Redmine Lychee Enterpriseシリーズの解剖part1~Redmineの本来あるべきガントチャート機能 Lychee Gantt Chart
Redmineのアドオン製品 Lychee Gantt Chartのデモ画面を触ってみた。
感想をラフなメモ書き。
【参考】
Lychee Enterprise~マネージャのためのRedmine
shinagawa.redmine 第6回勉強会に参加してきた - njuntechのブログ
【公開】第6回品川Redmine勉強会発表資料「開発基盤としてのRedmine~Redmineをカスタマイズするポイント」 #47redmine: プログラマの思索
【1】Lychee Gantt Chart Plugin | Lychee Enterprise
Lychee Gantt Chartは、Redmineのガントチャート画面を機能強化したプラグイン。
Redmine Lychee Gantt Chartはどんな状況で使えるか?
マネージャの立場なら、RedmineのガントチャートをMS Projectのように操作したい。
だが、MSProjcetはライセンス料がすごく高い。
社内の全員にMSProjectを使えるようにすると、途方も無いライセンス料がかかってしまう。
だから、普通は、一部のマネージャがMSProjectを使い、その内容をExcelで公開したりする。
でも、スケジュールはチームのメンバー全員が常に共有すべき情報だから、MSProjectを使えないのは辛い。
また、最新化されていないスケジュールで情報共有していると、マネージャとメンバーの間で、プロジェクトの現状認識に差異が出てくる。
マネージャはすごく遅れていると認識しているのに、リスケされていないスケジュールを見ているメンバーは、自分のタスクはずっと後だから大丈夫、と思ってしまうのだ。
だから、RedmineへWBSをチケットで一括インポート後、計画時点でスケジュールを微修正する時に使いたい。
また、プロジェクト進行中は、状況に合わせて、リスケする時に、ガントチャート上で各タスクを微修正したい。
しかし、通常のRedmineのガントチャート画面はViewにすぎないので、期間を変更したい時は、逐一チケットを別画面で開いて修正し、さらにガントチャート画面をリフレッシュしなくてはいけない。
元々のRedmineの思想では、ガントチャート画面で変更操作することを想定していないのだ。
したがって、Redmine Lychee Gantt Chartは、Redmineの弱い部分である「マネージャが利用しにくい」場面を想定して、使いやすくしているようだ。
MS Projectを使いこなせない理由: プログラマの思索
RedmineのガントチャートはMS ProjectのWeb版になりうるか?: プログラマの思索
Redmine Lychee Gantt Chartのデモ画面を触ってみると、主に4つの機能がある。
【1-1】ガントバーをドラッグ&ドロップで移動したり、伸縮できる。
MSProjectでは、タスクをドラッグ&ドロップして移動したり、短縮できるので、同様の機能を実現している。
でも、マネージャがRedmineでよく使う場面は、やはりガントチャート画面でタスクの状況を確認したり、進捗の遅れがあればタスクを入れ替えるなどをよくやるだろう。
一つのチケットを見たいのではなく、プロジェクト全体のタスクを鳥瞰的に見て、判断したいのだ。
【1-2】先行・後続の関連をクリック操作で簡単に設定できる。
MSProjectでは、タスク間のリンクを貼ることで、FS関係を簡単に設定できる。
同様の機能をRedmineガントチャート上で実現している。
Project 内部でタスクがスケジュールされる方法 - project-help
但し、クリック操作方法としては、ガントバー上でワンクリックした後、+ボタンをドラッグして、後続のガントバーへ線を引く操作になる。
+ボタンの表示はワンクリックするのがコツ。
タスクの先行・後続の関係を表現するFS関係は、スケジュール作成ではとても重要だ。
タスクの依存関係は、先行・後続で表現される時が多い。
PMBOKでは、スケジュール変更の技法として、クラッシングとファスト・トラッキングがよく使われる。
クラッシングとファスト・トラッキングのスケジュール短縮技法 / PMstyleコラム
クラッシングは、リソースを追加投入して、タスクの期間を縮めること。
PMBOKの技法では、クリティカルパス上のタスクに対し、追加投資して、タスクを縮める。
