IT人材白書2013を読んだ感想
日本のIT業界でも、日本のIT技術者も、アジャイル開発へ大きくシフトし始めているようだ。
IPAが公開したIT人材白書で気になった箇所を見つけたのでメモ。
IT人材白書2013 製本版・データ編は、アンケートに回答すればPDFを無料で取得できる。
6部あるうちの「IT人材白書2013~強みを活かし多様化の波に乗れ~グローバルIT人材、WEB人材に求められるスキルとは」(ITjinzai2013_Hires.pdf)の280ページ、288ページには、開発プロセス別のIT人材に対する興味深い調査内容が掲載されている。
Q. 日々の開発業務において開発プロセスの改善を意識しているか
アジャイル型: 「よく当てはまる」→20.4%
ウォータフォール型:「よく当てはまる」→9.2%
Q. 今の仕事に一生懸命取り組んでいる
アジャイル型: 「よく当てはまる」→28.4%
ウォータフォール型:「よく当てはまる」→12.5%
Q. 仕事が好きである
アジャイル型: 「よく当てはまる」→23.4%
ウォータフォール型:「よく当てはまる」→9.9%
Q. この仕事をしていることを誇りに思う
アジャイル型: 「よく当てはまる」→19.9%
ウォータフォール型:「よく当てはまる」→7.3%
上記の調査結果では、アジャイル開発を実践している技術者の方がWF型の人よりも、より高いモチベーションで、開発プロセスの改善を意識している事実を示唆している。
しかも、アジャイル型人材の方がWF型人材よりも2~3倍の違いがあるから、かなりの差があることになるだろう。
この傾向から知られる事実は、管理職よりも経営者の方が目ざとく知っているように思える。
とは言え、アンケート調査の母数が偏っている可能性もあること、アジャイル型人材に未踏プロジェクトのような日本のSIとは全く別の高度な人材が入っていること、WF型人材が日本のIT業界のほとんどを占めていることを考えると、あまり比較にならないかもしれない。
でも、XP祭り関西のLTでは、プログラミングの勉強のためにIT勉強会に顔を出していたら、皆がアジャイルの話をしていて最初は分からなかったが、自然にアジャイルに興味を持ち始めて、勉強し始めたという話もあった。
アジャイル開発は、チームによるソフトウェア開発を支援するプラクティスやプログラミングテクニックがたくさんある。
アジャイル開発に触れれば、プログラミングだけでなく、開発プロセスやソフトウェア工学にも自然に興味を持ち始めるきっかけになる。
アジャイル開発には、プログラマを力づける雰囲気があるのだと思う。
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