RedmineはPC・サーバ資産管理に適用できるか?
Redmineのチケット管理をPC・サーバ資産管理に適用するためのアイデアをメモ書き。
【事例2】
Excelのサーバ台帳をRedmineのチケット管理へ置き換えた運用事例:
(引用開始)
・1サーバ(ノード)=1チケットに起票
・資産情報から経緯や注意点等、雑多な情報を チケット本文や添付ファイルに書いて共有できる
・IPアドレス等おきまり情報はカスタムフィールド
→ カスタムクエリで一覧化できる
・サーバのステータスを明確化
→ 構築中、開発環境、本番稼働、停止中、廃棄(終了)
(引用終了)
【事例3】
redmineでナレッジを蓄積していく方法: プログラマの思索
(引用開始)
蔵書プラグイン:
Redmine - PluginEzlibrarian - Redmine
zouchaoqun/ezlibrarian - GitHub
「書籍や物品管理機能を追加します。貸し出し管理、書籍(物品)レビュー記載が行えます。」とのこと。
@mkinside82さんによれば、ネットワーク機器などの資産管理や現物照合に、蔵書プラグインを利用するアイデアもあるようだ。
但し、上記の蔵書プラグインは保守されていないため、最新のRedmineで動作するか未検証。
【事例4】
@sakaba37さんの社内業務におけるPC資産管理の事例もある。
(要約開始)
これまでの資産管理(AsIs):
・資産台帳から担当別にスプレッドシートを分割してメールで配布する
・分割して担当者にメール 返信を確認、無ければ督促メール
・返ってきたメールを資産台帳へマージ
チケットシステムの導入~Redmineを用いて業務改善:
・資産データは一括インポート
・必要な資産データはチケット一覧から出力して、確認する
・確認未完了のチケットは、緊急度を変更して督促メールを出す
(要約終了)
【1】PC・サーバ資産管理の問題点
PC資産管理やサーバ資産管理で面倒なのは、資産を管理する担当者がいなくなって、今どんなステータスなのかが分からなくなること。
貸し出したPCやライセンス管理はExcelの管理台帳で管理しているが、共有しにくかったり、過去の履歴が探しにくい。
SIならば協力会社の開発者の出入りが激しいため、PC資産管理は結構面倒。
サーバ資産管理では、サーバーの設定の履歴を追跡しにくい。
過去の障害のためにどんどんサーバーの設定ファイルが複雑になったり、証明書の有効期限など近い将来に必要なタスクは発生しているのに、忘れがちなこと、とか。
社内LANの変更やサーバーをデータセンターへ移動するなどの理由で、IPアドレスが変わったり、ネットワーク機器が変わったりすると、Excelの管理台帳だけでは結構不安になる。
また、PCやサーバーの担当者に、現在の状態を確認するために通知して、その結果を収集して集計する手間も大きい。
最近は情報セキュリティがうるさいために、定期的にPCやサーバーのセキュリティ設定を確認する必要があるが、それらの通知と収集・集計作業を社員全員に展開するのは、正直かなり面倒だ。
【2】Redmineのチケット管理による解決方法
PC資産やサーバ資産をチケット管理に置き換えることで、上記の問題点をいくつか解決することはできる。
一つ目は、PC or サーバ=1チケットと見なすこと。
チケットのタイトルに資産管理番号やサーバー名を書いたり、チケットの説明に詳細な内容を書けば良い。
IPアドレスや問合せベンダ名、サーバーの証明書の有効期限は、チケットのカスタムフィールドを使えばいい。
特に、PCの座席位置、サーバーが置かれている棚の場所などの情報は、チケットの属性に必ずセットしておく。
そうすれば、クエリを作って、チケットの属性でフィルタリングすれば、必要な情報をいくらでも集計して出力できる。
稼働中のPC台数やサーバ台数は、チケット集計機能でいつでも最新情報を取得できるので、減価償却の費用も計算しやすくなる。
また、コメントに作業履歴を残せば、過去の作業内容を検索できるので、障害対応もやりやすくなる。
2つ目は、PCやサーバーの状態をチケットのステータスに対応付けて、ワークフロー管理すること。
PC資産が使用中、サーバを新規構築中、PCやサーバを廃棄した、PCやサーバは倉庫で保管している、などの状態はチケットのステータスで保持すればいい。
