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2012/08/12

アジャイル開発のアイデアを製品開発、Webサービスへ発展させる

最近、アジャイル「ソフトウェア開発」の考え方をソフトウェアの領域から製品開発やWebサービスのビジネスへ発展させようとする流れがある。
僕はリーンスタートアップもリーンソフトウェア開発も正直理解していない。
考えたことをラフなメモ書き。

【元ネタ】
Twitter / akipii: アジャイル開発とは相異なる専門技術者が顧客を巻き込んでチームを形成し漸進的にシステムをリリースしていくこと。 RT @smec925: アジャイル生産とは、コアコンピタンスをもつ複数の企業が連携して、特定の顧客のために高品質の製品をスピーディーに開発し、限られた量を生産する方式

アジャイル生産とは ~ exBuzzwords用語解説

リーン・スタートアップが生む価値――「Just do it!」の無駄を省く

リーン・スタートアップが示す「5つの原則」

リーン・スタートアップの実践――ソニックガーデンは2度ピボットした

【1】「リーン・スタートアップ」が最近、経営者の間ですごく流行している。
2012年現在の日本では、ほとんどの業界の大手企業の売上高も頭打ちか、むしろ大幅減少の時代。
だから、新規ビジネスに挑戦して売上高を増やして行かないといけないのに、毎年のように環境がめまぐるしく変わる状況では、従来のような5年、10年のような長期計画を立てても評価のしようがない。
せいぜい、2~3年の中期計画を立てて評価するしか、経営ノウハウを貯めようがない。

すると、リーンスタートアップのように、新規ビジネスを小さく始めて、マーケットの動向を見ながら、少しずつ改良を重ねてビジネスを大きくする手法が経営者は欲しくなってくる。
倉貫さんが最近盛んに提唱されているリーンスタートアップを使ったWebサービスのビジネス手法、平鍋さんが提唱されるリーンソフトウエア開発もこの流れになるように思える。

僕が以前読んだ本で、アジャイル開発を製品開発へ発展させようとした優れた本は「アジャイルプロジェクトマネジメント」だ。
アジャイルプロジェクトマネジメント」では、アジャイル開発の概念を流用して、最小限のプラクティスからアジャイルに製品開発するために必要な結果を生成できる、という信念で書かれている。
だから、アジャイル開発とビジネス、製品開発の違いが逆に分かりにくかった。

アジャイル開発の基本的な考え方は、日本の製造業が従来行なってきた多重下請構造から生まれたとよく言われる。
アジャイル生産とは ~ exBuzzwords用語解説にあるアジャイル生産の考え方は、下請け会社の部品を元請け企業がいかに効率良く自社製品の製造に使うか、という発想から生まれたように思える。

【2】上記の記事を読むと、アジャイル開発の概念に慣れている人ならば、リーンスタートアップはアジャイル開発のアイデアとマーケティングの概念をミックスさせた手法のように思えてしまう。
でも、従来のアジャイルソフトウェア開発とリーンスタートアップは何が違うのか?

リーンスタートアップで特徴的な概念は「MVP」「ピボット」という二つがある。
MVPはminimum viable product:実用最小限の製品。
このアイデアは、必要最低限の機能をリリースすべきであり、不要な機能は思い切って削ってシンプルにすべきだ、というXPの計画ゲーム、Scrumのプロダクトバックログを連想させる。
最初は小さく、徐々に大きく製品開発していく場合、最初から時間と労力をかけてリリースするのはリスクが大きいからだ。

ピボットは製品・サービス開発の方向転換のこと。
アジャイル開発では頻繁に現状を計画へ反映して変更して、実施しながら改善していく。
リーンスタートアップでは、マーケットの動向を見ながら、仮説検証スタイルで製品開発の方針を変えていく。
その時、計画を変更して実施していくタイミングをピボットと呼んでいるようだ。
つまり、やみくもに計画変更していくのではなく、マーケティングの要素を絡めて計画変更しているようだ。
リーンスタートアップでは仮説検証スタイルがよく言われるが、仮説にマーケティングを注入して計画変更の理由を強化しているように思える。

【3】僕が理解できていないのは「革新会計(イノベーション・アカウンティング)」だ。
「革新会計」は従来の管理会計とは異なり、リーンスタートアップのビジネスの価値や評価基準を定めるものらしい。
そもそも、リーンスタートアップで成功するとは限らないし、すぐに価値が生まれるとは限らない。
最終的に花形製品や主力製品になった時、それまでの下積み期間をどのように評価すべきか、という観点が必要になってくる。

プロダクト・ポートフォリオマネジメントの考え方によれば、問題児→金のなる木→花形製品の流れで製品を成長させて、「金のなる木」から得た収益を「問題児」に投入して「花形製品」に育てるお金の流れが原則になる。
リーンスタートアップの製品は最初は問題児であるから、どのように早く金のなる木へ変身させていくか、が重要になってくるのだろう。

プロダクト・ポートフォリオマネジメント - @IT情報マネジメント用語事典

TOCでもスループット会計という概念を導入して、会計の評価基準を変えようとした。
同様に、リーンスタートアップでも、その概念に見合った会計の評価基準がなければ、とても小さいけれど利益が出ていない製品開発をいつまでサポートした方がいいのか、判断しにくいだろう。

リーンスタートアップについては色々考えてみる。

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