AgileJapan2011Osakaの感想~Agileのコンテキストが拡散している #aj11osaka #aj11
今日のAgileJapan2011Osakaの感想を書く。
【元ネタ】
AgileJapan2011Osaka
【1】2011年現在、以前と違って「アジャイル」という言葉のコンテキスト(前提条件)は聴衆が既に知って経験もしている事実をよしうみさん、えと~さんと話していて、ハッと気づいた。
だから、「XPとは」「アジャイル開発とは」という初心者向けの説明をするセッションが無かった。
XPが日本に登場して10年経つと思うが、アジャイルのコンテキストは普及したのかなと思う。
その事実を痛感したのは、川端さんの講演を聞いてからだ。
一つは、JavaのプロジェクトではXPを説明する作業が最初にあるが、Rubyのプロジェクトではアジャイル開発の文化が既に当たり前であったということ。
だから、アジャイル開発が楽しかった、と言っていたのが印象的だった。
最近のプログラミング技術の動向を見ると、Javaは既に停滞しており、Rubyでは次々に技術革新が起きている印象を持っている。
実際、JavaのWebフレームワークはStrutsやSeasarの出現以来、殆ど進化していない。
それに対して、RubyはRailsはもちろん、自動テスト技術のcucumberなど次々に新しいフレームワークが出てきて、プログラミング技術の生産性を高める方向へどんどん進化している。
以前と違って、RubyとRailsさえマスターすれば、簡単にWebシステムを作れて、ソフトウェアで社会に対して影響力を発揮することが可能になっている。
もう一つは、東大の教養課程でRubyが第一プログラミング言語に選択されているということ。
実際、ネットで調べてみると、確かにそうみたい。
Rubyという生産性の高いプログラミング言語に慣れるという意味では、とても良いことだと思う。
そこから自然にアジャイル開発の習慣に慣れる可能性があるから。
東京大学教養課程の第一プログラミング言語がRubyに - sumiiの日記
増原英彦『情報科学入門 Rubyを使って学ぶ』|無気力東大院生の不労生活
【2】AgileJapanではスーツ姿の人達が多かったので、その理由をスタッフや講演者に聞いてみたら、上司や友人を連れてくるためにスーツになっているのでしょう、という話を聞いた。
実際、AgileJapanでは、アジャイルという言葉・コンテキストが、プログラマ向けだけでなく、マネージャ向け、経営者向けでも通用していた。
その理由を考えると、日本のアジャイルの第1人者である平鍋さんの立ち位置の変遷と被っている気がする。
平鍋さんは10年前にXP行脚というイベントを日本各地で行い、プログラマ向けにXPを紹介してアジャイル開発を普及させようとした。
初期のアジャイルコミュニティのメンバー(特に日本XPユーザグループ)は、XPに影響を受けている人達が多いが、その発端はここにあると思う。
そして、2005年頃からプロジェクトファシリテーション(PF)という概念を提唱して、マネージャ向けにアジャイル精神をベースとしたチームビルディングの手法を普及させようとした。
PFP関西のようなコミュニティのメンバーは、平鍋さんが提唱したプロジェクトファシリテーションに影響を受けて行動をおこした人達が多いはずだ。
更に昨今は、リーンソフトウェア開発という概念を提唱して、経営者向けにトヨタ生産方式(TPS)をベースとしたアジャイルっぽい概念をITビジネスに注入して普及させようとしている。
経営者にアジャイルやファシリテーションを話してもあまり興味を引いてくれないが、トヨタ生産方式の話は経営者なら誰でも知っており、その有効性を一番気にしているので、マーケットとしてドンピシャりと当たっていると思う。
つまり、アジャイル開発というコンテキストをプログラマ向けを発端として、マネージャ向け、経営者向けへ拡張した方向を作ったのは平鍋さんだと思うし、そういう歴史を辿ると、平鍋さんの凄さを改めて痛感する。
でも、僕のアジャイル開発の立ち位置はやっぱりXPにあるのかなと思っている。
ScrumもPFもリーンからも重要な概念を教わったけれど、僕の立ち位置はまだプログラマであり、プログラミングを中心とする技術を追いかけるのが好きだ。
チケット駆動開発も現場リーダーの観点で概念をまとめようとしたし、今後も技術面を深く掘り下げたいと思っている。
AgileJapan2011Osakaで改めて自分の立ち位置を考えさせられた1日だった。
【追記】
下記の記事を読むと、AgileJapan2011で講演された牛尾さんも似たような感慨を持っているように思えた。
記事をリンクしておく。
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