンソースBTSが選ばれる理由
   1. 4 節 障害管理の目的
   1. 5 節 障害管理からチケット管理
第2章 BTSとツールの連携
   2. 1 節 構成管理ツール
   2. 2 節 構成管理ツールの歴史
   2. 3 節 ブランチとメインラインモデル
   2. 4 節 他の支援ツール
第3章 チケット駆動開発 -チケットによるタスク管理-
   3. 1 節 チケット駆動開発が生まれた背景
   3. 2 節 チケット駆動開発の誕生と発展
   3. 3 節 チケット駆動開発とは
   3. 4 節 TiDDのチケット
   3. 5 節 BTSのチケットの特性
   3. 6 節 チケット駆動開発とソフトウェア工学
   3. 7 節 Redmineの構造とWBS
   3. 8 節 チケットの候補
   3. 9 節 コミュニケーションと見える化
   3.10節 日々のプロセス
   3.11節 マネジメントとトレーサビリティ
   3.12節 見えるものは制御できる
第4章 チケット駆動開発(TiDD)のはじめかた
   4. 1 節 チケット駆動開発の運用方式
   4. 2 節 チケット駆動開発の権限ポリシー
   4. 3 節 [事例]下流工程でのチケット駆動開発
   4. 4 節 [事例]XPのプロセス改善
   4. 5 節 TiDDはプロジェクトのアジリティを高める

第2部  Redmineによるタスク管理

第5章 Redmineの運用方法
   5. 1 節 Redmineの特徴
   5. 2 節 Redmineのインストール
   5. 3 節 チケット駆動開発の運用サイクル
   5. 4 節 Redmineチケットの概念モデル
   5. 5 節 Redmineチケットの状態遷移
   5. 6 節 Redmine運用フロー
   5. 7 節 有用なRedmineのプラグイン
   5. 8 節 バージョン0.9の新機能
   5. 9 節 【速報】最新バージョン1.0.1
第6章 Redmineの高度な使い方
   6. 1 節 チケット
   6. 2 節 バージョン
   6. 3 節 プロジェクト
   6. 4 節 ワークフロー
   6. 5 節 レポート出力
第7章 チケット駆動開発の実践的な運用方法
   7. 1 節 アジャイル開発と組み合わせて運用する方法
   7. 2 節 並行開発と組み合わせて運用する方法
   7. 3 節 チケット駆動開発のプラクティス
第8章 チケット駆動開発を発展させるアイデア
   8. 1 節 PMBOKのEVM
   8. 2 節 測定できれば制御できる
   8. 3 節 Redmineと外部ツールを連携
   8. 4 節 ITILと組み合わせて運用する方法
   8. 5 節 大規模プロジェクトで運用する時の注意点

第3部  RedmineとTestLinkの連携

第9章 TestLinkの運用方法
   9. 1 節 TestLinkの概要
   9. 2 節 TestLink運用前のテスト工程における問題点
   9. 3 節 TestLinkの概要モデルと運用サイクル
   9. 4 節 TestLinkの運用例
   9. 5 節 TestLinkの運用後
   9. 6 節 TestLink運用のまとめ
   9. 7 節 TestLinkのプラクティス

エピローグ -チケット駆動開発の魅力-
参考文献
参考資料
索引

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2010/10/05

「Redmineによるタスクマネジメント実践技法」を平鍋さんに紹介して頂きました

Redmineによるタスクマネジメント実践技法」を平鍋さんに紹介して頂きました。
ありがとうございます。

【元ネタ1】
チケット管理システムをつかってみよう!:An Agile Way:ITmedia オルタナティブ・ブログ

平鍋さんには推薦文も書いて頂いたのですが、下記の文章が一番惹かれます。

(中略)
私は2000年から10年以上、アジャイル開発やプロジェクトファシリテーションを提唱しながら、チームのパワーをどうやって引き出すか、ということに焦点をあてて活動してきました。
プロジェクトを生産的に、協調的にするには、人の力とモチベーション、コミュニケーションを引き出すことが一番重要である、ということを2000年代にアジャイル開発が発見しました。その「人の力を活かす」という原則の裏には、実は、徹底的に「マシンの力を使う」という原則が隠されています。
(後略)

Agile開発には、開発者が生き生きと開発できる環境づくりという目的から、人間同士のコミュニケーション重視とマシンによる徹底的な自動化と言う相反する二つの観点が混じっていることに改めて気付かされました。

