経営・法律・ビジネス

2018/11/25

プラットフォーム革命の感想~プラットフォーム企業は新たな独占企業である

『プラットフォーム革命』を3回以上読み直した。
ようやく、昨今のGAFAのようなプラットフォーム企業が何故、収益力だけでなく、これほどまでに政治的影響力を強めているのか、何となく理解した。
以下は、自分の浅はかな理解に基づくメモ。

【参考】
『プラットフォーム革命』――プラットフォーム・ビジネスの脅威を機会に変えるために | GLOBIS 知見録

「プラットフォーム革命」を読んでAmazon、Facebook、Uberのビジネスモデルを理解する | Synapse Diary

【1】プラットフォーム企業は、独占企業そのもの

(引用開始)
Modern Monopolies――同書の原題だ。直訳すると「現代の独占」だが、このタイトルこそ、本書の特徴をよく説明していると思う。
実際、アップルやアマゾン、グーグルなど大手プラットフォーマーが世界の時価総額ランキングに名を連ね、世界を支配していると危惧する声が毎日のように聞こえてくる。
(引用終了)

ゼロ・トゥ・ワン」にも似たような話「収益の安定した企業になるなら、独占企業になって、独占利潤を取れ」があったけれど、正直分かりにくかったが、『プラットフォーム革命』を何度も読みなおして、ようやく理解した。

【2】僕が『プラットフォーム革命』が素晴らしいと思う点は、経済学の概念を用いて、プラットフォーム企業のビジネスモデルと経営戦略を徹底的に分析し、その本質を導いているからだ。
具体的には、従来の直線型企業の象徴である製造業、特に、自動車業界のビジネスモデルと、プラットフォーム企業のそれを比較対比することで、プラットフォーム企業の特徴とその利点を鮮やかに説明している、と考える。

以下、経済学の用語を中心に拾いながら、自分のメモと自分の理解を書いてみる。

【2-1】完全競争の業界、市場では、どの企業も利潤がない。
レッドオーシャンの世界。

【2-2】完全な情報がある前提では、計画経済と市場経済は、その双方ともに効率性が同じ、という理論が既にある。

しかし、現実は、市場経済の方が計画経済よりも効率的だ。
その理由は、入手される情報は不完全な場合がほとんどなので、ローカルな情報を市場でやり取りすることで、需要と供給の均衡を図るから。
この時、需要と供給が均衡する点が、取引される価格になる。
よって、市場経済は価格システムでもある。
つまり、市場経済は、価格という指標・尺度の変化を記録するシステムそのもの。

しかし、『プラットフォーム革命』のストーリーでは、プラットフォーム企業は、取引の履歴、購買履歴、個人情報などを完全に把握でき、そのビッグデータを分析することで、「完全な情報」という概念を現実化できる。
たとえば、Amazonの購買履歴、Facebookの個人情報、Appleのクレジットカード情報、Googleの検索履歴。
昨今では、Facebookの個人情報が悪用されて、トランプ大統領を生み出した現象があったから、その主張はあながち嘘とは言えないと思う。

よって、プラットフォーム企業は「中央集権的な計画経済」から成り立っており、それゆえに独占企業となり、勝者総取りの結果として、独占利潤を独り占めできる。
だから、米国のGAFA、中国のBATの企業価値は、小国のGDPくらいの大規模な価値を持つ。
(但し、自然独占の結果だよ、と『プラットフォーム革命』では言う)

【2-3】製造業のような従来の企業のビジネスモデルを経済学の観点から理解するには、二つの観点がある。
一つは、コースの定理。

市場経済では、取引費用というコストと、情報の欠乏を最小化するために、企業という組織が組織化される。
企業は、市場で取引するよりも、社内でやるほうが効率的ならば、内製化し、それ以外の活動は外部委託する。
企業は、事実上、巨大な市場経済の中に存在する小さな計画経済。

【2-4】もう一つは、ポーターのバリューチェーン。他に、規模の経済や経験曲線効果。

規模の経済は、たくさん作るほど製造原価は急激に下がる、というハード面のやり方。
経験曲線効果は、たくさん作るほど、従業員の能力も製造工程も学習されて、製造原価は急激に下がる、というソフト面の考え方。
つまり、大規模な設備投資でコスト優位性をもたらす手法。

規模の経済や経験曲線効果は、特に自動車から半導体装置に至るまでの製造業の根本思想。
外食産業のチェーン店、コンビニのフランチャイズチェーンも、同様の発想。

また、ポーターのバリューチェーンでは、企業は、研究開発→製造→販売・マーケティング→保守サービスという一連の活動から成り立ち、その活動の連鎖で付加価値を付けて、高いアウトプットを出す。
その時、コースの定理と組み合わせれば、価値連鎖における活動の結びつきの最適な組み合わせを実現し、最小限のコストで最大の価値を生み出すことが企業の競争優位上の目的になる。

よって、企業が価値連鎖に様々な活動を内製化して取り込むのは、外部委託するよりも社内の活動にした方が効率的と判断している。
特に、製造業では、さらに規模の経済と組み合わせて、大規模な設備投資でどんどん巨大化し、官僚的な組織になることで、大きな企業価値を生み出し、独占企業となってきた。

しかし、こうした大組織であっても、ある一定の規模を超えると、組織内で情報流通のコストが大きくなり、独占を下回る水準で成長の天井にぶち当たる。

【2-5】コースの定理、ポーターのバリューチェーンが発生する問題意識は、市場が効率的ならば、なぜ会社という企業は存在するのか、企業は市場にどんな価値をもたらすのか、ということ。
つまり、経済学の観点では、企業の存在価値とは何か。

コースの定理では、企業は自社の内部に活動を取り込んで内製化する方が効率的だから、存在する、と。
たとえば、大手製造業が数多くの子会社として、ソフトウェア開発、金融保険、食事サービス、果ては従業員の娯楽サービスに至るまで抱えている理由は、内製化して、連結企業グループ内でお金をやり取りする方が、売上も利益も増えるから。

しかし、『プラットフォーム革命』のストーリーでは、20世紀のこの前提は、プラットフォーム企業の出現で崩れた、と言う。

【2-6】プラットフォーム企業は「自然独占」の結果である。
つまり、市場経済の熾烈な競争を経た結果で生まれた「独占」であり、悪い事象ではない。

普通、独占・寡占の企業と言えば、電気・ガスのような固定費が大きい企業とか、法規制で縛られた業界が多いが、プラットフォーム企業は自由な競争の結果の独占企業。

プラットフォーム企業は、今までになかった市場を作り出すことで、新しい価値を生み出してきた。
たとえば、Facebookの個人情報の取扱いを嫌う人は多いかもしれないが、Facebookが自社の利益以上に、人々に多くの経済的・社会的価値をもたらしてきたことは否定出来ないはずだ。

プラットフォーム企業のインパクトは、経済インフラが確立されていない国ほど、強力に感じられる。
たとえば、アリババは中国のデジタル経済の誕生にかなり貢献し、おかげで最辺境の人も自由に商品を購入できるようになった。
一方、日本ではATMが普及しているおかげで、キャッシュレスやカード払いが浸透せず、プラットフォームの恩恵が少ない。

丁度、IT技術は、先行者利益ではなく、後発者利益の方が大きい、という考えに似ている。
特に日本は、プラットフォームビジネスのような新しいビジネスに設備投資すべきなのに、古いレガシーな基幹系システムを数多く抱えているために、IT予算はシステム保守のほうが圧倒的に多い。

【2-7】インターネットとコネクテッド革命は、規模の経済と価値連鎖の概念を根底から覆した。
「計画経済の立案者は大規模な経済活動を効率的に調整できない」というハイエクの主張を無効にした。

昔と今の唯一の違いは、計画立案者が政府の官僚ではなく、プラットフォーム企業が持つアルゴリズムやソフトウェア(検索エンジン、協調フィルタリングなど)になったこと。

面白い点は、共産主義の計画経済では、市民は権力者に反抗していた一方、GoogleやAppleの利用者は、自分がエンパワーされた気持ちになり、彼らの信者になっている。

だから、FacebookやAmazonなどのプラットフォーム企業は、自分達が生み出したマーケット内のルールや規制に相当な労力を費やして、質を高めようとしている。
その努力は、政府の公共政策に似ている、と感じる。

【2-8】プラットフォーム企業の経済活動は貿易利益。
Amazonもアリババも、何もない所から莫大な利益を生み出している。

丁度それは、江戸時代の紀伊国屋文左衛門が、紀州のみかんを江戸で売り、江戸では鮭を買って大阪で売って巨額の利益を得た、という話と同じ。
つまり、貿易という交換作業をプラットフォーム上で大規模に取引することで、莫大な利益を生み出している。

【2-9】従来のビジネスは、限界費用はゼロにはならない。
20世紀の製造業では、ビジネスをスケールするには、需要を喚起する費用と供給コストをどれだけ下げられるか否かにかかっていた。
つまり、製造原価を低減するために、規模の経済を活かすし、価値連鎖の概念を用いて内製化された活動を効率化する。
たとえば、フォードの大量生産、トヨタのJIT、マクドナルドのフランチャイズチェーンなど。

つまり、このビジネスモデルでは、生産工程を管理することで価値を生み出すので、商品をもっと売るには、莫大な設備投資を行い、生産能力を高めなくてはならない。
だが、物理的な資産と人員はスケールしにくい。

