WBS洗い出しは難しい
最近のシステム開発では、プロジェクトが動き出した途端に、仕様がコロコロ変わる時が多い。
変化に対応するには、どんな手法が必要か?
プロジェクトマネジメントは、結局、WBSの洗い出しから始まるように思う。
だが、WBS洗い出しは難しい。
理由は、まず、作業分担まで詳細化する手間が大きすぎる。管理工数を開発工数とは別に確保せねばならないが、普通のプロジェクトでは、5~10%以下しか割り当てられないので、高度なスキルが要求される。
更に、仕様変更やトラブルのために、せっかく作ったWBSにマッピングされたスケジュールを書き直す事が多い。しかも、スケジュール変更をチームメンバーに徹底させる手間がかかるから。
XPやCMM/CMMIのような開発スタイルでも、同じ問題は発生するのではなかろうか?
XPなら、開発するスコープを計画ゲームで制限する。更に、タスクカードを作る作業がWBS洗い出しに相当する。
CMM/CMMIでも、要求管理というプロセスで、要求そのもののスコープをステークホルダーの意思決定の元に決定してしまう。決定した要求仕様を覆すには、ステークホルダーの意思決定を再度行わねばならない。
WBS洗い出しは、ウォーターフォール型開発のように、開発計画書を作って、プロセスを定義して、タスクを決めて、という風に定められた手順で膨大なドキュメントを作りながら、決めていく。
#その意味では、XPもCMMもスコープ管理、WBS洗い出しの手法は似ている。
#しかし、それらの手法が編み出された動機が全く違うのだから、相違点に着目すべきだと思う。
XPもCMMも、変化に俊敏に対応することを目的にしているように思うが、その目的が本当に達せられたのか、疑問に思う所はある。
変化に対応するのが難しいのは、変化に対応できる環境作りだけでない。変化を受け入れた時の影響が具体的にどれだけ大きいのか、更に、変化に対応できるだけの手間がどれだけなのか、が分かりにくい事にあると思う。
例えば、システム保守で、仕様変更のたびに全ソースと全RDBを見直している時、調査工数そのものの大きさと、仕様変更を実施するための見積工数の正確さが結局、プロジェクトの成功/失敗を左右する。
つまり、WBS洗い出しの調査工数と、WBSの正確さがプロジェクトの成功/失敗を左右しているように思う。
但し、WBS洗い出しのような管理工数は、プロジェクトの規模によって異なるらしい。(「ソフトウェア開発の定量化手法」参考)
そこにヒントがある気がする。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- TwitterやFacebookは人力キュレーションツールとして使う(2022.10.02)
- 「現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全」の感想(2022.08.28)
- 人類は海辺から生まれた~水生類人猿説が面白い(2022.08.09)
- 戦前の日本人の気質はまだ成熟していない青年期と同じだった(2022.06.14)
- 物理学を攻略するためのマップ(2022.04.18)
「プロジェクトマネジメント」カテゴリの記事
- 「スクラムの拡張による組織づくり」のScrum@Scaleの感想(2024.03.31)
- ストラテジストとプロジェクトマネージャの役割の違いは何なのかpart2~プロセスのレイヤと達成目標のレイヤが異なる(2023.02.18)
- ストラテジストとプロジェクトマネージャの役割の違いは何なのかpart1~CSFはWBSみたいなものと捉える(2023.02.14)
- PM理論では課業志向の方が関係志向よりも生産性が高いことを主張しているのではないか(2023.01.22)
- 現代日本人の弱点はリーダーシップ不足と生産性が著しく低いこと、そしてリスク許容度が著しく低いことだ(2022.12.23)
コメント