又、いつもお世話になっているRedmine.JP さんにも紹介して頂いてます。

書籍「Redmineによるタスクマネジメント実践技法」10月13日発売 | Redmine.JP Blog

又、倉貫さんからもTwitterで推薦してくれてます。

Twitter / Yoshihito Kuranuki: No Ticket! No commit! ソフトウェア開発はもっと近代化できる。オススメです。 RT @hiranabe: プロジェクト ファシリテーションにもオススメの一冊。「Redmineによるタスクマネジメント実践技法」

ソフトウェア開発をもっとIT化するための道具の一つとして、チケット駆動開発のアイデアが普及するといいなと思います。

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2010/09/19

数学や物理は背景にある思想を知らなければ理解できない

帰省して、中学・高校・大学時代に読んだ本を久しぶりに読んだ。
考えたことをラフなメモ書き。

【参考】
量子革命がコンピュータ革命を引き起こした: プログラマの思索

【1】数学を理解するには、公式の背景にある思想を理解して、更に自分の手で計算しなければ理解したことにはならない。
微積分と無限に対する考え方は、教科書だけでは多分理解出来ないだろう。

僕は高校時代に偶然、遠山啓著の「数学入門〈上〉 」「数学入門 下 」を読んで、微分と積分、無限に対する思想を理解することができた。
微分の背後にある無限の考え方は最終的には、ε-δ論法につながる。
無限数列は、演算の順序を変えれない、とか、その結果が求まらない場合もある、という考え方が面白かった。

また、ニュートン、ケプラー、オイラー、ライプニッツ、ガリレオなどの偉大な数学者がどのような論争を行って、今の数学に至るのか、その歴史がとても分かりやすい。
ケプラーの3法則を微分方程式で鮮やかに証明する節が一番面白く、そして後々役立った。
数式で一部証明を書いているが、その背景の思想が詳しく書かれているので、数式は後で理解できればいい。

物理の公式は結局、微分方程式から得られた結果だから、公式だけ覚えても無意味。
公式を暗記するだけでは、他の数学や物理の問題は解けない。
問題の解決方法を知ってこそ、色んな物理の問題を解けるし、3体問題のように何故微分方程式が解けないのか、という話題も理解することができる。

遠山啓著の「数学入門〈上〉」「数学入門 下」は1960年代に出版された本なのだが、その内容は今も色褪せない。
高校生だけでなく中学生にも、数学の考え方を知る上でお薦めだと思う。

【2】物理を理解するには、物理特有の考え方、つまり、自然に対する科学者の態度を知らなければ、物理がどれだけ自然に対してこれだけの知識を得ることができたのか、理解出来ないだろう。

物理の公式をいくら覚えても、物理学者の態度を知らなければ、新しい問題を解くことができないだろう。
僕は高校時代に、アインシュタイン著の「物理学はいかに創られたか(上巻)」と朝永振一郎著の「物理学とは何だろうか〈上〉」を読んで初めて、古典力学の公式やエントロピーの概念を理解することができた。

物理学者が自然を理解する態度には、自然の根本は粒子(原子)であるという主張と波動であるという主張の2つがあり、それぞれの対立がある。
アインシュタインは前者の立場なので、何故、加速度が力を生むのか、モノの重さに関係なく落ちる速度が同じなのか、古典力学の説明がとても分かりやすい。

後者の立場は量子力学であり、おそらく現代物理学を知るには量子力学を制覇しなければ、化学も分子生物学も理解出来ないだろう。
朝永振一郎著の「物理学とは何だろうか〈上〉」では、エントロピーなど量子力学の考え方がとても分かりやすい。

高校生は、物理を学ぶ前に「物理学はいかに創られたか(上巻)」「物理学とは何だろうか〈上〉」上下4冊の本を読んでおけば、実際の入試の問題を解きやすくなるだろうと思う。
いずれの本も数式はほとんど書かれておらず、分かりやすい文章で書かれているのでお薦めだと思う。

他に、「物理数学の直観的方法」の本も初版で読んで、なるほどと思った。
特に、量子力学で必ず使われる解析力学について、その発端となった問題、ニュートンの最速降下線の問題の解き方がとても印象に残っている。
物理や数学の公式や概念は、特有の考え方、発想方法があるので、それを知らなければ、禅問答みたいでいつまで経っても分からない。

物理学者は、ある仮説を立てて、その仮説を確かめるために観測する。観測結果が仮説と合致していなければ、仮説を見直すけれども仮説が間違っていなければ、観測方法を変えたりして、実験を繰り返す。
つまり、徹頭徹尾、仮説重視の仮説検証スタイル。

この手法の代表例がフェルミ推定。
フェルミ推定とは、「シカゴの(ピアノの)調律師は何人いるか?」という問題が有名だろう。
物理学者フェルミが本来、原子爆弾の威力を机上の仮説から計算した手法なのだが、その発想方法をコンサルタントの一技法にフレームワーク化されたもの。
地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」」がおそらく最も有名な本だろうが、面白く読める。

