ERP・財務会計・経済学

2017/02/03

「推計学のすすめ」「経済数学の直観的方法~確率統計編」の感想

推計学のすすめ』と『経済数学の直観的方法』の確率統計編がとても素晴らしくて、すごくはまった。
以下、ロジカルでないラフなメモ書き。
間違っていたら後で直す。

【参考】佐藤信、1968、『推計学のすすめ』 - しょうもないことかきました

直観でわかる統計学 - 講義のページにようこそ

『経済数学の直観的方法 確率・統計編』(その1) 長沼伸一郎著 - ケスケラの読書と旅の日記

『経済数学の直観的方法 確率・統計編』(その2) 長沼伸一郎著 - ケスケラの読書と旅の日記

Amazon.co.jp: 経済数学の直観的方法 確率・統計編 (ブルーバックス)の Nogisuさんのレビュー

【1】統計的仮説検定は正直わかりにくい。
なぜ、わざわざ、主張したい仮説を否定した仮説を立てた後、統計処理を行って否定した仮説を棄却して、主張したい仮説が正しい、というロジックを使うのか。

その理由は、統計的仮説検定は「確率的背理法」の考え方に基づいているから。
つまり、仮で立てた仮説が5%未満でしか確率的に起こり得ない、ということは、ほとんど起こらないだろうから、仮で立てた仮説は成立せず、元々の仮説が正しい、というロジックの流れ。
すなわち、完全な背理法ではなく、95%の確率の正しさで背理法を使った考え方、と思った方がいい。

推計学のすすめ』には、この考え方による統計的仮説検定の事例をたくさんあげて、いろんな統計分布を使った話が載せられていて、とても分かりやすい。

正規分布、t分布、F分布、χ^2分布などをどんな場面で使って、どんな意図で用いるのか、という事例が分かりやすい。
上記Blogの感想に全く同意だが、1960年代に書かれた本なので、その事例に出てくる現象が時代的に古いように感じるのもすごく良い。

(引用開始)
この本はすごい。
1968年に出てるというのがもっとすごい。
筆者の佐藤さん、国税庁醸造試験所に長年勤めていたというのも、ギネスで働きながらスチューデントの筆名で論文出してたゴセットと似ていてかっこよい。
(中略)
推測統計の発想の根本を、懇切丁寧な解説と、豊富な例示とで示してくれるとてもありがたい本。
(中略)
t検定とかF検定とかχ2検定とか、Z標準化とか、なんとなく知ったかぶりでスルーしたけど、結局何なの?どれをいつ使うの?おいしいの?などの疑問がこの本でたいてい氷解する。
推測統計やるなら絶対にまずはじめの一冊。そのあと小難しい本に入っても、混乱したらこの本に戻るといいと思う。とにかく手元に1冊あるとよい。
さすがに60年代の本だけあって、例や言葉遣いが古いがそれがなおさらよい。
(引用終了)

【2】一般に、確率統計はすごく分かりにくい。
サイコロやコインの確率が、なぜそんなに奥深いのか?

【2-1】統計学を生み出したガウスの本来の思想は、確率論ではなく、誤差論だった。
「バラつき=トレンド+ボラリティ」という考え方があり、ボラリティは正規分布の形になる。

では、どうして現実の物事は正規分布に従うのか?
経済数学の直観的方法~確率統計編」によれば、正規分布のイメージはパチンコと同じ。
つまり、パチンコに無数の球を落とすと、パチンコ台の下に積もった球は正規分布の形をなすイメージ。
これがボラティリティに相当する。

しかし、この正規分布の曲線が「exp^(x^(-2))」であるために、その微分・積分が高校数学では扱えないので、多くの人がトラウマになっている、ということらしい。
つまり、パチンコ台に有限個の球を落とすと2項分布になるが、その極限が正規分布の曲線になるという計算は、高校生では解けない。
すなわち、確率分布の計算が複雑怪奇になっていて、とても分かりにくいのは、そこに理由があるのかもしれない。

【2-2】しかし、すべての物事が正規分布に従うという理論はやはり腑に落ちにくい。
たとえば、人の学力は正規分布に落ち着く、というのは本当に正しいのか?
真面目にコツコツ勉強しても間違って暗記した人、要領よく勉強して高得点な人、そんないろんな選択を正規分布は飲み込んでいるのか?

経済数学の直観的方法~確率統計編」によれば、その答えは、中心極限定理が解決してくれる。
実際は、色んなパターンの確率分布の曲線が発生するが、それら様々な確率分布を全て合成して極限に持っていくと、中心極限定理によって、その結果が正規分布になる、と。
つまり、中心極限定理は、二項分布の極限が正規分布になる、というだけでなく、様々な確率分布が合成されて極限に持っていくと正規分布になる、と主張している。(言いすぎかも)

中心極限定理のメリットは、心理学・経済学・社会学のような分野に適用して、それら予測に使えるからだ。
たとえば、株式市場では、政治状況や人々の心理状況などのパラメータに起因するたくさんの確率分布があるが、全て合成して極限に持っていくと、正規分布に落ち着くので、逆に扱いやすくなる。
つまり、株式市場のパラメータがたくさんあったとしても、逆に全ての確率分布を合成するほど、正規分布に近づくので、正規分布の特徴さえ分かれば、株価を予測できるようになる。

【2-3】株式市場への貢献としては、オプション価格の計算に使われたブラック・ショールズ理論がある。
このブラック・ショールズ方程式はとても難しく、経済学部の学生もつまずくものらしい。

ブラック・ショールズ方程式の背後には、ウィーナー過程という考え方がある。
株価のバラつきは理論物理のブラウン運動に似ている。
ブラウン運動では、時間が経つとボラティリティが増大する。
そのボラティリティは時間の平方根に比例する、つまり、「ボラティリティは√tに比例して拡大する」という法則があり、これがウィーナー過程と呼ばれる。

ウィーナー過程は正直分かりにくいが、ブラウン運動でボラティリティが増大する原因は、時間というよりもジグザグ回数が増えることと同じ。
この発想を株式市場に生かすと、株価のボラティリティ(バラつき)は株取引回数が時間と共に増えることであり、それが時間の平方根に比例する。

つまり、ボラティリティが大きいほど、株価は高くなる確率になるので、その時に売れば儲かる。
金利差や価格差を利用して売買して利鞘を稼ぐ裁定取引、いわゆるサヤ取りがこれに相当する。
また、株や国債は長期で保持した方が儲かる、という理由も、ここにあるのかもしれない。