チケットのステータスでフィルタリングすれば、例えば、未使用のPCやサーバの一覧を出力できる。
3つ目は、PCの使用者やサーバーの管理者をチケットの担当者に対応付けること。
定期的なセキュリティのチェックを行いたい時は、@sakaba37さんの運用事例のように、優先度を故意に下げてメールで通知する方法もある。
つまり、チケット変更によって担当者へメール通知する機能をうまく使っている。
4つ目は、サーバーの設定情報はSubversionなどの構成管理の配下に置き、RedmineのSCM連携を有効に使うこと。
httpd.confなどのサーバーの設定情報は、サーバー上でhttpd.conf.yyyyMMddなどのように日付指定のファイルとして残すやり方が多いが、その方法の弱点はどれが正しいファイルなのか、分かりにくくなることだ。
だから、SCMでそれらの設定ファイルも履歴管理すれば、チケットの画面に変更リビジョン一覧が残るので、後の運用保守で非常に役立つ。
あるいは、@tkusukawaさんのYggdrasilというRubyのツールを使って、サーバーの設定ファイルをより楽に管理する方法もある。
【3】Redmineを使った場合の今後の課題
PCやサーバ資産管理では、特有の問題もいくつかある。
一つ目は、PCやサーバーの場所を移動中の場合は、どのようなステータスや属性をチケットにセットするか?
あるいは、PCやサーバーが倉庫に保管されて、担当者が未決定の場合の運用はどうするか?
例えば、サーバーを社内からデータセンターへ持ち運んで移動する時に数日かかる場合、場所や担当者が未確定なので、中途半端な状態になる。
物流業務に例えると、倉庫からトラックや船や飛行機などに積み込んだ商品を別の倉庫へ数日かけて運送する場合、移動中倉庫という論理的な倉庫を格納する倉庫インスタンスを作る必要があると思う。
その場合、移動中倉庫では、普通は倉庫番号は9999のような雑コードないし一時的なコードを付与し、倉庫に入庫されたら新規コードを振り直すという運用を行うのが普通だ。
だから、@jun090309さんの話のように、保管中ないし移動中のPCやサーバの担当者は特別な管理者(例:admin)をアサインしておき、チケット集計機能を使っていつでもチェックできるようにしておく方が良いだろうと思う。
2つ目は、PCやサーバーの資産に枝番を付けて管理したい場合、どのように運用するか?
例えば、デスクトップPCには、マウスやキーボード、ディスプレイなどの資産も付属しており、それらも枝番を付けて資産管理しておきたい。
サーバーにも、ブリッジやルータ、UPS電源などの細かな付属機器も資産管理しておきたい。
しかし、チケット1個で管理しようとすると、チケット集計しにくかったり、更新履歴が分かりにくくなる。
できれば、付属品もチケットにしてしまいたい。
厳密に管理したいならば、子チケットないし関連チケットにPC付属品やサーバー付属機器を1つずつ登録して管理する方法もあるだろう。
あるいは、付属品というラベルで判断できるように、チケットのトラッカーないしチケットの属性に「付属品」の情報を設定する方法もあるだろう。
だが、チケットが増えすぎて逆に管理しにくくなる場合もあるかもしれない。
3つ目は、資産管理とタスク管理をチケットで管理しようとすると、混乱してしまいがちなこと。
セキュリティチェックや突発的な設置作業のようなタスクもチケットに登録して運用したいと思うのは普通だろう。
しかし、資産チケットのライフサイクルは基本は1年以上と長いけれど、タスクチケットの寿命は数日がせいぜいであり、そもそも資産チケットとタスクチケットは観点が異なる。
だから、資産チケットとタスクチケットはトラッカーや親子プロジェクトで区別するなどの運用が必要になるだろう。
【4】まとめ
実は、ITILの構成管理における構成アイテムは、まさにPCやサーバーの資産管理に相当する。
「Redmineによるタスクマネジメント実践技法」でITILの運用もRedmineのチケット管理でカバーできると書いたように、PCやサーバーの資産管理もチケット管理で代用できるだろう。
資産管理にもチケット管理が有効ならば、PCやサーバーだけでなく、蔵書もそうだし、顧客情報という資産(つまりCRM)にも適用できるだろう。
色々考えてみる。
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