新規事業のアイデアはあるのに構想が進まない。
ビジネスモデルキャンバスの枠を埋めるだけでは説得力あるストーリーを描けず、手が止まるからだ。
その悩みを打破する鍵は、項目の「因果関係」にある。
既存フレームワークと繋ぎ、人を動かす事業構想に仕上げるキャンバス活用法を書いてみた。
【参考】
「事業計画に落とせるビジネスモデルキャンバスの書き方」、
「最強の戦略ツール ビジネスモデル・キャンバス」
ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書 | アレックス オスターワルダー, イヴ ピニュール, 小山 龍介
ビジネスモデル・キャンバス徹底攻略ガイド 企業、チーム、個人を成功に導く「ビジネスモデル設計書」 | 今津 美樹
図解ビジネスモデル・ジェネレーション ワークショップ | 今津 美樹
バリュー・プロポジション・デザイン 顧客が欲しがる製品やサービスを創る | アレックス オスターワルダー, 関 美和
【1】今頃なぜ、ビジネスモデルキャンパスに興味を持つのか?
理由は、新規事業のスキーム、枠組みを考える時に、ビジネスモデルキャンパスのようなフレームワークが必要だからだ。
むしろ、新規事業スキームを考える時のフレームワークが今まで無くて苦労していたからだ。
最近、新規事業、新規営業をやってみたいと思うようになった。
しかし、今までに未経験だからどうやればよいのか全く分からない。
そこで、色んな本を読んでみた。
しかし、分かったようで分からない。
新規事業のアイデアはあるが、それを実現する手順が自分の中で確立していない。
だから、他人に聞きまくって、試行錯誤でやっている。
それがすごく無駄。
しかし、新規事業アイデアをビジネスモデルキャンパスで描くイメージを初めて掴んだので興奮している。
興奮した理由を今から書いてみる。
【2】では、そもそも今までなぜ、僕はビジネスモデルキャンパスを使ってこなかったのか?
理由は、ビジネスモデルキャンパスの9項目に文字を書くだけでは、ビジネスモデルがイメージできなかったからだ。
単なる箱ぐらいしかイメージできなかった。
「ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書 | アレックス オスターワルダー, イヴ ピニュール, 小山 龍介」本は有名だし、読んだが、ピンとこなかった。
9項目ごとに、何を書けがいいのかは教えてくれる。
しかし、実際の新規事業を書こうとすると手が止まる。
何を書けばいいのか、どんな粒度で書けばいいのか、分からない。
ビジネスモデルキャンパスを書いたとしても、しっくりこない。
理由は、単なる箱であって、それらがどんなストーリーを語ってくれるのか、見えないからだ。
自分のアイデアにストーリーがなかったり、因果関係が破綻していたり、論理が飛躍していると、他人は納得しない。
自分のアイデアをいくら語っても、相手が納得しなければ行動してくれない。
だから、いつも歯がゆく感じていた。
かと言って、新規事業計画書の目次に沿ってWordを書いていくのも何か違う気がしていた。
各項目の詳細に入り込みすぎて、全体像がつかめないからだ。
【3】では、ビジネスモデルキャンパスのポイントはどこにあるのか?
