ペア作業やミーティングをクラウド化する
大規模プロジェクトになるほど、コミュニケーションの重要性が高まる反面、複雑性も増す。
コミュニケーション作業そのものをクラウド化できないか、アイデアをメモ。
大規模プロジェクトでは、小規模プロジェクトとは違った問題が現れてくる。
メンバーが増えるので、XPのようなオンサイト顧客、ペアプロのような対面の作業がやりにくくなる。
メンバーが増えるほど、コミュニケーションパスは増大し、誰が何を言ったのか、すぐにわからなくなる。
ちょっとした仕様変更を伝えるにも、逐一ドキュメントに残す作業が増える。
メンバーが多いほど、トップのマネージャの考えが伝わらないのだ。
まさに伝言ゲーム。
一番の問題はミーティングにあると思う。
ちょっとしたレビュー、仕様変更のフィードバック、課題の棚卸のために、十数人のメンバーが2時間以上も会議を開く。
マネージャやプロジェクトリーダーなど地位が高い人ほど、1日の大半が会議で潰れてしまう。
10人が2時間の会議を開くだけでも、20人時間、つまり2.5人日分も浪費している。
それだけの価値があるかどうかも不明。
だが、ミーティングをクラウド化することで、ミーティングを効率化できないか?
各メンバーは自席のPCで、Skypeで議論しながら、GoogleDocsのドキュメントを複数人が更新し合って、一つの議事録を作り上げる。
あるいは、UStreamやWebカメラなどを使って、物理的に離れたチーム同士でミーティングをスムーズに行う。
レビュー作業が重要と分かっているのに、そのレビューが不十分な原因の一つは、せっかくレビューしたのに理解漏れのために仕様が漏れてしまうこと。
ペア作業みたいにやりたいけれど、5人以上のレビュー会議では、1台のPCで作業できない。
ならば、各自の自席のPCでSkypeで議論しながら、一つの設計書を見ながら、レビューアが直接修正してはコミットすればいい。そうすればレビュー漏れもない。
ペアプロもそうだ。
特にオフショア開発の場合、Skypeで議論しながら、SVNにある一つのソースコードを複数人のレビューアがソースレビューすればいい。
Eclipseには、地理的に離れていてもペアプロできるプラグインもある。
幸いなことに、SkypeもUstreamも導入コストは小さい。
その気になれば、開発チーム内でストリーミングサーバーを作って、Webカメラを使って、地理的に離れたチーム同士でミーティングできるようにすればいい。
とにかく、大規模プロジェクトになるほどコミュニケーションのコストが大きい。
システムに非機能要件があるように、単体のコンポーネントの信頼性が高くても、全てのコンポーネントを結合して初めて分かる問題もある。
大規模プロジェクトのコミュニケーションコストの大きさは、小規模プロジェクトにはない特有の問題なのだ。
大人数の作業環境そのものをクラウド化して、誰でもその作業が見えるようにして、すぐにフィードバック出来る環境が欲しい。
チケット駆動開発は、進捗情報を自動集計することによって、進捗報告のコストを無しにした。
同様に、クラウド化によってコミュニケーションコストを下げることはできないか?
同様に、昨今の技術革新でコミュニケーションをサポートできないのか?
| 固定リンク
「プロジェクトマネジメント」カテゴリの記事
- ストラテジストとプロジェクトマネージャの役割の違いは何なのかpart2~プロセスのレイヤと達成目標のレイヤが異なる(2023.02.18)
- ストラテジストとプロジェクトマネージャの役割の違いは何なのかpart1~CSFはWBSみたいなものと捉える(2023.02.14)
- PM理論では課業志向の方が関係志向よりも生産性が高いことを主張しているのではないか(2023.01.22)
- 現代日本人の弱点はリーダーシップ不足と生産性が著しく低いこと、そしてリスク許容度が著しく低いことだ(2022.12.23)
- プロセス設計はどの範囲を指すのか?~プロマネの仕事はテーラリングにある(2022.06.19)
「ソフトウェア工学」カテゴリの記事
- QAエンジニアの役割は開発チームのガードレールみたいなものという考え方(2023.08.21)
- テストアーキテクチャ設計モデルとJSTQB概念モデルの比較(2023.07.02)
- パターンカタログよりもモンスターカタログの方が面白いね #jasstkansai(2023.06.24)
- 「ゲームをテストする バグのないゲームを支える知識と手法」の感想(2023.06.10)
- JSTQBのテストプロセスの概念モデルを描いてみた(2023.05.26)
「プロジェクトファシリテーション」カテゴリの記事
- PM理論では課業志向の方が関係志向よりも生産性が高いことを主張しているのではないか(2023.01.22)
- 「世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書」の概念図(2022.01.16)
- 【資料公開】チケット駆動開発の解説~タスク管理からプロセス改善へ #redmine(2022.01.14)
- 昭和の管理者の承認処理は判子押印、令和の管理者の承認処理はいいねボタンを押すこと(2021.12.31)
- チケット駆動開発のプロセスとチケット管理システムの全体像 #Redmine(2021.12.28)
「Agile」カテゴリの記事
- 日本のアジャイル開発の先人による話が良かった(2023.07.15)
- JSTQBのテストプロセスの概念モデルを描いてみた(2023.05.26)
- PM理論では課業志向の方が関係志向よりも生産性が高いことを主張しているのではないか(2023.01.22)
- 現代日本人の弱点はリーダーシップ不足と生産性が著しく低いこと、そしてリスク許容度が著しく低いことだ(2022.12.23)
- DDPは品質管理に役立つのか(2022.12.13)
最近のコメント