経営・法律・ビジネス

2017/01/08

「ワーク・ルールズ」の感想

Googleの人事施策に関する本「ワーク・ルールズ」が面白かったので、感想をメモ。
ラフなメモ書き。
書きなぐりなので論理的整合性は無視。

【1】Googleという世界で一番優れたIT企業の人事施策はすごく興味はある。
博士課程ばかりの出身のプログラマが多くて、大学の研究室のような雰囲気で、仕事はプログラミングに没頭できる環境。
そういう人と環境がいる場所で、業績管理や報酬制度、動機付けはどのようにコントロールされているのか?

Googleが他の企業と比べて面白い点は、自社の人事施策においても、アンケートなどのデータを収集し、検定や相関関係を調べることで因果律を見出し、その結果を次の人事施策に反映して、どんどん改善している点だ。
実際に、本の中にも、報酬の数値、相関関係の数値などもあり、非常に興味がそそられる。

僕が興味を持った部分は第7章の業績評価制度、第8章の能力評価制度、第10章の報酬制度、そして第13章。

特に第13章では、高潔であろうと思われるGoogle社員ですらも、無料カフェテリアが既得権益と見なされて、醜い行動をする社員もいる、という事実をはっきり書いている所は、非常に真摯に感じた。

知的に優れている人であっても、無料カフェテリアが当たり前の権利になってしまうと、食べ物を容器に詰めて持ち帰ったり、土曜日のハイキングのために水のボトルやお菓子を大量にバックパックに詰め込んだりする行動を取る人もいる。
もちろん、その後、社内にその状況がフィードバックされて、問題も解消されたらしいが、そういう話を読んで、逆に、Google社員も人の子なのだ、と改めて、ホッと感じる。

当たり前の権利は、知的に優れている人も慣れてしまって、既得権益となり、逆に発展の阻害要因になる。

【2】業績管理と人材育成は明確に分ける。
業績によって昇進や昇給を提示する時期、その人のスキル向上やOJTなどを計画・評価する時期は明確に分ける。
昇進や昇給を約束する外発的動機を導入すると、学ぶ意志や能力が低下してしまうから。

これは、ハーズバーグの衛生要因・動機づけ要因を思い出させる。

チームには2個の尻尾(テール)がある。
ごく一部の優れた最高の社員であるトップテール、最低の社員であるボトムテール。
人間の能力の分布は、正規分布ではなく、「べき分布」で考えるべきだ。

普通の企業は正規分布を使って社員を管理する。
現実の個人別成績は正規分布とみなす。
すると、ほとんどの社員は平均に分類されてしまう。

しかし、実際は、組織で人が発揮するパフォーマンスは、べき分布になる。
ごく一部の優れた優秀な社員が、圧倒的な業績を上げることで影響力を行使する。

但し、べき分布は、正規分布の一種。
正規分布が古いというわけではない。

【3】プロジェクトにマネージャは必要か?
Googleでは、良いマネージャであっても、技術面に疎すぎる中高年の応募者を落とすことが多かったらしい。

しかし、良いマネージャは重要である、と。
そして、その職務特性は8つあった。
そして、チェックリストを作ったり、育成プログラムを作ったりした、と。

【4】googleで面白いのは、人事施策の良し悪しを自社のアンケート結果を元に統計処理して、その相関関係などを調査分析している点だ。
「世界中の情報を整理する」ミッションを自社の人事施策にも生かしている。

この本に書かれている内容が貴重であると思うのは、まさにその実験データと結果が記載されているからだ。
ここまで赤裸々に書いた本はないはず。

学習する組織、最高の人材を集める、など、それらのやり方を逐一実施した内容を全て統計処理している。
その分析と改善策が面白い。

もちろん、彼らは、統計データがアンケートという質問形式に依存しているために、バイアスがかかっていないか、相当気にして対処している。


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2016/06/21

組織行動で知られている罠

世界で最もイノベーティブな組織の作り方」を読みながら、組織行動で知られている罠についてメモ。
主張は特に無し。

【1】有能性の罠(competency trap)

起業家・経営者ファイトクラブ [まぐまぐ!]

BBIQモーニングビジネススクール

コンピテンシー・トラップとは? : 現場を活かす企業経営

「満足水準を超えた利潤を得て、不満がない状況では、あえて現在よりも優れた戦略や方法を探索する動機づけが失われる」
「当面の事業が成功すればするほど、知の探索をおこたちがりになり、結果として中長期的なイノベーションが停滞するというリスクが企業組織には本質的に内在している」

従来のやり方で成功し続けると、そのやり方に固執して、現在よりも優れた方法を探索しなくなる。
特に、保守的な大企業ほど、創業以来のやり方に固執してしまいがち。

【2】訓練された無能(官僚制の逆機能)

官僚制とは | ビジネススクールならグロービス・マネジメント・スクール

官僚制の意味 - MBA経営辞書 - goo辞書

2/4 官僚制理論と官僚制批判理論その基礎 [社会ニュース] All About

ユニゾンのENSEMBlog : 訓練された無能

「「訓練された無能」とは、あまりに規則などに固執することによって、変化した状況に対応できなくなってしまうことです」
「おかれた状況が変化しているのにもかかわらず、同じ行動パターンを繰り返してしまう 」

保守的な大企業に長くいる人ほど、周囲の環境が変化して以前の常識が通用しなくなっているのに、同じような行動パターンを踏んでいるケースを見かける時がある。

【3】グループシンク(集団浅慮)

集団思考 - Wikipedia

グループ・シンクとは | ビジネススクールならグロービス・マネジメント・スクール

Educate.co.jp | グループシンク(集団浅慮)

なぜこんなに発言しにくい? -集団浅慮 | GLOBIS 知見録 - 読む

「集団の圧力により、その集団で考えていることが適切かどうかの判断能力が損なわれる状況です」
「特に、集団の凝集性が高い場合や、外部と隔絶している場合、支配的なリーダーが存在する場合などに起きやすい」

