AgileTourOsaka2012の感想 #agileto2012
箕面で開かれたAgileTourOsaka2012に行ってきた。
感想をラフなメモ書き。
Agile Tour Osaka (Japan) | agiletour.org
11月3日 AgileTourOsaka2012 in Minoh 箕面の滝からこんにちは(大阪府)
[#agileto2012] 『チェンジ!』の考え方 ~マネしやんと!~: ソフトウェアさかば
会場の8階の廊下から、箕面温泉や箕面の滝へ向かう道路が見えるので、景色はとても良い。
そんな会場で、50人近くの人達が集まり、講演内容も素晴らしく、熱気があった。
【1】牛尾さんの講演では、プロダクトオーナーの仕事に関するお話。
要求の洗い出しやヒヤリングについて、課題→対策→評価といういわゆる仮説検証スタイルでやっていくのが良いというお話。
要求開発やアジャイルUXの概念も絡めながら、コンサルタントとして必要なテクニックの紹介があって面白かった。
Twitter / akipii: ステークホルダー表を作るか。プロジェクト計画書の客も含めた体制図に似てるかな #agileto2012
Twitter / akipii: ありふれた言葉の裏に牛尾さんの豊富なコンサルタント経験を感じる #agileto2012
【2】藤原さんの講演では、楽天でアジャイルコーチとしてチームの成長に関わったお話。
個人的には、AgileTourOsaka2012の講演中最も深い内容に感じた。
彼は楽天というWebサービスで開発する環境で、管理職の立場でアジャイルを推進する立場にいて、僕自身は受託SIで業務系Webシステムの開発をしており、現場リーダーの立場でチケット駆動開発をベースにアジャイル開発しようとしている。
だから、僕自身の環境や立場、考え方を比較してしまったからだろう。
Twitter / akipii: 藤原さんのサービス開発経験の深さを感じる話。今日の講演で一番深い内容ではないかな #agileto2012
講演メモから内容の一部を抜粋しておく。
「ソフトウェア開発とは、ユーザのニーズとマーケティングの目標をソフトウェアへ変換すること」
仕様は正しいのか?
仕様は仮説でしかない
リリースは出口ではなく、入り口に過ぎないだろ?
Twitter / irof: 「仕様がないと作れないから早く決めて欲しい」一方で「仕様通り作るだけだとつまらない」同じ人の台詞。ふむ。。 #agileto2012
何故全部計測しないのか? (メアリー・ポッペンディックさんからの質問)
ソフトウェアは想定した使われ方なのか?
Twitter / irof: リリース後から勝負が始まる。全部計測する。単純なところでもいいから。それが想定と合っているかみる。 #agileto2012
計画は守るべきか?
(マネージャは)間に合うように頑張って欲しい
計画は変更する
ビジョン・マイルストーンは作る。
Twitter / irof: 「ちゃんと計画する、計画は変更する」 #agileto2012
Twitter / irof: 「コンパス見ながら進んだら(ちゃんとまっすぐは進まないけれど)大体、まっすぐすすむ」 #agileto2012
Doneの定義がふりかえりで頻繁に議題に上る
プログラムを作った
単体テストが終わった
受入テストが終わった
ビジネスオーナーが承認した
(注:マネージャや開発者、ビジネスオーナーのそれぞれの立場でDoneの定義が違う)
(注:Doneの定義は、プロジェクトの進行中にいくつかのタイミングで変わるらしい)
Twitter / irof: (Done率を)ベロシティというとあやしくなるw #agileto2012
Twitter / irof: Done率.410 イチローより高打率w #agileto2012
Done率は意外に少ないね、という皆の感想
成功とは何か?
「安定的」に「継続的」に繰り返すこと
倉貫さんも最近同じことを言っている
(注:リリースが安定する意味に近い)
Twitter / irof: 成功は、仕様通りでビジネスの価値が正しいものを安定して継続的に繰り返すこと #agileto2012
「作らない」へ
機能は技術的負債
Twitter / irof: 「安定すると作りすぎちゃう」 #agileto2012
Twitter / sakaba37: 「リプレイス」はお金を稼がない #agileto2012
Twitter / irof: たいていのものを作れるようになっちゃったからこそ、作らないこと が重要 #agileto2012
品質とは何か?
