電子書籍の作り方part2
電子書籍を作るプロセスについて考えたことをメモ。
【元ネタ】
404 Blog Not Found:Ambient Reading - 書評 - 電子書籍の衝撃
Island Life - 『プログラミングClojure』のできるまで (訳者サイド)
電子書籍の本質は、404 Blog Not Found:Ambient Reading - 書評 - 電子書籍の衝撃の下記の文言に言い尽くされている。
(中略)
電子書籍は、こうした「本の黒宿命」を一挙に打破する。オンラインであればいつでも買える。在庫切れはありえない。そして不動産価格ゼロ。
電子書籍がすごいんじゃないんだ。電子化されたことで、本はやっとTVやWebといった他のメディアと同じ土俵に立てるようになったと見るべきなんだ。
(後略)
書籍がオンライン化されることによって、音楽CDがiTunesによる曲のダウンロードに代わったように、本も電子書籍のダウンロード販売へ突き進むだろう。
音楽CDが1枚2000円だった価格から1曲100円に下がって一気に普及したように、書籍も1冊2000円から200円に下がれば皆が気軽に本を読めるようになるはず。
Web2.0時代のマーケティング手法であるロングテールを活かして、あまり売れない専門書や学術書も絶版を気にせずにいつでも取得することができる。
そして、電子書籍は、従来の出版社が原稿をDTP化して管理するのではなく、ePubのようなフォーマットでテキストベースで管理すべきだろう。
我々プログラマは、自分たちが作った成果物は必ずバージョン管理の配下に置く。
ソースもExcelの仕様書も構成管理に入れることで、バックアップできるだけでなく、修正履歴も残すことで、安心して修正できる。
そのおかげで、修正のリズムが生まれ、モチベーションも上がる。
電子書籍も同様に構成管理で管理すべきだ。
ePubフォーマットならば、XHTML+CSSというテキストだからSCMによるソース差分が有効で、安心して修正できる。
技術書をアジャイルに作る記事にも書いたように、電子書籍は下記のようなイメージでアジャイルに作れるはず。
著者は、電子書籍の原稿をsigilのようなうWYSIWYG エディタで書いてePub形式で保存する。
↓
修正が終わったら、SVN・MercurialなどのSCMへコミットする。
↓
毎晩、ビルド管理ツールHudsonでPDF又はePubにビルドして公開する。
↓
公開した電子書籍をユーザが読んで、RedmineやTracのようなITSへフィードバックする内容をチケットに書く。
↓
著者は、チケットを読んで原稿を修正し、SCMコミット時にチケットとSCMリビジョンをリンクさせる。
修正が完了したら、チケットをCloseする。
↓
電子書籍の最終版を公開して、読者はePub形式でiPhoneやiPadで読む。
つまり、SVN(Mercurial)+Huduson+Redmine(Trac)という出版管理サーバーによって、簡単に電子書籍を作って公開できるようになるはず。
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