【3】上記のAmazon感想にこんな感想があって、すごく同意した。

(引用開始)
私はいわゆる理系出身で、工業用のセンサ開発に関わっている。
私の働く業界では、本書でいう「ボラティリティ」を最小に抑え込み、「トレンド」を除去することで、品質を一定に管理することに腐心している。
このため、ボラティリティから何等かの「益」を得るという発想を持っていない。
この発想そのものが目から鱗の驚きであった。
(引用終了)

【3-1】製造業の品質管理では、完成品のバラつきを一定の範囲内に閉じ込めるように、厳しくチェックして出荷する。
つまり、たとえば、あるボトルネック工程で部品の歩溜まりが低い、と言った問題点は改善策を用いて解決して、「トレンド」となるバラつきを取り除く。
また、たとえば、全数検査でなく一部しか検査できないために観測できない誤差といった、「ボラリティリティ」のバラつきは最小限に押さえ込む。
たぶん、管理図の手法を使っているのだろう。
それによって、一般消費者は、品質が安定した大量製品を安価に買うことができる。

【3-2】一方、株売買、原油の先物取引のような金融取引では、ハイリスク・ハイリターンなので、ボラティリティが大きいほど、儲けが大きくなる。
なぜなら、ファイナンスの世界では、リターン=期待値、リスク=バラつき(偏差)という関係があるからだ。
つまり、ハイリスクで成功すればハイリターンが得られる。

昨今なら、トランプ現象のおかげで、株売買で儲けた人もいるのではないか。
つまり、「ボラティリティから利益を得る」という発想があるのだ。

ブラック・ショールズ方程式では、金融商品のボラティリティを数学的に求めて、金融商品のオプション価格としてあらかじめ算出することに成功した。
そのおかげで、金融取引市場が成立したわけだ。
その背景には、ウィーナー過程の考え方、つまり、「ボラティリティが√tに比例して拡大する」という考え方がある。

【3-3】この辺りの話はイマイチ分かりにくいが、以前、簿記1級を受講していた時、先生からこんな話を聞いたことがある。
本来の株式市場では、100株1000万円のような株を買いたい場合は、普通は手持ちのお金がなければ買えない。
しかし、ノーベル経済学賞を取った偉い学者(ブラックさん?)のおかげで、株式市場に、ある一定の入場料を支払えば、「株を将来買う権利」「株を将来売る権利」という形で、株の売買に入場できるようになった、と。
つまり、株式市場で金融取引を行うための入場料が、ブラック・ショールズ方程式で求められるオプション価格なわけだ。

そのおかげで、株式市場にもっと大量の人が簡単に入場できるようになり、株の売買がより一層活発になる、というメリットが生まれる。
日本政府がNISAなどを導入して、株式市場を活発化させたい、という意図はそんな所にも関連しているのだろうと思う。
株価が上がれば、NISAなどに投資した人にもお金が行き渡り、日本人の収入向上に役立つから、という流れなのだろう。

最終的には、企業はランダムな世界でも物事の連動性に注目して適切に意思決定することにより、ボラリティリティから利益を得ることが可能という事実から、企業は恒常的に利益を上げ続けることができる、という流れ。
この発想の類推から、マクロ経済学における経済成長理論につながるのだろう。

【4】こういう確率統計の理論の本を色々漁ってみると、チケット駆動開発の時と同じような匂いを感じる時がある。

【4-1】たとえば、従来の統計学では、計算力不足のために、大量データがあっても簡単に計算することができなかった。
昔は、数学的理論で確からしさは保証されているのに、コンピューティングパワーが不足していたから、その理論を使った実地検証がしづらかったわけだ。

しかし、今は、強力なコンピューティングパワーが安価で誰でも手に入るようになったので、統計学の理論をバックにプログラミングを縦横無尽に使って、文系理系を問わず、従来の自然・工学分野だけでなく、心理・社会・経済のような分野に適用して、色んな知見が得られるようになってきた。
たとえば、「ワーク・ルールズ」の本のように、Googleが自社の人事施策に統計理論を使っているように。

つまり、自然科学や工学で使われている従来の理論に対し、その適用分野を心理・社会・経済へ変えることで、別の新たな知見を見出だせる。
たとえば、理論の使い道をちょっと変えるだけで「ボラティリティを押さえ込む」のではなく「ボラティリティから利益を引き出す」という発想が生まれるわけだ。

【4-2】最近の人工知能も、その流れに似ている。
深層学習の背景にあるパーセプトロン、ニューロン、確率降下法という考え方は既に1960年代頃から理論として構築されていた。
だが、当時はコンピューティングパワーが不足していて、そもそも意味ある計算を実現できなかった。
しかし、今は違う。

その気になれば、PythonやR、AIのOSSのフレームワークを使えば、プログラムでいくらでも計算して、応用できる。
つまり、昔の数学や物理の理論を知らなくても、プログラミングできるならば、実際にプログラムで計算実行させて、意味ある応用結果を導ける。
その計算の後に、そのプログラムの背後にある諸理論を勉強しなおせば、実際の具体例をたくさん知っているのだから、理解しやすくなるだろう。
抽象的な理論ばかり勉強しても、その理論を武器に実際に使えなければ無意味だから。

今の時代は、数学や物理の理論からトップダウン的に勉強するのではなく、まずはプログラムを書いて動かして、たくさんの具体例を経験した後で理論を勉強し直す、と言うボトムアップ的な勉強方法の方が向いている気がする。
そんな流れがあるから、日本の小学生もプログラミングに慣れましょう、という方向に傾いているのかもしれない。

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2017/02/02

経済数学の直観的方法の感想

『経済数学の直観的方法』のマクロ経済学編確率統計編がとても素晴らしくて、すごくはまった。
下記の感想記事もとてもすばらしい。
以下、ロジカルでないラフなメモ書き。
あやふやな理解で間違っているかもしれないが、その場合は後で直す。

【参考】
『経済数学の直観的方法』 長沼伸一郎著 - ケスケラの読書と旅の日記

『経済数学の直観的方法 確率・統計編』(その1) 長沼伸一郎著 - ケスケラの読書と旅の日記

『経済数学の直観的方法 確率・統計編』(その2) 長沼伸一郎著 - ケスケラの読書と旅の日記

【1】『経済数学の直観的方法』を読むと、現代経済学が、現代数学や現代物理学並みに難解になっている事実が良く分かる。
ミクロ経済学では、消費者の消費行動、企業の購買活動を最小化する・最大化するという文言が多いけれど、それを精緻に理論化するには、解析力学が必要なわけだ。

物理学では、解析力学で使う変数XとXドットは、位置と速度、速度と加速度のように事前に決まる場合が多い。
一方、経済学では、解析力学の前提となる変数がうまく当てはまる場合は少ない。

