MSはCMMに取り組む必要なし
とある勉強会MLで「ソフトウエア企業の競争戦略」の話が出た折、著者クスマノ氏が「MSはビジネス上CMMに取り組む必要はない」という指摘を昨年の講演で話したらしい。
うーむ、すごすぎ(^^)
どんな文脈でそんな話があったのか知らないが、インパクトがある。
僕の少ない経験では、日本のソフト会社でCMMに取り組んでいるとしたら、それは製造業のISO等の品質管理のソフトウェア版に相当する。その作業はドキュメントが非常に多すぎて、普通の業務にも支障が出るぐらいなのに、やらざるを得ない。
CMMでレベル5を取ったからと言って、それでビジネスの利益に結びつくのか、と言われると、心もとない所は確かにある。
CMMのようなプロセスはウォーターフォール型開発に近い。しかし、今のソフト開発の流れは、繰り返し型開発プロセスが主流。
重要な点は、ウォーターフォール型開発では、設計や実装を重視してテストを軽視するが、繰り返し型開発プロセスでは、ビルドやテストの方を重視していることだと考える。
「ソフトウエア企業の競争戦略」感想文が載っているここのBlogでは、下記の問いが投げられている。
「Windows開発プロジェクトチームのうち、最も強い「権力」を持っていた
のはどれか?
1.プログラマ
2.テスタ
3.ビルダ
」
僕は「テスタ」だと思っていたが、実は「ビルダ」だった。
ビルドって、1日の最後に夜間バッチで働いてくれるぐらいしか思いつかないし、ビルド担当者は新人SEが任せられる時が多いけれど、実は一番重要なんだよね。
最近、「構成管理」という言葉が流行しているけれど、その概念は「ビルド」プロセスに密接に絡んでいる。
なのに、構成管理の概念はCMMなどのプロセス管理の本でよく出るのに、ビルドプロセスとの関連を説明している本は少ないらしい。
日本人は品質管理にうるさい面はある。その特徴が製造業では有利に働くが、IT産業では実は優位性がそれほどないのだろう。少なくとも、日本のどのソフト会社よりもMSの方がITビジネスで成功しているし。
ソフトウェア開発のプロセスはもっと研究する余地があるように思う。
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