特に日本人の一部の集団のように、集団の凝集性が高く、個人の異論を受け入れないような集団では、集団での意思決定が個人の意思決定よりも浅はかになってしまうリスクがある。

【4】リスキーシフト(集団極性化)

リスキーシフト - Wikipedia

基礎演習

意思決定の集団極性化の社会心理学|経済界

集団極性化:心理学用語集 サイコタム

集団思考のワナ ー リスキーシフト|レイデル の「心のエラー」と「脳のトラップ」

「組織での意思決定は極端な方向に振れやすい」
「集団極性化現象(グループ・ポーラライゼーション)とも呼ばれる」
「集団浅慮(グループシンク)の結末として、往々にしてリスキーシフトと呼ばれる現象が起こります。これは、グループでの意思決定は、極端な方向に振れやすいという現象です。」
「リスキーシフトは、集団で決めたことが、個人で考えるよりも危険性の高い決定になることをいいます。」

大規模な組織ほど、実は、リスクのある意思決定が行いやすい時がある。
個人の意思決定よりも集団の意思決定の方が極端にぶれやすい。

【5】コーシャスシフト

集団意思決定

集団思考のワナ2 ー コーシャスシフト|レイデル の「心のエラー」と「脳のトラップ」

いじめ、暴行・・・集団心理が危険な結果を招くわけ [ストレス] All About

2/2 「いじめ」にかかわる集団極性化と傍観者効果
 いじめ、暴行・・・集団心理が危険な結果を招くわけ [ストレス] All About

「リスキーシフトとは真逆で、集団の意思決定が保守的で消極的な方向へ向かうものを言います」
「コーシャスシフトは、集団で決めた決定が、個人で決めるよりも、慎重でより安全志向になることをいいます」
「こうした集団心理の特性をよく理解し、小さな事件が大きな問題へとエスカレートする前に、今起こっている現象をよく検討する必要があります」

コンセンサスに重きをおくほど、ラディカルな企画や意見は、角が取れて、最終的な結論は何も言っていないに等しくなる場合がある。

日本の学校にけるいじめは、集団極性化現象そのものと同じだと思う。
個人では良い人なのに、集団になると、排除する力が大きくなりがち。

【6】バイアスの罠

番外その14 「バイアス」の罠~人間の判断にはバイアスがかかっている~

選択バイアスの罠

意思決定のバイアス|おりばーのブログ

「人間の意思決定は気づかないうちにさまざまなバイアスを帯びている」

バイアスの罠を意識しておかないと、他人の意見に左右されやすく、意思決定がぶれやすくなると思う。

【7】我々は、学校、会社、コミュニティという集団に必ず属している。
過去の日本の歴史をたどれば、官僚的な組織になるほど、上記の罠にハマったケースが見受けられるだろう。

また、自分が所属する組織において、「有能性の罠」「訓練された無能」「グループシンク」「リスキーシフト」「コーシャスシフト」の現象なのかな、と思う時もある。
そういう概念を知っているだけでも、落とし穴を避ける事もできるはず。

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2016/04/14

話題の時計「フランク三浦」から考える商標権の考え方

@hatsanhatのつぶやきで知財裁判の事件を知ったのでメモ。

【参考】
話題の時計「フランク三浦」 パロディはどこまで許される? - 弁護士ドットコム

佐野 初夫さんはTwitterを使っています: "フランク三浦(笑) https://t.co/ElgsMGWr5P 欲しいかも Amazonにたくさん売ってます"

商標登録 メッセージサイト - 商標登録に必要な要件

商標権の要件はいくつかある。
すぐに思いつく要件は下記かな。

一つ目は、自他識別能力があるか否か。
「フランク三浦」と「フランク・ミューラー」は発音は紛らわしいけど、日本語にすれば識別できる、と判断したのかな。
この辺りの事例はとても煩雑で、ブランド名の「・」や「/」が空白になるだけで差止請求や損害賠償請求が来る場合もあるみたい。

もう一つは、混同惹起がないか。
「需要者の間に広く認識されている」(つまり周知性)ように、ブランド名が全国的な周知性があれば、問題ない。
例えば、携帯のAUは、短い単語で紛らわしいのに、全国的な周知性があるから認められた。

この考えは、不正競争防止法の周知表示混同惹起行為、著名表示冒用行為、商品形態模倣行為の要件にもつながる。

他には、先使用権が認められるか。
その場合、都道府県レベルまたは全国レベルで周知性がなければ、認められない。
逆に、それだけ広い範囲で既に知名度があるならば、同じブランド名だが先に使っているということで、保護される。

商標権や著作権で最近話題になったのは、東京五輪のエンブレムの件だろうか。
最近は、特許や商標だけでなく、著作人格権(同一性保持権とか)・著作隣接権(複製権・演奏権とか)などの知的財産権の知識を知っておかないと、第三者から訴えられる時があるので、注意すべきかもしれない。

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組織成長モデル「グライナー・モデル」のメモ

組織成長モデル「グライナー・モデル」のリンクをメモ。

【参考】
ビジネスの世界、いろいろ(6) “利益の追求って、組織のルールって?(6)”

マネジメント・キャリア・人事 ~ブログJ-center~ 組織成長の5段階(グライナーモデル)

MBA流 大人の学ぶ力 |【組織の法則】プロローグ:ハッピーな組織を作るための必須知識 グレイナーの5段階企業成長モデル

グレイナーの企業成長モデル - すべてが学びと思えたら

製品ライフサイクルと同じように、組織成長にもライフサイクルがあるらしい。
「グレイナーの企業成長モデル」と呼ぶらしい。
グレイナーの企業成長モデル - すべてが学びと思えたらがの記事分かりやすい。

(引用開始)
ベンチャー企業の授業で、グレイナーの企業成長モデルの説明がありました。
1972年にハーバード・ビジネス・レヴューに掲載された理論です。
グレイナー教授は日本ではあまり知られていないようですが、この論文の引用は経営学の大御所であるドラッガーと並んでとても多いそうです。