ポイントは、9項目もある各項目の流れ、因果関係、自己強化ループに着目することだ。
各項目の流れこそが、ビジネスモデルのストーリー、ビジネスモデルのナラティブに相当する。
ビジネスモデルキャンパスには流れがある。
①左半分はコスト構造、右半分は収入モデル、
②左半分は自社軸、右半分は顧客軸
に相当する。
ビジネスモデルキャンパスのポイントは、価値提案を中心に3方向に線を伸ばすことだ。
この線が因果関係、ストーリーラインに相当する。
ビジネスモデルキャンパスのストーリーラインは5パターンぐらいあると思う。
①顧客価値
[CS] 顧客の課題 → [VP] 解決価値 → [CH] 届ける経路 → [CR] 関係維持 → [R$] 対価獲得
②実現可能性
[VP] 約束した価値 → [KA] 必要な業務 → [KR] 必要な資産 → [KP] 外部補完 → [C$] 発生コスト
③マーケットイン型(顧客・価値起点ストーリー)
顧客の課題(CS) → 解決策(VP) → 顧客アプローチ(CH/CR) → 収益(R$) → 実行体制(KR/KA/KP) → コスト(C$)
④プロダクトイン / シーズ型(強み・リソース起点ストーリー)
自社の強み(KR/KA/KP) → 新たな価値(VP) → 適合する市場(CS) → 販路(CH/CR) → 収益とコスト(R$/C$)
⑤マネタイズ逆算型(財務・収益モデル起点ストーリー)
収益モデル(R$) → 適合する価値と顧客(VP/CS) →コスト上限(C$) → スリムな運営体制(KA/KR/KP)
【3-1】1つ目は、基本は、顧客価値実現のストーリーだろう。
CustomerExperience(CX)に相当する。
まず顧客セグメントCSに、ペルソナを設定し、各ペルソナが持つ課題、悩み、要望を書き出す。
その顧客課題の解決策が、価値提案VPになる。
価値提案VPこそが、ビジネスモデルキャンパスの一番の肝だ。
なぜならば、価値提案VPは独自性を保つ必要があるからだ。
つまり、VPは競合差別化、競争優位性を持たせる必要がある。
KPIとしては、顧客満足度があるだろう。
次に、VPを実現するためには顧客にアクセスする必要がある。
それがチャネルCHであり、新規顧客、潜在顧客にアクセスするためのルート、経路を表す。
たとえば、HP、SNS、ダイレクトマーケティング、対面販売など色々あるだろう。
一般には、AIDMA、AISASなどのマーケティングフレームワークを使うだろう。
ビジネスモデルキャンパスでは、チャネルの5段階というフレームワークもある。
KPIとしては、リード数、成約率、CVRが相当するだろう。
次に、新規獲得した顧客を継続維持していく必要がある。
それが顧客との関係性CRであり、顧客維持の施策になる。
たとえば、顧客とのコミュニケーション施策、対人プロモーションなどがあるだろう。
KPIとしては、リピート率、契約更新率などがあるだろう。
次に、獲得した顧客が維持できるなら、そこから売上が計上できる。
それが収益の流れR$であり、売上の手段、売上の項目になる。
KPIとしては、ARPU(1人当たり売上高:Average Revenue Per User)、LTV(顧客継続価値)があるだろう。
すなわち、一連の流れに沿ってストーリーラインがあり、顧客セグメントに対し価値提案して最終的には売上計上につながるストーリーが作られるわけだ。
【3-2】2つ目は、新規ビジネスモデルの実現可能性を検証するストーリーだ。
フィージビリティスタディに相当するだろう
まず、価値提案VPに対し、具体的にどんな施策が必要になるのか?
その施策は会社の事業活動や業務、つまり、主要活動KAに相当する。
たとえば、事業、業務プロセス、オペレーションになる。
新規事業なら価値提供するための活動になるし、既存事業であれば、リソース創出や生産性強化になるだろう。
KPIとしては、生産性、納期遵守率があるだろう。
次に、主要活動の施策を実現するための経営資源が必要になる。
それが、主要資源KRに相当する。
たとえば、機械のような物的資産、特許のような知的財産、優秀なエンジニアのような人的資源があるだろう。
一方、主要活動の施策を実現する経営資源が自社だけでは確保できないケースも中小企業では多い。
そこで、外部の協力者である主要パートナーKPに頼ることになる。
たとえば、提携先、販売代理店、仕入先があるだろう。
つまり、自社の弱みを補完する役割を持つ。
最後に、主要活動KAを実現するために必要なコストC$が確定することになる。
たとえば、主要資源KRから売上原価の各項目が出てくるし、主要パートナーKPから仕入原価も出てくるだろう。
KPIとしては、
・売上高売上原価率、営業利益率、販管費率
・顧客獲得単価(CAC:Customer Acquisition Cost)
・1ユニットあたり生産コスト(Unit Cost)
・インフラ・システム維持費(Infrastructure Cost)
があるだろう。
一般に、固定費、変動費で分けてCVP分析もするだろう。
2年分の原価項目、売上があれば、損益分岐点は自然に出てくる。
よって、新規事業のアイデアを実現するために、自社が耐えられるコストはどこまでか、を検証できる。
残り3つも同様の考え方だ。
【4】ビジネスモデルキャンパスを描く時に使われるフレームワークには何があるのか?