開発プロセスに品質保証のタイミングがない
Twitter / irof: "品質とは誰かにとっての価値である" #agileto2012
アジャイルテストの4象限
重要なテストは自動化できるテストではなく、ソフトウェアの「手触り」を確認できるユーザビリティのテスト
ソフトウェアの「手触り」が大切
自動化テストを当たり前にして、手作業のテストを重視したら、バグ率が減った
Twitter / irof: 選択と集中、価値のある手作業へ。 #agileto2012
Twitter / irof:QAが手作業でやってたテストを自動化してしまった。QAがやったのは第三者的な視点を入れたに過ぎない。住み分け、とかではなく…#agileto2012
捨てるタイミング
最短で1イテレーション
捨てられても何度も試す時がある
JiraやRedmineによるチケット駆動開発をチームに導入すると、最初の1、2回目は失敗したが、3回目の導入でようやく成功した
課題管理がJiraで回るようになった
Twitter / irof: 3回トライして出来るようになる場合もある。タイミングの問題であることも多い。今回早める、みたいな。 #agileto2012
Twitter / irof: 一番重要だったのはふりかえり。 #agileto2012
Twitter / irof: 「何故をひたすら考える。考える機会も話す機会もあまりないだろうけど、一歩進むために、どんどん問いかけるべきだろう。」 #agileto2012
エンジニアリーダー撲滅運動もやっている
Twitter / irof:誰か一人が意思決定するなら、その人が作るべき。判断を仰いでるようじゃ"遅い"。速度に価値を置いてる故ですね。 #agileto2012
Twitter / irof: ファシリテーターやスクラムマスターのロールはある方が早くなる。彼らはリーダーではない。意思決定はしない。 #agileto2012
標準化撲滅運動を推進している
標準化の目的は人の入れ替えか?
属人化をなくすのが目的なのか
ある現場の改善を他に持っていきやすくする
他チームへ自チームの成功事例を展開しやすくするために標準化する
標準化には賞味期限がある
【3】長瀬さんのお話は、中国・ベトナム・タイ・インドのアジャイル事情。
中国などどの国も、元々プロセスがなかったのでウォーターフォールという概念すらなかった。
だから、プロセスを作る時に、最新のプロセスとして自然にアジャイルが導入された、とのこと。
Twitter / irof: 中国は欧米国内向けのアジャイル開発、日本向けのウォーターフォール開発……なんとまぁ。
長瀬さんのお話では、中国のアジャイルセミナーは有料であっても、1000人集まる所があるらしい。
Twitter / momontyo:AgileChinaすげー。初任給4万円の世界で3万円の参加費で1000人集まる #agileto2012
個人的には、中国のSEは急激に成長しているように思う。
日本の大手SIのオフショア開発の基地として中国沿海部が多いだろうが、下請けの立場ではなく、実力的にも日本より優れてきていると感じる。
「PMPパーフェクトマスター―PMBOK第4版対応」本では、2009年に中国人のPMP資格取得者数が日本のそれを上回ったらしい。
つまり、単なるプログラミングという下流工程だけでなく、プロジェクトマネジメントという上流工程でも中国人のスキルが日本人のそれを上回る状況も確実に増えてきているはず。
今後、日本とアジアでは、ソフトウェア開発の役割分担へ分化していくだろう、とのこと。
長瀬さんは、日本の大手SIへアジャイル教育やアジア各国へアジャイル普及のビジネスをされているとのこと。
その目線で聞くと、そういう考え方になるのかなと思う。
そんな状況で、日本のアジャイル事情はどのように進化してきたのか?
アジャイル先駆者達は従来型のウォーターフォール開発の現場に押しつぶされた後、昨年からScrumへの注目と共にアジャイル・ルネサンスが起きているように見えるみたい。
久しぶりに日本のアジャイル魂を感じたコミュニティイベントでした。
【追記】藤原さんの資料が公開されました。従来型開発からアジャイル開発へシフトしようとする開発者だけでなくマネージャ層は必須の資料でしょう。
解説!地図を捨ててコンパスを頼りに未来へ進め! Agile Tour Osaka 2012資料公開 #agileto2012 | 世界 | daipresents.com
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