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2011/05/20

SEを極める50の鉄則

@hatさんのBlogで、馬場史郎さんの本「SEを極める50の鉄則」が絶賛されていたので、立ち読みした感想をメモ書き。

【参考】
SEは年齢とともに成長しなければならない・・・馬場史郎「SEを極める」 - システムエンジニアの晴耕雨読 - 楽天ブログ(Blog)

SEを極める50の鉄則, 馬場 史郎 の感想 - ブクログ


SEを極める50の鉄則 馬場 史郎 感想 - 読書メーター

SEマネジャのやるべきことの原点はこの二つ - 馬場史郎のITプロに贈る“今日の一言”1ページ目:ITpro

SEマネジャのやるべきことの原点はこの二つ - 馬場史郎のITプロに贈る“今日の一言”2ページ目:ITpro

【元ネタ】
日経コンピュータ2011.5.12|HATのブログ

(引用開始)
SEとしての私のバイブルは、馬場四郎氏の「50の鉄則」です。先にあれを実践させて「まともなSE」を増やす事が重要だと思います。
(引用終了)

馬場史郎「新版 SEを極める 50の鉄則」入門編は、SE必須の本 Dora_PaPa_san's_Pages/ウェブリブログ

(引用開始)
馬場史郎氏の「SEを極める」は、2000年4月に、出版され、SE(システムズ・エンジニア)論(?)の先駆けになった。当初、このような本は、殆ど売れないのではないかと予想されたが、あれよあれよと1年もたたない間に3万部を軽く超え、その後も人気は衰えず、この手の本(ITに関わる人材、SEもの)にしては、異例の数となったらしい。
(引用終了)

「SEを極める50の鉄則」の入門編とマネジメント編をサラリと読んでみた。
著者の略歴を想像すると、IBMのHW製品とSW製品を抱き合わせて販売ないし受託開発していたと推測されるので、そういう立場のSEに必要な技術は何か、という観点で読むと分かりやすいと思った。
著者の経験を元にSEに必要なスキルを解説してくれているので、説得力はすごくある。

心に残った箇所はいくつかある。
一つ目は、あるべきSE像、プロジェクトに強いSEに必要なスキルは3つあること。
それは、技術力(基本力とも呼んでいる)、管理能力(いわゆるPM)、そして政治的能力。
技術力は、管理能力はすぐに理解できるが、政治的能力とは、体制づくりやプロジェクト再編成のための社内調整や顧客調整を指す。
僕自身は、技術力と最近は管理能力はようやく理解してきているけど、政治的能力はまだまだ分からない。
今はファシリテーションという技術をきっかけにして、取り組んでみたいと考えている。

二つ目は、プロジェクトに強くなるには3つの観点があるということ。
それは、プロジェクト管理の基本を抑えること、提案時に技術面の課題を詰めておくこと、そして、利用部門による稼動後の運用も考慮しておくこと。

プロジェクト管理では、WBSで300~500ぐらいの詳細化は当たり前だ、と喝破されて、ううむ、計画段階でそこまで落とすのは難しいな、と率直に思った。
又、品質要件をプロジェクト立ち上げ時に明確にしておかないといけない、という指摘は、なるほど、と思った。
確かに、品質要件に含まれる非機能要件は、システム提案や要件定義で出てくるものの、実際の設計段階では漏れやすく、結合テストやシステムテストで初めてリスクが判明するアンチパターンはとても多いからだ。
更に、利用部門の運用も考慮するという点は、単に信頼性などの品質要件だけでなく、実際の業務の運用にシステムがマッチしているか、という観点も含んでいるから、ディペンダビリティという品質要件も考えよう、ということなのだろう。
例えば、異常系の業務フローを要件定義漏れでシステムに実装していないがために、本番稼動後にユーザから使いにくい、というクレームが来るのはよくある事例だろう。

三つ目は、SEは5年おきに落第の危機が現れるという点。
下記の文章を読むと、実際に自分の周囲に当てはまる30代、40代のSEはいないだろうか?

SEは年齢とともに成長しなければならない・・・馬場史郎「SEを極める」 - システムエンジニアの晴耕雨読 - 楽天ブログ(Blog)

(引用開始)
「だが、現実のSEの状況を見るとそうではないケースが散見される。
20数歳から仕事を始め、最初の5年間ぐらいは日に日に力をつけ成長していくものの、28歳前後で何%かのSEは伸びなくなる。
進級できずに落第を続けるような状態である。
 その5年後、33歳前後になると、『成長できない落第SE』はもっと増える。
こうしたSEの成長の節目は、筆者の経験で言うと、38歳、43歳、48歳と5年サイクルで来る。
 筆者はこれを『SEの5年サイクルの危機』と呼んでいる。
(中略)
○落第SEの共通点
「28歳あるいは33歳ごろ」に落第するSEのキャリアは・・
 (1) 若い時、付加価値のある仕事をあまり経験していなかった。
 (2) ビジネスマンとして厳しく指導され、鍛えられてこなかった。
 の2点である。
「38歳、43歳あるいは48歳ごろ」に落第するSEのキャリアは・・
 (3) 新しいITについて行けない
 (4) SEとしての夢が持てない
 という共通点が見られた。
(引用終了)

「付加価値のある仕事」「ビジネスマンとして鍛えられたこと」とは、いわゆるプロジェクト管理能力、政治的能力のことを指すらしい。
そういう経験を経ないと、よほどの技術力が無い限り、単なる労働者になってしまう。

又、「新しいITについて行けない」とは、業務知識が足りないとか、設計や運用の技術が足りないことを指すらしい。
B2Bのシステム開発ならば、業務知識は最終的には会計、つまり簿記の知識が必要になるだろうと直感する。
そして、10年前や20年前にCobolやJavaで腕を鳴らしたとしても、今はクラウドやスマートフォンを舞台として、単なるプログラミングだけでなくサーバー運用の技術も必要とされている。
どんどん時代が変化しているのだから、自分の技術も進化させないといけないわけだ。

以前よく言われていた「SE35歳限界説」は、多分上記のような事実を指しているのだろう。
SEだけでなく社会人になると、30代になれば成長しなくなる人が多い事実と同じ。
成長しなくなる人は、20代までの貯金で生きているにすぎない。

SEはドラッカーの言う知識労働者。
常に自分のスキルを手入れするために、アンテナを広げておかねば、と改めて痛感させられた本だった。

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