ソフトウェアプロダクトラインが解決しようとするもの~品質と再利用
ソフトウェア業界が生まれてからずっと抱えているテーマは、「品質」と「再利用」ではなかろうか?
構造化にせよ、オブジェクト指向にせよ、またRUPやXP、そしてソフトウェアプロダクトラインまで、全てはこの二つをいかに解決するのか、にかかっている。
そして、結局、誰もが納得する答えはまだない。
【1】何故、品質と再利用がそんなに重要なのか?
ソフトウェアは所詮、コンピュータに命令する作業手順に過ぎない。
しかし、それに修正を施して保守・運用し続けていくうちに、複雑化して最後には誰もが触れなくなるようになってしまう時がある。
システムが稼動して品質が保証されると、そのシステムはパッケージ製品・ライブラリとして再利用して、次の製品を安く高い品質で作ろうとする。
しかし、カスタマイズしていくうちに複雑化し、品質を制御できず、落ちてしまう時がある。
品質と再利用はコインの表と裏。
品質が保証されたシステム、プログラムはパッケージ製品、ライブラリとして再利用できる。
再利用できるシステム、プログラムは、色んな使い方で運用されるため、品質が保証されている。
システム、プログラムは運用されて保守されてナンボのもの。
開発時の品質はテスト品質に過ぎず、運用品質に満たない。
【2】SEA関西プロセス分科会にて感じたこと
8月末にSEA関西で、ソフトウェアプロダクトラインの本の翻訳者の講演があった。
小林さんと佐々木の話はとても分かりやすかった。
お二人のソフトウェアプロダクトラインに関する話を聞いていたら、とどまるところ「品質」と「再利用」がテーマそのものだった。
ソフトウェアプロダクトラインが解決しようとしている「品質」と「再利用」の解答は、ソフトウェア工学の知識の集大成みたいなもので、すごく自然なような印象だった。
何も難しいことは言っていない。
興味深かったことは、品質にアーキテクチャとチーム構成が関わること。
アーキテクチャと品質の関係性は当たり前。
でも、後者は、トヨタやアサヒビールの例のように、成果物の品質には、開発チームのマネジメントが密接に関わるという示唆は、最近のIT業界の人間系の流れ(ファシリテーション等)と関連があるのかもしれない。
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