しかし、インターネットの普及、スマホの普及で大きく変わった。
現代の情報商品を流通させるには、コピー代はほぼ0円なので、限界費用は基本的にゼロ。

インターネットを使った低コスト流通を早い段階から活用し始めたのがSaaS企業。
しかし、ソフトウェア開発という初期費用、固定費はまだかかる。

一方、プラットフォーム企業では、生産も在庫も必要ない。
自社のプラットフォームで生産者と消費者という二つの顧客を抱えるので、最初にプラットフォームというシステムを作る固定費さえかければ、その後は、生産者と消費者の取引量が増えて貿易利益が指数関数的に増えるので、サプライサイドは生産者がどんどん取引できる商品やサービスを提供してくれるようになるから、サプライサイドの供給コストも限界費用をほぼゼロにできる。

つまり、プラットフォーム企業の費用構造では、保有する資本は非常に少なく、製造業よりもはるかに投資利益率ROICが高い。
このロジックのおかげで、プラットフォーム企業は理論的には市場そのものと同規模まで拡大できる。
だから、GAFAやBATの企業価値は、小国のGDPをはるかに凌ぐまでの大規模な経済になっているわけだ。

【2-10】プラットフォーム企業では、規模の経済ではなく、ネットワークの経済が根底にある。
生産者と消費者という二つの顧客を抱えて、彼らが取引することで貿易利益を得る。
だから、彼らの取引量を増やすことが重要になってくる。

プラットフォームとは、取引の生産工場。

【2-11】プラットフォームビジネスの構築の最初の問題は、クリティカルマスをいかに増やすか?

プラットフォームでは、生産者と消費者の合計参加者であるクリティカルマス(最小必要人数)をいち早く超過することが最初の重要な問題になってくる。
生産者を先に増やすのか、消費者を先に増やすのか?

一度、クリティカルマスを超えれば、プラットフォームビジネスの潜在的スケールは非常に大きい。
なぜなら、クリティカルマスに到達すれば、供給側が費用の制約を受けなくなるから。
よって、プラットフォーム企業が成功する最初の課題は、生産者と消費者の双方を増やすことにある。

【2-12】プラットフォームビジネスの構築の2番目の問題は、流動性をどうやって確保するか?
つまり、プラットフォーム内の生産者と消費者の人数が十分に増えたら、彼らの取引量をいかに増やすか?

需要を満たせる十分な供給があり、ほとんどの取引がすぐに成立する市場(プラットフォーム)は、流動性があるとみなされる。
流動性、つまり取引量が増えれば、ネットワーク効果を大きくさせられる。

流動性がないと、需要と供給はアンバランスになりがち。
需要がたくさんあるのに、供給が少なければ、価格が高騰し、消費者は不便になる。
一方、供給がたくさんあるのに、需要が少なければ、価格は暴落し、生産者が不幸になる。

金融市場における流動性の確保は、各国の中央銀行の使命。
一方、プラットフォーム企業では、自社のプラットフォームの流動性の確保が使命になる。

【2-13】プラットフォームの流動性の確保のためのアルゴリズムは、マッチメーキングそのもの。
たとえば、ウーバーなら、ドライバーと利用客のマッチメーキングは、巡回セールスマン問題と同じ。
Amazonなら、消費者と出店者のマッチメーキングは、協調フィルタリングによる関連購買と同じ。

つまり、流動性を確保するために、システムが自動的にユーザ同士のマッチメーキングを行い、取引を円滑にさせる。
すなわち、プラットフォーム内の需要と供給の均衡は、取引トランザクションから得られたビッグデータの解析を元に、巡回セールスマン問題や協調フィルタリングなどのアルゴリズムで解決させる。

但し、ウーバーは、ピーク料金で需要と供給の均衡を取っている。
つまり、利用者の需要が高まると運賃を上昇させて、少ないドライバーの供給とバランスを取る政策を実行している。
なぜなら、ウーバーではドライバーと乗客の比率は1対10なので、需要と供給のバランスは元々悪い。

よって、プラットフォーム企業は、消費者よりも生産者(ウーバーならドライバー)の獲得に相当な力を入れている。
そのやり方は、法を犯す手前の危ない手法に近い時もあるらしい。
つまり、ウーバーのようなプラットフォーム企業は、流動性の確保が何よりも重要である、と理解していることを意味している。
GAFA、BATも同様で、たとえば、AppleはiOSプラットフォーム上のアプリ開発者を増やすために、SDKを提供し、AppleStoreで販売できるようにした。

そう言えば、「データ分析の力」にも、ウーバーが持つビッグデータを元に、タクシー利用者の需要曲線をリアルに作成した事例があったけれど、そういうタクシー利用者の需要曲線がなぜ必要なのか、は、まさに需要と供給のマッチメーキングの問題解決のために使うからだろう。

【2-14】流動性確保の問題は、経済学の調整問題と同じ。
つまり、需要と供給の均衡をいかに効率的に行うか?

従来の経済学では、市場経済の価格システムが、需要と供給を均衡させる。
その調整が失敗したら、市場経済は効率的な取引が行えなくなり、自壊する。
昔の大恐慌がそれかな。

現代は、プラットフォーム企業自身が、需要と供給の均衡をソフトウェアとアルゴリズムによって、自動調整させている。

従来の市場経済における調整は「神の手」が行う。
現代のプラットフォームでは、ソフトウェアとアルゴリズム、人工知能がその調整問題を解決するように代替している。

【2-15】プラットフォームビジネスの構築の3番目の問題は、流動性の質をいかに維持するか。
つまり、プラットフォーム内で、消費者と生産者の間で、最善な行動(取引)を促す政策(ポリシー)を作ったり、最悪の行動(騙すとか)をさせない政策を行うことだ。

具体的には、消費者と生産者の双方に取引のメリットが得られるように、コミュニティ統治をプラットフォーム企業自らが行う。
そのために、プラットフォーム企業は、消費者と生産者の双方に、最善な行動を促すために、色んな形のインセンティブを付与するし、最悪の行動をさせないために、逆インセンティブを与える。
つまり、特定の行動を促すための経済的インセンティブという飴を付与したり、好ましくない行動を控えさせるように逆インセンティブという罰を与える。

たとえば、AmazonやYoutubeのユーザ評価システム。
消費者が生産者にだまされないようにする。
他方、生産者は消費者から確実に売上を確保できるようにする。
Facebookのザッカーバーグ氏も、コミュニティ統治やポリシー策定を相当考えているらしい。

よって、プラットフォーム設計は、従来の工業的な生産工程の設計ではなく、社会学や行動経済学に基づく人々の行動設計を行なっているのと同じ。
つまり、プラットフォームビジネスでは、コミュニティ統治が重要であり、それを行うには、生産管理手法ではなく、人間や社会の行動の原理原則を研究している学問、たとえば、行動経済学が重要である、という事実を示唆しているのだろう。

実際、人にどんな経済的インセンティブを付与すれば、最善な行動を促すことができるか?
人にどんな規制や法律、罰則を付与すれば、最悪な行動を避けるように促すことができるか?
という問題への解決は、行動経済学がまさにピッタリだ。

生産者や消費者のプラットフォームへの参加を動機づけるような政策を行う事、それがインセンティブになる。
『プラットフォーム革命』では「ユーザグループへの参加を促す補助」と呼んでいるが、それと同じ。
その補助には、金銭、機能、ユーザの優先順位付け、がある。

【2-16】プラットフォームの成長、つまりネットワークの成長には、経路依存性がある。
すなわち、初期ユーザのプラットフォームにおける使い方、そこからの歴史が重要。

他のSNSとの競争を経て、FacebookがSNSの勝者になったのは、質の高いユーザを初期に集めて、その信用を維持してきたから。
Facebookは、現実の人間関係の地図をネット上に実現するという目的のもと、ユーザは実名で人間関係を構築する政策をずっと維持し続けてきた。
そういう歴史と信用があったから、Facebookが勝ち抜いてきた。

【2-17】ネットワーク経済のはしご

ネットワーク効果を生むには、5つの段階がある。

コネクション
コミュニティ内で起こる相互作用の理論価値
つまり、生産者と消費者の最初の接触

コミュニケーション
プラットフォーム上のユーザ間で実際に相互作用が起きる
つまり、生産者と消費者の間の取引
流動性の開始

キュレーション
プラットフォーム場の情報をまとめて整理する
つまり、初対面の生産者や消費者のための、ルールの告知
流動性を増やす

コラボレーション
参加者は互いに与えるために協力する
つまり、流動性の質を参加者自身が維持する

コミュニティ
このエコシステムにおける行動を統治する規範を作り、執行する
つまり、流動性の質を、プラットフォームの参加者達、そしてプラットフォーム企業が規範を定め維持する

【2-18】スーパープラットフォーム

プラットフォームの中のプラットフォームは存在するのか?
プラットフォーム企業が独占企業ならば、それら独占企業が集まる業界では、さらに独占への競争が激化し、最終的には唯一のプラットフォームが全てを支配するのではないか?