昔に見つけられたモデルは、消費と消費の変化率から最適成長経路を導出するラムゼイ・モデル。
それ以外の経済モデルはなかなか見当たらなかった。

しかし、著者によれば、ルーカスの合理的期待形成仮説によって、経済事象とその事象を変化させる要素の二つのペアを解析力学の変数とみなすことで、動学的均衡理論が生まれた、というストーリー。
そして、リアルオプションという経済理論が作られて、ノーベル経済学賞を取った。

たとえば、マクロ経済学では、失業率とインフレ率は負の相関であるというフィリップス曲線の理論が出てくるけれど、その理論がそもそも成り立たない場合が現状でよく見られる。

その理由は、インフレを皆がすでに織り込み済みで行動するから、期待通りの経済政策の効果が出ない、というストーリーみたい。
そこで、インフレ率とインフレ変化率の二つを解析力学の変数とみなすことで、経済政策の効果を最大化するようにシミュレーションできるというストーリーなのだろう。

だから、最近の日銀は、国民が織り込み済みの行動を取らないように、故意にサプライズと称した経済政策を次々に打ち出すわけだ。
よって、中央銀行のインフレターゲット政策では、動学的均衡理論が必須のスキルであるということなのだろう。

【1-1】ここで、動学的均衡理論が現代経済学の寵児となった理由は、この理論によって、論文が大量生産されるようになったからだ、と著者は言う。

つまり、ルーカスの合理的期待形成仮説によれば、経済法則は経済事象のパラメータだけでなく、その事象を変化させる要素も考慮しなければならない。
そこで、経済事象のパラメータとそのパラメータを変化させる要素(つまりパラメータの微分)の二つのペアを解析力学の変数とみなすことで、数多くの経済現象の理論をモデル化できるわけだ。
その最たる例が、インフレ期待理論であり、中央銀行がデフレ対策としてその理論を駆使しているわけだ。

但し、著者は、このような優れた理論の価値は認めているが、これによって論文が大量生産される事象については皮肉っぽく言っているように聞こえる。
理論を生み出した超一流の天才と、その理論を拝借して論文を大量生産する一般の学者の違いはそこなんだよ、と。

【2】そんな流れを読むと、文系だから経済学部に行く、という考えは浅はかであり、理論物理学のスキルをマスターしておかないと、そういう最新の経済学に追いつけなくなっているわけだ。
経済学の知識は公務員になるなら必須知識みたいだが、最新の経済学を研究するには、さらに理論物理学のスキルまで必要となると、正直大変なのだろう、と推測する。

物理学のラグランジュアンやハミルトニアンもイメージしにくいが、その概念を経済学で置き換えた場合、どのように考えることができるか?

物理では、ラグランジュアンは最小作用の原理を実現するための概念、ハミルトニアンはエネルギーやポテンシャルみたいな保存則を満たすような概念イメージ。
経済学では、ラグランジュアンは経済政策の成果の最大化やコストの最小化に用いる概念、ハミルトニアンは総資産かGDPみたいなイメージかな。

そう思うと、現代経済学は、既に知られている数学や物理学の理論を片っ端から適用しまくって、その中から上手くいった結果だけを見せているだけなので、そんな背景を知らない理系・文系の人にとっては、本当にチンプンカンプンなのだろうと思う。

以上は自分のもやもやしたアイデアを書いただけなので、もう少し精緻化していく。

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2016/11/12

日本の品質管理がISO9001やシックスシグマに変わっていった歴史

最近、日本の製造業の品質管理に興味を持って、色々あさっている。
TQM品質管理入門」を読んだら、日本の品質管理がISO9001やシックスシグマに変わっていった経緯が書かれていて分かりやすかった。
以下、自分の理解でラフなメモ書き。
メモなのでロジカルでない。

【参考1】
今、あらためて、日本自動車産業の「ものづくり」について考えよう | 住商アビーム自動車総合研究所 自動車業界コンサルティング

(引用開始)
日本型ものづくりの基礎に貢献したのはW・エドワード・デミング博士だろう。
彼は統計学者として戦後初の1951年国勢調査計画立案に携わる傍ら、品質管理技術の専門家として日本科学技術連盟の招待を受け、日本の製造業経営者に対し統合的品質経営(TQM)を説いて歩いた。こうして日本のものづくりは体系化され、力を付けた。

1980年代、日本の製造業、特に自動車産業が勢いを増す中、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)が中心となり、日本の自動車産業における生産方式を研究し、その成果を再体系化・一般化し、「リーン(=痩せぎす)生産方式」(LPS)と命名した。その後、LPSの概念は欧米製造業に浸透し、ゆくゆくは日本本国に逆輸入された。

1990年代末、日本にてバブル経済、金融不況と苦境が続いた後、再度、自動車産業を中心に日本の製造業が徐々に復活を見せた。この時、日本は、単なる製造を超えた日本古来に由来する日本の強みと伝統の象徴とすべく「ものづくり」と命名し、「ジャパンブランド」の一つの軸に位置付けた。

斯様な歴史を経て、「ものづくり」の概念は今日に至ったが、特にリーマンショック以降、それを取り巻く環境諸般が著しく変化する中、またもや、大きな転機に差し掛かっているものと考える。

リーマンショック前後より電機関連領域における日本の製造業の地盤沈下が起こった。
続いて2010年以降、自動車産業においても大規模なリコールが発生し元来の「品質神話」に疑問符が付いた。
更に昨今では、消費者の「モノ離れ」とか、「モノからコトへ」とまで言われる。「モノ=所有文化=時代遅れ」という感じすらある。
一方で、欧米では、IoTとか、インダストリー4.0とか新しい概念が生まれ、GEをはじめ「製造業の復活」と言われている。

こうした一連を見るに、「『ものづくり』とは一体何だろう」と改めて問題提起をし、皆様と一緒に考える契機を作りたい。(後略)
(引用終了)

【1】引用元のURLを忘れたが、下記のような解説があった。

(引用開始)
 品質管理のさまざまな新しい方法の開発によって、統計学は大量生産時代の必須の技術として定着していきます。第二次大戦後の日本の品質向上は、米国ではミラクルと考えられた時期がありますが、1980年代のMITのレポートでは、日本の産業界が統計的方法を活用していることを一つの原因としています。
 これについては、デミングが1950年に日本で行った講義以来、石川馨(特性要因図)、田口玄一(ロバストパラメータ設計)、赤尾洋二(品質機能展開)、狩野紀昭(狩野モデル)といった新たな管理技術を開発した日本の先生方の貢献が大ということができるでしょう。
(引用終了)

(引用開始)
品質管理は管理図に始まり、管理図に終わる
(引用終了)

つまり、製造業の品質管理は、大量生産する時に製品の品質のバラつきをなくすために、管理図や特性要因図などのQC7つ道具を編み出し、それら技法を洗練させてきたのだ。
品質管理の技法の背後には、統計学、特に検定や回帰分析の理論がある。
だから、品質管理の技法は、統計学の理論がバックにあるので、廃れないし、理論的に強固なのだと思う。

そして、日本の「品質管理の総本山」は「日科技連」。
高校生の頃に日科技連の数学の本を読んだら、普通の数学と違うなあ、と思っていたが、その理由は、僕が統計学を知らなかったので、違和感が合ったのだろうと思う。

しかし、今ではこういう製造業の品質管理の技法が普及しているとはあまり思えないのは何故だろうか?

