マネージャの仕事はビフォーアフター志向
最近、こんな本「プロフェッショナルマネジャーになる50の技法」を読んでみて、「マネージャの仕事とは一体何だろう?」と疑問に思った。
自分が経験したことを振り返りながら、気付いたことを書いてみる。
【1】現場を変化させたことが評価基準になる~ビフォーアフター志向
以前、日曜夜8時に住宅リフォームの番組があって、僕も楽しく見ていた。
内容は、猫の背中ほどの中古住宅をいかに安い資金で、あっと驚くようなお洒落ですみやすい家へリフォームするか、というもの。
リフォーム前と後の変化が大きい時ほど面白い。
同様に、スタイルに自信の無い女性を美のスペシャリストが大変身させるという番組もあった。
いずれも、「関与する前と後でいかに変化させたか」が成功の評価のポイントになる。
山田太郎さん(ネクステック社長)の外資系プロマネ成功術の一つに「客を変化させたことが評価になる」というフレーズがあるけれど、それと同じ。
「マネージャの仕事はビフォーアフター志向」という文句が最初に出てくるが、実体験上その通りだと思う。
【2】現場の開発者を成長させることでプロジェクトを加速させる
プロジェクトを回しながら、開発チームを動かす場合の「ビフォーアフター志向」とは何か?
それは「現場の開発者を成長させたこと」だと思う。
例えば、最初は、1画面の実装に1週間もかかっていたのに、3ヵ月後にはわずか2人日で検証完了できるようになるとか。
つまり、開発速度がスピードアップしなければ、成長したことにはならない。
マネージャも、成長による加速度を工数計算に入れている節がある。
つまり、そのシステムの仕様やフレームワーク・ライブラリを3ヶ月も使えば、ある程度慣れてくるだろうから、最初の頃よりも高品質で少ない工数で開発できるでしょ、と。
実際はそう思惑通りにならないけど。。
ある1人の開発者が成長することで、周囲のベテランも刺激を受ける。
成長する開発者がいる現場は、活気があって自然に楽しい。
その意味では、開発チームは、色んなスキルを持つ人たちが集まっている方が、成長しやすいのびしろが残っている。
だから、若手を故意にチームに入れて、彼を育てることがすごくマネージャには重要。
プロジェクトマネージャは、「いかに開発者を成長させるか?」「成長できる開発環境をいかに作るか?」を常に考えて準備しておくべきだと思う。
この辺りの技術は、プロジェクトファシリテーションやXP(eXtremre Programming)がすごく意識してルール化しているので参考になる。
開発者を成長させるには、ペアプロは効果的。
綺麗なプログラムやロジックを読んで真似て書くことで、その考え方に慣れていく。
【3】変化を作る仕掛け~特に報連相
マネージャとしては、チームを変化させる手段の一つに、報連相の仕組みを作ることがある。
つまり、報告の業務フローを明示すること。
昨日は何をやったか、今日は何をするのか、を毎日報告させるだけで、開発者にマネージャの意図を意識付けることができる。
実際、報告の時に、遅れた原因を聞いてアドバイスしたり、彼の能力ではこのプログラムは書けそうに無いと分かったら、アサインし直すと決断することができる。
プロジェクトファシリテーションでは、朝会をうまく進捗報告の場としてルール化している。
以前、児玉公信さんの講演で「エリクソンペンカーのプロセス図を若手経営者に書かせたら、フィードバックループが無い」と嘆いていたのを思い出す。
つまり、結果を評価するというPDCAサイクルを意識する人が少なかったという意味。
報告とは、開発者の今日の作業を計画し、昨日の彼の作業を評価するという大事な場でもある。
マネージャとしては、開発者からの相談はいつも受け入れるようにしている。
理由は、開発者の作業を止めないようにしたいだけでなく、彼の作業ステータスを確認したり、彼が今の作業をどれくらい理解しているのかを把握するのに使えるから。
数時間おきに相談に来る場合、その相談内容で、彼の進捗がはかどっているかを簡単に把握できる。
また、彼がどの程度まで自力で解決したか、という点から、彼の能力を評価する尺度になる。
プロジェクトファシリテーションは、相談しやすい雰囲気作りをテクニック化してツール化している。
プロジェクトファシリテーション、XPではこの仕掛けをチームの中から作り出すように意図している。
チームビルディングがうまいと思う。
【4】マネージャの仕事とは?
マネージャの仕事は、開発者の仕事とは違う。
開発者は1人分だけの仕事をやればいい。
でも、マネージャになると、自分一人の仕事はもちろん、部下5人の仕事もカバーできるだけの能力も必須。
更にその上で、チームを回す技術が必要。
この辺りの技術を再考してみたい。
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