たとえば、中国のウィーチャットは、ある意味で最強のプラットフォーム。
あらゆるプラットフォームを制するプラットフォーム。
メッセージング以外に幅広いプラットフォームやサービスのエコシステムをサポートしているから。

ウィーチャットの成功を受けて、一部の専門家や起業家は、オンデマンド経済では、APIによって唯一のスーパープラットフォームに統合される、という考え方を提示した。

しかし、米国では、GAFA以外にも数多くのプラットフォーム企業がひしめいていて、スーパープラットフォームは生まれていない。
競争関係にあるプラットフォームが、従順な姿勢を示すことは考えられないから。

むしろ、今後の流れで最も実現性が高いのは、各プラットフォームのエコシステムの多角化、つまり、プラットフォームのコングロマリット版だろう。

【2-19】プラットフォームは法規制と軋轢が多い

プラットフォーム企業には華やかでプラス面が多いように見えるが、最大のリスクは現行の法令との衝突だろう。
現在の法体系は、20世紀の直線的なビジネスモデル、つまり大規模な製造業を主体とした市場経済を前提としているため、プラットフォームのビジネスモデルと合わない。
よって、業界初の本格的プラットフォームは、法的なグレーエリアで活動する事が多く、法的な問題になりやすい。

たとえば、Youtubeは著作権侵害。
ウーバーは、ドライバーを社内労働者ではなく請負契約業者とみなすので、ドライバーの保険や年金制度などの法的地位を意図的に無視している。
エアビーアンドビーは、宿泊規制や安全基準を適用しているか否か分かりにくく、グレーなゾーンで取引している。
イーベイなど、数多くのネット販売業者は、クーリングオフや不正取引の責任について、消費者から訴えられた。
ペイパルは、商業銀行と同じ機能と見なされ、金融規制が必要ではないか、と訴えられた。

Facebookも個人情報の取扱に疑念がある。
EUのGPDRもそういう背景から生まれたのだろう。

一般的に、プラットフォームのビジネスモデルは、スケールしやすいという大きな利点がある反面、深刻な法規制上のリスクを抱えている。
つまり、多くのプラットフォームビジネスは規制についての先物買い。
法廷闘争に負ければ、ウーバーもエアビーアンドビーも、その企業価値はすぐに失われる。

むしろ、プラットフォームビジネスに合うような法体系も必要ではないか、とも思う。

【2-20】プラットフォームビジネスの機会の探し方は主に3つある。

取引コストが高く、高コストを生むボトルネックがある業界。
たとえば、ウーバーが、ドライバーと乗客を結びつけたプラットフォーム。

未活用の資源やアナログのネットワークが既にある業界。
たとえば、Facebookは、ハーバード大学がいつまで経ってもアナログの学生名簿を作らなかったことがきっかけだった。つまり、現実の人間関係の地図をFacebook上の友達関係という関係マップにマッピングさせたこと。
エアビーアンドビーは、使っていない家やアパート、ソファーでさえ貸出しさせることで、供給者と利用者の双方に価値をもたらした。
アップルのiOSプラットフォームでは、アプリ開発者と消費者を結びつけるネットワーク環境を構築し、開発者にSDKを提供することで、アプリ開発者と消費者の双方に価値をもたらした。

大規模で分散した資源がある業界。
たとえば、中国のアリババは、中国の無数の中小製造業が大手商社につながる流通経路を持っていない現状に対し、デジタル経済のプラットフォームを提供することで、中国の巨大な、しかしバラバラな小企業市場を統合し、中国のeコマースを育てた。
その規模は、米国のプラットフォーム企業と引けを取らないし、今後の成長を考えると、米国よりも巨大になるだろう。

【3】『プラットフォーム革命』を読んだ後で、日本のプラットフォーム企業の現状を考えてみる。

楽天はたぶん、日本最大のプラットフォーム企業なのだろう。
その本質は、ショッピングモールのWeb版。
楽天市場を核として、数多くのWebサービスを展開して、多角化を図っている。

最近なら、メルカリもプラットフォーム企業を目指しているように思える。
楽天がBtoBなら、メルカリはCtoC。
楽天もメルカリも、クーリングオフや不正取引、個人情報保護など、数多くの法規制の疑いがかけられ、そのたびに解決して成長してきている。

とは言え、日本最大の企業であるトヨタにかなわないので、日本のプラットフォーム企業はまだ成長の余地があるのだろう。

【4】この本は、経済学の概念を用いて、従来のメーカーとプラットフォーム企業の違いを鮮やかに説明している点が素晴らしい。
大規模な独占的な製造業でも、独占的なプラットフォーム企業でも、経済学の論理がその市場や業界の制約の配下にあり、その制約の配下で収益の高い企業行動へ最適化した結果、現在の独占的な結果になっている。

従来と現代のプラットフォーム企業における経済学の原理原則の違いは、規模の経済や価値連鎖によるコスト削減効果ではなく、ネットワーク効果による売上の指数関数的効果。

また、従来と現代のプラットフォーム企業における品質管理手法の違いは、生産工程の生産管理の効率化ではなく、流動性の確保と流動性の質の維持。

さらに、従来と現代のプラットフォーム企業における使用する専門知識の違いは、JIT等に代表される統計的品質管理ではなく、人々を最善の行動へ促すためにインセンティブを付与するなどのコミュニティ統治という行動経済学。

【追記】
下記の記事の内容も秀逸。

Modern Monopolies a Review – Sam – Medium

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2018/11/18

IOT時代の製造業の戦略と変化についてポーターの考え方

IoTの衝撃―――競合が変わる、ビジネスモデルが変わる (Harvard Business Review)」の感想をメモ。
浅はかな理解で、ラフなメモ書き。

【1】読んだ感想
ポーターが書いた第2章・第3章の内容が秀逸と思う。
「製造業は全てソフトウェア企業に変わる」というGEトップの主張の理由がよく分かる。
IoTによる、外部環境の側面と内部環境、そして組織構造への影響の話が非常に面白い、と思った。

IOTのバズワードがなぜ、これだけ広まっているのか、その理由が何となく分かった気がした。

自分のメモと自分の考えを適当に書いておく。

【2】IOT時代の競争戦略

【2-1】スマート製品の特徴:
データ収集・分析・活用

モニタリング(例:アクセスログから挙動不審を検知)
→制御(例:オートホームメーション)
→最適化(例:予防保全)
→自律性(例:RPA)

【2-2】5フォースの観点:
・買い手の脅威:
例:製品故障の予防データの提供で、メーカーの方が買い手よりも強くなる

・同業他社の脅威:
スマート製品によるデータ収集・分析・活用で、差別化できる
一方、製品へソフトウェアの組込み、クラウド基盤の構築・運用など、固定費が増加する

・新規参入の脅威:
スマート製品とデータ収集・活用基盤のプラットフォーム化で、参入障壁を高められる
一方、GAFAなどの巨大IT企業が参入してくる

・代替品の脅威:
製品のサービス化の進展により、ハード製品の重要性が下がる
例:ホームオートメーションにより、エアコン・家電製品・住宅等のメーカーが参入してくる

さらには、製品の共有サービスへ発展する
最近のライドシェア、ホームシェア、自転車のシェアサービスなど

・供給者の脅威:
ハードウェア業者よりもソフトウェア業者の方が強くなる
ソフトウェアで製品の機能が代替されて、物理的部品が減少する
巨大IT企業が組込みソフトウェア、クラウド基盤、データ収集基盤を使ってくるので、脅威が強くなる

(メモ)むしろ、メーカーは、巨大IT企業からのハードウェア製品のOEM委託の立場に追いやられるのでは?

【2-3】ポーターの考えでは、競争優位の源泉は、コスト削減か差別化の2つしか無い
どちらを採用する?

【2-4】スマート製品の機能:
例:給湯器メーカーのIOT基盤によるデータ収集・活用事業では、個人向けよりも法人向けサービスの方が需要が多く、重要
 機能追加でコスト削減でき、どんどんコストが低減していく

【2-5】製品開発とクラウド基盤構築の配分
クラウドへ機能・データ・UIなどを置く方向へ進化している
そうすれば、頻繁なVerUpがやりやすいので、顧客価値も上がる
その分、ハードウェア製品の重要性は下がる

【2-6】システムのオープン化
他社製品の提供を許し、逆に参入を促す戦略もあれば、
自社製品を他者のプラットフォームに組み込んでもらう戦略もある

【2-7】内製・外部委託の是非
内製化で先行者利益を獲得できる
内製化で自社に知見を蓄積できる
外部委託は、自社製品の差別化をなくすリスクもある

【2-8】データ確保・分析
製品へセンサー装置とソフトウェアを埋め込むため、コストは増える
性能維持・料金回収の目的なら、即効性のあるデータが必要
プラットフォーム化ならば、広範なデータが必要

【2-9】製品データの使用権とアクセス権
鍵は、データの帰属先
データの所有権は、メーカー? 使用者? サプライヤ? それとも、関係者が共有?
完全な帰属権、NDA保持、利用権、共有権、販売権など

最近は顧客がデータ共有に強い意欲を持つケースがある
例えば、顧客が自信のフィットネス情報をSNS共有
むしろ、メーカーがデータの活用方法を価値提案して、差別化していく戦略もある

データの利用許諾について、クリックスルー形式の規約承認が多い
初回使用時にデータ収集の同意を使用者から得る
しかし、法制度が追いついていない

【2-10】流通チャネル
従来の自動車業界では、代理店を通じた販売が多いので、メーカーは顧客と直接の接点はなかった
しかし、IOTでデータ収集により、顧客と接点を持てる
例えば、テスラは直販により、顧客から直接、データ収集して、顧客のフィードバックを得られる

テスラの場合、
顧客からデータ収集
→顧客関係性の強化
→収益向上
→ブランド認知の向上
→顧客満足へ貢献

但し、顧客との物理的距離に依存するので、制約条件はある
例:配送、物流、販売、在庫

【2-11】ビジネスモデルの手直し
従来は、製品売り切り型
販売後に、所有権を使用者へ移転した

一方、製品のサービス化で、所有権はメーカーが持ち、使用料を継続徴収というビジネスもあり
しかし、ジレンマは、消耗品販売・サポート保守ビジネスで既に稼いでいる企業は、IOTのメリットがない

製品の共有サービスまで発展している
例:ライドシェア・サービス

【2-12】製品データを第三者へ販売
他者には価値あるデータ
例:車両、交通インフラ

(メモ)そういえば、JR東日本の事例もあったね

しかし、プライバシーのリスクあり

【2-13】事業範囲の拡大

関連製品の多角化
製品設計よりシステムエンジニアの方が重要
ハード設計より、組み込みソフトウェアやクラウド基盤の構築の方が重要

ソフトウェアを含むプラットフォーム化
自社製品は変えず、他者も自由に接続できるようにする

製品の最適化に進むのか、製品以外の最適化を進めるのか?

