論文作成の技法part3~論文作成のIT技術
「勝つための論文の書き方」「創造的論文の書き方」「これから論文を書く若者のために」「学術論文の技法」を読んでみて、論文作成の技法をまとめたみた。
ラフなメモ書き。
【6】特に人文科学・社会科学系では、学術論文の特異な特徴があると思う。
それは、脚注の書き方。
「学術論文の技法」や「1勝100敗! あるキャリア官僚の転職記」によれば、脚注だけ読んで論文が優れているかどうか判断するときもあるらしい。
例えば、マックス・ウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」は、論文よりも注の方が多くて、一つの注が論文1本分の内容を持っているらしい。
「学術論文の技法」によれば、注のタイプには2種類ある。
一つは、補足説明。
例えば、本論とは直接関係しない事象の説明は、注という形式で省略する。
あるは、論証を省略するために注を使うこともあるらしい。
もう一つは、引用元や出典を明確にすること。
注の形式は、「学術論文の技法」によれば、日本独特の種類がある。
縦書きの文章に多いのは、後注。
節の一番最後に、注をまとめる形式。
人文科学や社会科学で多いが、本文と注が離れているので分かりにくい。
後注がよく用いられた理由は、論文を手書きで書いている場合は、注を文中に入れるとレイアウトが崩れてしまったり、どれだけのスペースを確保して良いか事前に分からなかったからだと思う。
傍注は縦書きの文章の左側に注を書く形式。
縦書きではあまり用いられない。
横書きの文章ならば、一ページの下部(フッタ)に配置する脚注と同じ形式。
割注は、縦書きの本文中に()付きで小さい文字で書く形式。
小説で多いが、正直読みづらい。
文章を読むリズムを狂わされる。
頭注は、縦書きの一ページの上部に配置する形式。
国文学の古典などで、本文で分かりにくい箇所を説明する時によく用いられるらしい。
底注は、縦書きの一ページの下部に配置する形式。
高校までの教科書でよく見かけた。
でも、現代では、論文を執筆するためのIT技術が整ったおかげで、随分書きやすくなっている。
そして、論文の独特のスタイルとして、脚注・引用文献・索引が必要だが、それらも自動生成できるツールがある。
LaTexを使えば、引用文献や索引はBibtexで自動生成できるし、脚注などのレイアウトも自動で整形してくれる。
Wordですら、目次や脚注も自動生成してくれる。
いずれも、注は今となっては、Wordで自動整形してくれるので、レイアウトは気にしないで良い。
むしろ、脚注で、本文の補足説明になることに専念すればいい。
【7】論文作成で使えるIT技術
昔は手書きの論文しかなかったから、書き直しがとても大変だったろうと思う。
今なら、TexやWordを使えば、論文の原稿を何度でも推敲しながら書き直せる。
論文執筆は、反復型開発の一種と思って実施できるようになった。
つまり、IT技術をフルに使えば、思考実験しやすい。
アウトラインが重要という点も、アウトライン・プロセッサというエディタの一機能を使えば改善できる。
「論理的に思考する技術―みるみる企画力が高まる「アウトライン発想法」 (PHP文庫)」では、Wordをアウトライン・プロセッサとして使う方法が詳しく書かれている。
サクラエディタや秀丸でも、アウトライン・プロセッサとして使える。
アウトライン解析と秀丸 | Takazudo Clipping*
また、マインドマップでアイデアを発散し、アウトライン・プロセッサでアイデアを収束するやり方も可能。
FreeMindならば、階層化した形式でマインドマップからテキストファイルに出力することもできる。
また、SphinxやREView、Pandocなどの文書作成ツールを使えば、テキストファイルにそのまま書けば、PDFやepubなど、数多くの媒体に出力できる。
PDFにすれば、印刷レイアウトを確認できる。
HTMLにすれば、Webで即公開できる。
epubにすれば、iPhoneなどのスマートフォンに入れて携帯すれば、隙間時間で読み直すことができるので便利。
WordやExcelよりも、テキストの方が色んな媒体に変換できるので好都合だ。
そして、執筆中の論文はバージョン管理ツールで履歴管理し、RedmineやTracでレビューやタスクを管理し、Jenkinsでデイリービルドできるようにすればいいだろう。
バージョン管理に入れれば、執筆中のテキストを紛失する危険がなくなる。
課題管理ツールを使えば、関係者とやり取りした履歴を全て記録でき、後から参照できる。
Jenkinsを使えば、定期的にPDFやepubを配布する仕組みを実現できるので、逐一連絡する必要もない。
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