インターネットが既成メディアを脅かす
今日の朝日新聞のオピニオン欄に、TBSと楽天の騒動に対する藤田晋氏と氏家斉一郎氏の二人の意見が記載されていた。意見が全く違いすぎるのが面白かった。
氏家斉一郎氏は日本テレビ社長。内容に新鮮味はない。規制緩和で守られた官公庁の立場の意見にすぎない。
対して、藤田晋氏はアメーバブログを作っているITベンチャー社長。
現状のネット企業の強み・弱みを認識している。強みはIT技術をビジネスに展開できる能力に長けていること。これは誰でも知っている。
弱みは、ライブドアとフジテレビのバトルから判明してきたが、ネット企業にはコンテンツがないこと。だから、楽天は欲しがる。AppleもiTunesで音楽コンテンツだけでなくビデオまで販売している。
そもそもネット上の情報は信憑性が薄い。信用がない。だから、テレビ等の既成メディアのコンテンツがあると、少なくとも信用価値は高まる。それによるアクセス数、広告収入、等のビジネス上の価値。
何故、コンテンツを欲しがるのか?
「楽天は本当にAppleに対抗しようと考えたのか?」の記事では、もっと泥臭い事実を指摘している。
要するに、もう楽天の「ショッピングモール」というビジネスは、寿命間近なのだ
楽天にしてもライブドアにしても、ビジネスの基盤ははるかに脆い。
そんな弱みを持ちながらも、藤田氏のチャレンジャー精神が興味を惹いた。
経営実態よりも高い株価は、批判もあろうが、なにかをやってくれるのではという期待感の現れ。その期待にこたえず何もしないのは、仕事をしていないのと同じだ、と。
全くその通り。その期待に対する経営責任を背負いながらビジネスをやっている。
既成メディアにいるビジネスマンから、こんな言葉は出てこないのではなかろうか?
最近、メディアとネットが反発している背景には、その企業を支えるビジネススタイルが根本的に違うからだろう。
木村剛のBlog「マスコミはインターネットが嫌いなのか?」を読むと、少なくとも、ブロガーと既成メディアの間に緊張関係が存在している事実が読み取れる。
しかも、既成メディアは、世の中の人達の意見を吸い上げて、展開していく能力がなくなってきている。
既成メディアは現状に安住しすぎて、ムーブメントを起こすだけの力をなくしつつあるように見える。
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