PLMツールとは部品表の構成管理ツールでありGitHubである
製造業のパッケージ製品に出てくるPLMとは結局何なのだろうか?
考えたことをラフなメモ書き。
【参考】
BOM/部品表入門: マテリアル・マネジメント改革の基本技術 (図解でわかる生産の実務) | 佐藤 知一, 山崎 誠 |本 | 通販 | Amazon
図解 DX時代のPLM/BOMプロセス改善入門 デジタル化 段階別課題解決のアイデア100 | 三河 進 |本 | 通販 | Amazon
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【1】製造業でよく使われるパッケージ製品は、ERPだと思っていた。
いわゆる生産計画と生産実績の管理、そこから会計管理までつながる基幹系システムのことだ。
しかし、製造業ではもう一つの重要なパッケージ製品があると分かった。
それがPLMツールだ。
製品そのもののライフサイクル管理を指す。
たいていは部品表を管理するためのツールだ。
では、なぜPLMツールは製造業でそこまで重要なのだろうか?
【2】PLMツールの本質は、部品表の構成管理にある。
その理由と経緯について書いてみる。
【3】製造業のビジネスモデルとは、製品を製造して、付加価値を付けて販売することだ。
その製品は数多くの部品から構成される。
自動車なら10万個の部品、飛行機なら100万個の部品が必要と言われる。
その他の精密機械装置であれば、1万~10万点ぐらいの部品から組み立られるケースが多いだろう。
部品数が10個程度ならまだしも、数千個、数万個になると、人間の記憶や紙媒体だけで管理するのは難しい。
しかし、今までの中小製造業では、こういう組立加工の製品を現場の長年の勘と経験だけでやってきた。
ちょっとした大手製造業ですら、せいぜいExcel媒体で管理しているに過ぎないケースが多い。
日本の製造業の現場では、ベテラン社員が長年の技能経験を元に、部品のノウハウを蓄積してきたおかげで、口頭伝承でも何とか製造できてきた。
でも、新人社員の確保が難しくなったり、技能継承が難しくなったりして、もはや勘と経験だけでは維持できない。
だから、PLMツールを用いて、部品表を整備し、部品の特徴や組立加工時のノウハウを全て蓄積することで解決しようとする。
【3】一方、こういう勘と経験が長年続いてきた理由の一つに、日本の製造業は見込生産よりも受注生産が主体のビジネスモデルだったからではないか、と考えている。
実際、日本の製造業では製番管理で部品や原材料の発注購買から生産計画、生産指示、生産実績まで管理しているケースが非常に多い。
たとえば、中小製造業なら元請けから製造委託を受けたり、過去の受注生産を元にリピート受注したり、リピート製番から部品を少しカスタマイズして派生開発したりするケースが多いだろう。
つまり、過去の受注生産の実績データを元に、製番をどんどん派生させて部品を少し入れ替えたり、カスタマイズして生産するケースが多いのだ。
すると、今までの受注生産の経験を活かして、ちょっと派生開発する程度で、現場の頑張りで何とかやってこれた、という実態が多いのではないだろうか。
しかし、多品種少量生産が普通になった現代では、過去のリピート製番から多数の派生製品が作られるので、過去の変更履歴やその経緯、変更理由が分からなくなっている。
そのために、生産後のクレームや本番障害、生産途中の仕損品の増加などに苦しめられているのではないか。
だから、過去のリピート製番にある部品表や工程表(レシピ)を記録し、リピート製番から派生開発する時はその変更履歴や経緯を記録したい。
そのためにPLMツールを導入して、部品表の変更履歴を残したいのだ。
そんな経緯があるから、PLMツールが必要だと理解している。
【4】「BOM/部品表入門: マテリアル・マネジメント改革の基本技術 (図解でわかる生産の実務) | 佐藤 知一, 山崎 誠 |本 | 通販 | Amazon」では、部品表の履歴管理が重要だ、という主張がある。
今までその理由は分かっていなかったが、たぶん、日本の製造業ではリピートの受注生産が多い背景があるので、部品表の履歴管理をPLMツールで一括管理すべきだから、と考えている。
【5】PLMツールが部品表の構成管理であるということは、ソフトウェア開発にたとえれば、部品表の履歴管理をGitHubで管理しているようなものだ。
実際、過去の1つの製番に対し、複数の製番が派生開発されるケースが多いからだ。
つまり、ルートにある製番からツリー状にどんどん部品表が広がっていく。
ちょうど、カンブリア紀から現代までの生物の歴史みたいに。
【6】すると、PLMツールによる部品表の構成管理では、どのようにリビジョン管理されるのか?
そのやり方は「図解 DX時代のPLM/BOMプロセス改善入門 デジタル化 段階別課題解決のアイデア100 | 三河 進 |本 | 通販 | Amazon」に詳しく書かれている。
具体的には、リピート受注時に、大元の製番から派生させて新規製番を作る。
しかし、受注生産の場合は、製品の仕様が固まるまで、顧客と何度かやり取りが発生する。
その都度、製番に紐づく部品構成は何度も更新されて記録される。
普通はリビジョンを付けて管理する。
そして、最後に見積もり確定する時に仕様が固まる。
この時に、製番が確定するので、バージョンを付けてFixする。
バージョンを付けて確定した製番が重要であり、その途中経過のリビジョンの製番データは不要だ。
普通は、社内で設計部門が承認した版をバージョンとして残し、過去のリビジョンは消す機能がPLMツールに必要だろう。
これらの部品表の構成管理は、PLMツールのワークフロー管理機能として実現されているだろう。
ソフトウェア開発から見れば、丁度この考え方は、Githubのブランチ新規作成とタグ付けと同じだろう。
また、GitHubのDiff比較と同様に、PLMツールでもリビジョンごとの部品表比較が重要だ。
設計部門の運用を見ると、部品の差分結果のコメントに、変更理由や見積もりに至った経緯を書き込んでいる。
この差分結果を出力してエビデンスを残して、見積もりの根拠に使っている。
PLMツールには他にも重要な機能がたくさんあるので別途まとめてみたい。
【7】まとめとして、PLMツールの存在意義は何なのか?
PLMツールは元々、設計部門が作るE-BOM、生産計画部門が作るM-BOM、購買部門が作るP-BOM、保守サービス部門が作るS-BOM、それらを統合して一括管理するツールだ。
一方、日本の製造業のビジネスモデルでは、受注生産が非常に多く製番管理が主体なので、製番の派生開発のために部品表の構成管理として使いたい意図がある。
PLMツールで部品表の構成管理を一括管理できれば、部品表の精度が上がることで設計品質の向上、生産計画におけるM-BOMの精度向上により生産リードタイム短縮、受注前の引き合いで見積もりを即座に行うことによる見積もりリードタイム短縮につながるメリットがある。
そこまで行き着くには、製造業の内部で、単に部品表を口頭伝承や紙媒体からデジタル化するだけでなく、PLMツールに蓄積された資産を有効活用できる施策を実行しなければならない。
製造業にはまだまだ改善できる余地がたくさんあるのだ。


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