平鍋さんの記事が熱い~日本のアジャイル10年、人々とコミュニティの私的物語
平鍋さんが2011年に『Ultimate Agile Stories - Iteration 1』へ寄稿された記事が公開されていたのでメモ。
日本のアジャイル界の第1人者である平鍋さんの観点から眺めたら、日本のアジャイルの歴史はこんな風に見えるというのがよく分かる。
チケット駆動開発も交えて、ラフなメモ書き。
【元ネタ】
日本のアジャイル10年、人々とコミュニティの私的物語:An Agile Way:ITmedia オルタナティブ・ブログ
平鍋さんが2000年にXPを初めて日本に紹介してから、日本のアジャイルの歴史が始まったと言っても過言ではないと思う。
多分、数多くの日本人開発者がアジャイルという言葉に、詳しい意味は分からなくてもそのエッセンスに惹かれて熱狂的に支持したのだと思う。
そして、日本XPユーザグループ(XPJUG)というコミュニティが生まれて、日本のITコミュニティの中でアジャイルが一つの分野として確立された。
だが、実際の現場では、なかなかXPもアジャイルも成功事例として普及しなかった。
今振り返ると、XP原理主義に走ったり、アジャイル開発を支える開発インフラが不十分だったり、組織体制が開発チームをバックアップする体制でなかったのも理由の一つだったように思える。
そんな中、管理職層に向けて、日本人向きのアジャイル精神を吹き込んだPF(プロジェクトファシリテーション)を平鍋さんが2005年頃提唱された。
PFは一つのブームとなり、PFP関西などPFに関するコミュニティが生まれて活発に活動し始めた。
今までアジャイルのターゲットは開発者層に限定されていたから、管理職層に向けたマーケティングとしては大成功だったと思う。
実際、PFで重視するチームビルディングは現場リーダーにとってとても重要な要素があると思う。
そして、最近はリーンソフトウェア開発やリーンスタートアップのように、経営者向けのアジャイル的なアイデアも提唱されて、アジャイルのマーケットが格段に広まった。
特に、IPAは非ウォーターフォール型開発の一例としてアジャイル開発に関する研究報告書をたくさん公開している。
この報告資料の中身にも平鍋さんたちが関わっているけれど、そんなことは関係ないぐらい、とても中身が充実していて、とても勉強になると思う。
IPAが書いたアジャイル開発の研究会報告書: プログラマの思索
アジャイル開発の契約スタイルに関するIPAの報告書: プログラマの思索
プロジェクト型開発は本当にビジネス価値を提供しているのか~IPAの非ウォーターフォール型開発の分析報告: プログラマの思索
定量的プロジェクト管理ツールはIT企業の基幹システムを目指す: プログラマの思索
また、もう一つ忘れてはならないのが、2008年頃から急激に認知され始めたScrumの普及だろう。
XPが技術重視なのに対し、Scrumはアジャイル開発に関する組織や役割とそのプロセスに注目して、XPが発見した概念をより明確にフレームワーク化した点がとてもすごいと思う。
でも、日本におけるScrumの位置づけや歴史はあまり綺麗にまとまっていない。
日本のScrumとアジャイルの歴史の対応関係を誰か読みやすい文章でまとめてくれると嬉しいなと思う。
また、チケット駆動開発もそんな日本のアジャイルの歴史の一つに入っている。
平鍋さんの文脈では、PFのデジタル化の一手法としてチケット駆動開発が紹介されている。
でも、僕はチケット駆動開発はアジャイル開発のIT化だけでなく、アジャイル開発の一実装例としてうまく説明できるようにしたいと思っている。
TiDD:チケット駆動開発: ソフトウェアさかばに書かれているように、オブジェクト指向も最初はSmalltalkコミュニティから育まれ、プログラミング技術の一手法から、OOAのような設計技法、RUPのような開発プロセスまで発展した。
アジャイル開発も、ケントベックが現場で編み出した開発プロセスの一つの手法として提唱され、PFのような管理職層向け、リーンソフトウェア開発のような経営者向けまで拡張された。
チケット駆動開発も最初は現場の一事例に過ぎないかもしれないけど、より多くの開発者と一緒に切磋琢磨して、ソフトウェア開発の次元を切り開けるようになったらいいな、と思っている。
