どの業界でも管理・設計支援ツールの重要性が増している
日本の半導体産業は一世を風靡していたが、今はエルピーダ1社以外は生き残っていない。
日本の半導体産業が負け組になった原因は、半導体設計支援ソフトの開発で負けた時に勝敗が決まっていたからだ、という指摘を見つけたのでメモ。
下記は思いついたままのラフなメモ書き。
【元ネタ】
日本の半導体産業はどこで負け組みに転じたのか - しんたろサンの日記
日本「半導体」の凋落とともに歩んだ技術者人生 世界シェア50%を誇った日本の半導体はどこへ JBpress(日本ビジネスプレス)
日本「半導体」の凋落とともに歩んだ技術者人生 世界シェア50%を誇った日本の半導体はどこへ JBpress(日本ビジネスプレス)
(引用開始)
日本の半導体産業はどこで負け組みに転じたのか。
結論から言うと、半導体設計支援ソフトの開発で負けた時に、もう勝敗は決していたのだろうと思う。
当初、日本の半導体メーカーはどの会社も、半導体開発のためのソフトを自前で開発していた。これをある時期から大半をアメリカ製に頼るようになった。何でもかんでも自前がいいというつもりは無いが、なぜここで負けたのか、という点には、反省すべき点が山ほどある。この戦いで勝てないのに、他人のふんどしよろしく購入したツールで勝負しようなどと考えたのが甘すぎたんじゃないのか。
(引用終了)
半導体産業は設備装置産業。
日本の半導体産業はそのスピードに追いつけなかった。
その根本原因は、設計支援ソフトを外国製の製品に依存していて、製品がコモディティ化したことではないか、と。
実際、DRAMはネジクギと同様に、タダ同然。
そして、自動車産業もCADという設計ソフトを自社製ではなく外国製の製品に依存しており、ガソリン自動車から電気自動車へ転換する時代の流れを考えると、自動車もじきにPCの部品組立のようにコモディティ化されてしまう可能性もある。
つまり、自動車は誰でも簡単に作れてしまう時代がもうすぐ来ている。
同様の事象は、液晶テレビや携帯電話などの家電製品にも見られる。
パソコンの設計・製造と同じビジネスモデル。
携帯電話も自動車も家電製品も、半導体が辿った道のように、じきにネジクギと同じぐらい安値になる。
PC業界のソフトウェアのように、付加価値の高い部分へシフトする必要があるのに。
半導体産業はシリコンサイクルという過酷なビジネス環境の産物。
半導体産業は「イノベーションのジレンマ」に書かれているショウジョウバエのような実験モデルと同じ。
経済学者から見れば、短期間に企業の勃興から消滅までの成長過程を見ることができるのだから、これほど研究しやすいビジネスモデルはないだろうが、当事者の経営者や開発者からすれば変化についていけず苦しいだけ。
イノベーションのジレンマ~過剰技術・過剰品質の罠: プログラマの思索
ソフトウェア開発でも、設計工程と言う前工程の品質を上げるやり方は、安く早く作るAgileなやり方に相反している。
WF型開発という高コストで高品質な開発プロセスは、今の時代に合致していないのではないか?
製造業での過去の成功体験がIT業界の技術革新を阻害しているのではないか?
上記の記事で思ったのは、管理や設計支援ツールの重要性がIT業界だけでなく、半導体や自動車業界でも高まっていること。
もはやハードの製造はPCの部品組立レベルになっている。
すると、どこで付加価値を作るのか?
IT業界は、実は他の業界に比べると、自分たちの作業の自動化が非常に遅れているように思える。
プログラムの自動生成よりも、テスト駆動開発や継続的インテグレーションのように、書いたプログラムを即製品化するプロセスの方がはるかに重要。
いくら前工程の設計プロセスに時間をかけても、製品になるまでの期間が長いほど、顧客からのフィードバックが遅れて、機能改善という名のバグ修正が延々と続くだけ。
動かない設計書、動かないプログラムがたくさんあるほど不良在庫になる。
そして、Excelでチマチマと進捗管理したり、部門別の損益計算書をExcelで手集計したりするのはもはや時代遅れ。
特に昨今は工事進行基準やらJ-SOXやらで、プロジェクトマネジメントの精度の高さを要求させられている。
マネジメントもツールによる自動化が必須の時代になっているのではないか?
現代は、あらゆる業界でソフトウェアの重要性が増しているわけだ。
ソフトウェアを制するものがビジネスを制するのかもしれない。
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