アジャイル開発を前提とした受託開発
永和システムマネジメントさんがアジャイル開発を前提とした新しい契約形態での受託開発サービスを発表していた記事があったのでメモ。
【元ネタ】
新しい契約形態での受託開発サービス | 永和システムマネジメント
プライベートセミナー『アジャイルに適したまったく新しい契約形態での受託開発サービス トライアルのご紹介』(2010/11/24) ? 株式会社永和システムマネジメント コンサルティングセンター
永和システムマネジメントの新しい受託契約がすごく面白い - ただのにっき(2010-11-11)
WEB技術者の事業貢献度をもっと高めたい - GoTheDistance
受託開発の契約をアジャイル開発を前提とした形態にしてSIビジネスする発想はとても興味深い。
責任者は木下史彦さんと公開されていて、XP祭り関西などで何度もお話を聞いていたから、なるほどと思った。
SW開発が製造業と異なる収益構造を持つ特徴は、製造業がPoint of Sales、SaaSがPoint of Useである点だろう。
つまり、製品は販売した時点で価値が一番高いけれど、所有した途端に減価償却が始まって、数年後には価値がゼロになる。
実際、車にしても家電製品にしても、所有した時点で中古品となり、価値が半減する。
SaaSの場合、モノを所有するのではなく、サービスを利用する形態になる。
特にアジャイル開発を前提としたSaaSの場合、倉貫さんが話す通り、システムは常に機能改善されていくので、利用者は最新機能を使えるようになる。
第7回 クラウドサービスの開発に活用 - 幸せを呼ぶアジャイル開発:ITpro
SW開発のビジネスモデルとしては、SaaSの方がアジャイル開発に向いているし、受託開発よりもソフトウェアの価値も高くなるだろう。
しかし、受託開発において技術者として難しいと思う点は、プログラムを改変する権利がプログラマになく、パッケージ製品ベンダーや顧客にある場合だ。
下記に状況を書いた。
SIerの俺様フレームワークは最悪に激しく同意: プログラマの思索
特に受託開発では、システムの納品と共に、ハードとソフトを一括して納品する時が多い。
その場合、システムの著作権は顧客にある。
その理由は、システムが顧客の業務に関わる場合が多いから、守秘義務が発生しやすいから当然のこと。
すると、せっかく受託開発で作ったライブラリやフレームワークは、他の案件で使えなくなる。
ソフトウェアの再利用が難しいから、また一からスクラッチ開発しなくてはならない。
永和システムマネジメントさんのプレスリリースで興味を惹いたのは、顧客はシステムを利用する契約であり、システムの著作権はSIにあると明記していること。
この契約なら、受託開発で作ったライブラリもソフトウェアもその後の案件で流用可能。
しかし、はてなブックマーク - kanu-orzのブックマークで書かれているように、羽生さんも似たようなビジネスを展開していたけれどあまり売れなかったという話もある。
次回のイベントで、ビジネスの動向に関する経験談が聞けるかもしれない。
今後の動向に注目したい。
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