| 固定リンク
「プロジェクトマネジメント」カテゴリの記事
- 掃き溜めの鶴を活かすマネジメント、それは強みSと環境Oを組み合わせたクロスSWOT分析と同じだ(2026.10.01)
- 第23回Redmine大阪の感想~AIの暴走はチケット駆動で制御する!AI時代に人間が担うべき真の役割は何なのか? #redmineosaka(2026.09.06)
- Redmineのブロッキング機能はどこで使うのか?~FF関係で使うべきだ!(2026.08.10)
- 製造業でアジャイルが定着しない理由~スプリント不在とチケット二重管理の壁 #Redmine(2026.07.18)
- Redmine利用成熟度モデルによる運用戦略(2026.07.12)
「ビジネス・歴史・経営・法律」カテゴリの記事
- ビジネスモデルキャンパスの構造がようやく分かった(2026.10.11)
- 掃き溜めの鶴を活かすマネジメント、それは強みSと環境Oを組み合わせたクロスSWOT分析と同じだ(2026.10.01)
- パランティアテクノロジーズの正体とはAI時代のSIerだ(2026.06.21)
- 【読書メモ】ミアシャイマーに学ぶイラン情勢と、社会科学における仮説検証の醍醐味(2026.03.29)
- 自動車業界におけるA-SPICE・機能安全・サイバーセキュリティの規格に対応したプロセス改善とは何か?(2026.02.15)
「コミュニティ」カテゴリの記事
- AI時代のソフトウェア開発者とはアーキテクトの役割として再定義される(2026.08.30)
- AI時代の「コードと人間の関係」を問い直す—デブサミ関西2026で考えた、アーキテクチャの未来とコミュニティの価値 #devsumi(2026.08.22)
- Redmine × AIがプロジェクト管理を変える:祝・Redmine20周年!RedmineJapan Vol.5の司会を全うして見えた「AI連携」と「製造業マネジメント」の未来 #RedmineJapan(2026.06.27)
- プ譜でプロジェクトの目的を管理する(2026.01.31)
- 第22回 Redmine大阪の感想 #RedmineOsaka(2025.09.21)
「プロジェクトファシリテーション」カテゴリの記事
- ふりかえり手法にジョハリの窓を使って自己開示と他者フィードバックを得る(2026.09.27)
- 組織変革の鍵を「聞く」体験から探る(2026.06.14)
- PM理論で読み解く日本人リーダーの弱点(2026.05.12)
- astahでPJ管理もプロセス設計もアイデア発想も全て表現したい(2025.10.25)
- PM理論では課業志向の方が関係志向よりも生産性が高いことを主張しているのではないか(2023.01.22)
「チケット駆動開発」カテゴリの記事
- Redmineのブロッキング機能で工程単位Redmine運用とトレーサビリティを解決するアイデア(2026.09.21)
- 第23回Redmine大阪の感想~AIの暴走はチケット駆動で制御する!AI時代に人間が担うべき真の役割は何なのか? #redmineosaka(2026.09.06)
- 人の成果物は品質基準に不足しすぎるが、AIの成果物は品質基準を超過しすぎる(2026.08.16)
- チケット駆動でAIを制御する仕組みのアイデア(2026.08.13)
- Redmineのブロッキング機能はどこで使うのか?~FF関係で使うべきだ!(2026.08.10)
「Agile」カテゴリの記事
- 第23回Redmine大阪の感想~AIの暴走はチケット駆動で制御する!AI時代に人間が担うべき真の役割は何なのか? #redmineosaka(2026.09.06)
- AI時代の「コードと人間の関係」を問い直す—デブサミ関西2026で考えた、アーキテクチャの未来とコミュニティの価値 #devsumi(2026.08.22)
- チケット駆動でAIを制御する仕組みのアイデア(2026.08.13)
- アジャイル開発を強化するキルチェーン進化の歴史~VUCA時代におけるモノづくりの新アーキテクチャ(2026.08.11)
- 脱PDCA!DXを加速する超高速戦略「KillChain」(2026.08.10)


コメント