【2】「TQM品質管理入門」を読んだら、日本の品質管理がISO9001やシックスシグマに変わっていった経緯が書かれていた。
どうやら1980年代のアメリカで、日本の製造業の品質管理を徹底的に研究し、アメリカ独自の理論に発展させていったみたい。
それが、シックスシグマらしい。

TQM品質管理入門」を読むと、アメリカのシックスシグマと日本のTQMの違いは、アメリカはトップダウンによる標準化であり、日本はボトムアップによる教育。
たとえば、品質管理の技術者をグリーンベルト~ブラックベルトのようにレベル分けする点は、CMMIに似ている。
「特性要因図の目的の一つは教育」と言われるように、日本企業ではOJTによる社員教育を重視してきたが、昨今の成果主義制度のために、OJTが機能しなくなっているように思える。

最近、職場で「OJT」が機能しないのはなぜなのか?(中原淳) - 個人 - Yahoo!ニュース

もう一つの流れはISO9000シリーズ。
品質管理をきちんとやっています、という国際的な免許が公開され、グローバルスタンダードになってしまったために、日本の製造業も取得せざるを得なくなった。
ISO9001の中身はTQMと同じだが、日本企業では、ISO9001の維持のために膨大な管理人員が割かれているデメリットが大きいのではないか。

【3】一方、欧米では、日本の製造業の品質管理を徹底的に研究し、シックスシグマやISO9000シリーズを生み出しただけでなく、ソフトウェア開発においても「アジャイル開発」という概念を編み出した。

アジャイル開発の源流には、日本の製造業の品質管理があると聞くが、その理由が知りたくて、今も品質管理の文献をあさっている。
個人的には、製造業の発想とソフトウェア開発の発想は全く違うと思っているので、どうしてもそれが密接に関連しているという理由が腑に落ちないからだ。
欧米人がどのように文脈を変えてきたのか、という観点で今も読んでいる。


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要因と原因の意味は違う

最近、日本の製造業の品質管理に興味を持って、色々あさっている。
「要因と原因の意味は違う」という記事が分かりやすかったのでメモ。
メモ書きなので主張なし。

【参考】
「要因と原因の意味の違い」 「要因と原因の使い分け」について:時間管理術研究所 □□ 仕事と生き方、幸せの研究所 □□

正しい「なぜなぜ分析」と、だましの「なぜなぜ」:(と「要因と原因」の違い):時間管理術研究所 □□ 仕事と生き方、幸せの研究所 □□

特性要因図 - Wikipedia

特性要因図~品質管理の知識

【1】日本の製造業の品質管理で、問題の原因分析をする時、なぜなぜ分析がよく使われる。
なぜを5回も繰り返して、問題の真因を見つけ出す。

テスト管理のコミュニティで聞いた所では、なぜなぜ分析をやるとすごく疲れるらしい。
なぜの5段階目は「油断」「不注意」など人の心理まで行き着くので、精神的にしんどいらしい。

そんな「なぜなぜ分析」では、症状→要因1→要因2→・・・のように三角形のように広がっていく。
症状→要因が一直線になることはほとんどない。

普通は、問題の症状に対し、数多くの要因が考えられるからだ。
なぜなぜ分析は、数多くの要因を網羅するようにあぶり出し、その「要因」を検証していって、真の「原因」を見つけ出すという点が重要なポイントになる。
つまり、たくさんの要因があったとしても、問題を改善・解決させる場合、とても効果が上がる原因はかなり限定されるわけだ。
問題と要因が一直線になる場合、分析の能力不足と言える。

この辺りはパレートの法則を暗示させる。

【2】このような問題分析の手法の一つとして、特性要因図が使われる。
僕のイメージでは、マインドマップみたいなものだ。

特性=問題となる事象として、問題を発生させる要因を魚の骨のようにどんどん書き出す。
それら要因の中で、問題の真因となる要因が「原因」となるわけだ。

【3】国語辞典では「要因=主要な原因」と解釈しているらしいが、製造業の品質管理では、「要因」と「原因」は上記のように明確に区別されている。
このように、日本の製造業の品質管理では、「要因」と「原因」の区別を厳しく指導されるらしい。

【4】そういう話を聞くと、日本人も品質管理という技法を知識体系として洗練させてきたのだ、と感じる。
しかし、今ではこういう製造業の品質管理の技法が普及しているとはあまり思えないのは何故だろうか?

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2016/09/25

「ソフトウェアが世界を飲み込む理由」「ソフトウエア、それが問題だ」の記事のメモ

「ソフトウェアが世界を飲み込む理由」「ソフトウエア、それが問題だ」の記事をメモ。
特に主張はなし。

【参考1】
『ソフトウェアが世界を飲み込む理由』 - 渡部薫 ジークラウド CEO - 経歴・略歴 - Kaoru Watanabe, Profile, Career

M・アンドリーセン氏が考える2012年--「ソフトウェアが世界を飲み込む」 - CNET Japan

次の5年でソフトウェアが世界を食べつくす。 | リーディング&カンパニー株式会社

(引用開始)
コンピュータ革命から60年、マイクロプロセッサーの発明から40年、そして近代インターネットが興隆してから20年、ソフトウェアによって産業を変革するのに必要な技術の全てが、ようやく実用化され、世界規模で広く提供されるようになった。
(中略)

私の意見では、医療と教育が、次にソフトウェアをベースとした根本的な変革が起きる分野である。
私のベンチャー・キャピタル会社は、これら両方の巨大で重要な産業において、積極的なスタートアップ企業を支援している。
私たちは、これら両産業は、歴史的に見て起業家精神に基づいた変化に対しては非常に抵抗を示してきたが、現在、新しい、ソフトウェアを中心に据えた偉大な起業家達によって、臨界点に達する時期にきていると信じている。

