プロダクトマネージャに必要なスキルは何か?~「世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本 ~トップIT企業のPMとして就職する方法」の感想
「世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本 ~トップIT企業のPMとして就職する方法~」を買って読んだ。
プロダクトマネージャに必要なスキルが書かれている気がした。
感想をメモ書き。
【参考】
『世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本』8月22日発売です。:シロクマ日報:ITmedia オルタナティブ・ブログ
【1】「世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本 ~トップIT企業のPMとして就職する方法~」は、アメリカのシリコンバレーで、プロダクトマネージャとして働きたい人に対し、採用ノウハウを提示する本だ。
Google、Apple、Amazon、Microsoft、Facebook、Yahooのような大手IT企業がどんなプ資質のロダクトマネージャを求めているのか、という裏事情がよく分かる。
少なくとも、世界の最先端の企業では、受託開発案件のプロジェクトリーダーではなく、世界の最先端のソフトウェア製品を生み出すためのプロダクトマネージャを必要としているわけだ。
だから、日本でこのノウハウがすぐに使えるかどうかは分からない。
【2】「世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本 ~トップIT企業のPMとして就職する方法~」の目次を見れば分かるが、後半では、履歴書の書き方、転職の面接で受けるであろう質問について詳細に書かれている。
面接の質問の種類として、プロダクトマネージャに必要とされる行動、見積り、プロダクト、ケース(事例)だけでなく、コーディングに関する質問もあるのが面白い。
コーディングに関する質問では、計算量やアルゴリズムに関する内容が多い。
おそらく、ビッグデータによる分析の実現方法の能力を問われているのだろう。
練習問題があるので、解いてみると面白いかもしれない。
【3】「世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本 ~トップIT企業のPMとして就職する方法~」を読むと、「採用基準」や「ビジネスリーダーへの キャリアを考える技術・つくる技術」の内容を連想させる。
「採用基準」では、日本人がグローバルリーダーになるにはどんなスキルが必要なのか、を提示していた。
「ビジネスリーダーへの キャリアを考える技術・つくる技術」では、若手社員が管理職や経営者にステップアップするにはどんなスキルが必要なのか、マネジメントの断層を提示していた。
では、「世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本 ~トップIT企業のPMとして就職する方法~」は何を提示しているのか?
「世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本 ~トップIT企業のPMとして就職する方法~」では、プロダクトマネージャに必要なスキルは何か、を提示している。
注意すべき点は、プロダクトマネージャ≠プロジェクトマネージャだ。
受託開発案件のプロジェクトリーダーに求められる能力とは完全に一致しない。
実際、「世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本 ~トップIT企業のPMとして就職する方法~」の第2章「プロダクトマネージャの役割」では「プロダクトマネジメントに対する誤解」として、「プロダクトマネージャはプロジェクトリーダーである」という説明がある。
プロダクトマネージャの職務は「チームが優れたプロダクトを出荷できるようにする」ことだ。
簡単に言えば、「プロダクトのミニCEO」だ。
つまり、プロダクトのビジョンと戦略、ロードマップを提示し、チームに対する直接的な権限も持つ。
【4】プロダクトマネージャは顧客側に立つ。
この意味は、プロダクトを使う顧客の観点で、プロダクトに必要な機能は何か、を探り、決定し、リリースすることだ。
プロダクトの種類には、GoogleのWeb検索エンジンもあれば、iPhoneのようなスマートフォンというハードウェア製品もあるし、Facebookの一機能もある。
それらプロダクトを使うユーザが何を求めているのか、そのニーズを見極め、プロダクトのゴールと機能を実現する。
そんな話を聞くと、プロダクトマネージャは、Scrumのプロダクトオーナーに似ている。
製品のロードマップや製品の戦略、ROIの観点から、プロダクトバックログを決めて、開発チームへ作業を指示するわけだ。
もちろん、プロダクトオーナーはプロダクトのアーキテクチャに詳しくなければならないし、アーキテクチャの実現や選択にも権限と責任を持つ。
【5】「世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本 ~トップIT企業のPMとして就職する方法~」で最も興味深いのは、米国の大手IT企業が求めるプロダクトマネージャのスキルや理想像だろう。
たとえば、Google、Apple、Amazon、Microsoft、Facebook、Yahooの事例が挙げられている。
