時系列に依存しないモデリング
クラス図でビジネスをモデリングすると、時系列に依存しない抽象的構造を見出す方向で思索を深めていく。その感触が新鮮に感じる時が多い。
理由は、プログラムはたとえJavaのようなオブジェクト指向言語であろうとも、処理を逐次実行に並べていくことに気を使うからだ。処理の逐次実行という思考は、元来、フォン・ノイマン型計算機に発するから逃れられないけれど、論理的思考力に良くない気がする。
モデリングに慣れていない人を観察すると、クラス図を時系列に並べたトランザクションに書いている事が多い。その発想は、まさにソースコード・ドリブンだ。多分それでは、ソリューションとなるようなモデルにはならないだろう。
サイエンスは元々、多種多様な自然現象から普遍的構造を見出そうとするものだ。ビジネスの業務フローのように移ろいやすい処理を逐次実行に並べる行為では、ビジネスを支配する原理を見出せない気がする。
オブジェクト指向言語は、コンポーネントを組み合わせてシステムを作るという発想で、ある程度、時系列という枠組みから離れることができる。
(疑問:時系列に依存しないプログラムは存在するのだろうか?)
時系列に依存せずにロジックを考え直す行為は、ロジックをHowから考えるのではなく、Whatから考えることに通じている。オブジェクト指向アプローチを突き進めると、データの出し入れに気を使う発想ではなく、モデルの普遍的構造、つまりパターンを洗い出すことに繋がるのではないだろうか?
最近、パターンが流行しているのは、そんな所にあるのかもしれない。
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