最初、授業で説明を受けた時は、理解ができなかったこともあって、いまひとつピンと来ませんでした。
しかし、後で、テキストを復習したり、書籍や文献に当たっていくにつれて、非常によく考えられていて、納得感のある理論だということを感じることになりました。

グレイナーの企業成長モデルを簡単に説明すると、
・ 企業は5つの顕著な発展段階を経て成長する。
・ 組織は危機を乗り切るために、一定の変革と革命を行わなければならない。
・ 危機を乗り越えて新たな成長段階へと進む。
というものです。さらに5つの発展段階をくわしく説明すると、
・ 発展段階には成長するためのモデルがある。
・ 同時に、危機も発生する。危機を乗り越えるモデルがある。
としています。
(引用終了)

僕が理解した内容は次になる。
数人で立ち上げたベンチャー企業があったとしよう。
最初は、製品ライフサイクルの「死の谷」「ダーウィンの海」で試練が訪れる。
アイデアだけでは製品を安定して大量生産できないし、会社内部の組織化が必要になってくる。

次に、会社の組織化として、普通は機能別組織にして、業務が専門化されて回り出す。
すると、蛸壺のような組織構造になってしまうために、もっと権限をくれ、と現場が不満を持ち、自主性を促さざるを得なくなる。
つまり、事業部組織は、会社の規模が大きくなると必要になるわけだ。

さらに、事業別組織で各事業部に権限を移譲すると、自由にビジネスを始めるようになり、統制が取れない。
そこで業績連動させる仕組みを取り入れて、事業部に制約を課す。
すると、各事業部は目先の売上や利益に局所最適化された行動を取るようになり、イノベーションある行動を取りにくくなり、業績重視の行動が社会的な悪影響を及ぼす。
まるで、最近の日本企業の不祥事を連想させる。

最後に、事業部別組織(または社内カンパニー制)に対し、全社の調整機能が上手く統制されると、部分最適の組織は全体最適の方向へ動き出す。
しかし、全社の調整機能は形式的な官僚主義になりがちで、ミンツバーグの「機械的官僚制」という症状に陥る。
「機械的官僚制」は標準化された業務、大量生産の組織に向くが、大企業病に陥りがち。
まるで、公務員組織や老舗の大企業を連想させる。

組織は常に、その成長に応じて、乗り越えるべき段階がある。
例えば、ある程度大きな組織になると、組織慣性が大きく、経営トップでさえ組織の方針変更が難しくなる。
そうなると、組織変革の動きを起こすために、組織内の優秀なリーダーを選んだチェンジリーダーを組織横断で作り、エバンジェリストとして組織をかき回す、みたいな対策を取る時もある。
この動きも、グレイナーの企業成長モデルで当てはめることもできるだろう。

ベンチャー企業の経営者は、このような組織成長モデルを知っておくと、自分たちが今どの立ち位置にあり、今後どのような危機が現れるのか、を予測しやすくなるだろうと思う。

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2016/02/27

XP祭り関西2016~アジャイル15周年ふりかえりの感想 #xpjugkansai

「XP祭り関西2016~アジャイル15周年ふりかえり」が無事に終わりました。
約60人もの参加者、木下さんの基調講演、山根さんと土屋さんのアジャイルラジオコンビ、スクラム道関西の4人、藤井さんのDtoD、パネルディスカッションと盛り上がりました。
参加者、講演者、スタッフの方、お疲れ様でした。

以下は、僕個人のラフな感想。

【参考】
XP祭りin関西2016 - XPJUG関西wiki

XP祭り in 関西 2016 ?アジャイル15周年ふりかえり? - 日本XPユーザーグループ関西 | Doorkeeper

XP祭り関西2016~アジャイル15周年ふりかえり(2016/2/27) #xpjugkansai - Togetterまとめ

fkino diary(2016-02-27) "XP祭りin関西2016 に参加しました"

【1】今日の基調講演は、木下さんの「5分で分かるアジャイルムーブメントの歴史 拡大版」。
日本のアジャイル15年の歴史を凝縮した内容で、とても素晴らしいと思います。
僕は、XPJUG関西に10年以上関わってきたので、とても感慨深くて、色んな思いがありすぎて。

日本のアジャイル本の歴史を辿ると、3回のうねりがある。
1回目はXPブーム、2回目はScrumブーム、そして今3回目。

2000年代前半のXPブームでは、開発者がXPに熱くなっていた。
東京のXP祭りに参加して、あの雰囲気を関西でもやりたいと思って、XPJUG関西で企画したのがXP祭り関西2006。
それから10年も続いている。

2008年頃からのScrumブームでは、プロジェクトリーダーがScrumをチーム運営へ導入して熱くなっていた。
田口さんが、僕はScrumを導入して今まで失敗したことがない、と発言されていたのも思い出す。
未知の領域、新しい技術を取り入れた開発でScrumは大きな威力を発揮する、という趣旨を言いたかったのだろうと推測する。

そんな中、永和システムマネジメントとチェンジビジョンしかXPをやっていないのではないか、という疑惑から、平鍋さんが「アジャイル止める宣言」。
そこからAgileJapanが発足し、マネージャ層、経営層向けにターゲットを絞り込む。
また、IPAも「非ウォーターフォール型開発」という名前でアジャイルの研究会と資料を公開し、最初はIPAでもアジャイルと言えなかったのが、アジャイルという言葉が解禁になった。

そして今、ITがビジネスの中心になっているWebサービスやベンチャー企業では、アジャイル開発が当たり前の環境。
アジャイルでない従来型のSIもあるけれど、ネット上にもプラクティスやアンチパターン、事例が溢れていて、少なくとも知識の上ではもう差別もない。
そんな気がしている。

【2】山根さん&土屋さんのアジャイルラジオコンビのお話。
山根さんがJavaの開発で使ったツールやフレームワークの変遷の話は、僕もすごく同感して、感情移入してしまって。

僕も山根さんと同じく、ファウラーの「リファクタリング」本から入った。
僕は2002年頃、「リファクタリング」本を夢中で読んでいた。その頃はJavaプログラムを書ける初心者レベルだったから、こんな風に使うんだ、という知的刺激が楽しくて。
Eclipse上で、リファクタリングやデバッグ、しかもリモートデバッグまでできるのも楽しくて。

