MSのTestManagerはTestLinkと全く同じ!
MSのTestManagerの記事があったのでメモ。
【元ネタ】
InfoQ: 新しいテスト専用ツールを活用したテスト プロセスの包括的な管理
Microsoft Visual Studio - ソフトウェア テストの包括的な管理で生産性と品質を向上
TestManagerのホワイトペーパーを読んだら、テスト管理の概念やテストプロセスは、TestLinkと全く同じだ。
プロジェクト、テスト計画、テストスイート、テストケース、ビルドの用語も意味も、TestManager、TestLinkと全く同じ。
つまり、下記の構造を持つ。
プロジェクト◇--テスト計画◇--テストスイート◇--テストケース
テスト計画◇--ビルド
MSのTestManagerがTestLinkよりも優れている点は、MSらしくユーザインタフェースが使いやすそうで、TeamFoundationServerのような他のツールとスムーズに連携出来ること。
テスト管理ツールは、テストケースやテスト結果の管理のためにあるが、バグ管理やタスク管理、ビルド管理、バージョン管理などとも連携できなければ、その威力は半減するからだ。
それらのツールと連携して、各種のレポートやメトリクスを出力して、SW開発のリスクや課題、方針などの意思決定をサポートする方向へ進化している。
IBMもSW開発を支援するツールを最近強化していて、タスク管理やバグ管理だけでなく、テスト管理などもサポートするツールを販売している。
IBM スマートなソフトウェアで生産性を向上 Rational Jazzポータル概要 - Japan
IBMもテスト管理については、そのノウハウを公開している。
最近、IBMやMSがAgile開発に力を入れている動きと、これらツールの販売は非常に密接に絡んでいるのではないだろうか、と直感している。
僕自身も、Redmineによるタスク管理、TestLinkによるテスト管理、Hudsonによるビルド管理を通じて、SW開発を効率化できただけでなく、Agile開発の有効性とその課題を経験することができた。
Agile開発は、本に書かれた知識を鵜呑みにするだけでは成功しない。
真にAgile開発を運用するには、数々のノウハウが必要であり、それを知っている人だけが、Agile開発の恩恵を受けているように思う。
多分、IBMもMSもSW開発支援ツールを通じて、有効な結果を出すことに気づき、更にツールを通じてAgile開発を小規模から大規模までのプロジェクトに応用できることを知り、SW開発支援ツールとAgile開発をセットに売り出そうとしているのではないか?
では、何故、SW開発支援ツールとAgile開発が密接に絡むのか?
Agile開発は、高度なツールなしでは運用が難しく、SW開発のキャズムが存在しているからではないか?
Agile開発はそもそも、従来のExcelやPostItによる手作業のマネジメントだけでは絵に描いた餅であって、本来の力を発揮するには、特有の開発環境を必要としていたからではないか?
僕が経験した限りでは、チケット駆動開発のような強力なタスク管理やイテレーション管理は必須だし、並行開発やソフトウェアプロダクトラインをサポートするバージョン管理も必要だし、強力なビルド管理やテスト管理によって品質を確保することも大事。
それらのノウハウが無ければ、Agile開発をいくらやりたくても多分うまくいかない。
IBMもMSもテスト管理、チケット管理、ビルド管理を統合した製品でSW開発、更にはAgile開発を支援する方向に進んでいるように見受けられる。
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コメント
TestLinkは工事現場みたいなタイガーカラーのアイコンデザインで損をしている気がします。
投稿: MIZOMIZO | 2010/10/27 08:42