RedmineのガントチャートはMS ProjectのWeb版になりうるか?
Redmineのガントチャートを改造するパッチやプラグインをメモ。
Redmineのウリの一つは、チケットに開始日・終了日・進捗率を入力しておけば、ガントチャートを自動生成してくれること。
現場リーダーがあらかじめWBSからタスク一覧を洗い出して一括インポートした後は、Redmine上でメンバーがチケットを最新化してくれれば、プロジェクトの最新状況をガントチャートで見ることができる。
又、開発チームの進捗に直接タッチしない会社の上層部もガントチャートを見れる環境にしておけば、進捗の遅れやリスク、アラームを社内全体で共有できる利点もある。
だが、Redmineのガントチャートはチケットの親子関係も反映してかなり良くなったけれども、MS Projectに比べるとまだ足りない機能がある。
色々調べてみた。
【環境】
Redmine 1.1.2
【ガントチャート改造(日付)】
Redmineに入れたプラグイン一覧part3: プログラマの思索
【Redmine 1.1.2】ガントチャートに日付を表示させる|渋谷ではたらくイタズラ者、マー君のブログ。
HTML上のガントチャートに日付を表示させるパッチ。
【ガントチャート改造(担当者)】
Redmine1.1.0でガントチャート上の担当者名表示 - Redmine Users (japanese) | Google グループ
HTML上のガントチャートに担当者を表示させるパッチ。
【ガントチャート改造(PDF出力)】
10/19時点の1.1.0に向けて開発中のredmineのガントチャートに日付を出力 その2 - 雑多な日々
10/25時点の1.1.0に向けて開発中のredmineのガントチャートをPDFに その1 - 雑多な日々
Redmine の ガントチャートの PDF 出力に縦線を出してみた - 玩具箱
ガントチャートのPDFに日付や縦線などを表示させるパッチ。
デフォルトはA4用紙だが、A3へ変更するパッチはうまくいかなかった。
ガントチャートのPDFを出力したい要望は多いが、日付を各ページのヘッダに載せたいがまだ分からない。
【ガントチャートに先行・後行の矢印を入れる】
Redmineの新たにいれたプラグインについてまとめてみた: 100ねんごの未来予想図
Redmine - Better Gantt Chart - Plugins - Redmine
kulesa/redmine_better_gantt_chart - GitHub
redmine_better_gantt_chartプラグインを入れると、ガントチャート上に先行・後行の関係を表示してくれる有用なプラグイン。
つまり、ガントチャートのタスクの依存関係で、FSの関係があれば、その関係をMS Projectと同様に表示してくれる。
いつも「先行する」「後行する」の関係を迷うけれども、英語読みすればいいみたい。
例えば、#160のチケット上で「後続する」チケットとして#161を入力した場合、「#160が#161に後続する」関係になるようだ。
タスクのFS関係が重要な理由は、クリティカルパスを自動計算できるからだ。
クリティカルパスが分かれば、クリティカルパス上のタスクに遅延が発生しないように、リーダーは最新の注意を払えばいい。
あるいは、TOCのクリティカルチェーンに従って、クリティカルパス上の合流タスクに合流バッファをもうける手段を取ってもいいだろう。
Redmineのガントチャートがもう少し見栄えも機能も改善されれば、MS ProjectのWeb版になりうる。
逆に言えば、MS Projectの機能を全てRedmine上で実現してしまえばいい。
そうすれば、WF型開発やPMBOKが大好きな管理者に向けたアピールポイントになるだろう。
Redmineでプロジェクト管理を実施すれば、管理者には綺麗なガントチャートを見せておいて、実際の現場ではAgileな開発をやればいいのだ。
なお、RedmineのBacklogsプラグインでは色んな人たちが既に実践されているようだ。
下記の感想を読んで、僕も同感。
ツールに慣れてもらったら、実はAgile開発を自然に運用しているというやり方で広めていくのが良い気がしている。
Backlogs楽しくAgileのリズムつかめるよ!: 100ねんごの未来予想図
(引用開始)
自分の場合、チケットを仕事の中心において回していくことで様々なログをチケットに残していくようになった。また、残していくログがそれぞれのチケット間で関係を持つようになり、一種のデータベースのようになった。
Agileをやろうと決めたメンバーがRedmineをどのようにチームのやり方に合わせて使うか悩むのではなく,Redmineというツールを使って,ツールの使い方を覚えるうちにAgileな仕事の進め方を覚えていく.
通常は、目的があってそれに合うツールを探すと思うんだけど、アジャイルって何?っていうメンバーを巻き込むには、強制的にツールを使わせて言ったほうが体験を通して理解されていくのではと思った。
このやり方は割と受け入れられやすいのではと思った.やった人から広がっていく.そういう連鎖が生まれてくれれば嬉しい.
(引用終了)
【追記】
Redmine1.1.2のガントチャートを改善したパッチをアップしておく。
但し、自己責任でお願いします。
・\redmine\app\views\gantts\show.html.erb
→ガントチャート(HTML)に日付を表示する。
「show.html.erb_patch.txt」をダウンロード
・\redmine\lib\redmine\helpers\gantt.rb
→ガントチャート(PDF)に日付と罫線を表示する。
「gantt.rb_patch.txt」をダウンロード
【追記】
柴田雅之さんから、ガントチャート改造で下記のパッチを教えて頂いたので、リンクしておく。
ご指摘ありがとうございます。
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コメント
Better Gantt Chart のページ
http://www.redmine.org/plugins/redmine_better_gantt_chart
...をご覧になったのであれば、それと競合しないよう改良を続けているパッチ #2024
http://www.redmine.org/issues/2024
...の件も記述があるので、きっとご存じではないかと思いますが。
ちょっと Redmine 本線に取り込んでいただけそうもない雲行きのものですが、かなり便利で、うちで使うのに手を入れたり、作者の方に不具合などを連絡して改良を続けていただいてます。
そもそも1000件を超えるチケットでガントを表示するとかなり重くなるので、ガントからほかのページに移動すると戻るときに時間がかなりかかり、使うのがかなり億劫になるのですが、これだとガントから出ずに日程調整ができ、ミーティングのときガントを表示しながら進捗報告、日程修正ができます。
投稿: 柴田雅之 | 2011/05/27 16:28
◆柴田雅之さん
ご指摘ありがとうございます。
このパッチは知らなかったので、今度試してみます。
Redmineのガントチャート機能はまだまだ改善の余地があるように思います。
今後のVerUpが楽しみです。
投稿: あきぴー | 2011/05/28 23:01