【3】IOT時代の製造業

【3-1】IOTによって、バリューチェーン上の活動は、スマート製品の影響を受けるだろう
真因は、データ資源にある

従来は、部門同士の情報連携に過ぎなかった
一方、IOT時代は、製品自体がデータ資源になる
例:サービス履歴、在庫、稼働率、物流、修理保守の予防、顧客データなどが全て収集できる

【3-2】製品開発部門
ハードウェア製品の研究開発を担当
しかし、ソフトウェア開発が主体になる
製品の内蔵ソフトウェアよりも、クラウド基盤上にソフトウェアがたくさんある

製品の可変性はソフトウェアが担うようになる
部品削減によるコスト削減、VerUpのし易さ、出荷後も新機能をリリース可能になる

品質管理が強化される
アクセスログから、事故の状況を再現しやすくなる
例:テスラのバッテリ発火事故から、自己の状況を再現させて、品質管理を強化したソフトウェアを全製品へリリースした

新規ビジネスモデルを支援する
製品のサービス化、利用状況データ収集による課金サービスなど

【3-3】製造・物流部門
機械や生産工程の稼働率向上
在庫削減

【3-4】マーケティングと販売部門
顧客のセグメントを精緻化できる
製品を通じて、顧客と対話できるようになる
利用時間に応じたサービス事業へ発展する
長期にわたって、顧客を支援する

【3-5】アフターサービス部門
耐用期間の長い製品メーカーはとても重要

遠隔サービスの実現
保守のワンストップサービス
事前に診断し、修理回数を減らせる

予防サービスを強化
AR機能を使って、サービス担当者が遠隔サービスで修理する
(メモ)ARはゲーム業界の技術の一つと思っていたが、メーカーにとっては重要な技術要素の一つなわけだ

しかし、データ維持のセキュリティはまだ問題がある
DoS攻撃を受けやすい
組込みソフトウェアの脆弱性が大きい

【3-6】メーカーの組織形態へ影響

「メーカーは全てソフトウェア企業になる」主張とは、ソフトウェアが製品の根幹をなす、ということ
メーカーは、今後、ソフトウェア企業以上の変化を受けるだろう
なぜなら、メーカーは、既に沢山のバリューチェーンを持ち、既存の部門が多いので、影響を受けやすいし、変化を受け入れざるを得ない

従来のメーカーは、職能別組織が多い
バリューチェーンの単位で、R&D部門、製造部門、生産管理部門、販売部門、保守サービス部門、IT部門などに分かれていた
それらの部署は自律性が高い

しかし、設計・オペレーション・販売・サービス・IT部門同士の役割が重複してきた
理由は、製品のサービス化により、顧客関係性をより重視するし、クラウド基盤上でデータをやり取りするから

すると、新旧組織の併存となり、組織構造が複雑化してきている

【3-7】メーカーの組織構造への重要な変化とは
4つの変化が見られる

IT部門とR&D部門の協働・連携
統合データ部門の新設
開発運用部門(DevOps)の新設
顧客成功管理部門の新設

【3-8】IT部門とR&D部門の協働・連携

従来のIT部門は、社内インフラ、CAD、ERP、CRMなどの管理と運用がメイン
しかし、製品・他部門スタッフもIT化が必要
すると、誰がその役割、責任を持つのか?
ITのスキルを持つIT部門しか担えないでしょう

一方、R&D部門はハードの開発が専門で、製品へのソフトウェア埋め込みにも関わる
しかし、クラウド基盤のサービス運用のスキルまではない
製品の定期的なVerUpや頻繁なリリースが必要になるので、R&D部門では対処しきれない

そういう変化があるので、最近は、IT部門とR&D部門の区別がなくなってきている
つまり、マトリクス組織になっている
IT部門の人は、R&D部門にも所属し、クラウド基盤の運用にも携わる
逆も然り

【3-9】統合データ部門の新設

データ専門の部署
CDO(データ部門の最高責任者)を設ける

データ管理、データのセキュリティ維持等に関わる
データ資源の戦略的重要さから、専門性を発揮するために新設される
製品データの活用、教育、権利の管理、アクセス監視、データ活用によるマーケティング策定など、仕事は幅広い

【3-10】開発運用部門(DevOps)の新設

従来の製品開発部(Devs)のIT技術者と製品保守・サービス部のスタッフが結集して、開発運用部門(DevOps)が新設される場合が多い
IT企業のDevOpsのメーカー版
但し、IT企業のDevOpsよりも、活動範囲は広い

製品提供のライフサイクルを一元管理している
クラウド基盤上へリリースして、不具合修正の頻繁な更新とか

【3-11】顧客成功管理部門の新設

顧客経験を管理する、というソフトウェア企業の機能をメーカーに置き換えた
従来の販売・サービス部門が行わない業務、インセンティブ外の業務を担当する
例:コールセンターへの顧客クレームの前に、顧客のログから検知し、事前に予防する、など

【3-12】しかし、セキュリティ管理部門はない
今は方針が定まっていない
ソフトウェアはIT部門、ハードウェアはR&D部門や開発運用部門が担当している

【4】個人的な感想としては、メーカーは大変だな、と思う。

メーカーは従来のビジネスのやり方、従来の部門があるために、ソフトウェアを重視した組織構造や組織文化と併存せざるを得ず、混乱するのではないか。
ソフトウェアを重視した組織構造や組織文化では、アジャイル開発のベストプラクティスをベースに置くために、従業員の自由度が高く、勤務体系や報酬制度もかなり違ってくる。
ハードの文化とソフトの文化は水と油と思う。
結局は、別会社にするとか、別事業部にするだろうが、連携が大変そう。

メーカーにおける開発運用部門(DevOps)という発想は面白いと思った。
結局、製造業でもDevOpsという発想が必要になってくるわけだ。
しかし、その範囲はソフトウェア開発・運用だけでなく、ハードウェアの企画開発・保守サービスも含んでくるので、より複雑になっているのだろう。
ハードとソフトの両方の知識と経験がなければ、相当難しいのではないか。

統合データ部門という発想も面白い。
アリババの馬CEOは「データはビジネスの副産物として採取される」と言ったが、メーカーにとって、製品がデータ資源そのものになる。
すると、大量のデータをいかに活用するか、ということが重要になってくる。

その時の留意点の一つは、データの権利関係だろう。
個人情報が含まれるために、そのデータの所有権、利用権、販売権の管理は慎重にならざるを得ない。
一方、データを上手く活用できれば、新たなビジネスモデルを構築できる。

そういう一連の戦略を策定し、実際のデータ収集・活用を管理する部門を設置することで、専門性を発揮させるわけだ。
昨今、データサイエンティストというバズワードが流行しているのは、そういう背景があるからなのだろう。

では、メーカーは、製品のIOT化によって、自社でプラットフォーム化できるか?
メーカーが自社のプラットフォーム基盤を構築するあるべき姿は、アップルのビジネスモデルになるのだろう。
しかし、純粋なメーカーが高度なソフトウェア開発力を持てるようになるのは難しいだろう。

個人的な感想では、たぶん、メーカー自身では無理と思う。
自社にソフトウェア開発の組織文化がないので、外部のソフトウェア企業の力を借りるしかないと思う。
つまり、ソフトウェアの内製化は結構ハードルが高いのではないか。

すると、大手IT企業のプラットフォーム基盤上で、メーカーは彼らのハードウェアOEM生産という委託の立場に追いやられるのではないか。
アップルのように、自社で製品の企画、ソフトウェア開発は行い、ハード生産は外注委託する分業スタイルに落ち着けば、メーカー自身の強みであるハード製造の部分を捨てざるを得ないから。

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2018/11/16

ポーターの競争戦略の考え方

ポーターの競争戦略の考え方がようやく分かったのでメモしておく。
自分だけのメモ書き。

【参考】
外部環境分析:ポーターのファイブ・フォース分析から考える | 経営戦略を読み解く?実務と理論の狭間から?|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー 1ページ

外部環境分析:ポーターのファイブ・フォース分析から考える | 経営戦略を読み解く?実務と理論の狭間から?|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー 2ページ