ビジネスモデルキャンパスには、数多くの経営戦略やマーケティングフレームワークが多数含まれている。
だからこそ、ビジネスモデルキャンパスは有効なのだ。
具体的には、下記があるだろう。
基本は、コトラーのマーケティングフレームワークであるSTPPだ。
具体的には
Segmentation →顧客セグメントCS
Target →顧客セグメントCS
Positioning→価値提案VP
4P →価値提案VP、チャネルCH、顧客との関係CR、収益の流れR$
に対応付けられる。
つまり、CustomerExperienceを考える場合、一般的なマーケティングフレームワークSTPPを使えばいい。
4Pの裏返しである4C分析では、
CustomerValue →価値提案VP
Cost →コスト構造C$
Convenience →チャネルCH
Communicaton →顧客との関係CR
に対応付けられる。
SWOT分析では、
S →主要資源KA
W →主要パートナーKP、主要活動KA
O →顧客セグメントCS
T →価値提案VP
に対応付けられる。
アンゾフの成長ベクトルの観点は、顧客セグメントCSと価値提案VP、主要活動KAの組み合わせで考えられるだろう。
「事業計画に落とせるビジネスモデルキャンバスの書き方」、
「最強の戦略ツール ビジネスモデル・キャンバス」
を読むと下記のフレームワークもビジネスモデルキャンパスに対応付けられる。
市場細分化変数(地理・人口・心理・行動変数) →顧客セグメントCS
機能的価値と情緒的価値 →価値提案VP
ブルーオーシャン戦略の戦略キャンパス →価値提案VP
VRIO分析 →主要資源KR
バリューチェーン →主要活動KA
オープンイノベーション →主要パートナーKP
参入障壁、ポーターの競争戦略、競争優位性 →価値提案VP、ビジネスモデルキャンパスのストーリーライン
自己強化ループ、システム志向 →ビジネスモデルキャンパスのストーリーライン
リーンスタートアップ(Build→Measure→Learn) →ビジネスモデルキャンパスの検証
【5】結論として、ビジネスモデルキャンパスは有用なのか?
僕の回答は、新規事業の構想検討フェーズではビジネスモデルキャンパスはとても有効だと考える。
理由は3つある。
1つ目は、新規事業のアイデアをストーリーラインで説明しやすくなることだ。
特に、CustomerExperience観点でストーリーを語りやすくなる。
つまり、顧客起点のマーケティングを説明しやすい。
夢を語りやすくなるはずだ。
2つ目は、新規事業の実現可能性や収益確保をストーリーラインで説明しやすくなることだ。
経営者目線では、夢は分かるが、本当に実現可能なのか、収益を確保できるのか、が気になる。
しかし、ビジネスモデルキャンパスのストーリーラインで語れるので、経営者目線では、非常に理解しやすくなり、説得しやすくなるはず。
3つ目は、既存の経営戦略・マーケティングフレームワークを埋め込むことで、ビジネスモデルキャンパスの妥当性や根拠を強化できることだ。
各項目の要素は単なる思いつきの文言ではなく、各種フレームワークに依存しているならば、整合性や妥当性が自然に取れて、因果関係で説明しやすくなるはずだ。
この当たりのアイデアを使って、実際に使ってみる。
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