Antも随分使っていた。
WindowsでもUnixでも、同じビルドスクリプトが動くので、単体テストでもテスト環境でも本番環境でも同じようにビルドスクリプトを流用できる。
Strutsに初めて触れた時も、これだ!と思っていた。
今はもう、レガシーなフレームワークだけれど。

JUnit、DBUnitなどのテスティングフレームワークも書いていて楽しかった。
Javaでリフレクションはこういうふうに使うのか、モックはこういうものなのか、という気付きが楽しかった。

でも、あの山根さんも最近の技術のトレンドに少しずつ遅れてきていると感じている。
だから、コミュニティに顔を出して、新しいトレンドを取り入れようとしている、と。

【3】田口さんのKPTのプラクティスの事例も興味深かった。
普段はプラクティスの話はしないんだけど、と話しながら。

KPTは良くできたフレームワーク。
長所だけでなく、問題も洗い出して、対策まで考えさせる。

でもKPTを毎回やると飽きる時がある。
だから、他の色々なファシリテーションのツールを使う。
良かったこと・悪かったことをアイコンの周囲に付箋で書き出す。
モスバーガーの店前の掲示板を真似て、朝会の前に、いじりキャラの若手に小さなホワイトボードにその日の気分を書かせて、朝会の雰囲気をほぐしたり。

【4】パネルディスカッションのテーマは「アジャイルの達人に聞く~ソフトウェア開発の質問コーナー」。
僕がモデレータと言いながら、自分が一番聞きたい内容を質問形式にして、パネラーと議論できればと思っていた。
質問は、典型的なWF型開発しか知らない、というSIの立場であえて書いてみた。
5つの質問を用意していたが、最初の質問1個だけで1時間以上も費やしてしまった笑。

【5-1】「要件定義で注意しているポイント」を質問として投げかけた所、藤井さんから、その問題はアジャイルでは既に解決している。
アジャイルでは要件のように機能詳細は定義せずに、ユーザストーリーでまとめる。
1~3ヶ月おきにリリースすることで、ユーザーストーリーを検証・評価して、顧客に価値あるシステムを提供していく。

でも、要件定義が必要なのは、見積りの元ネタになるから。
見積りが契約内容と見なされてしまう。

【5-2】土屋さんいわく。
見積りは2種類は出すようにしている。オプションは2種類作り、双方にメリット・デメリットがあるように説明すれば、お客さんも納得してくれる。
松竹梅、という3種類の見積りあるよね、と。

【5-3】木下さんいわく。
うちは、インセプションデッキが作れるまで開発を始めない。
ユーザとは準委任契約を結んでいるので、要件定義で固定スコープの一括委託契約はしない、と。
顧客はうちの開発力を信用しくれているし、うちも顧客の信頼を崩さないようにと思って、信頼関係を大事にしている、と。
この点は、委任契約にある善管注意義務の発想と全く同じ。

他に、価値創造契約のように、準委任契約ではなく、システムの開発と運用を一体化した契約スタイルもある。

また、ユーザ側の担当者がアジャイルを受け入れてくれる人か否か、を判断している。
ユーザ企業の担当者が上司にお伺いを立てるような人ではダメで、俺がすべての要件を決める、と言う、プロダクトオーナーの役割を自覚する担当者でないと上手くいかない。

【5-4】田口さんいわく。
うちはゲーム会社なので、受託開発案件はそうない。
ゲームでは、ユーザが楽しいと思うものを作る、というふわっとした要件が多いので、要件定義という発想がゲーム業界自体にあまりない。
やってみないと分からないから。
そういう未知のソフトウェア開発では、Scrumがすごくマッチする。
Scrumを導入して今まで失敗したことがない。

でも、たとえば、ゲームのキャラクターを作るという作業の場合、キャラクターの図面を作る、キャラクターのエフェクトを付ける、などの作業を複数人のデザイナーが担当して作業する場合がある。
その場合は、Scrumではなく、タスクかんばんでワークフローとして作業を流す。
その方が回りやすい、と。

【5-5】参加者からの質問も多くて、その内容もすごく共感できて。

準委任契約と言っても、実際は要件定義は実施済みで、どんなモノを作るのか、という仕様が決まっているから、一括請負契約と変わらない場合がある。
そんな場合でもアジャイル開発はできるのか?と。

パネラーからは、顧客と信頼関係を築いていれば、準委任契約でも、スコープを固定せずとも開発は可能。
ある一定期間で、これだけの予算の範囲で作る、という条件があるので、その範囲内でベストなソフトウェアを作る。
その条件の範囲内で、顧客の要望に基づき、フィーチャを取捨選択して、オプションのように取り扱う、と。

でも、質問者の方は何となく納得できていないような雰囲気を感じた。
そして僕自身も、質問者と同じく違和感を感じていて、質問者とパネラーの間で、準委任契約の意味やその背後にある現実にズレがあるように感じた。

僕が知っている準委任契約は、実費請求の準委任契約であり、作業報告書がなければ開発費用を請求できない。
顧客の依頼に基づいて作業した、という契約。
その契約内容は、事実上、一括請負契約とあまり変わらない。

一方、パネラーの場合、顧客との信頼関係があり、顧客はチームの開発力を信用しているし、チームも顧客の要望がスコープに入るかどうか十分に吟味して回答し、その範囲内できちんと結果を出す。
その差は、要件定義がアバウトであっても、顧客がチームを信頼していて、チームも必ずアウトプットを出す、という信頼関係があるか否か。
その差は大きい。

や16ぁさんはTwitterを使っています: "挙げている例が当てはまりすぎててそのままワイに突き刺さる #xpjugkansai"

kawanotronさんはTwitterを使っています: "でも@akipiiさんの悩みよくわかる。 #xpjugkansai"

【5-7】他に、アジャイル開発ではドキュメントを作らないのか?という参加者からの質問もあった。

木下さんいわく。
ドキュメントはうちもほとんど作っていない。
でも、ユーザ側の担当者が変わると、そんな話は俺は聞いていない、と言い出す人がいて、大変になったこともある、と。

