SugarCRMの運用サイクル
「実践!オープンソースCRMアプリケーション入門 (ネクストエンジニアSELECTION)」を読んで、SugarCRMの運用サイクルがようやく分かったのでメモしておく。
#あくまでも僕の理解に過ぎないので、誤りがあるかもしれない。
SugarCRMはOSSのCRM。
顧客管理システムゆえに、いわゆる営業支援のソフトに近い。
営業のプロセスはどの会社であっても、下記のフローに集約される。
集客と集まった見込み客リストの整備
↓
見込み客リストへのアプローチの順番の優先順位付け
↓
見込み客へのアプローチ
↓
提案や見積もり
↓
クロージング
↓
販売後フォロー
SugarCRMは営業フローを一通り支援する機能を提供しているようだ。
SugarCRMの運用サイクルは下記になる。
まず、SugarCRMではターゲットリストを作成する。
ターゲット(見込客)のリストを作成し、製品やサービスの提供を行うマーケットを決める。
SugarCRMでは、既存の取引先やリード、新規顧客を選んで選択することになる。
この作業はマーケティング担当者が、市場調査を行って、戦略を決定してから行う時が多いだろう。
次に、キャンペーンを作成する。
キャンペーンとはターゲットリストに対する集客であり、見込客へアプローチをかける準備を行う。
電子メール、ニュースレター、電子メール以外のキャンペーンの3種類から選ぶみたい。
自社から顧客へ営業やニュースレターを送るアウトバウンドメールも集客に含まれるだろう。
もちろん、大ホールを借りてイベントを開催して集客する時もある。
電子メール - SugarCRM日本語ドキュメントプロジェクト
そして、リードを生成する。
リードとは、マーケティング部門に到達した潜在顧客であり、メールやニュース、Webなどから自社製品に興味を持ってくれた顧客を指す。
リードソースは、リードがアプローチをかけたチャネルを指す。
例えば、メールやWeb以外にも、既存客、飛び込み、自己生成などがある。
リードソースはチャネルであるから、ビジネスフレームワークの4Pのプロモーションに当たる。
リードは、SugarCRMの中でも重要な概念。
リードソースを分析することによって、新規顧客の候補に効率的にアクセスできるルートを探せる。
営業マンならば、普通に飛び込み営業で新規顧客に足を運んでも100人中3人しか、お話させてもらえない。
リードの確率を上げることが営業では重要。
マーケティング担当者はリードへ営業マンをアサインし、営業マンはリードに営業しに行く。
営業マンにアサインされたリードは取引先になる。
SugarCRMでは、取引先に顧客の会社情報、取引先担当者に実際の担当者情報を設定する。
営業マンは取引先へ提案は販売などの商談を行う。
SugarCRMの商談には商談ステージというステータスがあり、その商談が今どんなステータスか、そして最終的にどんな結果になったのか、を管理できる。
営業マンは受注を目指すが、当然、失注するときもある。
商談で履歴を残すから、失注した原因も後で分析できるから、その後の営業活動にフィードバックできる。
SugarCRMでは、コール、ミーティング、タスク、ノードなどの機能を使って、営業のタスクや活動を管理していくみたい。
そして、見積もりして、最終的に契約して受注する。
これがクロージングに相当する。
しかし、OSSのSugarCRMでは、見積もり・受注・売掛金の回収・請求書の発行などの契約管理の機能がない。
プラグインや商用機能で提供しているらしい。
OSSではこの機能がないので、営業でもっとも重要なプロセスはフォローできてない。
最後に、契約して販売した後の顧客へフォローアップする。
最近のビジネスを見ると、フォローアップがうまく管理出来ていないと、クレームで評判を落としたり、逆に顧客から訴えられる危険もある。
SugarCRMでは、まずケース管理で顧客からの質問、要望、問い合わせを管理する。
つまり、ケースで顧客からの対応履歴を残し、履歴を分析して、クレームの原因を突き止めたりしたりする。
BTSチケットに似たような機能だ。
また、受注して受託開発を開始したら、1個のプロジェクトでタスク管理を行いたくなる。
SugarCRMには、簡易のプロジェクト管理の機能もあるみたい。
プロジェクト - SugarCRM日本語ドキュメントプロジェクト
また、社外からの問い合わせ窓口を担当しているカスタマーサポート部門は、SugarCRMのインバウンドメール機能を使うと便利だろう。
インバウンドメールは、info@で始まる問い合わせ用のメールアドレス。
Wikiの解説が詳しい。
インバウンドメール - SugarCRM日本語ドキュメントプロジェクト
(中略)
これらの電子メールアドレスは sales@example.com などのように部門を表す一般的なメールアドレスになっていて、そのアドレスを1人以上の担当者で共有し、インバウンドの電子メールで寄せられた問い合わせに対応しています。
かつて、問い合わせがほとんど電話であったころ、電話はほとんどの場合に一対一の会話になるので、誰が問い合わせに対応しているか、また、誰が折り返しの電話をしなければならないかは簡単に決まっていました。
しかし、電子メールは複数の担当者が同時に受信することが多々あるので、誰がどの問い合わせの担当なのか、また、誰がどの問い合わせに回答したかを厳密に管理することが非常に難しいのです。
SugarCRM 4.0では、このような対応履歴管理の難しいインバウンドメールの管理を効率的に行うことが出来ます。
セールスフォースや他の会社の商用CRMも、SugarCRMに似たような機能を持っている。
OSSだから、各種のプラグインはハックもあるみたい。
OSSの業務支援ツールは、RedmineやTrac、TestLinkのように、その分野特有の概念を機能へ昇華してくれているので、使い方に慣れると自然にスキルアップできる。
OSSの業務支援ツールの機能には、その業務のベストプラクティスそのものが含まれているからだ。
現状の業務をそのままシステム化するよりも、このようなツールを導入して改善する方が中小企業の場合は良いのかもしれない。
色々試してみると面白いと思う。
| 固定リンク
「ソフトウェア」カテゴリの記事
- 「RedmineのUbuntu+Docker構築への移行」の感想 #redmineT(2024.11.24)
- Javaのモジュールシステムの考え方をまとめてみた(2022.10.21)
- Javaのenum型はシングルトンクラスみたいだ(2022.06.20)
- テスラが従来の自動車メーカーと異なるところは工場までソフトウェア化すること(2022.02.09)
- 「RubyやRailsは終わった」という記事のリンク(2022.01.09)
コメント