(中略)
あらゆる産業において各社は、ソフトウェア革命がやってきていることを想定する必要がある。
これには、今現在ソフトウェア・ベースである産業も含まれる。Oracle社やMicrosoft社など、既存のソフトウェア大企業ですら、Salesforce.comやAndroid(特にGoogle社が大規模ハンドセット製造会社を保有している世界では)といった新しいソフトウェアの出現によって、自社製品が陳腐化してしまうという危機にますます脅かされている。
(引用終了)

池田信夫 blog : ソフトウェアが世界を食う

(引用開始)
第二は、労働や教育が大きく変わることだ。
これから先進国では、コーディングができるかできないかで収入は桁違いに変わる。
ソフトウェアの使えない労働者は、新興国の単純労働者と競争するしかない。
教育も、つまらない教養科目を教えるより、早い時期からプログラミングを教えたほうがいい。

最後に、ソフトウェアの価値を実現する必要がある。
すでにグーグルやフェイスブックは収益を実現したが、他のソフトウェア企業が資本主義の世界で既存の企業をしのぐ存在になるかどうかは今後の問題だ。
そういうビジネスモデルを開発した者が次の時代の勝者になるだろう。
(引用終了)

【参考2】
ソフトウエア、それが問題だ Software Matters - 日本のリーダーはソフトウエアの本質を理解していない:ITpro

ソフトウエア、それが問題だ Software Matters - (2/4)日本のリーダーはソフトウエアの本質を理解していない:ITpro

ソフトウエア、それが問題だ Software Matters - (3/4)日本のリーダーはソフトウエアの本質を理解していない:ITpro

ソフトウエア、それが問題だ Software Matters - (4/4)日本のリーダーはソフトウエアの本質を理解していない:ITpro

(引用開始)
ソフトウエアは物事を変換しうる本質を持つ。
日本のビジネスリーダーはこのことへの理解が遅れていた。
日本の製造業は過去、ソフトウエアの役割を最小化する“ものづくりイデオロギー”によって成功したが、そのことによってソフトウエアをハードウエアのためのものとみなしてしまい、ソフトウエアが新機能、付加価値そして差異化の牽引役であることになかなか気付かない。
(引用終了)

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組織論の背後には経済学の概念があるという仮説

組織論の背後には経済学の概念があるという仮説について、ラフなメモ書き。
自分が理解したことを適当に書いただけ。
間違っていたら後で直す。

【0】組織の構造や成長の方向性は、人々の恣意的な意思決定よりも、資源の制約や外聞環境の制約という要因の方が大きいのではないか。
市場経済を前提とする限り、企業は営利組織として売上と利益を確保できなければ、生存理由がない。

ミクロ経済学の根本思想は「市場経済の原理を徹底すれば、世の中の取引や資源は最適化される。無駄がない」という発想。
この発想を組織論に当てはめた場合、どれくらい、組織構造や組織の成長モデルを説明できるか?

【1】チャンドラーモデル、組織は戦略に従う

すぐ分かる経営戦略論: チャンドラーモデル

組織は戦略に従う。そして、戦略は組織に従う。

【経営力強化】組織は戦略に従うのか?|コラム|株式会社 ブレインパートナー

(引用開始)
チャンドラーは企業成長を4つの階層に分類した。
チャンドラーは4段階を経て多角化した製品―市場分野ごとに事業部を作り、事業部制組織が登場した。
これら4段階をチャンドラーモデルという。

1段階:垂直統合戦略を行い、経営資源を蓄積する段階である
    急速に増加した需要を満たすために行う

2段階:経営資源を能率的かつ有効に活用するための組織を作る段階
    各諸資源を「組織」として有効に活用する

3段階:多角化戦略を行う新たな成長段階
    成熟による発展の限界から経営資源を有益に転用する

4段階:経営資源の運用の合理化とさらなる成長のために組織を革新していく段階
(引用終了)

普通の企業は事業部制モデル。
でも、事業部制組織の中身を見ると、機能別組織で、工程別・作業別に課が分かれている場合が多い。

たとえば、大企業になるほど、たくさんの機能別組織が作られていて、組織がサイロ化され、局所最適化されて、全体最適になっていない。

一方、ベンチャー企業や中小企業は、小さな有機的チームから始まる。
しかし、じきに経営資源を効率的に配分するために、管理的な組織構造が必要になってくる。
さらに発展すれば、事業が増えるので、多角化戦略を取り、事業別組織が形成される。

おそらく、チャンドラーモデルのような組織の成長モデルは、経営資源の制約と効率的な配分の考えで発生するのだろうと思う。
ミクロ経済学のパレート最適などが使えないか。

【2】資源依存モデル

資源依存論

資源依存型経営戦略理論 Resource Based Theory || INVENIO LEADERSHIP INSIGHT

組織に不足している資源を獲得するため組織間関係が形成される。

資源依存そのものから回避⇒「代替的取引関係の開発」「多角化」
資源依存関係を認めつつ他組織からの影響を小さくする⇒「交渉」「包摂」「結託」「所有」

たとえば、「他の組織と「結託」し対抗⇒業界標準やカルテル⇒独占経済⇒独占禁止法」につながる。
そもそも、独占禁止法という法律は、ミクロ経済学の市場独占・寡占の理論を理由として成り立っている。

【3】取引コストモデル、機会主義的行動

取引費用とロナルド・コース

取引コスト理論(1) - toraponの部屋

取引コスト理論(2) - toraponの部屋

内外作問題 - toraponの部屋

取引が市場で行われた時(外注)よりも組織で行われた時(内作)の方が取引コストが少ない場合に組織間関係が形成される。
大企業は、自社内の作業をビジネス化して、子会社としてたくさん作り、垂直的なビジネスモデルを形成しやすい。
連結決算を考えると、自社内で経営資源を広く持った方が売上高を大きく見せやすいはず。

一方、中小企業は経営資源が少ないので、全ての作業や工程を自社で持つのはコスト高なので、アウトソーシングする。
いわゆる内外作問題に通じる。

取引コストモデルでよく出るのは、ミクロ経済学の「コースの定理」。
コースの定理は「取引費用がないと仮定した時、権利の配分がどうあろうと、それはパレート最適な資源配分に影響しない」。
取引費用がゼロの場合には、所有権を法がどのように割り振ろうとも、私的交渉を通じて効率的な利用が達成される。
つまり、取引には取引費用なるコストが必要であり、そのために取引費用を節約する方向で組織が編成される。