【6】アジャイル開発が当たり前の知識になったとしても、実際の現場でアジャイル開発が使えていなかったり、契約や要件定義でアジャイル開発を生かすノウハウがなかったりする。
今日のような場で、その辺りの本音の議論が少しでもできて、参加者の心に残ってくれたらいいなと思う。

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2015/12/26

サーバントリーダーシップになぜ違和感があったのか

図書館で借りた「グロービスMBAリーダーシップ」を読んで、サーバントリーダーシップになぜ違和感があったのか、その理由が何となく理解できた。
以下ラフなメモ書き。

知っておきたいIT経営用語 - サーバントリーダーシップ:ITpro

明日を変える働き方:「サーバント・リーダーシップ」という考え方 (1/2) - ITmedia エンタープライズ

リーダーシップ考(4)~サーバントリーダーシップ /戦略ノート25/プロジェクトマネジメントOS本舗

アジャイル開発への壁は価値観の壁: ソフトウェアさかば

サーバントは革命の言葉。ビジョンを示せ! - サーバントリーダシップ私論 - : ソフトウェアさかば

【1】サーバントリーダーシップでは、リーダーはサーバント(召使)であり、奉仕する→導くという順でリーダーシップを発揮すると言う。
でも、僕の中ではずっと違和感があった。

リーダーシップと言うと、どうしても命令型のリーダーをイメージしてしまう。
上司や社長のリーダーシップは、実際、今までの僕の貧弱な経験の中では、皆の気持ちを吸い取って導くというタイプはそんなにいなかったように感じた。
そして、僕自身もアジャイル開発や自己組織化という概念を実際のチームで実現しようとしたけれど、最後には指示を出して強制的に従わざるをえない場面も経験して、どうしても馴染めなかった。

たとえば、受託請負のソフトウェア開発案件では、結合テスト以降のプロジェクト後半では火が噴く状態になりやすく、どうしても残業したり、休日出勤したりして、進捗遅延をメンバー全員でリカバリーせざるを得ない時がある。
自分がプロジェクトリーダーならば、納期は必須だから、メンバー全員でカバーするしかない。
すると、綺麗事を言っても仕方ないし、強制的に働かざるをえない。

そんな時にサーバント・リーダーシップのような綺麗事を言っても、結果はついてくるのか?という疑問があった。
でも、かと言って、アジャイル開発を実現したいという気持ちがあって、自分の心の中でずっと葛藤があった。

【2】「グロービスMBAリーダーシップ」によれば、サーバント・リーダーシップが重視されるようになった時代背景があるようだ。
一部のリーダーが全てをコントロールできるわけではないから、必然的に「エンパワーメント」を加速する必要が出てきた。

巨大な官僚組織のままでは、変化の激しい時代ではすぐに変化に対応できない。
そこで、上司は部下に権限移譲し、部下に動機づけして、部下が自ら実行できるように支援するリーダーシップが必要になってきた、と。

この辺りは、アジャイル開発やScrumの概念を連想させる。

一方、2000年始めにエンロンなどの不正事件が起きた時、その不正事件にMBAホルダーを持つ経営者が数多く関わっていて、彼らの倫理観や教育方法に疑問が投げかけられた。
そうした時代背景から、リーダーの資質論やリーダーシップ開発などのようなあるべきリーダーシップを解明するだけでなく、倫理観に軸足を置いたリーダーシップ理論が注目され始めた、と。

【3】「グロービスMBAリーダーシップ」によれば、サーバント・リーダーシップの概念は、グリーンリーフによって提唱されたらしい。
彼は、1970年代のアメリカで、ニクソン事件のように、当時のリーダーに不信感や幻滅を抱く時代背景の中で、新たなリーダーシップ像の着想をヘルマン・ヘッセの短編小説「東方巡礼」から着想を得た。

小説では、巡礼団の客が快適に過ごせるように、細やかな心遣いで客に尽くす召使が登場するが、実はその召使こそが東方巡礼を導く結社のリーダーだった、という話。
そこから、彼は、権力や物欲への執着から動くのではなく、素晴らしい目標や社会を実現するために立ち上がるこうしたリーダーは、その高い倫理性や精神性によって人々から信頼を得るのだ、と考えた。

このサーバント・リーダーシップ理論は、1970年代に提唱されて一部では注目されていたが、2000年代初頭のエンロン事件を経て、新たに脚光を浴びた、という経緯があったらしい。

【4】理論の背後にあるそんな時代背景や経緯を聞くと、自分の理解は浅かったのかなと思う。

リーダーが自分で最後は決める、という立場かつ、成果を出す責任がある立場と、メンバーの率直かつ客観的な意見も尊重したい気持ちで対立があり、葛藤が起きた時、そのギャップはどう解決すべきなのか?

確かに、リーダーとメンバーは立場が違う。
リーダーがメンバーに権限委譲したとしても、最終責任はリーダーにあるし、最終決定はリーダーが行う責務がある。
一方、権限移譲したからと言って、メンバーにリーダーがおもねる必要はない。

上記の話を読んで理解したことは、メンバの信頼を集めてチームとして成果を出すには、リーダーの一方的な価値観をメンバーに押し付けるのではなく、社員・顧客・社会に奉仕するためにこのような行動が必要なのだ、という価値観を提示する必要がある、ということだ。
つまり、リーダーの主観的な価値観ではなく、メンバー全員が共感して信頼出来る価値観を提示することが求められている。

そういう理解に至ったが、内容はそりゃそうでしょ、という感じだろうが、リーダーの立ち位置を踏まえて、リーダー自身の価値観は結局どこにあるのか、をいつも突き詰めて考えて持っておき、どんな状況でもぶれないようにしておくのが必要なのだろう。

グロービスMBAリーダーシップ」を読んでみると、他にも、リーダーの特性論、非常時におけるリーダーシップ像、組織変革を行うリーダーシップ理論、パワー(権力)と影響力、など、組織力学に興味がある人なら一通りの内容が理解できて面白いだろうと思う。

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2015/07/26

R言語の解説記事のリンク

R言語の解説記事で、下記の記事がわかり易かったのでメモ。

【参考】
飯島の雑記帳 - Rゼミ/R初心者ゼミ

個人的には、R言語をSQLみたいに扱えるか試してみたが、ちょっと感覚が違っていた。

RとSQLを対応付けてみた - あらびき日記

CSVをInputにして、データの抽出や集計はできるが、R言語のメリットは統計処理とグラフ表示。
やっぱり統計量の意味が分かっていないと面白くない。
でも、CSVのデータをすぐに2次元の図にプロットできるのは、視覚的に分かりやすいので、メリットだと思う。

ネットで探してみたら、統計検定みたいな資格もあると知った。
こういうので統計学の勉強をした方がいいのかな?