一部抜粋してみる。
【5-1】Google
・他企業に比べて、組織全体の透明性が高い。
フルタイムのGooglerは、ほとんどのコードとドキュメントにアクセスできる。
エグゼクティブチームは、全てのGooglerから質問を受ける機会がある。
・主にコンピュータサイエンス先行の新卒者を積極的に採用する。
MBAホルダーよりも、修士号や博士号を重視する。
・Google、Microsoft、Facebookなどは、気軽で楽しい職場。
無料の食べ物や飲み物、無料のマッサージなどの素晴らしい待遇が自慢。
・Googleのプロダクトマネージャ(PM)は、分析スキルが非常に重視される。
データ分析がPMの主な仕事。
検索と広告部門のPMは、利用状況のログから新しいプロジェクトのアイデアを考え出す。
【5-2】Apple
・トップダウンでサイロ型。
プロダクトの方向性はエグゼクティブチームとデザイナーが厳しくコントロールしていて、社内のエンジニアはそのビジョンを実行するマシンのように働く。
・Apple製品を熱狂的に支持している人を求めている。
・ハードウェアとソフトウェアの両方を知っている人を積極的に採用する。
コンピュータサイエンスだけでなく、電子工学や機械工学も知っていると良い。
・社員に長時間働くことを期待され、倹約が重視される。
自社のミッションに駆り立てられているため、週末出勤や真夜中の電話対応もいとわない。
【5-3】Microsoft
・プロダクトマネージャは、MSでは「プログラムマネージャ」と呼ばれている。
他企業に比べて、プログラムマネージャとプログラマの比率は1:3であり、プログラムマネージャがかなり多い。
他企業では、プロダクトマネージャとプログラマの比率は1:10くらいらしい。
・プログラムマネージャには、大局的な視点で考え、問題を解決し、きちんと仕事を完成させることを求める。
・製品のビジョンと戦略はトップダウン。
部門内におけるプロダクト戦略は、とてもまとまりがある。
複数チームが同じゴールに向かって進んでいる感覚があり、2つのチームが競合する機能に取り組んでいることはめったにない。
【5-4】Facebook
・他企業に比べて最も技術面を重視し、技術に明るいプロダクトマネージャを求めている。
実際、プロダクトマネージャ自身がプロダクトの初期プロトタイプを自作することは珍しくない。
・他社の従業員を雇用する目的で、その会社を買収する場合が多い。
すると、その企業の設立者やCEOがプロダクトマネージャとして迎えられる場合が多い。
・ユーザがどのようにFacebookを使い、どんな問題にぶつかっているか、を観察することから多くのアイデアが生まれる。
だから、Facebookのプロダクトマネージャは、ユーザの大量の行動履歴を分析し、注目すべき課題を見つけ、シナリオを作り、何を作りたいか、を提案する能力を求められる。
【5-5】Amazon
・MBAホルダーが重視される、など。
こんな内容を読むと、、Google、Apple、Amazon、Microsoft、Facebookの企業文化がうかがい知れる。
すごく面白い。
【6】「世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本 ~トップIT企業のPMとして就職する方法~」で更に興味深い点は、プロダクトマネージャに求められる能力が一覧されていることだろう。
【6-1】新卒者は以下のスキルを身につけよう。
・コンピュータサイエンスを主専攻または副専攻にしよう。
・専攻を2つ選ぼう。
コンピュータサイエンス以外に、ビジネスやマーケティングがよい。
ソフトウェア技術とビジネスの両面に興味を持とう。
・グループ研究、リーダーシップのスキルも身につけよう。
チーム運営で役立つ。
・MBAはプロダクトマネージャとして役立つ。
ビジネスやマーケティング、グループ研究、リーダーシップ発揮などでいろんな知識が得られる。
【6-2】エンジニアはプロダクトマネージャに転身するのに、適した立場にいる。
プロダクトマネージャは、技術的な経験をベースにビジネスやマーケティングの観点が必要とされるから。
エンジニアあがりのプロダクトマネージャに必要な観点は以下の通り。
・顧客本位に考える。
この意味は、プロダクトを使うユーザの観点で、プロダクトの機能を考えたり、プロダクトのコーディングを考えること。
顧客本位の姿勢を身につけるには、実際にプロダクトを使っているユーザと話すのが一番良い。
それができないなら、システムのログを解析したり、カスタマーサポートのチケットを読むことから始めよう。
・大きく考える
この意味は、プロダクトのビジョン、ゴール、戦略、ロードマップなどを大局的に考えること。
どのように作るのか、ではなく、これまでにない新しいプロダクトを作るために必要なことを考えることに専念する。
世界を変えるには?
もし私が魔法の杖を持っていたら、という仮定のもとで、ブレインストーミングする。
プレスリリースを書いて、製品のロードマップを書く。
・説得力あるコミュニケーションを身に付ける
論理的な説明方法とちょっとしたカリスマ性も身につけよう。
リーダーシップを意識的に発揮して、チーム運営することが求められる。
他にも、アメリカの実際のプロダクトマネージャのインタビューが記載されていて、なるほど、と頷く点もあった。
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