LycheeのWebページに住友電装株式会社のRedmine運用事例があった
LycheeのWebページに住友電装株式会社のRedmine運用事例があった。
ラフなメモ書き。
【参考】
住友電装株式会社の事例 | Lychee Enterprise
(引用開始)
【問題点】
・Excelの表組みでは要件、計画、構成管理の進捗反映がリアルタイムに行えない
・ファイル共有ではファイルが壊れたり誤記が発生
・プロジェクトで作成した文書やプログラムのファイル改変履歴を別表で管理しているため、一元管理できない
【課題】
・ファイル破損、誤記の要因を排除したい
・管理状況が即座に更新・共有でき、進捗確認を円滑に行いたい
・改変履歴の管理なども一元化し、管理対象を集約したい
【導入効果】
・業務効率化によるコスト削減
・マネージャーと現場メンバーの認識を統一
・プロジェクト情報を複数名が同時に更新でき、正確な情報共有が実現
・タスクの細分化、関連性、担当者などが明確に
(引用終了)
【1】名古屋の会社で自動車関係の部品生産に携わっている事業内容からして、ソフトウェアにも機能安全などの品質保証が厳しく要求されている背景があると推測される。
もちろん、ソフトウェア開発でも、標準の開発プロセスに則り、システム監査にも耐えれるような仕組みを要求されているのだろう。
そんな現場にRedmineを導入し、さらに、アドオン製品Lycheeを入れて導入効果をあげたらしい。
個人的に興味深かった点はいくつかある。
【2】一つは、「当社では長らくExcel帳票を用い、工夫しながら計画管理・要件管理・プロセス管理・構成管理を行ってきました」という点。
Redmine導入前から、Excel帳票で大変だったろうとはいえ、ソフトウェア開発に必要な管理作業はプロセスとして標準化されていたと推測される。
勝手な憶測では、CMMIレベル3の管理されたプロセスまで到達していたのではないだろうか。
つまり、現場では既に、ソフトウェア開発の作業手順や構成管理などが整備されていたので、Redmineというツールを導入しやすい雰囲気があったのだろう。
Redmineを導入したがなかなか根付かないという話を聞く時、よく内容を聞いて見ると、それはRedmineの問題以前の話だよね、というツッコミを入れたくなる時が多い。
そもそも、障害管理票を書いた経験がない、とか、SVNとかバージョン管理って何?、とか、WBSによるスケジュール管理はどうやるの?とか、そういう質問が、Redmine以前にあるのだ。
つまり、ITリテラシー不足、プロジェクトマネジメント経験不足のために、Redmineを導入しても、思い通りに効果を上げることができない、という結果になりがち。
すると、Redmineを使いながら、障害管理や課題管理の運用方法を説明して慣れること、GitやSVNを使いながらRedmineに慣れていくことが必要になってくる。
幸いなことに、Redmineは色んな運用パターンが可能であるので、あるチームは障害管理、別のチームは課題管理から運用を始める、と言ったPJ管理が可能だ。
また、SVNやGitでソース管理を初めてRedmineと連携させると、すぐにその利点も分かってくる。
すなわち、ERP導入と同じように、ERPの機能に含まれているベストプラクティスに慣れるように運用すれば、自然に良い開発作法も身に付く。
Redmineも同様に、Redmineの機能に含まれているベストプラクティスに慣れた方がいい点もあるし、色んな利用シーンに応じて運用パターンを変えることができる点が、Redmineのメリットの一つ。
【3】2つ目は、「Redmineに関してはマニュアルを配布したり、説明会を行ったりしましたが、Lycheeについては説明会を開く必要もなく、導入後に操作がわからないという問い合わせもなかったので、システム導入担当者としては負担が軽いと感じています」という点。
いくらRedmineやLycheeが良いと分かって導入したとしても、現場には初心者もいる。
その人達のために、説明会を開いたり、マニュアルを作ったりする必要がある。
ERP導入の場合、普及促進の活動のコストが結構大きいのだ。
だが、上記のコメントを読むと、RedmineやLycheeはさほど標準化活動のコストが低いように見受けられる。
実際、Lychee製品のデモに触れてみると、特に、Lychee GanttChartはUIがとても直感的で操作しやすい。
例えば、先行後続関係を引きたい時、最初は戸惑うが、ダブルクリックして「+」ボタンが出てきて、別のガントバーへ線を引けるようになる。
他に、ガントバーそのものをドラッグ&ドロップで移動できたり、右クリックしたらチケット編集できるなど、結構面白い。
最近、ユーザエクスペリエンスやアジャイルUXなど、ユーザインターフェイスの重要性をよく聞くが、マニュアル無しで操作できるのは、標準化担当者の人にとってはすごくありがたい。
Lychee製品はどれも、マニュアル無しでも直感的に操作できる点が素晴らしいと思う。
【3】3つ目は、「機能安全の観点から言うと、それがソフトウェアのどの機能に盛り込まれていて、それが妥当か否かを保証することがサプライヤとしての責務だと考えているからです。要件トレースツールとしてタスクの担当者がLycheeAssociation Chartを使用していて、ツリー構造で各タスクの紐づいている状態を親子関係で見られるという点で重宝しています」という点。
LycheeAssociation Chartでは、チケットの階層構造や関連チケット、リビジョンの一覧を表示してくれる。
このプラグインを使うことで、納品時に成果物の漏れがないかチェックしたり、内部統制やシステム監査で、正しいプロセスに則って正しく成果物が作られているか、をチェックするのに使われる。
自動車業界のように製品そのものの安全性を重視されている場合、機能や成果物がきちんと網羅されて、抜け漏れがないことをチェックするのは重要であるが、その作業はかなり大変だ。
LycheeAssociation Chartを使うことで、一覧表示されるから、自動チェックではないが、目検でのチェック作業は確実に楽になるだろう。
但し、LycheeAssociation Chartの運用だけで内部統制の要件を満たすかどうかは分からない。
この辺りは、@akahane92さんのSQIP2014発表資料「「効率、品質、統制」の共通課題に着目した現場主導によるITS導入の効果検証」と比較して、内部統制にRedmineを使う場合の必須要件を洗い出してみたい。
SQIP2014の論文「「効率、品質、統制」の共通課題に着目した現場主導によるITS導入の効果検証」がすごい #redmine: プログラマの思索
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