すなわち、取引はできるだけ市場経済の環境で行えば、自然に最適化されるはずという理論。
しかし、実際は、公害のような外部不経済では通用しない。

機会主義的行動とは、一定の原理や原則よりも変化する状況に応じて行動すること。
取引コストに関する「情報の非対称性」が原因で、機会主義的行動を冗長する。
たとえば、20代のスキルのある会社員はお金などを動機として転職しやすいが、40代のスキルのない会社員は会社にとってコスト高なののに、会社にしがみつくしかない。

「情報の非対称性」はミクロ経済学の「レモン市場」などにある。

情報の非対称性として、逆選択、モラルハザードがある。
たとえば、プリンシパル・エージェンシー理論は「情報の格差や利害の不一致が存在するプリンシパル(依頼人)とエージェント(代理人)との関係」。
プリンシパル・エージェンシー理論は、株主と経営者の関係でよく使われる。

【4】組織エコロジー理論(個体群生態学モデル)

個体群生態学モデル - 企業経営理論の問題 | パワーアシストロボット、医療機器のLAP 平野 淳 のブログ - 楽天ブログ

移動障壁と戦略グループとは?|E.M.ポーターの競争戦略論 | FOOLINE

ダーウィンの自然淘汰説のアナロジーの組織論。
前提として、「組織慣性がある」「環境による影響が大きい」という仮定がある。
結論は、「新」形態の組織が環境選択で残る。

例えば、ある成功した企業の組織形態を、他の多くの企業が正当性を獲得するために模倣することを通じて、組織個体群に含まれる企業の組織形態は類似する傾向がある。
つまり、ポーターの「戦略グループ」につながる。

戦略グループの形成の流れは、「成功 ⇒ 模倣 ⇒ 業界内の組織形態が類似する ⇒ 戦略グループの形成」みたいな感じ。
たとえば、清涼飲料水、ビール、お菓子、携帯電話、スマホなどの業界。

すると、ある製品分野の生産のために垂直統合を強めると、企業の生産体制や製品ラインは似通ってくる為、戦略グループが生まれやすくなる。
戦略グループに分化された業界では、参入障壁、撤退障壁よりも、移動障壁が高くなりがち。

この考えは、ミクロ経済学の「完全市場の長期均衡」で説明できるはず。

【5】ガルブレイスの情報処理モデル(情報プロセシング・モデル)

ガルブレイスモデル: DCT LIVe

組織は、不確実性(Uncertainty)を情報処理して減らす活動を行う機構であり、必要な情報の創造及び獲得活動である。
不確実性とは、ある問題を解決するために必要な情報量と組織が保有している情報量の差である。
組織の情報処理能力は、組織および経営の中核的能力である。
結果として、組織設計の戦略は情報処理能力の強化を目的にしなければならない。

つまり、組織とは、情報処理機構ないし情報処理モデルとみなせる。

たとえば、不安定な環境下では不確実性が高いために、「専門職的な有機的管理システム」により情報処理する能力を増幅することが有効である。
一方、安定した環境下では「官僚制的な機械的管理システム」が有効である。

情報処理モデルでは、「情報処理量の削減 ⇒ スラック資源の捻出、自己充足タスクの形成」「情報処理能力の拡大 ⇒ 垂直的情報システムの強化、水平的関係の形成」の二つの対策の傾向がよく見られる。

つまり、不確実性に対処できた組織のみが、利益を取れる。
また、情報の不確実性は時間とともに解決する場合が多いので、情報処理のスピードも重要。

【6】野中の自己組織化モデル

組織研究に自己生産理論を導入する目的|わかりやすい自己生産

「組織は、多様性を削減して均衡を達成するというよりも、むしろ主体的に多様性を増幅させ、既存の思考・行動様式を破壊し、新たな思考・行動様式を創造することによって進化する」。
SECIモデルとか。

【7】組織ライフサイクルモデル

チームビルディングに組織のライフサイクル理論を使う|プロジェクトマネジメント実践

すぐ分かる経営戦略論: 組織ライフサイクルモデル

組織のライフサイクルモデル①: 人事労務アドバイザー!

(引用開始)
組織の成長には、以下の4つの段階があるという理論です。

①起業家段階
②共同体段階
③公式化段階
④精巧化段階

有期的とは言え、プロジェクトチームも組織のひとつですから、この4つの段階に準じて成長します。
(引用終了)

組織ライフサイクルモデルは、チームのライフサイクルモデルにも似ている。

他に、グレイナーの企業成長モデルもある。
グレイナーの企業成長モデルは、ベンチャー企業の成長の過程にそっくりそのまま使えると思う。

組織成長モデル「グライナー・モデル」のメモ: プログラマの思索

グレイナーの企業成長モデル - すべてが学びと思えたら

組織の成長過程は、組織内の資源の制約、外部環境からの制約によって、方向性が限定される。
その背後には、ミクロ経済学の諸理論で説明できるはずと思う。

【9】上記の経営理論と経済学の理論と比較検討してみると、巷で言われている経営戦略論とか、組織論の話の正当性は経済学の理論を使って説明しているのではないか、と想像する。
そうでなければ、経営戦略や組織論という理論の再現性がないから。

実際、ポーターの競争戦略や戦略グループ、コトラーの競争地位戦略のような経営戦略論は、ミクロ経済学の理論で説明できるはずと思う。
また、取引コストモデルは、情報の非対称性やコースの定理などの経済学の理論を背景として持っている。
たぶん、マーケティング理論も同様のはず。

ポーターの競争戦略理論<経営と情報(経営情報システム)<Web教材<木暮仁

競争地位戦略 - マーケティングWiki ~マーケティング用語集~

したがって、経済学の理論を背景に持つ経営戦略論や組織論は、反論に強く、理論的に頑健なのだろうと推測する。
つまり、学者の思いつきのような、一過性の説明ではなく、たくさんの具体例や堅固な理論を元に作られた経営戦略論なわけだ。

一方、経済学の理論を一通り知っておけば、ネット上に流れる経営戦略論や組織論がエセ的な話なのか、正当性のある話なのか、という見極めができるはずだ。

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2016/09/21

ドメイン駆動設計の方程式はOO+XP=DDD

増田さんの資料に「OO+XP=DDD」と書かれていて、ああこれだ、と思ったのでメモ。
ドメイン駆動設計に関する素晴らしい資料だと思う。
以下はラフなメモ書き。
特に主張はなし。

「人間の知りたいこと/やりたいことを定義する。内部の実装(データ型と処理手続き)は見せない」
「業務の関心事を抽象データ型として表現する」
「変数名ではなく、「型(クラスとインタフェース)」と「メソッド名」で 意図を表現することを習慣にする」
などの文章がすごく心の琴線に触れた。