統計検定:Japan Statistical Society Certificate

もう少し試してみたい。

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2015/07/05

「小さな会社を強くするブランドづくりの教科書」の感想

たまたま読んだ小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書の感想をメモ。
ネットで調べたら、中小企業診断士の事例2「マーケティング」の参考図書だったらしい。
以下は、琴線に触れた言葉をメモ。

【1】日本の技術力は高いと言われる。
しかし、モノづくりでは勝ったのに、ブランド作りで負けた企業が多いのではないか。

強いブランドは名前も品質も超える。

日本は、90年代はコストダウン、2000年代からブランドづくりへ。
守りの経営から攻めの経営へ。

ブランドは言葉だけではない。
ブランドはイメージ。
ブランドは意味。

【2】ブランド力の強い企業ほど好業績。
その理由として、4つの要因がある。

数量プレミアム効果。
品質が同じでも、競合製品よりも選ばれやすい。

価格プレミアム効果。
消費者の価格の受容度が高いため、高い価格を設定できる。

リピート効果。
ブランドが、リピート顧客を増やす。

口コミ効果。
ブランドが、口コミによって顧客が顧客を呼ぶ。

つまり、数量プレミアム効果 *価格プレミアム効果 *リピート効果 *口コミ効果 =好業績 になる。

【3】小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書では、静岡県の「アメーラ」という高糖度ミニトマトを例にして、ブランドの効果を説明している。

たとえば、アメーラのブランドイメージは「最高品質の高糖度トマトで、おいしさの感動をお届けします」。
ブランドアイデンティティである価値生(最高品質)、独自性(高糖度)、共感性(おいしさの感動)を伝えている。

強いブランドはコトを伝える。
消費者は財布の余裕ができると、モノからコトに向かう。

「トマトの購入」よりも「食の安全性」「美味しさの感動」の方が、購買額が高い。
「化粧品の購入」よりも「美しくなるため」「健康になるため」の方が、購買額が高い。

人々にモノを売り込むのではなく、コトを提供する。
それがブランドを強くする。

【4】ブランドを作るには、大きな市場の2番手よりも、ニッチな市場で1番手になること。
ポジショニングマップで、ブランドを対象とするマーケットや顧客を明確にすること。

ブランドイメージを擬人化すると分かりやすい。

例えば、一般的なトマトのイメージは「明るく元気な20代の女性」。
アメーラのイメージは「やさしく穏やかな大人の女性」。

ブランドパーソナリティが明確であれば、一貫性を持ったブレないブランド戦略が可能になる。
すると、パンフレットや広告、ロゴのイメージのすり合わせがやりやすくなる。

【5】強いブランドの土台は品質。
しかし、企業が提供する品質と消費者が求める品質は違う。

たとえば、アメーラというトマトの場合、「ヘタがない」「皮が厚い」というデメリットがある。
しかし、それを「ヘタがないので形が美しい」「ヘタがないのでゴミが出ない」「ヘタがないので弁当に使いやすい」「歯ごたえが楽しめる」「ぱきっとした食感がある」と読み替えればいい。

ブランドが持つ高い品質を、消費者が求める品質に合わせて伝えるようにすること。

【6】目に見えないブランド価値。
ブランドの具体的な表現要素をブランド要素と呼ぶ。

消費者は目を通して、ブランドを味わう。

ブランド要素では、ロゴ、パッケージングが重要。
たとえば、アメーラでは、白い箱にプラスチックの透明カップにミニトマトを入れて、おしゃれにした。
これが、女性層に受けた。

ブランド要素で重要なのはハーモニー。
ブランド要素間の統一感が大切。

強いブランドには色がある。
スターバックス、コカ・コーラ、アップルには色がある。
たとえば、アメーラには、赤いトマトと黄色いトマトがある。

でも、ブランドの拡張は諸刃の剣。
アメーラというトマトのブランド拡張なら、トマトジュースやトマト料理などがあるだろう。

【7】広告に頼らないブランドつくり。
中小企業は、宣伝広告にかける費用が少ない。
でも、現代は、SNSによる口コミ効果が大きい。

スタバ好きの人の周囲には、スタバ好きが多い。
類は友を呼ぶ。
コカ・コーラ、アップル、ソニー、ルイヴィトン、ディズニーランドなど。

広告よりも口コミの方が影響力が大きい。
また、口コミで獲得した顧客はリピータになりやすい。
そのブランドを気に入った人の周囲には、似たような人が多いので、ブランドと相性が良い人が多い可能性が高い。

口コミの促進を活発化させる方法は何か?
体験が口コミを促進する。
口コミの種を蒔く。
口コミを利用したブランドづくりでは、インフルエンサーを特定し、その人達の力を活用するのが最も有効。

インフルエンサーと自社の距離を縮めてもらうことが大切。

【8】強いブランドの価格戦略は、セールやディスカウントをしないこと。
低価格戦略ではなく、価値で顧客を惹きつける。

価格で惹きつけた顧客は、価格で逃げていく。

100万円のワインはなぜ美味しいか。
認知的不協和の理論。
人は、無意識でつじつまを合わせる。

ブランドが強くなると、価格の好循環を達成できる。
強いブランドは、価格競争に巻き込まれることもない。

【9】ブランドが失敗する10の理由。

品質管理がしっかりしていない。
戦略がない。
共感性の欠如。
コミュニケーションに一貫性がない。
無関係なブランド拡張。
なんでも屋になる。
消費者の声を聞かない。
値引き競争をする。
感性に訴えない。
チャレンジせず、現状維持で良しとする。

