単語帳をスマートフォンで管理する~勉強法にITツールを導入する効果
単語帳もiPhoneやAndroidなどのスマートフォンやタブレットで管理できるアプリが出ている。
考えたことをメモ書き。
【元ネタ】
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【1】単語帳が必要な背景
最低限の知識を覚えて、その知識の背景にある概念を自分の言葉で表現しようとすると、語彙が少なければ支障が出る。
だから、受験勉強や資格勉強をしていると、どうしても暗記せざるを得ない状況が出てくる。
特に最近は、小学生から英語が必須になったり、大手企業の管理職への昇格条件がTOEICの高得点になったりしたために、英単語を覚えるのは必須になってきている背景があるだろう。
あるいは、会計士や弁護士、税理士、社会保険労務士などのように法律とその概念を大量に暗記する資格試験や、特有の概念が多い情報処理試験でも、単語帳を作る意義はとても大きい。
まずは専門用語を覚えて、専門用語を使って自分の意見を表明する小論文が書けなければならない。
その時に、単語帳に覚えたい用語や概念、英単語を書いて、通学やトイレ、散歩などの隙間時間に見て暗記するようにしたい。
しかし、単語帳を作るのは結構面倒だ。
僕が小学生の頃は、1枚の紙からカードの大きさに切って、表面に覚えたい単語、裏面に単語の意味や説明を手書きで書いていた。
鉛筆や赤ボールペン、マーカーなどを駆使して書くのは、楽しいが手間がかかる。
そして、その単語帳のうち、覚えた単語は外して、自分の不得意な単語を残したり、追加して、ブラッシュアップしていかなければならない。
その手間も大きい。
また、単語の数が増えると単語帳もかさばり、ポケットに入らなくなる。
そもそも単語帳を作って暗記する作業よりも、単語帳を作成する作業を通じて、概念が知識マップになるように関連づけられていく方が重要だ。
単語帳を作る作業そのものも勉強の一環なのだ。
つまり、既存の紙媒体の単語帳は、紙の帳票であふれるオフィス、無駄なExcelドキュメントにあふれているIT現場と同じような問題をはらんでいる。
そのような単語帳の作成作業に、スマートフォンのようなITツールを利用できないか?
【2】単語帳アプリの構造と単語帳マーケット
iTunesやAndroidMarketを見ると、iPhoneやAndroid上の単語帳アプリはいくらでもある。
それら単語帳アプリの構造は、以下の説明が分かりやすい。
はじめてのAnki ? まず使ってみる | the right stuff, luminousspice
・単語を暗記する処理フローは、過去の脳神経学や教育学の理論を背景にしたものが多い。
→長期記憶に残すための方法は過去の理論からある程度知られているものが多い
→例:能動的に思い出すテスト (active recall testing)
間隔をあけた復習 (spaced repetition)
・単語帳の構造は、単語とその意味の2つで十分だが、バリエーションがある。
→例えば、Ankiでは、伝統的な単語帳とは違い、いくつかのFact(情報)の集合として登録する。
単語帳の構造は、一つのデータモデルまたは概念モデルとして表現できる。
従来の単語帳の例:
・タイピングの量が多い
・書き間違いが起こりやすい
・単語をランダムに生成するのが面倒
Q: 酸素 の化学記号は?
A: O
Q: 酸素 の原子番号は?
A: 8
Q: O の元素名は?
A: 酸素
Ankiによる例:
・問題と答えの組をカード (card) と呼ぶ
・カードの集合を単語帳 (deck) と呼ぶ
・ファクト (fact) は互いに関連したいくつかの情報の集合で、カードを作るために使われる
・ファクト (fact)は複数のフィールド(Field)を持つ
・カードの表(質問)と裏(答え)に何が表示されるべきかという設計図をテンプレート (template)と呼ぶ
・テンプレートのリストと、ファクトに格納されたフィールドのリストをモデル (model) と呼ぶ
<Model>
Chemical Elements
以下のFieldとTemplateを属性に持つ。
<Field>
Name, Symbol, Number
<Fact>
Name: 酸素
Symbol: O
Number: 8
<Template>
Q: {{Name}} の化学記号は?