外部環境分析:ポーターのファイブ・フォース分析から考える | 経営戦略を読み解く?実務と理論の狭間から?|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー 3ページ

外部環境分析:ポーターのファイブ・フォース分析から考える | 経営戦略を読み解く?実務と理論の狭間から?|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー 4ページ

外部環境分析:ポーターのファイブ・フォース分析から考える | 経営戦略を読み解く?実務と理論の狭間から?|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー 5ページ

戦略論の復習②…ポジショニングアプローチ | 田舎者の受験日記

【1】ポーターの競争戦略の基本構想はこんな感じ。

経済学の分野の中で、産業組織論がある。
産業組織論では、ある業界(市場)の制約条件が企業行動を制約し、結果として企業の収益率を決定する。
いわゆるSCPモデルでは、売上と収益率の分布図を書くと、V字モデルで表現される。
つまり、高収益企業は、売上は小さいがニッチ市場に特化した中小企業か、売上が大きく規模の経済を活かした大企業のいずれかになる。

V字カーブ

この考え方を逆手に取って、企業は、業界内で収益率の高いポジションへ移動すべき、というポジショニングアプローチを取る。
つまり、ポジショニングアプローチとは、①外部環境を分析して機会のある産業を発見し、②当該産業へ進出して参入障壁を築き持続的競争優位を確立する、という考え方で、産業分析→基本戦略の決定の順に行う。

すると、課題は「収益率の高い産業をどのように発見するのか」になる。

一般的な手順としては、
①PPM分析や5フォース分析を行い、収益率の高い産業を探す
②進出すべき産業が見つかったら、ポーターの基本戦略に基づき、業界のターゲットの幅と競争優位の源泉の2軸による分析で、コストリーダーシップ・差別化・集中戦略のいずれかを採用する
③基本戦略が決まったら、最後にその実施による参入障壁の形成と、持続的競争優位を確立し維持する
④さらに、自社の経営資源をバリューチェーン分析し、強みである経営資源の差別化を図る

価値連鎖(バリュー・チェーン)と活用方法

【2】ポーターの競争戦略で面白い、と思った点は2つ。

一つは、産業組織論という経済学の理論を背景にしているので、実証データがあり、経営学という曖昧な学問にも論理的な枠組みを提供して、思想を整理できること。

もう一つは、「プラットフォーム革命」を読んでみて、ポーターの競争戦略やコースの定理という経済学の基本思想を元にGAFAのような大手プラットフォーム・ビジネスを分析してみると、非常に分かりやすい、と思ったこと。
ゼロ・トゥ・ワン」を読んで、プラットフォーム企業は独占利潤を得るから安定している、みたいな主張がよく分からなかったけれど、「プラットフォーム革命」を読んで何となく分かった気がした。
the four GAFA 四騎士が創り変えた世界」の内容も、ポーターの競争戦略の基本思想「ポジショニング」「バリューチェーン」から考えると分かりやすくなると思う。

経営理論は、経営者という人に依存した理論と思っていたけれど、経済学の発想を適用すれば、政治的力を持つ人の恣意的な意思決定に無関係に決定する内容が多い、ということが分かった。
また、大手プラットフォーム・ビジネスも、従来の製造業の仕組みとは異なるビジネスモデルであったとしても、経済学の理論や制約条件に依存しているし、そこから離れられない。

【3】僕の理解では、プラットフォームビジネスとは、経済学の言う「貿易利益」で儲けている。

そのプラットフォームは、自由競争のない計画経済の基盤から成り立っているので、事実上の独占状態であるから、独占利潤を独り占めできる故に、史上最大の企業価値を持つに至った。

たとえば、GAFAやアリババは、何もない所から貿易利益によって莫大な独占利潤を得ていて、その利潤は、小国のGDPをはるかに凌駕するくらいの価値を生み出す。
しかし、Facebookの影響力が大きすぎるがゆえにトランプ大統領を生み出したように、プラットフォーム企業は民主主義制度を破壊するくらいの政治的影響力を持つという側面も出てきた。
この辺りの理論と現実は、現在進行中みたいな感じなのだろう。

この辺りの理解した内容も後でまとめる。

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2018/10/09

組織文化はトップが作るのか、ボトムアップで作られるのか

僕はアジャイル開発が好きなので、組織文化はメンバーから自然発生的に作られるものと思っていた。
でも、組織論を勉強していたら、そうではないらしい。
今の自分が理解できたこと、考えたことをラフなメモ書き。

【参考】
制度的リーダーシップの考え方が何となくしっくりきた: プログラマの思索

【1】トップがリーダーシップを発揮しすぎている場合、メンバーや社員は言われるがままの存在で自発的になっていない状況が多い。
トップがリーダーシップを発揮せざるを得ない組織文化になっている。
そういう組織文化を作った責任は誰にあるか?

組織文化を生み出す責任は社長にある。
もっと社長が汗をかけ。

従業員の意識変革は、従業員ではできない。
社長が自ら説明し、共通目標を掲げ、貢献意欲を引き出し、コミュニケーションを円滑化させなければ、組織文化は変わらない。

つまり、組織文化はそう簡単に作れないし、変更もできない。
その会社の歴史から生まれた側面の方が大きい。
いわゆる、経路依存性。

組織文化は、今までの会社の経営の中で、こんないいものがあったではないですか、と社長に気づかせる方が大事。

一方、組織構造は思い切って変更できる。
たとえば、会社の特徴として商品企画が弱いなら、思い切って商品企画の部署を作る。

たとえば、生産工程ごとの機能別組織では、市場の変化に即応できないならば、事業部制組織へ思い切って変更してみる、とか。

つまり、組織文化は社長に優しくアドバイスし、組織構造は思い切って変更して下さい、と社長に諫言する。

この発想は、マッキンゼーの7Sフレームワークがよく当てはまると思う。
組織のハード部分は思い切って変革できるが、組織のソフト面は、浸透に時間がかかる。

【2】企業における人事施策は、会社全体の人事施策として策定してはいけない。
従業員層ごとに人事施策を細かく分けて策定する必要がある。

たとえば、正規社員と非正規社員では、人事施策が全く違う。
正規社員には能力向上や人材育成、非正規社員にはすぐに辞めさせないような仕組みとして、衛生要因の対応やモラール向上、人材の確保の観点になる。

たとえば、女性社員と新人社員では、人事施策が全く違う。
新人社員には人材育成の観点で能力開発、女性社員には人材確保のため、時短制度や出産後の仕事復帰の支援制度など衛生要因への対応が重要になる。

あるいは、管理職とヒラ社員でも違う。
管理職には、社長が考える経営戦略を理解してもらい、自分の持ち場で部下にその内容を伝えて共有してもらう、という制度的リーダーシップを発揮する役割がある。

【追記】
門屋浩文@redmineparty🌅さんのツイート: "製品特性で組織体系が変わるから 例えば鉄道会社がボトムアップで文化が作られるのは個別の部分ではあるかもしれないけどトップダウンが多いでしょう 芸術系ならトップダウンは絶対ないでしょう… "

akipiiさんのツイート: "芸術系でもソフトウェアベンチャー企業でも、社長が、社員個人が自由に能力を発揮できるような環境(ファシリティ)を作っているから、とか、自由にコミュニケーションを取っていいよ、と言う組織文化を許しているからでは? 組織文化は社長が作っている、という気が最近してます。… https://t.co/3qSXWFqhMO"

門屋浩文@redmineparty🌅さんのツイート: "なるほど、そうかもしれない 理解があるから環境、文化を作るような… "

akipiiさんのツイート: "川端さんの会社や倉貫さんの会社を見てると、社長がソフトウェア企業に合った組織文化を知っていて、あえてそういう組織文化を作り出してる気がしました。それを知らない社長はたぶんソフトウェア開発に向いた組織文化も組織形態も理解できてないのかなと… "

やっさん🍶さんのツイート: "私もそう思います。ボトムアップな組織は、トップが権限を移譲させてボトムでも意思決定出来るように、ボトムを信頼出来る文化がもともとあるような、初期の段階からトップが文化を形成してそれを「貫き通した結果」だと思います。 また、ボトム→トップへの移行は簡単に出来るけど、(続く)… https://t.co/xzGUYkgqum"

やっさん🍶さんのツイート: "トップ→ボトムへの移行は、ボトムからは起こすのはとてつもなく難しいと思います(&痛感してます。多分無理。) ボトム→トップを気づかせるのは、もともとボトムが出来てる文化じゃないと実行までは行かないかなぁと思います。自分の持ってる既得権益を手放せなんてトップ思考では出来るのかなと。… https://t.co/21O1quS1Xp"

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2018/04/28

技術革新とエンジニアのキャリア形成にオープンソースコミュニティの存在が重要性を増している

Publickey主宰者のインタビュー記事を読んで、気付いたことをメモ。
ラフなメモ書き。

【参考】
Publickey主宰者・新野淳一氏に聞く、エンジニアのキャリア・スキルの磨き方、「稼ぐ力」の付け方 - GeekOut

【1】Publickey主宰者のインタビュー記事を読んで、印象に残った点は2つある。
一つは、クラウドとオープンソースにより技術革新の場がベンダからオープンソースのコミュニティへ移ったこと。
もう一つは、エンジニアのキャリア形成に、オープンソース活動やコミュニティ活動による貢献が重要性を増していること。