業務システムの設計では、まさにユーザの業務、たとえば、発注・販売・請求・入金などの業務のモデリングでも使える。

丁度、法務について勉強していると、法律の内容がすごく分かりにくく感じていて、フラストレーションが溜まっていた。
しかし、上記の資料を読んで、法律の内容はまさにドメインモデル、概念モデルに相当するな、と気づいた。

「AさんがBさんと結んだ金銭貸借消費契約を破って、お金を返さない」「Aさんが、Bさんの財産を勝手に盗んだという不法行為を行った」「AさんがBさんに土地を売ったのに、Cさんにも二重譲渡した。」などの要件事実に対し、法律の要件を当てはめて、誰が権利を主張できるのか、誰の権利を侵害したのか、を導き出す。
その時に、法律の内容は概念モデルであり、クラス、メタモデル。
それぞれの要件事実はインスタンス、オブジェクト図。
話しているレベルが違う。

更に、その内容はできるだけ、人が分かるようなドメインで表現した方が分かりやすい。

但し、ITエンジニアが概念モデルを描こうとすると、どうしてもプログラムぽく、内部の実装処理をイメージしてしまうため、メタモデルにしにくい時が発生するのは注意。

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法務脳の作り方part1

法務脳の作り方について、考え方をメモ。
以下は、今の自分の理解と直観で適当に書いているラフなメモ書き。
特に主張はなし。
間違っていたら後で直す。

【1】「法律=要件+効果」。

要件と効果について - 法テラス静岡法律事務所日誌

(引用開始)
たとえば,民法で一番有名な709条は,「故意または過失によって他人の権利又は法律上保護された権利を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定しています。

これを要件と効果に分類すると

(要件)①他人の権利又は法律上保護された権利を侵害した

    ②前記①が故意または過失によるものであること

(効果) 要件①によって生じた損害の賠償責任(相手方にとっては請求権)が発生したこと。

となります。
今まで起きたことのないような事件が発生したときが起こったとき,リーガルマインドを備えた人は,「誰のどのような権利が侵害されたのか?」「その権利は法律上保護されるのか?」「行為者は権利侵害について予見可能性があったのか?」「どこまでの損害を賠償する責任があるのか?」という観点からアプローチします。
(引用終了)

上記はいわゆる「不法行為に対する損害賠償の請求権」。
「要件=加害者の故意過失による不法行為」を被害者が立証すれば、「損害賠償を請求できる権利が発生する」効果が生まれる。

あえてこの時期に読んでほしい「法学」―「要件」「効果」とは?

(引用開始)
「貸金返還請求権」なんてものは,実際に物体として世の中にあるわけではありません。
裁判官も見たことはありません。
よって,「オレには貸金返還請求権がある」と言っている貸主のことを裁判官がそのまま信じるわけにはいきません(貸主がどんなに信用できそうな顔をしていても)。

そこで出てくるのが,「要件」です。
要件が揃えば効果が発生しますので,貸金返還請求権を裁判所が認めることができます。
その要件が,民事訴訟法で学習する「主要事実(要件事実)」です(主要事実と要件事実の違い〔違いがあるか〕は気にしなくていいです)。
(中略)
前回の記事で「1000万円を返せ」という請求権がある(上記のピラミッドでいえば,1の「請求レベル」)と裁判所に認めてもらうには,法的根拠(2の「法律レベル」)が必要であるとご説明しました。
そのためには要件を充たす必要があり(3の「事実レベル」),要件を充たしていると裁判官に信用してもらうには証拠が必要である(4の「証拠レベル」)とご説明しました。
(引用終了)

【2】ストーリー問題は、法定三段論法で解く。
つまり、ストーリーに出てくる事件(要件事実)に対し、どの法律の要件が当てはまり、どんな効果が得られるのか、を考える。

法的三段論法について|太郎の弁護士ブログ

【3】法律の勉強では「~権」「~の義務」「~の責任」「~の利益」「~の不利益」という言葉はすごく重要なので丸暗記すべき。

権利の反対は、義務。
金銭が絡むと、貸借対照表(BS)をイメージすると分かりやすい。

負債は債権者のモノ、純資産は株主のモノ。
つまり、BSの右側は会社の外の人たちがお金を貸してくれている。
彼らは、リターンが欲しくてお金を貸しているのであり、お人好しではない。
お金が返せないと分かったら、自分の取り分を戻すために、どんな手段を使ってでも取り戻しに来る。
その時に、法律が債権者(と株主)と債務者の双方の権利を守る。

【4】法律特有の概念に慣れるのも一苦労。

法律の資格は、弁護士、行政書士、司法書士、宅建など星の数ほどあるけれど、よく聞かれるパターンはあるらしい。
たとえば、民法なら「不動産の二重譲渡」。
「債権の二重譲渡」も同じ構造。

対抗要件という考え方は特殊。
ややこしい。
明治時代にフランスの民法から対抗要件という考え方を取り入れたために、何となく時代に合っていない気がする。

「善意」「悪意」「過失」などの言葉も、普通の用語とは意味が違うから、初心者は間違いやすい。
下記のBlogがわかりやすい。

民法用語 善意、悪意、有過失、軽過失、重過失をたとえ話にて|fungusticのブログ

法学の「逸失利益」は経済学の「機会損失」と同じ。

「推定」と「みなす」は意味が全く違う。
「みなす」の方が強力。

「みなす」と「推定する」の違い | 法律事務転職キャリアNET

「証明」と「疎明」も違う。

証明と疎明(ショウメイ/ソメイ)とは - コトバンク

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2016/04/28

消費税の端数処理ではまった

久しぶりに、端数のまるめ処理ではまったのでメモ。
ラフなメモ書き。

【参考】
切り上げた数値を元に戻すには - 数学 | 【OKWAVE】

消費税の端数処理は影響が大きい?!総額表示と積み上げ計算の復習を!