フェルミ推定 - Wikipedia

【3】分子生物学は、生物は機械と同じような構造を持ち、物理法則に支配されているという発想で生物の秘密を解き明かすのが前提。
以前はなかなか良い本がなかったけれど、最近は「生物と無生物のあいだ」が読みやすい。

分子生物学の発端は、シュレディンガーの本生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波文庫)にある。
量子力学を編み出したシュレディンガーは、その後の物理学者の進むべき道は生物の秘密を解明することにある、と宣言した。
つまり、生物は神秘の現象ではなく、その構造は未知の物理法則に支配されているはずだ、と。
一つは、原子が余りにも小さく、生物が原子よりも余りにも大きいのは、統計法則に従えば、生命が突飛な動きをしないようにたくさんの粒子が集まって動きの誤差を小さくせざるを得ないことにある。
もう一つは、エントロピー増大の原則に反して生命が生きるには、負のエントロピー(秩序)を食べてエネルギーを補充する必要があること。
この発想に多くの物理学者が知的刺激を受けた。

そして、ワトソン・クリックは、DNAが4種の要素による2重らせん構造であることを示して、DNAは自己複製機能を持つこと、そして、4種の要素(A・T・G・C)によって生命の情報を全て表現できることを示唆ないし暗示させた。
ここから、今の分子生物学の隆盛に至るわけだ。

実際、物理学者による生物の研究は、それ以前の生物の形態の観察とは全く違う。
実験動物の食物に放射性同位体をあらかじめ入れ込んでおき、実際の食物がどのように消化されていくのかを追跡する手法などは、まさに物理学者が考えそうな実験方法だ。

【4】そんな過去の本を読み直しながら、中学・高校・大学生向けに学問の背後にある思想や歴史を分かりやすく説明する本は改めて重要だと思う。
こういう良書はなるべく人生の早いうちに触れた方が勉強に役立つと思う。

僕が今回出版する本「Redmineによるタスクマネジメント実践技法」は上記の本ほどレベルは高くないけれど、僕が理解して説明できる範囲内で、Agile開発とチケット駆動開発を説明し、チケット駆動開発がソフトウェア開発プロセスでどのような位置を占めているのか、その利点と課題や可能性は何か、を全て書いたつもりだ。
2冊目を書く事になったら、もっと良い本を書いてみたいと思っている。

【追記】
小飼弾さんが遠山啓著の「数学入門〈上〉」「数学入門 下」の感想をBlogに書かれている。

(引用開始)
ケプラーの法則から万有引力の法則を導出する場面は本書の一番の見所で、この場面を楽しめれば三角関数は克服できたも同然なのだ
(引用終了)

この本の優れた所は、微分に関する無限の考え方を分かりやすく説明している点と、小飼弾さんが言う通り、微分方程式から万有引力のような本質的な法則を導き出す点にある。

404 Blog Not Found:書評 - 数学入門

404 Blog Not Found:残り物には勝因がある - 新旧対決 - 数学入門/いかにして問題をとくか

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2010/06/10

Perlのお勧め本

久しぶりに本棚にあるPerlの本を読んだのでメモ。

Perlの本と言えば、ラクダ本「初めてのPerl 第5版」が真っ先に浮かぶだろうが、僕の相性はよくなかった。
結城浩さんのPerl本「新版Perl言語プログラミングレッスン入門編」を読んで、ようやくPerlを理解できて使えるようになった。

初心者向けに書かれているが、正規表現やパターンマッチングなどを最初は易しく、後になるほど奥深く書かれている。
この本をマスターすればPerlは一通り書けるようになる。

新版Perl言語プログラミングレッスン入門編」のAmazonレビューにも書かれているが、Perlの入門編というだけでなく、Ruby・PHP・PythonなどLL(軽量言語)の入門編とも言える。
新版Perl言語プログラミングレッスン入門編」で正規表現を理解できたから、Rubyプログラミングにもすんなり馴染めた。

Perlで中級以上なら、「Perlベストプラクティス」が良いだろう。

結城さんは「増補改訂版Java言語で学ぶデザインパターン入門」など、読みやすいだけでなく、本質的な事柄を分かりやすく説明してくれているので、どれもお勧め。

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2010/05/23

弾言の感想

弾言 成功する人生とバランスシートの使い方」をiTunesでダウンロードして、iPod touchで読んでみた。
電子書籍というものにも触れてみたかったので買ってみた。
とても面白い。