【2】現在では、技術革新の場はベンダーから発信されるよりも、オープンソースのコミュニティを中心に発信させる場合の方が多い。
たぶん、その事実もかなり知られている。

(引用開始)
取材するスタイルも昔とはずいぶん変わりました。かつてはベンダが一番情報を持っていたので、発表会に出席して、新製品や技術のことを取材していましたが、いまのメインストリームは明らかにコミュニティです。僕もオープンソースのコミュニティの情報や、フォローしているオープンソースエンジニアのTwitterを見て、業界動向をウォッチしています。
(引用終了)

上記の記事のように、一昔前は、IBMやMSなどの大企業の技術動向をウォッチするために、大企業のイベントに出向いて、情報収集するのが普通だった。
でも、今では、LinuxやRuby、Python、Wordpress、LibreOfficeなど数多くのオープンソースが市場を支配して影響を与えている。
これらオープンソースコミュニティに出向いて、優れたコミッタやそのリーダーをウォッチしたり、直接話したりする方が、情報収集が速い。

この変化によって、大企業よりも、優れた中小ベンチャーやコミッタの方がIT業界において、政治的影響力を増している、という事実が挙げられるだろう。
たとえば、UberやAirbnbなどのシェアリングサービスも一気に普及し、昨今のAIブームに乗って大きく成長している。

つまり、オープンソースを中心としたコミュニティが技術革新と新しいビジネスの創出を生み出している。
その変化にエンジニアも付いていかないといけない。

【3】すると、エンジニアのキャリア形成に、オープンソース活動が大きな影響を与えてきている。

【3-1】エンジニアがスキルを向上させるために、オープンソース活動に積極的に関わり、貢献することで、周囲に彼のスキルを認めてもらい、彼自身の価値を上げていく、という成長のらせん構造が生まれている。

(引用開始)
 そうすると、エンジニアの働き方やキャリアも変わります。それまでは、最新技術はほとんどベンダに集まっており、ベンダの技術に詳しい人が求められてきました。しかし、オープンソースという新しい価値観が生まれることで、コミュニティへの貢献がキャリアに好影響を及ぼし、スキルアップにつながるようになりました。そういう新たなエンジニアのヒーロー像が生まれたのです。

 あとは、やっぱりクラウドですね。クラウドの最大の特徴は、一言では表現できないジャンルの広さです。その分、クラウドを活用することは非常に難しくなっている。社内で学べる範囲を超えているんですね。あらゆるレイヤーに精通する必要がありますし、オープンソースやベンダの技術も追っていかなければなりません。技術だけではなく、仕事や業務についても勉強する必要があります。そういう包括的な知識は、単に仕事をこなすだけではなかなか学べないのです。会社の枠を超えて物事を学ぶ姿勢を保ち続けないと、クラウドをキャッチアップできないと思います。

 クラウドとオープンソースが出てきたおかげで、会社の中でキャリアを考える時代から、会社を超えて自分のスキルやキャリアを考える時代へと変化しました。そうでないと、エンジニアは自分のキャリア人生を生き抜けなくなってきています。Linuxが出てきた頃からそういう雰囲気はありましたが、クラウドの登場で、その傾向が一段と鮮明になってきた。僕はそう思っています。
(引用終了)

【3-2】似たような話として、下記の記事もあった。

会津大学で「これからのエンジニア像」についてお話してきました - インフラエンジニアway - Powered by HEARTBEATS

(引用開始)
これからのエンジニア像

この先とか言ってるけど、未来人じゃないから先に事はわからないよ
・なので歴史を踏まえて推測するね

ここ20年を振り返ると、ITは10年でスキルの価値がなくなる業界です
・最先端の貴重なスキル =(10年)=> ふつうのスキル =(10年)=> こどもでもできる

世間的なエンジニアの評価軸が技術領域ベースから価値ベースにシフトしてきたよ
・ネットワークエンジニア => Webサービスエンジニア...

みなさんはきっと75歳くらいまでは働く必要があります
・たぶん私もね

ホワイトカラーは一生勉強し続ける必要があります
・宿命ってやつですね

いまのうちにじっくり基礎から勉強の仕方・活かし方を身に着けておくとよいですよ
・基礎知識と、学びの習慣化をしておこう

とにかくまず学校の勉強をきちんと真面目にやるのが最高
(引用終了)

IT業界にいて、つくづく思うのは、身につけた技術は10年経つと陳腐化してしまい、無意味になってしまう可能性が高い事実だろう。
実際、Cobolやメインフレームでバリバリ、プログラミングして経験を積んで、部課長に成り上がった人達を見ると、彼らの話が既に時代に合わなくなっていることをいつも感じる。
そして、彼らの経験やノウハウが陳腐化されるのと同様に、自分もそうならないか、といつも自問している。

アジャイル開発は常識だ: プログラマの思索

ライフ・シフト」のように、人生100年時代の中で、現代を生きる人は皆、死ぬ直前まで働くことを前提に、一生勉強し続けることを準備しなくてはならないのだろう。

たとえば、昨今は、いわゆる文系の士業は人工知能で代替されるニュースが相次いでいるので、士業の受験者数がかなり減少していて、危機感を持つ人が増えている、という話も聞いた。
いわゆる士業のAI受難だ。
よって、士業だけでなく、普通のホワイトカラーも、価値を生み出さないエンジニアもAIで代替されてしまうリスクがあるのだろう。

AIによる代替可能性90%以上の士業は3つの士業 | 株式会社ネクストフェイズ

では、技術や知識を得たとしてもすぐに陳腐化してしまう時代において、どんな方針で働くべきなのか?

現状では、社内研修やOJTだけでは、エンジニアのキャリア形成は不十分だ。
むしろ、エンジニア自身が積極的に、オープンソース活動に加わった方がいい。

現代では、オープンソースコミュティが技術革新の発信源であるからだ。
だからこそ、オープンソース活動に加われば、自身より優れた開発者と交流することで、やる気も出るし、自身の能力向上にも役立つ。

自分にも銘じておく。

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2017/08/15

制度的リーダーシップの考え方が何となくしっくりきた

エラスティックリーダーシップ ―自己組織化チームの育て方」を読みながら、リーダーシップとは一体何だろう、と疑問に思った。
すっきり腑に落ちなかったけれど、「制度的リーダーシップ」という概念で改めて考えてみたら、自分としては納得できそうだった。
ラフなメモ書き。
間違っていれば後で直す。

【参考】
セルズニックが提唱した制度的リーダーシップの意味が何となくわかった | 日々の練習

戦略論の復習④…SWOT分析と戦略立案プロセスの発展|田舎者の受験日記

制度的リーダーシップ(せいどてきりーだーしっぷ)とは - コトバンク

第11話 企業経営理論④ リーダーシップ論 ~自称週末ファーマーの国家試験受験記~ - 自称週末ファーマーの菜園ブログ

金井 一賴 | ビジネス基礎講座経営組織04

「連結ピン」とは? - 『日本の人事部』

連結ピン(リッカート提唱)とは?マネジメントに必要な連結ピン | BizHint HR(人事の悩みにヒントを届けるニュースサイト)

【1】リーダシップのある人は、外から見るとオーラがある。
その人に皆が付いて行く感じ。
アジャイル界隈なら、平鍋さん。

コミュニティでは、そのオーラは、その人の個性、人格、能力から発生する時が多いと思う。
その人が発する意見、言動から、自然に周囲の人が感化されて、たんぽぽみたいに散らばっていくけど、その種は絶えることはない。
コミュニティでリーダーシップのある人は、影響力という能力を自然に持っている。

一方、企業のような硬い組織でも、リーダーシップらしきものを見かける時がある。

企業は所詮、営利団体なので、売上と利益が全て。
売上と利益を目標にした企業行動があり、その影響を受けて、管理職も社員も追随する。
管理職がそういう話をする時、無茶な売り上げや利益が出るときもあるから、普通は話半分で聞いている人が多いのではないか。
ある組織構造の利益責任を直接負うのは管理職以上であり、社員は単独の案件の管理責任に閉じているから。

すると、企業のような組織ではリーダーシップは見えにくいように思われるが、そうでもない。
特に社長は、自分は将来、こうしたいのだ、と宣言して、実際に行動する。
たとえば、組織構造をいじったり、大きな人事異動をしたり、M&Aをやったり。
その行動を見ると、違った意味でのリーダーシップを見ているような気がしている。

では、何が違うのか?

