CMMIはアジャイル化できるのか?
SPIJapan2010で、CMMIとアジャイルのパネルディスカッションがある話を読んだ。
その時丁度、InfoQ: 2つの世界の衝突:PMI(米国プロジェクトマネジメント協会)とアジャイルも読んで、思ったことをラフなメモ書き。
#以下はあくまでも一つの意見に過ぎない。
【元ネタ】
日本SPIコンソーシアム (JASPIC) - SPI Japan 2010
InfoQ: 2つの世界の衝突:PMI(米国プロジェクトマネジメント協会)とアジャイル
BABOKはアジャイル開発に使えるか - 記者の眼:ITpro
アジャイルはなぜ失敗するのか?~教科書には載っていない反復型開発の3つの掟: プログラマの思索
CMMIが日本で受け入れられている理由は、ソフトウェア工場の発想だと思う。
CMMIの本来の思想がどうであれ、日本のソフトウェア開発は製造業のように、前工程のミスをなくして後工程につなげて、後戻りしないような作業工程を作り出し、品質をアップしようと言う発想だと思う。
そんな発想の日本流CMMIにアジャイル開発の発想を取り込むことは可能なのだろうか?
CMMIは整然とした理論体系となっていて、現場の改善よりも現場が理論に合わせることを強制させられている。
そんなCMMIに、アジャイル開発のアイデアを取り入れたら、整合性が取れなくなるのではないか?
僕は、アジャイル開発の根本アイデアである小規模リリースをCMMIがどのように取り入れているのか、が知りたい。
イテレーションという概念をどのようにプロセスに実装するのか?
多分、そのままでは受け入れにくい。
繰り返し型開発と言いながらも、ScrumやXPのようなインクリメンタル型ではなく、RUPのようなイテレーティブ型になっているだろう。
多分、そのままではプロセスとして運用しにくいだろう。
PMIがアジャイルに反論しているのは、PMBOKがアジャイルとは違った発想から成り立ち、発展してきた経緯を考えれば当然だ。
多分、折衷案はありえないと思う。
せいぜいスコープ管理が似ているとか、そういうレベルでしかないと思う。
BABOKも同様だと思う。
BABOKがシステム化提案や要件の引き出しという超上流工程でアジャイル化しようとすれば、それはRUPのようなイテレーティブな繰り返し型開発にならざるを得ず、それは純粋なアジャイル開発ではないと思う。
CMMI・PMBOK・BABOKのアジャイル化に力を入れるよりも、アジャイル開発がそれらの良い所を取り入れて、アジャイル開発を更に理論として強化する方が生産的な気がしている。
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