ブランドも定期的に健康診断すべき。

【10】感想

自分が何かしらのソフトウェア製品を作っていて、販売したいとする。
その時、その製品にどんなブランドを持たせて、販売すべきか、というように考えると、すごく身近に感じる。

ブランドづくりの話は、ビジネスフレームワークの4Pそのものだなあ、と思う。
4Pの製品戦略、価格戦略、物流戦略、販促戦略にそのまま展開される。

小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書が面白いと思う点は、現代は大企業よりも中小企業の方がブランドイメージを構築しやすいのでは、ということ。
中小企業の方が、とんがった製品にブランドイメージを作って販売することに向いている。
大企業はしがらみも多いし、既存の製品が逆に新製品の邪魔になる場合もあるから。

同著者の「スモールビジネス・マーケティング―小規模を強みに変えるマーケティング・プログラム」では、そんな内容をもっと書いているらしい。
今度また読んでみる。

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2015/07/04

ブルーオーシャン戦略は機能をそぎ落として必要最低限の製品を作り出す戦略の一つ

先日、関西IT勉強会でブリビオバトルがあった。
その時に、ブルーオーシャン戦略の本の感想を聞いて、ようやくその意味を理解できたのでメモ。
以下は疲れた頭で、ラフなメモ書き。

【参考】
N's spirit ブルーオーシャン戦略とは 戦略キャンバス

【1】アイデアに基づく製品をどのマーケットに売り出すべきか、あるいは、こんな商品があるがどう売り出したらいいか、その戦略を考える時に、ブルーオーシャン戦略が役立ちそうな気がする。

【2】「ブルー・オーシャン戦略」のツールは、アクション・マトリックスと戦略キャンパス。
アクション・マトリックスでは、製品の原型に対し、「取り除く」「減らす」「付け加える」「増やす」ことによって、新たな価値を生み出す。

つまり。、アクション・マトリクスは、アイデアから生み出された製品の原型に対し、まずは機能やデザインのうち不要なものを取り除き減らす。
そこから、新たな機能やデザインを付け加えて増やす。

この考え方は、MVP(minimum viable product)に似ている。
リーンスタートアップに出てくるMVPは、製品の機能は必要最低限として、市場のフィードバックを得ながら仮説検証していく。
最初から機能てんてこもりではないのだ。

【3】戦略キャンパスは、横軸に顧客に提供する価値、縦軸に顧客が享受するメリットのグラフを描くこと。
ポイントは、横軸に、アクション・マトリックスで見出した新たな価値観を追加することで、他のライバル企業の差別化を図る。
まだ誰も販売していない未知のマーケットに売り出せれば、それがブルーオーシャン。

ブルー・オーシャン戦略」では、サウスウエスト航空やイエローテイル(アメリカ産ワイン)等の例があり、非常にわかりやすい。

戦略キャンパスの考え方は、ポジショニングマップの描画に使えるのではないか、と思う。
ポジショニングマップは、実際は結構書きにくい。
肝心の縦軸・横軸の評価項目をなかなか洗い出しにくい。
でも、戦略キャンパスは、数多くの評価項目を抽出してくれるので、効果的に使えそうな項目を選んで、プロットする内容が散らばるようにできればいい。

ポジショニングマップを描けば、ブルーオーシャンのマーケットは、必ずどこかのエリアに存在し、そこはまだ手つかずの領域でもあることが如実に表現される。

【4】「ブルー・オーシャン戦略」には「市場の境界を引き直す6つの視点」という戦術が紹介されているが、これはファイブ・フォース(5F)の考え方に近い気がする。

ファイブフォース分析の概要とやり方 | カイロスのマーケティングブログ

5フォース分析(5つの競争要因)[ITCサンシャイン・ブレインズ]

ファイブ・フォース分析は、特定業界の外部環境を分析するのに使われるが、「市場の境界を引き直す6つの視点」と被っているような気がする。
その理由は、双方ともに、外部環境の分析に使われるからだろう。

1.代替産業に学ぶ→代替品の脅威
2.業界内の他の戦略グループから学ぶ→既存企業同士の競争、新規参入者の脅威
3.買い手グループに目を向ける→買い手の交渉力
4.補完財や補完サービスを見渡す→サプライヤーの交渉力
5.機能志向と感性志向を切り替える
6.将来を見通す

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2015/04/12

XP祭り関西2015の感想~IT投資とは一体何なのか? #xpjugkansai

XP祭り関西2015の感想をメモ。
以下は、論理的でないラフなメモ。
間違っていたら後で直す。

【参考】
XP祭りin関西2015 - XPJUG関西wiki

XP祭りin関西2015 ~Agile S×T~ - 日本XPユーザーグループ関西 | Doorkeeper

XP祭りin関西2015 に参加しました - fkino diary(2015-04-11)

【期間限定!】アジャイル関連PDF版を特別価格で手に入れよう! - オーム社書籍編集局

2015/4/11 XP祭り関西2015 #xpjugkansai - Togetterまとめ

【1】スタッフとして裏方でイベントを手伝っていました。
手作り感満載のイベントで、至らない所はたくさんあったと思いますが、参加率95%超えは成功だったのかな、と思います。

アジャイルな戦術・戦略というテーマだったので、昔はアジャイラーだったが中間管理職になった方を講演者にお呼びしたので、経験に基づいた内容になって面白かったと思います。
また、「実践 反復型ソフトウェア開発」の著者である津田さんの講演がとても熱く、もっと聞きたいなーと思いました。

