ソフトウェアかんばんと仕掛けかんばん、引き取りかんばん
「アジャイル開発でよく言われるソフトウェアかんばんとは、仕掛けかんばんなのか? 引き取りかんばんなのか?」という質問を聞いたので、改めて調べてみた。
完全に理解できてないので、情報だけ集めておく。
【元ネタ】
InfoQ: 「かんばん」をソフトウェア開発に適用する: アジャイルからリーンへ
InfoQ: 「かんばん」をソフトウェア開発に適用する: アジャイルからリーンへの記事のように、平鍋さんはソフトウェアかんばんに、トヨタ式生産方式(TPS)にある仕掛けかんばんと引き取りかんばんのアイデアを注入しようと試されているようだ。
トヨタが生み出したかんばんには、カンバン - Wikipediaの通り、納入指示用の引き取りカンバン、生産指示用の仕掛けカンバンの2種類がある。
仕掛けかんばん、引き取りかんばんはソフトウェアかんばんとは異なり、もっと製造現場の目的、つまり必要な時だけ製造して在庫を極力減らすために使われる。
仕掛けかんばん、引き取りかんばんは、ソフトウェアかんばんよりもはるかに機能が豊富で強力な仕掛けがあるのだ。
仕掛けかんばんは、工業簿記で出てくる製造指図書を連想させる。
製造指図書は、製造するために必要な材料と製造方法、製造時期を記述した指示書だ。
製造指図書には製品に含まれる全ての材料が書かれているからこそ、原価を計算できて正しい値段で製品を売ることができる。
つまり、製造指図書は利益計画や原価差異、原価計算に強く関係する。
また、製造指図書によって、材料から製品までトレースできるので、材料に不良品が混じっている場合、どの製品が出荷できないのか、を追跡することもできる。
つまり、製造指図書はトレーサビリティの元ネタにもなる。
ソフトウェアかんばんは所詮、ステータス単位にタスクカード(PostIt)を貼り付けたタスクボード(ホワイトボード)なので、本来のかんばんに比べるとはるかに貧弱。
本当は、顧客価値に直結する機能を少しずつ作っていく仕掛けをソフトウェアかんばんに注入して、プログラミングという下流工程が要件定義や設計という上流工程の作業をPull化したいはず。
平鍋さんはどう考えているのか、聞いてみたい。
もっと調べてみる。
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コメント
昨日はありがとうございました。
ユーザ側チームと開発チームの間でストーリーカードをもとに「計画ゲーム」を行い、一方、開発チーム内での作業割当てをタスクカードで行うとすれば、ストーリーカードは引き取りかんばん、タスクカードは仕掛けかんばんに似ていると言えるかもしれませんね。
投稿: keis | 2011/02/26 23:59
◆keis さん
勉強会では色々質問させて頂いて、とても参考になりました(◎´∀`)ノ
なるほど、
ストーリーカードは顧客がシステムの納入を指示する引取りかんばん、
タスクカードは製造指図書のようにいつまでにどれだけの成果物を作るかという作業を指示する仕掛けかんばん、
と見なせば、
ストーリーカード⇔引き取りかんばん
タスクカード⇔仕掛けかんばん
になるわけですね。
チケット駆動開発のアイデアに入れてみたいと思います。
投稿: あきぴー | 2011/02/27 11:56
色々ぶしつけな質問をしてすみませんでした。
精緻な仕掛けのトヨタ生産方式をメタファーに使う事にどうも違和感をぬぐいきれないです。ストリーカードを引き取りかんばんと考えるのは分かりやすいですが所詮1工程でしか使えないのに「かんばん」と言う必要はないかなと・・
おっさんの愚痴ですから聞き流してくださいね
投稿: sano | 2011/02/27 16:33
◆sanoさん
アジャイル開発のコミュニティでは「かんばん」だけでなくトヨタ生産方式のアイデアをソフトウェア開発へ適用しようとする動きがあります。
WF型開発のようなPush型ではなく、顧客価値を重視したPull型の開発を志向する時に、「かんばん」が一つのきっかけになっているのでしょう。
とはいえ、まだうまくマッピング出来ていないのが実情でしょうね。
今度、平鍋さんにも聞いてみようと思います。
投稿: あきぴー | 2011/02/27 18:25
そうですね。仕事の性質が違うので、まったく同じしくみを使うのは無理があると、私も思います。
一方、ストーリーカード・タスクカードとかんばんを対比してみると、例えば、ユーザ側チーム内でも、最終成果物としてのストーリーカードを作る過程で、タスクカード(仕掛けかんばん)があっておかしくないんじゃないかとか、あらたな視点が導かれたりして興味深いような気もするんです。
まあ、思考実験のレベルですよね。
投稿: keis | 2011/02/28 00:21