A: {{Symbol}}
Q: {{Name}} の原子番号は?
A: {{Number}}
Q: 化学記号 {{Symbol}} はどの元素を表す?
A: {{Name}}
・単語帳を使った学習内容を記録し、グラフ化する機能がある。
→○月×日に△問を解いて、□問間違えた
→時系列にいくつの単語を覚えたのかを表示
つまり、自分で作った単語帳の学習記録のメトリクスを表示してくれる。
→自分の弱みを分析できる。
積み上げてきた学習記録は、モチベーション向上になる。
・単語帳の問題をランダムに生成したり、重要度や難易度の観点で出題もできる
→問題の並び順で覚えてしまう危険性をなくせる
気分を変えて問題を変えることもできる
・単語帳データをCSVで作り、一括インポートする方が便利。
→PC上で単語帳データを作る方が簡単。
閲覧はスマフォで使い分ける。
・テキストだけでなく、画像や音声も登録できる機能がある
→文字で覚えるよりも、図やグラフ、概念図で覚える方が記憶に残りやすい。
単語帳を音読する機能があれば、満員の通勤電車でも、イヤホンから聞くだけでも可能。
・作った単語帳をネットで公開する機能がある
→英単語帳や資格試験用の単語帳は、他の人にもニーズがある
みんなで単語帳を共有すれば、単語帳をいろんな観点で改善できる
→i暗記マーケットでは、自分が作った単語帳を有料で公開することもできるみたい
・ソーシャルな機能があると便利
→自分で作った単語帳の評判や指摘内容をフィードバックしてもらえれば、作成者のモチベーションにもなる
自分が困っていることは皆困っているのだから
→GitHubのWatchやStar、FacebookのLikeボタン、Twitterのリツイートやお気に入りのような機能を単語帳マーケットに追加できるはず
【3】単語帳アプリから透けて見える従来の教育の問題点、その解決の方向性
僕も携帯電話やPCが普及する前に教育を受けた世代なので、勉強は本とノートで書いて暗記するのが普通と思っていた。
そして、大教室に大量の学生を入れて、教師が一方的に長時間話して終わる講義が普通と思っていた。
しかし、従来の教育制度や学習方法は、IT技術がこれだけ進歩した現代には合っていないのではないか?
過去の脳神経科学や教育理論などの成果は既にあるのだから、それら理論を実践して検証できるようなツールをどんどん作って使って試してみるべきではないか?
特に、隙間時間の勉強方法にスマフォを活用する方法はもっと研究されるべきだと思う。
また、教育にもっとソーシャルな機能を実現すべきではないか?
FacebookのLikeボタンのように、自分の学習結果に教師や友人から「いいね」と評価されるのは、学生のモチベーション向上にもなる。
また、自分の学習結果を友人にも共有できるようにすることは、他人への思いやりや、他人と協力して成果を出すという行動を促すことにもつながるだろう。
過去に既に知られている教育理論を従来はコストなどの制約で検証できない場合が多かったけれど、「「世界はひとつの教室 「学び×テクノロジー」が起こすイノベーション」」でカーンアカデミーが実践しているように、ITツールを使って、たくさんの生徒の学習記録を残し、その記録をデータマイニングして評価検証すべきだ。
そうすれば、従来の教育で見過ごされていたたくさんの子供たちの可能性を切り開くこともできるはず。
教育にソフトウェアによるプロセス改善サイクルを導入する~カーンアカデミーによる教育の未来: プログラマの思索
単語帳アプリのようなツールは、業務システムやWebショッピングシステムに比べれば、そのモデルも簡単ですぐに作れるだろう。
しかし、特に教育現場でその効果は大きいだろうと思っている。
今もなお、教育制度や学習方法は従来のままで、現代の社会の流れに合致していない。
ITという優れたツールを用いて、プロセス改善できる可能性がすごくあると思っている。
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