【再考】プロジェクトリーダーの仕事
「プロジェクトを成功させる 現場リーダーの「技術」 」を読んだ。
この本は、プロジェクトリーダーがプロジェクトファシリテーションをどのように使えばよいか、というヒントがたくさんある。
プロジェクトリーダーの仕事について、自分なりに考えたことを書いてみる。
【1】課題と問題の違い
「課題と問題は違う」というフレーズがある。
この本では、下記のように定義している。
a.問題・・・目的達成の障害となる現象。例:トラブルなど。
b.課題・・・目的を達成するために解決すべき事象。プロジェクトの仕事は課題と捉えうる。
現場でプロジェクトが立ち止まってしまう時、その事象が問題なのか課題なのかを見極めることは重要だと思う。
問題となる事象は、因果ループ図で言うと、悪循環の負のループに陥っている構造のこと。
特に、トラブルが起きた時、応急処置で解決することも大事だが、根本的な原因は何かを探ることも大事。
そうでなければ、同じようなトラブルが何度も繰り返される。
この種の管理スキルは、リスク管理で捉えることが出来ると思う。
課題となる現象は、この課題を解決すればチームが前進する、というポジティブな問題とも言い直せる。
だから、プロジェクトリーダーは、課題を定義し、課題を解決するHowをイメージして、担当者をアサインできれば、後は、課題をトレースすればいいだけ。
課題さえ定義できれば、後はHowを考えて、アクションを起こすだけにすぎない。
この種のスキルは、PDCAサイクル。
目的から課題がスムーズに導かれるのは良い傾向とも言える。
つまり、ゴールから論理的に導ける課題があるということ。これは、チームメンバー全員で、ゴールも課題も共有しやすいことを意味している。
ゴールツリー、ロジックツリーから自然に導けるはず。
この時、課題を細分化した時、課題には、What課題とHow課題の2種類があると言う。
What課題は、ロジックツリーの第1階層に当たる。 何を実現するのか、価値があるものは何か、という観点に相当する。
How課題は、ロジックツリーの第2階層以降に当たる。どうやって実現するのか、と言う観点に相当する。
課題管理をすると、課題の粒度や優先順位付けに迷ってしまう所にある。
どの課題が最優先なのか、この課題を解決するにはどれだけのリソースが必要か、を考える時、課題を細分化しないといけないが、細分化しすぎて混乱する時もある。
僕のイメージでは、顧客からの要求はWhat課題にまで落とし、担当者1人でアサインできる粒度までHow課題を落とす。
そうすれば、複数のHow課題をまとめたら自然に一つのWhat課題(つまり要求)が実現できることになる。
【2】問題(課題)解決がプロジェクトリーダーの仕事
プロジェクトの仕事は課題と捉えうることもできる。
また、突然起きるトラブル解決も、プロジェクトリーダーが解決すべき仕事の一つでもあり、責任に含まれる。
プロジェクトリーダーに要求される役割は、論理的フレームワーク(メタ認識)を使って、問題を図式化し、チームメンバーに共有させることだと思う。
その時に必要なスキルは、問題を図式化するモデリング技術と、チームメンバーに説明し鼓舞するファシリテーション技術。
自分がプロジェクトリーダーになってから、アクティビティ図を使って、作業フローを説明する時が多くなった。
誰が何を担当するか、そして、自分の作業はチームのどこに位置するのか、をメンバーに説明し納得してもらうことはすごく大事。
役割と責任範囲を明確にすると、メンバーは仕事しやすくなる。
複数のメンバーの作業のインターフェイスを調整するのがプロジェクトリーダーの仕事だと思う。
【3】管理と言うより演出
「プロジェクトをストーリーに見立てる」というフレーズがあり、なるほどと思った。
プロジェクトは必ずスタートとクローズがある。特に、プロジェクトをクローズする定義をあらかじめ作っておくのが大事だと思う。
そうでなければ、プロジェクトの評価が悪くなり、従ってメンバーの士気も下がる。
必ずハッピーエンドになるように持って行く準備をしておくことだ。
プロジェクトをストーリーだと思えば、ストーリーに出てくる担当者が役者であり、プロジェクトリーダーは演出家だと喩えることが出来る。
担当者が思う存分力を発揮できるように、責任範囲を決めて、開発しやすい環境を整えて、割り込みタスクを防ぐのがプロジェクトリーダーの仕事。
管理という言葉を使いたくなるが、実際は、メンバーをサポートし、メンバーをゴールへリードするのがお仕事。
そこには、信頼関係という基盤があり、権限と責任が発生する。
この部分を円滑化させる技術がプロジェクトファシリテーションなのだと思う。
この本で眼を引いた一節が「リーダーの演出」。
プロジェクトリーダーも、チームの一員であるのだから、その役割がある。
だから、メンバーにその役割が見れば分かるように、言動を一致するように努めたり、約束を守る、包容力を持つ、などの基本所作が必要とのこと。
結局、プロジェクトと言う舞台では、メンバーだけでなく、プロジェクトリーダーも俳優の一部なのだ、と。
時々、プロジェクトリーダーも現場の仕事をやる一担当者になる時もある。
この本では「伝家の宝刀はひっそり抜く」と語られている。確かにリーダーが一担当者になると、チーム全体を見る人がいなくなるので、混乱してしまう危険性を孕む。だから、いつも刀を抜いてはいけない。
更に「抜かない刀はさびる」とも。確かに、プログラミング技術は鍛えないと、最新技術に乗り遅れてすぐに落ちる。常に最新技術の動向はおさえておかないといけない。
現場で働くリーダーにとって、参考になる知恵がたくさん詰まっているように思った。
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