プロジェクトマネージャ=ディレクター+プロデューサー
はぶさんの本「幸せなITパーソンになるためのいきいきする仕事とやる気のつくり方」に、「プロジェクトマネージャの職務をディレクターの役割とプロデューサーの役割へ意識して使い分けるとうまくいく」という一節があって、何故プロジェクトマネージャは普通の管理職の仕事と違うのか、という疑問に答えられそうな気がした。
本では、2つの役割を下記のように説明している。
【ディレクターの役割】
→成果物を作成するプロセスを管理する。
課題達成重視。
例:計画策定・遂行、進捗管理
【プロデューサーの役割】
→全ての成果物に責任を持つ。
問題解決型。
例:
プロジェクトの目的と成果物の明確化
プロジェクトの運営体制の構築
リスク管理
利害関係の調整
丁度、演劇や映画の「監督」「演出家」に相当するのではなかろうか?
Wikipediaでは、「監督」「演出家」を下記のように説明している。
演出家の職務は、劇を作品的成功に導いていくことである。そのために俳優の演技や、舞台に必要な様々な要素をコーディネートし、演出していく。演劇は複数の人間・芸術分野のコラボレーションから成り立つ芸術だが、一つの劇をつくる際に必要な様々な部門の中でも、演出家は戯曲の解釈、コンセプトや作品の芸術的方向性、表現手法などについて具体的なヴィジョンを持ち、なおかつ最終的な決定権を握っている。(中略)
演出家の仕事は通常、本番開始後には舞台監督に引き継がれる。その場合、舞台監督は演出家の定めたコンセプトや劇の進行を、公演期間中維持する責任を持つ。
つまり、演出家は成果物に最終責任を持つから、成果物をより良い物にするためのあらゆる問題を技術面、政治面から解決する。監督は、そのプロセスを管理する。
「はぶさんの本」に書かれている通り、監督の役割に固執すると、問題解決の糸口が見つからない。むしろ演出家の役割から、困難な状況を変えてくれそうな本質的問題を発見して、解決することで、現実を変えることができる。
僕の少ない経験では、プロジェクト管理者はどうしてもスケジュール管理ばかり追われて、スケジュールが遅延する真の問題を考えることまで頭が回らない。つまり、現状を維持するプロセスにしか能力を使っていないわけだ。
会社の中間管理職は、普通はプロセス管理しかやらないから、監督の役割だけで演出家の役割を担っていない場合が多いのではなかろうか?
プロジェクトマネージャの仕事は奥が深い。
「はぶさんの本」はいい本です。是非ご賞味あれ(^^)
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