Dangen by Dan Kogai for iPhone, iPod touch, and iPad on the iTunes App Store

人生を貸借対照表で考える。
現金の総量を資産で増やすのか、負債で増やすのか、全く違う。
資産がどこから生まれるのか、で全く違う。

ベーシックインカムと言う発想。
年金、こども手当の発想を国民全員に拡張した考え方かな。

電子書籍としても素晴らしい。
文庫本のように読めるし、しおりのような機能もあるから、ちょっと手を離した後に再読する時に役立つ。

Amazonなら1500円するのに、iTunesなら350円で売られている。
書籍そのものを電子化したら、この価格まで安くなるのかもしれない。
また、安価なほど数多くの人に触れられるので、社会的影響力も大きくなるだろう。

色々と考えさせられた。

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2010/02/21

イノベーションのジレンマ~過剰技術・過剰品質の罠

下記の記事を読んでメモ。

【元ネタ】
【レビューBOOK REVIEW - 半導体業界は"技術立国・ニッポン"の幻想から脱却できるのか | エンタープライズ | マイコミジャーナル

日本の製造業は品質も技術も世界一と言われるが、半導体産業は今や韓国を中心とする新興国に覇権が移った。
その理由は、「過剰技術・過剰品質という病気」を持っているかららしい。
いわゆるガラパゴス現象。
つまり、狭い市場に特化した高品質・高機能な製品は、世界で売れなくなる現象。

日本の携帯も同様の症状に陥っている。
i-modeは確かに優れていたが、今はiPhoneに技術の覇権が移っている。
本屋のコンピュータの本棚を見れば、iPhoneプログラミングの本がわんさか売られている。
販売だけでなく、開発者の興味も移りつつある現状があるのだ。

この現象を説明するモデルは、「イノベーションのジレンマ」という本で既に解説されている。
プロセス改善のような持続的イノベーションの世界を打ち壊す革新的な製品が出て、破壊的イノベーションが生じて、ビジネスのルールが変わってしまうというもの。

イノベーションのジレンマ」では、ショベルカーやディスクドライブメーカーの産業を例にして、詳しく解説している。
イノベーションのジレンマ」を読んで僕が最も興味を惹いたのは序章の冒頭だ。
著者が「何故、優良企業が失敗するのか」という研究に取り組むために良い例はないかと探していた時、こんなアドバイスを受けたと言う。
遺伝の研究者は、人間ではなく、ショウジョウバエのように1日で生まれて死ぬ短いサイクルのモデルを使って研究する。
産業界で最も近いショウジョウバエの例は、ディスクドライブメーカーだから、それを元に研究すればいい、と。
この文章を読んで、すごく怖いと思った。

IT業界、半導体業界も、産業界のショウジョウバエのような存在なのかもしれない。
常に破壊的イノベーションを生み出さなければ、取り残されるだけでなく、その産業で生きられなくなる。
プロセス改善という持続的イノベーションだけでは生きていけない。

アジャイル開発なら、ビジネスの変化や要求の変化に対応することで、破壊的イノベーションを取り込むことはできないか?
ソフトウェアアーキテクチャの技術の高さが鍵を握っていると直感している。

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2006/03/28

「国家の品格」と「ウェブ進化論」

帰宅途中で本屋に立ち寄った折、たまたま話題の2冊の本を見かけた。
立ち読みの感想をちょこっとだけ。




【1】「国家の品格 」は失望した

立ち読みでパラパラめくっただけですが、落胆しました。
藤原正彦さんも右寄りになったのかなあ。

中高生の頃、藤原正彦さんの「若き数学者のアメリカ」と古本で読んでいたく印象に残ったのに。
研究の厳しさ、研究の本質は何か、とか色々考えさせられた記憶がある。

でも、この本には中身が何もない。
論理よりも情緒、マネーよりも美しい田園が大事、という主張は綺麗だけれど、現実のビジネスとアンマッチ。

ロックの思想を批判している箇所を読んで、受け入れがたいと確信した。
民主主義と資本主義は密接に関係しているというロックの思想は、今の現代社会の基礎なのに。

あちこちのコミュニティに出て気づいたことは、時間が有り余っている学生よりも、平日は仕事や生活で忙しい中年の人の方がはるかにアクティブな現実があること。
自分の能力を元に私有財産を持っているから、自由に行動できる事実がある。

【2】「ウェブ進化論」は確かにすごい

インターネットの特質は、やっぱり情報のやり取りや製品のコストが殆ど0になったこと。
この恩恵を最も受けている層は女性じゃないかと言う気がする。
BlogやMixiを漁ると、男性よりも女性が書いている記事の方が面白い。
男性にはない発想があるから。

もっと自分の言葉で理解したくて、結局、「ウェブ進化論」を購入した。
ゆっくり読みたいと思う。

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