消費税の端数処理は影響が大きい。
よくある例は、税込価格から消費税を抜いた税抜きの販売価格を計算した後、税抜きの販売価格から消費税を加味した税込価格に戻す処理で、四捨五入で単純に計算すると、端数が合わなくなってしまう。
上記の記事のように、元に戻す時は、切り捨てにする。

たかが1円程度の違いと言っても、大規模店舗で商品を大量仕入したり、工場で原材料を大量仕入したりする時は、数十万円の違いが出たりする。
小売業や製造業では、購買部門の担当者が別途いて、彼らは仕入先と、大量購入するから単価は値引きさせるように交渉しているから、金額にはとてもうるさい。
発注処理は大量仕入れで安く仕入れることで、規模の経済を生かすから、ちょっとしたシステムのバグがユーザ企業のビジネスに大きな影響を与えてしまう。

消費税の計算方法は、実は商品ごとに異なったりする。
普通は、税込価格で表示するように法律で決められているから、税抜価格で安い価格で不当に表示するのは、不正競争防止法などにも引っかかるだろう。

しかし、たとえば、書籍では再販制度があるために、税抜価格で表示していい。
他に、委託販売、試用販売でも似たような事例があるだろう。
つまり、商品の種類ごとに、価格表示の仕様は異なる。

設計SEはその辺の事情も考える必要があるので、普通は別途、計算仕様書なる補足資料を作り、価格表示や消費税の計算に関する仕様をまとめている。
その計算仕様書には、どの場面では、どんな計算式で、四捨五入・切り上げ・切り捨てにするか、という仕様がまとめられている。
開発者は、その計算仕様書を参照しながらシステムを実装していく。
これが、ドメイン知識と呼ばれるものなのだろう。

一方、注意すべき点は、価格計算の要件は法律で決まっているため、システムの仕様も法律の要件に引きずられてしまうことだ。
つまり、消費税に関する法律とか、景品表示法、不正競争防止法などの法律があり、法律がシステムの仕様を決めているし、その仕様は絶対だから変更することもできない。

そして、法律はその時々の政治的事情でコロコロ変わる。
消費税が5%から8%に上がっただけで、たくさんのシステム改修が発生して、ちょっとしたスポット景気になった。
ユーザから見れば、消費税は変わるのだから動的に作っていて当然で、なぜ改修料金を支払わないといけないの、と思ったりする。
だが、古いシステムほどロジックは魑魅魍魎なので、法律がフレキシブルに変わるたびに、システムをいじる手間がかかってくる。
法律の変更に対応できるようなシステム設計、アーキテクチャ設計が必要であるわけだ。

この辺りの業務知識も一度まとめてみたいと思う。

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2016/04/22

機会費用、機会損失、機会原価の考え方

簿記が扱う会計上の原価だけが、原価と呼ばれているわけではない。
機会原価と呼ばれるものがあるが、機会原価とはそもそも何だろうか?
機会費用、機会損失とは何か?
以下は、自分の理解のためのメモなので、間違っていたら後で直す。
主張は特に無し。

【参考】
N's spirit 機会原価とは 機会費用とは 機会損失とは

「機会損失」と「機会原価」の違いについて : 杉本公認会計士事務所 公式ブログ

機会損失とは|金融経済用語集

機会費用とは|金融経済用語集

機会費用 - オポチュニティーコスト - sawacom.net

機会原価 - HamaLog

機会費用 - Wikipedia

N's spirit 機会原価とは 機会費用とは 機会損失とは

逸失利益 - Wikipedia

【1】機会費用、機会原価、機会損失は紛らわしく、間違えやすい。
「機会費用=機会原価=opportunity cost」、「機会損失=逸失利益」と覚えれば理解しやすく成る。

【2】 機会原価(opportunity cost)と機会損失の違い

(引用開始)
今回は、「機会損失」と「機会原価」の違いについてです。
両者は経済学や管理会計の分野でよく耳にする言葉ですよね。
これらの言葉はよく混同されがちでよく似てる言葉ですが違いがあります。
機会損失とは、最善の意思決定をしなかったために、失った利益額であり、
機会費用とは、ある意思決定をしたために行えなかった投資機会のうち、最大の利益を得ることができなかった利益額になります。
具体的には、投資額が一定で、得ることができる利益が200、100投資案A、Bがあったとします。
投資案Aを選択した場合には、機会損失は0、機会原価は100となり、投資案Bを選択した場合には、機会損失は100、機会原価は、200となります。
つまり、機会損失は最適な意思決定を行いえば0になりますが、機会原価は、代替的な投資案がある場合は必ず発生するためゼロにすることはできません。
(引用終了)

例:
投資案A 利益=200
投資案B 利益=100

→投資案Aを採用した場合、機会損失=0、機会原価=100
→投資案Bを採用した場合、機会損失=100、機会原価=200

「機会原価」とは、諸代替案のうち一つを受け入れ、他を断念した結果、失われる最大の利益。
逃がした利益が原価(機会原価)になる。

「機会損失」とは、最善の意思決定をしなかったために、失った利益。
法学では、「逸失利益」とも呼ばれるらしい。

(引用開始)
機会原価は埋没原価と異なり、意思決定に影響を与えるものです。投資の判断の際に、何が機会原価になっているのか正確に見極めないと、本来は投資すべきものでないものに投資をしてしまう、逆に投資の必要なものに投資を止めてしまうということが起こり得ます。
この機会原価をキャッシュフローの中で用いているのが、割引率になります。
(引用終了)

【3】機会費用(opportunity cost)は機会原価と同じ概念

(引用開始)
機会費用は、「オポチュニティーコスト」とも呼ばれ、ある行動を選択することによって失われる、他の選択可能な行動のうちの最大利益を指す経済学上の概念をいいます。
(引用終了)

【4】機会原価が何となく難しく感じるのは、未来の原価であり、会計上の原価と異なるから。
会計上の原価は、過去に発生した費用の履歴であり、簿記で記述される。
原価は、過去に発生した費用を記録して集計しただけだから、数値ははっきりしている。

機会原価が難しいもう一つの理由は、2つの選択肢(オプション)の利益の差額で計算されるから。
つまり、差額原価。

しかし、機会原価は、その機会を逃すことで失った利益なので、その数値が明確で絶対正しいとは言えない。
でも、普通の人は機会原価の基準で、買い物したり、就職を決めたりしている。
「時間をお金で買う」行為は、機会原価を最小限に抑えようとする発想。
大学院に進むよりも2年早く就職してお金を稼いだ方が得だ、という行為も、機会原価の基準に基づく。

つまり、普通の人は、機会原価を最小化しようとして、機会損失=0に近づけようと、意思決定を選択する。
まさに、人間は経済的合理性に基づいて行動する、みたいな考え方。

【5】でも、逸失利益(機会損失)は、自ら選択した行動で発生するだけではない。
交通事故、震災、火事のような突然の災害や人災が原因で降りかかる時もある。
その場合、逸失利益を推定計算して、加害者に損害賠償請求する権利が被害者にある。
しかし、逸失利益の計算は推定なので、本当に正しいか、という問題もつきまとう。

また、逸失利益に基づく損害賠償請求には、法律に基づく要件がある。
不法行為、債務不履行など。

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