【2】セルズニックが提唱した制度的リーダーシップの意味が何となくわかった | 日々の練習では、こんなコメントがあって、なるほどと思った。

(引用開始)
「制度的リーダーシップ」は、かねてから意味が飲み込めずに困っていた用語であった。
原価計算論の教科書トレーニングで予算のところを練習していたところ、
予算の計画機能の具体的アクションとしては各管理者の目標を公式化することがある
と書かれてある箇所に、
組織内に制度として組み込む
というメモ書きがあった。
おそらく教科書にある記述を先生が別の表現で説明してくれたのだろう。
制度化とは公式的に組織に組み込む、ということがわかった。
とすると、制度的リーダーシップとは、
リーダーシップという精神、考え方、コンセプト、ぼんやりした抽象的なものを、
見える形でシステムとして組織に取り込むこと
だといえそうだ。
これならしっくりくる。
一応は納得することができた。
(引用終了)

(引用開始)
企業が外部環境の変化に対応するため組織を変更すると(命題:組織は戦略に従う)
組織は内部整合性をとるために新たな価値を注入する必要がある(命題:制度的リーダーシップ)、
といった具合に外部・内部環境を関連させて考慮するようになったのです。
(引用終了)

企業という組織は、売上目標や利益目標が必ずある。
その目標を達成するために、何らかの行動を起こさなくてはならない。

普通は、社長などの経営陣が売上目標や利益目標、経営戦略を立てて、その方針を実行するのが管理職。
すると、管理職は「連結ピン」の役割を担うと同時に、事業部の売上目標・利益目標を実行する具体的な行動をリーダーシップとして制度的に埋め込むわけだ。

つまり、管理職は必然的に、組織からリーダーシップを強制される。
そういうリーダーシップという性質を管理職が持たなければ、社員は影響されないし行動しないから。
それが制度的リーダーシップというものなのだろう。

たとえば、簿記1級の管理会計では、事業部の業績評価と事業部長の業績評価は異なる、という指摘がある。
事業部長が管理可能なコストと、事業部のコストは一致しないから。

事業部長は自身の評価を上げるために、組織の売上目標・利益目標を達成しようとする。
そのために、彼自身はリーダーシップを発揮する必要があり、それは、制度的リーダーシップとして、組織から公式的に与えられたミッション、リーダーシップとして付与されるわけだ。

【2】制度的リーダーシップの概念で、過去に思っていた幾つかの疑問は解けた気がしている。

【2-1】以前、役職が上がる人ほど、実際の言動は厳しくても、言う言葉がすごく綺麗事になっている気がしていて、不思議に思っていた。
そんな綺麗事を言っていても、実際の行動は違うじゃないか、と。

その理由は、社会的地位が高くなるほど、そういう人達は自然に制度的リーダーシップを持つようになるのだろうと推測する。
社会的地位という組織構造が、制度的リーダーシップを個人に強いるわけだ。
リーダーシップを発揮するように、その人個人を変えてしまうこともあるだろう。

「立場が人を作る」という言葉は、役職に就いた人が制度的リーダーシップによって成長した、という道もあることを示唆しているのではないか。

【2-2】制度的リーダーシップは、組織構造から離れると、その人からリーダーシップは消えてしまうのではないか。

なぜなら、事業部長という役職にいるからこそ、そのリーダーシップは発揮されているわけで、役職を外れたら、ただのおじさんに過ぎないから。
制度的に埋め込まれたリーダーシップを外された事業部長が、自身でリーダーシップを発揮できるのだろうか?

会社一筋に生きてきた人が、会社から離れると、すごく影響力がない人に変わってしまう現象があるが、その理由は、そこにあるのだろうと推測する。

【3】では、リーダーシップとは、個人が自然に持つ性質と、組織から公式的に付与されて制度として組み込まれる性質(制度的リーダーシップ)の2種類があるとしたら、その違いの本質は何なのか?

リーダーシップには、個人に由来する性質と制度に由来する性質がある。

制度に由来するリーダーシップは電磁石みたいなもの。
電気があれば、制度的リーダーシップは発揮されるが、電気がなくなると磁力が切れてしまうのと同様に、制度的リーダーシップも消えてしまう。

一方、個人に由来するリーダーシップは天然磁石みたいなもの。
その人個人が自然に持つ影響力(磁力)が自然にリーダーシップに変わる。

そう考えることは出来ないだろうか。

【追記】
門屋 浩文さんのツイート: "@akipii 職務に忠実なリーダーシップは本当のリーダーシップな?と懐疑的です あくまで職務に忠実なだけなのでは? 職務に忠実なのも大事なことですが"

akipiiさんのツイート: "@MadoWindahead そう、本当のリーダーシップなのか、という疑問は同意です。実際の組織の現場では、制度的リーダーシップによってリーダーシップを発揮している管理職の事例はよく見かけませんか? 僕はよく見かけます。"

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2017/01/08

「ワーク・ルールズ」の感想

Googleの人事施策に関する本「ワーク・ルールズ」が面白かったので、感想をメモ。
ラフなメモ書き。
書きなぐりなので論理的整合性は無視。

【1】Googleという世界で一番優れたIT企業の人事施策はすごく興味はある。
博士課程ばかりの出身のプログラマが多くて、大学の研究室のような雰囲気で、仕事はプログラミングに没頭できる環境。
そういう人と環境がいる場所で、業績管理や報酬制度、動機付けはどのようにコントロールされているのか?

Googleが他の企業と比べて面白い点は、自社の人事施策においても、アンケートなどのデータを収集し、検定や相関関係を調べることで因果律を見出し、その結果を次の人事施策に反映して、どんどん改善している点だ。
実際に、本の中にも、報酬の数値、相関関係の数値などもあり、非常に興味がそそられる。

僕が興味を持った部分は第7章の業績評価制度、第8章の能力評価制度、第10章の報酬制度、そして第13章。

特に第13章では、高潔であろうと思われるGoogle社員ですらも、無料カフェテリアが既得権益と見なされて、醜い行動をする社員もいる、という事実をはっきり書いている所は、非常に真摯に感じた。

知的に優れている人であっても、無料カフェテリアが当たり前の権利になってしまうと、食べ物を容器に詰めて持ち帰ったり、土曜日のハイキングのために水のボトルやお菓子を大量にバックパックに詰め込んだりする行動を取る人もいる。
もちろん、その後、社内にその状況がフィードバックされて、問題も解消されたらしいが、そういう話を読んで、逆に、Google社員も人の子なのだ、と改めて、ホッと感じる。

当たり前の権利は、知的に優れている人も慣れてしまって、既得権益となり、逆に発展の阻害要因になる。

【2】業績管理と人材育成は明確に分ける。
業績によって昇進や昇給を提示する時期、その人のスキル向上やOJTなどを計画・評価する時期は明確に分ける。
昇進や昇給を約束する外発的動機を導入すると、学ぶ意志や能力が低下してしまうから。

これは、ハーズバーグの衛生要因・動機づけ要因を思い出させる。

チームには2個の尻尾(テール)がある。
ごく一部の優れた最高の社員であるトップテール、最低の社員であるボトムテール。
人間の能力の分布は、正規分布ではなく、「べき分布」で考えるべきだ。

普通の企業は正規分布を使って社員を管理する。
現実の個人別成績は正規分布とみなす。
すると、ほとんどの社員は平均に分類されてしまう。

しかし、実際は、組織で人が発揮するパフォーマンスは、べき分布になる。
ごく一部の優れた優秀な社員が、圧倒的な業績を上げることで影響力を行使する。

但し、べき分布は、正規分布の一種。
正規分布が古いというわけではない。

【3】プロジェクトにマネージャは必要か?
Googleでは、良いマネージャであっても、技術面に疎すぎる中高年の応募者を落とすことが多かったらしい。

しかし、良いマネージャは重要である、と。
そして、その職務特性は8つあった。
そして、チェックリストを作ったり、育成プログラムを作ったりした、と。

【4】googleで面白いのは、人事施策の良し悪しを自社のアンケート結果を元に統計処理して、その相関関係などを調査分析している点だ。
「世界中の情報を整理する」ミッションを自社の人事施策にも生かしている。

この本に書かれている内容が貴重であると思うのは、まさにその実験データと結果が記載されているからだ。
ここまで赤裸々に書いた本はないはず。

学習する組織、最高の人材を集める、など、それらのやり方を逐一実施した内容を全て統計処理している。
その分析と改善策が面白い。

もちろん、彼らは、統計データがアンケートという質問形式に依存しているために、バイアスがかかっていないか、相当気にして対処している。


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2016/06/21

組織行動で知られている罠

世界で最もイノベーティブな組織の作り方」を読みながら、組織行動で知られている罠についてメモ。
主張は特に無し。

【1】有能性の罠(competency trap)

起業家・経営者ファイトクラブ [まぐまぐ!]