【2】@yasuohosotaniさん、@tanigonさんの話を聞きながら、気になった問題意識がある。

akipiiさんはTwitterを使っています: "#xpjugkansai 今日の話を聞くとSIにおけるIT投資とは何だろうという問題意識を持つ。製造業なら工場に設備投資して生産や品質を向上させる。すぐに結果が出る。でもIT業界では人に投資してもすぐに結果は出ないしリスクも高い。"

@agilekawabataさんが言うように、ソフトウェア開発では、人が全てだ。
エンジニアの能力次第で、アウトプットの品質も使い勝手も大きく変わる。
駄目なエンジニアを100人揃えても、肝心のシステムはリリースできる保証すら無い。

だから、ソフトウェア企業は、エンジニアのスキルが常に高い状態であるように、エンジニアを大切にしないといけないし、エンジニアに投資しないといけないのではないか。

@yasuohosotaniさん、@tanigonさん、@agilekawabataさんのように、昔は僕らと同じアジャイルな一人の開発者だった人達が、管理職や経営者となって、アジャイル開発を実現するビジネスを作り出すだけでなく、ソフトウェア企業の財産と言えるエンジニアに対し、どのように投資して、ビジネスを拡大し加速させようとしているのか、という問題意識を持った。

【2-1】資本主義の原理として、貯蓄は投資して、投資の金額以上のリターンを得ることで、経済成長していくサイクルが基本にある。
資本主義経済である限り、経済成長率>0が宿命であり、常にインフレ状態にしなければならないのではないか。
だからこそ、貯蓄をタンス預金として埋蔵させるのではなく、有望先に投資して、流通させなければならない。

製造業ならば、工場への設備投資によって、生産量や品質を劇的に増やすことができる。
新しい機会装置、新しい工場の建設によって、モノを大量生産し浪費することで、周囲の経済も活発化する。

この設備投資が行き過ぎるとバブルが起きるので、日銀や政府は公定歩合という金利によって、貯蓄から投資に回るお金の量をコントロールし、持続的に経済成長できる仕組みを作っている。

【2-3】では、IT業界における投資とは何なのか?
製造業や小売業のように、工場やお店、機械装置のようなモノに投資するのではない。
エンジニアという人がソフトウェア企業のコアコンピタンスならば、エンジニアそのものに投資しなければならない。

でも、エンジニアに投資すると言ったら、どんな方法があるのか?
せいぜい、教育研修に行かせる、OJTの案件に入れる、ぐらいしか方法がない。
他には、最新のPCやサーバーを導入するとか、座り心地のよい椅子やキーボードを買うぐらいだ。
それらの方法で、投資した直後に劇的に生産性やリターンがすぐに生まれるとは限らない。
むしろ、教育研修の効果は、数年経たないと分からない時が多いのではないか。

【2-4】製造業などがIT業界と違う点は、設備投資の投資対効果の速度が劇的に違う点だと思う。
新しい工場を作り、どんどん製品を作っていけば、短期間で大量の製品を調達・販売できる。
アップルが大量の注文を元に、iPhoneやAppleWatchを短期間に生産して販売するの典型例だ。

でも、エンジニアに投資したからといって、投資した直後からすぐに劇的にアウトプットが数倍以上も増えることは現実的にあまりないように思う。
人間は元々保守的な存在だから、簡単に考え方や習慣をすぐに変更して、生産量を増やすことはできないと思う。

エンジニアへ直接お金を投資するやり方は、多分、投資対効果は悪いのだろうと思う。

【2-5】では、IT企業の投資方法としては何が効果的なのか?
単純に考えると、M&Aで他の企業を買収したり、社外の優秀な開発者を抱え込むことだ。
つまり、外部にいる優秀なエンジニアを取り込むことで、ソフトウェア企業が生産できるシステム規模を拡大させる方法を採用するだろう。
GoogleやFacebookなどを見ていると、そんな傾向があるように思える。
でも、その手法はどのソフトウェア企業でも採用できるとは限らない。

【2-6】有効なIT投資はそれだけしかないのか?
@fkinoさんと話しながら気づいたことは、ITコミュニティへの活動やOSSへの貢献の活動もIT投資として有効ではないか?

エンジニアも人であるからには、ITコミュニティという場で、自分と違う価値観や立場の人達と交流することで、刺激を受けて、成長する意識を持ってくれればいい。

LinuxやRubyなど成功しているオープンソースのように、プログラムを自発的に公開したり、パッチを送ることで、最新の技術に触れることもできる。
また、社外の優秀なエンジニアに揉まれることで、エンジニアの能力を伸ばすこともできるだろう。

特に、オープンソースのライブラリやツールを自主的に開発したり研究することは、新しい技術の方向性を知ることもできるし、その技術が将来モノになるかどうかという判断力を磨くことにも役立つ。
最近はGitHubでオープンソースの開発を行うのが普通であり、エンジニア同士がより密接に刺激しあえる環境ができたように思う。

但し、日本企業では、売上につながらない業務活動は認められないから、ITコミュニティへの活動やOSS活動がやりにくい弱点があると思う。

個人的にこの手法が問題であると思う状況は、エンジニアがスキル向上を目指すには、業務時間外でITコミュニティに活動したり、OSSの活動をすることしかないことだ。
つまり、会社の労働時間以外で、エンジニア自身が自分自身に投資する意識を持たなければ、スキルは向上しない。
でも、折角の休日にOSS活動に専念するエンジニアはかなり少ないだろう。

日本人のホワイトカラーの生産性が諸外国に比べて低いというニュースを聞くと、何となく上記のような理由を連想してしまう。

【2-7】そんな状況でも、講演者の方の話を聞くと、彼らの立場で色々試そうとされている。

例えば、@yasuohosotaniさんが試されている「実験的アプローチ」は、一つのIT投資の手法だろうと直感する。
新しい技術を取り入れることで課題解決を試みる手法であるが、それだけが目的ではない。
実際、若手に新しい技術を試させて、実際に活動してみることで、若手エンジニアが成長する機会を作り出している。

@agilekawabataさん、@tanigonさんも、話には触れなかったやり方を持っているだろうと推測する。
@fkinoさんも別の発想を持たれていて、大変参考になった。

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