「貢献したい気持ち」を持つ人達をコミュニティに集めて成果を出す仕組み~モチベーション3.0、アート・オブ・コミュニティ
昨日の品川Redmine勉強会に出て、感じたことをラフなメモ書き。
とりとめもないメモ。
【1】品川Redmine勉強会の懇親会で、とある女性から、私はTracにとてもお世話になったので、その感謝の気持ちから、ある勉強会のスタッフとしてお手伝いした、という話を聞いた。
世の中の女性全てが同じタイプではないけど、僕が今まで会ってきた優れた女性は、周囲の皆にも幸せになってほしいという気持ちから行動を起こす人が多いと経験上知っているので、とても共感できた。
そういう気持ちを持つ人達がコミュニティという場に集まっているのかな、と思う。
【2】コミュニティの面白さは、初対面でも、似たような興味をもつ同志(文字通り「志」が同じ人達)としてすぐに仲間になれること。
インターネットが普及したおかげで同志を集めやすくなった、という話を聞いた時もあった。
今まで自分があったことがない人達と議論したり、共同でプログラミングするだけでも、すごく知的刺激になる。
僕もコミュニティを通じて、アジャイルやOOA、テスト技術などを教わった。
またコミュニティでは、社会的地位や年収は全く関係ない。
コミュニティでは、その人が持つ技術力やリーダーシップなど、その人が本来持っている能力や人格が尊重されるし、技術やリーダーシップが抜きん出る人達がコミュニティで影響力を持つ。
その意味では、コミュニティはとても純粋な人間関係を育みやすいように思う。
2004年頃から今まで、たくさんのコミュニティに顔を出してきて思うのは、コミュニティはまさに人中心に動いていること。
コミュニティの中核となるメンバーが一人ないし複数人いて、彼ら彼女らが活発に活動する時はコミュニティも盛んになるが、彼ら彼女らの活動が下火になると、コミュニティの活動頻度も衰えて、関係そのものも希薄になる。
また、コミュニティが安定して維持していくのに重要な要素の一つは、勉強会の場所というホームを確保できるかどうか、という点。
活発に活動しているコミュニティは、マイホーム、マイ球場を持っている。
50人規模の部屋は、日本の個人の家では難しいので、どうしても大学などの公共機関や企業など公的機関を借りる事になりやすい。
交通の便が良く、近くにすぐに懇親会に行ける居酒屋があるような場所は意外に少ないから。
【3】コミュニティを動かすモチベーションとしては、「モチベーション3.0」の本を連想させる。
(引用開始)
コンピューター同様、社会にも人を動かすための基本ソフト(OS)がある。
〈モチベーション1・0〉…生存(サバイバル)を目的としていた人類最初のOS 。
〈モチベーション2・0〉…アメとムチ=信賞必罰に基づく与えられた動機づけによるOS。ルーチンワーク中心の時代には有効だったが、21世紀を迎えて機能不全に陥る。
〈モチベーション3・0〉…自分の内面から湧き出る「やる気!=ドライブ!」に基づくOS。活気ある社会や組織をつくるための新しい「やる気!」の基本形。
(引用終了)
「モチベーション3.0」では、モチベーション2.0に基づいた管理手法がいかに人から創造性をなくしているか、報酬に基づいた行動や目標設定した行動が逆に推奨されない行動を生み出していること、芸術家のようなクリエイターはモチベーション3.0に基いて偉大な作品を生み出しきた、などの事例を沢山載せている。
コミュニティ活動もモチベーション3.0から生まれた行動なのだろうと思う。
社員が創造的な活動に費やすことができる環境を整えた例として、Googleの20%ルールだけでなく、Jiraを販売しているアトラシアンでもFedex dayと呼ばれる日を作っているらしい。
金銭ではなくクリエイティブな人を惹きつける仕組みの一つとして、自律性(オートノミー)があげられている。
何となくScrumの自己組織化を連想させる。
【4】IT勉強会カレンダーのように日本でも各地でコミュニティが活発に開催されるようになってきた。
すると、コミュニティの運営ノウハウが重要になってきている。
「ボイス ソーシャルの力で会社を変える」では、「ソーシャル戦略の先にあるもの」として「競争戦略から協創戦略へ」というフレーズがあり、マイクロソフトがコミュニティを育てて、自社の製品販売のマーケティングにも使っている事例が載っている。
例えば、マイクロソフトMVPはマイクロソフトの製品や技術を広める活動をした個人に与える称号であり、コミュニティ活動が製品の普及に大きく影響している事例の一つだろう。
Microsoft Most Valuable Professional - Wikipedia
だから、コミュニティ運営が企業の販売戦略にも大きく影響してきているのがよく分かる。
でも、「ボイス ソーシャルの力で会社を変える」にも書いているように、自社の製品の宣伝にコミュニティを使うとうまくいかない。
製品を愛する人達が自然に動くような環境を作るのが大事らしい。
【5】「アート・オブ・コミュニティ」は立ち読みでパラパラとしか読んでないけど、コミュニティという場を運営していくノウハウが書かれていた。
コミュニティが社会的な影響力を持つようになると、コミュニティの全般的な作業を管轄する役割を担うコミュニティマネージャが現れてくる。
幸いなことに、コミュニティマネージャの話は、11章: コミュニティマネージャを雇用する ? アート・オブ・コミュニティ v1.0jp documentationで無料で公開されている。
アート・オブ・コミュニティ ? アート・オブ・コミュニティ v1.0jp documentation
アート・オブ・コミュニティ ―「貢献したい気持ち」を繋げて成果を導くには - Social Change!
yomoyomoの読書記録 - Jono Bacon『アート・オブ・コミュニティ――「貢献したい気持ち」を繋げて成果を導くには』(オライリー・ジャパン)
O'Reilly Japan - アート・オブ・コミュニティ
TwitterやFacebookのようなSNSが社会的影響力を増している現在では、多種多様な人達が集まり成果を生み出すコミュニティという場が重要になってきて、そのコミュニティを円滑に運営する責任や役割を担うコミュニティマネージャという役割が必要になってくるのだろうと思う。
欧米ではオープンソース活動が活発になるにつれて、コミュニティマネージャという役割が生み出されているらしい。
日本ではコミュニティマネージャという役職は見られないが、今後そういう役割を担える人が必要とされてくるかもしれない。
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