チケット駆動開発にセル生産方式の概念を持ち込む
セル生産方式+アジャイルの記事を読んで、チケット駆動開発にその概念を持ち込めるように思えた。
考えたことをラフなメモ書き。
【元ネタ】
セル生産方式+アジャイルという枠組み - @IT情報マネジメント
チケット駆動開発の場合、ITSから発展した開発スタイルなので、突発的なタスク管理がやりやすい。
つまり、ITプロジェクトのように1回しか作らない製品開発や、ITILのような問合せ管理がやりやすい。
だから、ソフトウェアセル生産のように、多品種少量生産というルーチン化しにくい作業には向く。
チケット駆動開発なら、セル=チケット。
チケットがWBSの構造を持つので、システム(製品)を作るために必要な作業はチケットに全てマッピングできる。
もちろん、チケットには先行・後行の依存関係を付けれるので、製品の製造工程において、作業の順序を強く意識させることもできる。
突然の仕様変更依頼によって、作業日や担当者が変わったとしても、ITSのチケットの属性を簡単に変更できるので、即座に作業スケジュールに組み込むことができる。
あるいは、チケット駆動開発なら、セル=一つのコンポーネントを作る作業の集まり=ITSチケットの塊。
一人が一つのコンポーネントを作る責任を持ち、複数のコンポーネントが集まってひとつの製品が出来上がる場合、チケットの属性であるカテゴリをコンポーネントに対応付ければ、カテゴリ単位に人がチケットへアサインされる。
チケットには担当者がアサインされているので、各担当者が他メンバーや他のチケットに関係なく独立して作業できる。
つまり、チケット単位に開発=各人が独立して並行作業。
すべての作業が終われば、製品(システム)が完成されて出荷できる。
この考察を進めると、製品出荷=リリース予定バージョンで括られた全チケットが完了ステータスになること、と言い換えられる。
つまり、製品出荷に必要な作業は一つのリリース予定バージョンでグループ化される。
製品出荷の単位がリリース単位になる。
もちろん、製品出荷までにマイルストーンを細かく作って、ITSのバージョンにマッピングしてもいい。
チケット駆動開発を実践して気づくことは、チームのメンバーだけでなくチーム外の人も作業の現状を即座に把握できるので、風通しがよくなること。
ガントチャート、バーンダウンチャート、タスクボードを見れば、そのプロジェクトで誰のタスクが火を噴いているか、誰でも分かる。
だから、溢れたタスクを誰がカバーするのか、という対策を講じやすい。
チケット駆動開発で重要なポイントは、イテレーションという概念をタスク管理に自然に持ち込めること。
チケット駆動開発が回るようになれば、その対策の立案も実施も、リーダーが上から指示しなくても、メンバー自身が自発的に調整するようになる。
プロジェクトファシリテーションが提唱するアジャイル精神をベースとしたチームビルディングが自然に沸き上がってくるのだ。
そうすれば、プロジェクトの生産性も品質も向上してくるだろう。
チケット駆動開発には色んなメタファがある。
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