真のIT企業はメディア企業を目指す
【1】サイバーエージェント藤田社長のインタビューで気になる言葉があった。
(前略)アメブロ以外でも重要な新規事業案件はありますが、我々はメディア企業として成長したいのです。
これほど影響力を持っていて、収益性が高い商売は他のどの産業を見渡しても見当たらないですから。
藤田社長がメディア企業へ目指している点は示唆に値する。
実際、電通や博報堂などの大手の広告代理店、そして大新聞社やテレビ会社の給料は、30歳の普通のサラリーマンで年収1000万円以上にも達する。
かつて、ライブドアや楽天は、既存メディアを買収しようとしたが、手段は違うがその狙いも同じだろう。
Appleも同じ。
iTunesは音楽CDに限らず、DVDも含めたエンターテイメントメディアを売り出すエンジン。
Life is beautifulでも似たような記事がある。
(前略)そういうところまで踏まえた上でiTunes storeをもう一度見直してみるとAppleの戦略が見えて来る。
iTunes storeは今やWal-martに次ぐ世界第二位の音楽流通業者だが、ジョブズの目標はWal-martを抜いて業界一位になるなんて低いところにはない。
狙いは当然、iTunes store単体でCD全部の売上げを抜くこと。そしてその次のターゲットはDVD。
ジョブズはiTunes+iTunes storeを「CD」や「テレビ」に匹敵するメディアに育てようとしているのだ。
Googleも、検索エンジンによる広告収入のおかげで、強大な広告代理店だ。
特に日本の既存のメディア企業は、作ったコンテンツを規制に守られた電波の上に流して、広告で儲ける。
彼らは著作権や既存の業界慣行に縛られて、今のネット企業のやり方を真似ることができない。
朝刊を読むたびに、新聞社がインターネットによる影響力の侵食、そして著作権の侵食に危機意識を持っているのが読み取れる。
メディアは、行政・立法・司法に次ぐ第四の権力と言われる。
それぐらい政治的影響力があるのだ。
【2】しかし、おそらく日本の殆どのソフトウェア会社は、受託開発中心のSIer。
このビジネスは多重の下請け構造からなっていて、僕ら開発者を苦しめている所がある。
最近は海外へオフショア開発して、大手SIerほどプログラミング力が落ちて、更に首を絞めている所がある。
良くても、ハードウェアと抱き合わせでパッケージ製品を売るハードウェアベンダー。
そのハードウェアは昔からのメインフレーム中心。
Sunでさえも、自社のSolarisが売れなければ売り上げは増えない。
日本の製造業は世界に戦える技術力と品質を持つ。
しかし、ハードウェアの発想が強くて、ソフトウェア開発の意識が少ない気がする。
特に家電メーカーを中心とする組み込み系ベンダーは、CMM/CMMI、SEPG、SPIなどプロセス改善に力を入れるが、何となく違う気もする。
ソフトウェア開発では、開発プロセスも大事だが、それ以上に技術力、特にプログラミング力が大切だ。
プログラマが互いに競い合い、技術を磨く環境作り。
プログラマが仕事しやすい環境作り、優秀なプログラマによるチーム運営は、以前のQC活動とは違った発想を必要とする気がする。
だから、XPからPF(プロジェクトファシリテーション)が生まれて、開発者同士のコミュニケーションやチームビルディングに重きを置くようになった。
【3】真のIT企業はメディア企業を目指すのではないか?
それは、GoogleやAppleのように、技術力を基盤に、各種コンテンツを誰もがコスト無しで公開できて読めるようなインフラを作ること。
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