チケット駆動開発なら、担当者を入れ替えたり、タスクの先行・後続関係を入れ替えてリスケするだろう。
ファスト・トラッキングは、直列のタスクを並行で作業させること。
チケット駆動開発なら、直列のチケットを並列にチケットの期間を並び替えるだろう。
あるいは、1枚のチケットを2枚以上に分割し、複数チケットを平行作業で期間短縮を図るだろう。
以上のような操作が、Redmineのガントチャート画面上だけで操作できるので、マネージャはスケジュールをにらめっこしながらリスケできるようになる。
【1-3】ガントチャート画面上で、チケットの属性変更ができる。
ガントバーをワンクリックすると、ポップアップメニューが表示され、チケットを編集できる。
チケットのリンクをワンクリックすると同様。
ガントチャート画面の改修要望として、担当者を表示したい、あるいは、担当者を簡単に入れ替えたい、という要望が多い。
このタスクは誰が担当していて、どんな進捗状況にあるのか、をマネージャは知りたいのだ。
遅れているタスクは、その原因を突き止めて、タスクを入れ替えたり、担当者を入れ替えたりする。
ソフトウェア開発では、品質の悪化やコスト増加の症状は、真っ先に進捗遅延で現れる。
進捗遅延の症状が出始める前に、先手を打って対処したいのだ。
【1-4】ガントチャート画面上で、親子チケットの階層を変更できる。
チケット名を右クリックすると、ポップアップメニューの最後に「親子関係」というメニューが表示され、「一つ上へ移動」「最上位へ移動」を選択できる。
ガントチャート画面上で、チケットの階層構造を入れ替えたい時に便利。
できれば、「一つ下へ移動」のメニューもあると良いかな?
【2】Redmine Lychee Gantt Chartは今後、どのような方向へ発展すべきか?
Redmine Lychee Gantt Chartはどんな利用状況で威力を発揮するのか?
Redmine Lychee Gantt Chartは、MSProjectの代替製品になっていくのが自然な傾向だろう。
MSProjectのような使いやすいユーザインターフェイスをかなり実現している。
【2-1】MSProjectは毀誉褒貶が多いけれど、プロジェクト計画の作業ではとても有用た、とよく言われる。
プロジェクト立上げフェーズで、成果物と作業をWBSでまず洗い出す作業では、とても使いやすい。
Excelで納品物とそれを作るための作業を一覧化し、その関連性をMSProjectでプロットするわけだ。
つまり、納品物を作る作業を先行・後続の関係で表現し、直列作業を並行にしたり、作業を入れ替えたりしながら、納期に間に合わせるようにする。
MSProjectはExcelからそのままコピーできるし、ガントチャートを一覧表示できる。
また、ガントチャートとは別に、PERT図でタスクの依存関係を見ることもできる。
クリティカルパスも表示してくれる。
つまり、作成されたガントチャートの整合性を、PERT図やクリティカルパスなどでチェックする機能もRedmine上でできるとなお良い。
【2-2】MSProjectよりもRedmineの方が優れている点は、タスクの実績管理がやりやすいことだ。
MSProjectは、計画フェーズで使いやすくても、その後の実績管理は使いにくい、とよく言われる。
仕様変更、スコープ増加、担当者変更、リスケなど、当初のスケジュールはどんどん変更されていく。
その内容を逐一反映していくのはかなり面倒だ。
スケジュールの整合性はどんどん取れなくなっていく。
Redmineによるチケット駆動開発では、スケジュールの整合性を取るよりも、アジャイル開発のように、イテレーション単位にチケットをグループ化して消化していく戦略を取る。
直近の目標に合わせてチームが一体化して作業する方が、メンバーの認識相違も生じにくい。
何よりも、開発のリズムが生まれて、チームの作業が楽しくなる。
確実に成果物を作成しながら、品質も機能も拡張していく戦略を取るので、そもそもWF型開発によるガントチャート管理とは相容れない。
でも、Redmineは多種多様なビューを持っているので、ガントチャートなど他のビューで進捗管理してもいい。
チケットは変更に強い。
リスケの内容はチケットに反映すればいい。
その特徴をRedmineは大いに活かしている。
Lychee Gantt Chartは、Redmineに足りない機能をうまくサポートしているように思える。
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