稼働率100%の罠
@hatsanhatさんのツイートから良い記事を見つけたのでメモ。
以下はメモ書きであり、特に主張はない。
【参考】
とれるだけ仕事をとってはいけない : タイム・コンサルタントの日誌から
稼働率100%をねらってはいけない : タイム・コンサルタントの日誌から
受託開発中心のSIでは、PGやSEの稼働率が売上に直結する。
受注したシステム開発案件にメンバーを投入して、人月計算で売上を稼ぐスタイルだから。
すると、PGやSEの稼働率が低いと、空いた時間は売上につながらない作業をしていることになる。
だから、営業も管理職も必死になって受託案件を取ろうとするし、受託案件に社員をアサインしようとする。
SIの部署の売上を見る時、KPIとして稼働率もひとつの指標になる。
稼働率が低い部署は、そもそも案件がなくて暇か、売上に直結しない営業活動をしていることになる。
だから、社員は売り上げにつながる案件に必ずアサインされて、何かしらの付加価値を生み出すことを義務付けられている。
しかし、稼働率が100%になる人は、いつも忙しくしていて、生産性を落としている時が多い。
僕も、何故なのだろう?と思っていたし、自分自身も同じ状況にハマった時に同じように感じた。
その理由は、「ゆとりの法則」にも書かれているように、稼働率が100%になり、ゆとりがなくなると、その人が担当するプロセスがボトルネックになる。
ボトルネックの後工程は暇になるので、暇に見せかけいないように、同じように生産性を落とす。
つまり、システム全体がボトルネックの生産性に合わせるようにスループットを落とす。
遅延だけがシステム全体に伝播するのだ。
それはちょうど、TOCの理論が言う主張に似ている。
また、上記の記事にも理由が書かれている。
待ち行列理論によれば、稼働率が100%に近くなると、急激に待ち時間が長くなる。
この待ち行列の長さはすなわち、その会社における仕掛在庫量を意味する。
仕掛り在庫が増えるほど、月末の在庫計上で赤字になる。
さらに上記の記事で面白いのは「危険稼働率」という概念だ。
危険稼働率とは、ある稼働率を超えると、逆に赤字になる分岐点のことらしい。
普通に考えると、稼働率がゼロに近い場合は売上がゼロだから、稼働率を増やすほど売上も増す。
そのまま稼働率を増やすと、損益分岐点を超えるから、その時点から利益が出る。
さらに、稼働率を増やして100%へ近づけていくと、逆に、利益が出なくなって赤字になるポイントがある。
そのポイントが危険稼働率になるらしい。
つまり、危険稼働率を超えないように受注活動を制限する必要があることを意味している。
その危険稼働率について、いろんな疑問がわく。
危険稼働率は、いくつかのパラメータから計算可能なのだろうか?
危険稼働率は、どんな計算式になるのか?
危険稼働率を、仕事の種類ごとに計算したら、どんな特徴が見えてくるのか?
SIのようなソフトウェア開発の会社ごとに危険稼働率を計算したとしたら、どんな結果が出てくるのか?
色々考えてみたい。
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