BBIQモーニングビジネススクール

コンピテンシー・トラップとは? : 現場を活かす企業経営

「満足水準を超えた利潤を得て、不満がない状況では、あえて現在よりも優れた戦略や方法を探索する動機づけが失われる」
「当面の事業が成功すればするほど、知の探索をおこたちがりになり、結果として中長期的なイノベーションが停滞するというリスクが企業組織には本質的に内在している」

従来のやり方で成功し続けると、そのやり方に固執して、現在よりも優れた方法を探索しなくなる。
特に、保守的な大企業ほど、創業以来のやり方に固執してしまいがち。

【2】訓練された無能(官僚制の逆機能)

官僚制とは | ビジネススクールならグロービス・マネジメント・スクール

官僚制の意味 - MBA経営辞書 - goo辞書

2/4 官僚制理論と官僚制批判理論その基礎 [社会ニュース] All About

ユニゾンのENSEMBlog : 訓練された無能

「「訓練された無能」とは、あまりに規則などに固執することによって、変化した状況に対応できなくなってしまうことです」
「おかれた状況が変化しているのにもかかわらず、同じ行動パターンを繰り返してしまう 」

保守的な大企業に長くいる人ほど、周囲の環境が変化して以前の常識が通用しなくなっているのに、同じような行動パターンを踏んでいるケースを見かける時がある。

【3】グループシンク(集団浅慮)

集団思考 - Wikipedia

グループ・シンクとは | ビジネススクールならグロービス・マネジメント・スクール

Educate.co.jp | グループシンク(集団浅慮)

なぜこんなに発言しにくい? -集団浅慮 | GLOBIS 知見録 - 読む

「集団の圧力により、その集団で考えていることが適切かどうかの判断能力が損なわれる状況です」
「特に、集団の凝集性が高い場合や、外部と隔絶している場合、支配的なリーダーが存在する場合などに起きやすい」

特に日本人の一部の集団のように、集団の凝集性が高く、個人の異論を受け入れないような集団では、集団での意思決定が個人の意思決定よりも浅はかになってしまうリスクがある。

【4】リスキーシフト(集団極性化)

リスキーシフト - Wikipedia

基礎演習

意思決定の集団極性化の社会心理学|経済界

集団極性化:心理学用語集 サイコタム

集団思考のワナ ー リスキーシフト|レイデル の「心のエラー」と「脳のトラップ」

「組織での意思決定は極端な方向に振れやすい」
「集団極性化現象(グループ・ポーラライゼーション)とも呼ばれる」
「集団浅慮(グループシンク)の結末として、往々にしてリスキーシフトと呼ばれる現象が起こります。これは、グループでの意思決定は、極端な方向に振れやすいという現象です。」
「リスキーシフトは、集団で決めたことが、個人で考えるよりも危険性の高い決定になることをいいます。」

大規模な組織ほど、実は、リスクのある意思決定が行いやすい時がある。
個人の意思決定よりも集団の意思決定の方が極端にぶれやすい。

【5】コーシャスシフト

集団意思決定

集団思考のワナ2 ー コーシャスシフト|レイデル の「心のエラー」と「脳のトラップ」

いじめ、暴行・・・集団心理が危険な結果を招くわけ [ストレス] All About

2/2 「いじめ」にかかわる集団極性化と傍観者効果
 いじめ、暴行・・・集団心理が危険な結果を招くわけ [ストレス] All About

「リスキーシフトとは真逆で、集団の意思決定が保守的で消極的な方向へ向かうものを言います」
「コーシャスシフトは、集団で決めた決定が、個人で決めるよりも、慎重でより安全志向になることをいいます」
「こうした集団心理の特性をよく理解し、小さな事件が大きな問題へとエスカレートする前に、今起こっている現象をよく検討する必要があります」

コンセンサスに重きをおくほど、ラディカルな企画や意見は、角が取れて、最終的な結論は何も言っていないに等しくなる場合がある。

日本の学校にけるいじめは、集団極性化現象そのものと同じだと思う。
個人では良い人なのに、集団になると、排除する力が大きくなりがち。

【6】バイアスの罠

番外その14 「バイアス」の罠~人間の判断にはバイアスがかかっている~

選択バイアスの罠

意思決定のバイアス|おりばーのブログ

「人間の意思決定は気づかないうちにさまざまなバイアスを帯びている」

バイアスの罠を意識しておかないと、他人の意見に左右されやすく、意思決定がぶれやすくなると思う。

【7】我々は、学校、会社、コミュニティという集団に必ず属している。
過去の日本の歴史をたどれば、官僚的な組織になるほど、上記の罠にハマったケースが見受けられるだろう。

また、自分が所属する組織において、「有能性の罠」「訓練された無能」「グループシンク」「リスキーシフト」「コーシャスシフト」の現象なのかな、と思う時もある。
そういう概念を知っているだけでも、落とし穴を避ける事もできるはず。

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2016/04/14

話題の時計「フランク三浦」から考える商標権の考え方

@hatsanhatのつぶやきで知財裁判の事件を知ったのでメモ。

【参考】
話題の時計「フランク三浦」 パロディはどこまで許される? - 弁護士ドットコム

佐野 初夫さんはTwitterを使っています: "フランク三浦(笑) https://t.co/ElgsMGWr5P 欲しいかも Amazonにたくさん売ってます"

商標登録 メッセージサイト - 商標登録に必要な要件

商標権の要件はいくつかある。
すぐに思いつく要件は下記かな。

一つ目は、自他識別能力があるか否か。
「フランク三浦」と「フランク・ミューラー」は発音は紛らわしいけど、日本語にすれば識別できる、と判断したのかな。
この辺りの事例はとても煩雑で、ブランド名の「・」や「/」が空白になるだけで差止請求や損害賠償請求が来る場合もあるみたい。

もう一つは、混同惹起がないか。
「需要者の間に広く認識されている」(つまり周知性)ように、ブランド名が全国的な周知性があれば、問題ない。
例えば、携帯のAUは、短い単語で紛らわしいのに、全国的な周知性があるから認められた。

この考えは、不正競争防止法の周知表示混同惹起行為、著名表示冒用行為、商品形態模倣行為の要件にもつながる。

他には、先使用権が認められるか。
その場合、都道府県レベルまたは全国レベルで周知性がなければ、認められない。
逆に、それだけ広い範囲で既に知名度があるならば、同じブランド名だが先に使っているということで、保護される。

商標権や著作権で最近話題になったのは、東京五輪のエンブレムの件だろうか。
最近は、特許や商標だけでなく、著作人格権(同一性保持権とか)・著作隣接権(複製権・演奏権とか)などの知的財産権の知識を知っておかないと、第三者から訴えられる時があるので、注意すべきかもしれない。

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組織成長モデル「グライナー・モデル」のメモ

組織成長モデル「グライナー・モデル」のリンクをメモ。

【参考】
ビジネスの世界、いろいろ(6) “利益の追求って、組織のルールって?(6)”

マネジメント・キャリア・人事 ~ブログJ-center~ 組織成長の5段階(グライナーモデル)

MBA流 大人の学ぶ力 |【組織の法則】プロローグ:ハッピーな組織を作るための必須知識 グレイナーの5段階企業成長モデル

グレイナーの企業成長モデル - すべてが学びと思えたら

製品ライフサイクルと同じように、組織成長にもライフサイクルがあるらしい。
「グレイナーの企業成長モデル」と呼ぶらしい。
グレイナーの企業成長モデル - すべてが学びと思えたらがの記事分かりやすい。

(引用開始)
ベンチャー企業の授業で、グレイナーの企業成長モデルの説明がありました。
1972年にハーバード・ビジネス・レヴューに掲載された理論です。
グレイナー教授は日本ではあまり知られていないようですが、この論文の引用は経営学の大御所であるドラッガーと並んでとても多いそうです。

最初、授業で説明を受けた時は、理解ができなかったこともあって、いまひとつピンと来ませんでした。
しかし、後で、テキストを復習したり、書籍や文献に当たっていくにつれて、非常によく考えられていて、納得感のある理論だということを感じることになりました。

グレイナーの企業成長モデルを簡単に説明すると、
・ 企業は5つの顕著な発展段階を経て成長する。
・ 組織は危機を乗り切るために、一定の変革と革命を行わなければならない。
・ 危機を乗り越えて新たな成長段階へと進む。
というものです。さらに5つの発展段階をくわしく説明すると、
・ 発展段階には成長するためのモデルがある。
・ 同時に、危機も発生する。危機を乗り越えるモデルがある。
としています。
(引用終了)

僕が理解した内容は次になる。
数人で立ち上げたベンチャー企業があったとしよう。
最初は、製品ライフサイクルの「死の谷」「ダーウィンの海」で試練が訪れる。
アイデアだけでは製品を安定して大量生産できないし、会社内部の組織化が必要になってくる。

次に、会社の組織化として、普通は機能別組織にして、業務が専門化されて回り出す。
すると、蛸壺のような組織構造になってしまうために、もっと権限をくれ、と現場が不満を持ち、自主性を促さざるを得なくなる。
つまり、事業部組織は、会社の規模が大きくなると必要になるわけだ。

さらに、事業別組織で各事業部に権限を移譲すると、自由にビジネスを始めるようになり、統制が取れない。
そこで業績連動させる仕組みを取り入れて、事業部に制約を課す。
すると、各事業部は目先の売上や利益に局所最適化された行動を取るようになり、イノベーションある行動を取りにくくなり、業績重視の行動が社会的な悪影響を及ぼす。
まるで、最近の日本企業の不祥事を連想させる。

最後に、事業部別組織(または社内カンパニー制)に対し、全社の調整機能が上手く統制されると、部分最適の組織は全体最適の方向へ動き出す。
しかし、全社の調整機能は形式的な官僚主義になりがちで、ミンツバーグの「機械的官僚制」という症状に陥る。
「機械的官僚制」は標準化された業務、大量生産の組織に向くが、大企業病に陥りがち。
まるで、公務員組織や老舗の大企業を連想させる。

組織は常に、その成長に応じて、乗り越えるべき段階がある。
例えば、ある程度大きな組織になると、組織慣性が大きく、経営トップでさえ組織の方針変更が難しくなる。
そうなると、組織変革の動きを起こすために、組織内の優秀なリーダーを選んだチェンジリーダーを組織横断で作り、エバンジェリストとして組織をかき回す、みたいな対策を取る時もある。
この動きも、グレイナーの企業成長モデルで当てはめることもできるだろう。

ベンチャー企業の経営者は、このような組織成長モデルを知っておくと、自分たちが今どの立ち位置にあり、今後どのような危機が現れるのか、を予測しやすくなるだろうと思う。

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