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2015/07/05

「小さな会社を強くするブランドづくりの教科書」の感想

たまたま読んだ小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書の感想をメモ。
ネットで調べたら、中小企業診断士の事例2「マーケティング」の参考図書だったらしい。
以下は、琴線に触れた言葉をメモ。

【1】日本の技術力は高いと言われる。
しかし、モノづくりでは勝ったのに、ブランド作りで負けた企業が多いのではないか。

強いブランドは名前も品質も超える。

日本は、90年代はコストダウン、2000年代からブランドづくりへ。
守りの経営から攻めの経営へ。

ブランドは言葉だけではない。
ブランドはイメージ。
ブランドは意味。

【2】ブランド力の強い企業ほど好業績。
その理由として、4つの要因がある。

数量プレミアム効果。
品質が同じでも、競合製品よりも選ばれやすい。

価格プレミアム効果。
消費者の価格の受容度が高いため、高い価格を設定できる。

リピート効果。
ブランドが、リピート顧客を増やす。

口コミ効果。
ブランドが、口コミによって顧客が顧客を呼ぶ。

つまり、数量プレミアム効果 *価格プレミアム効果 *リピート効果 *口コミ効果 =好業績 になる。

【3】小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書では、静岡県の「アメーラ」という高糖度ミニトマトを例にして、ブランドの効果を説明している。

たとえば、アメーラのブランドイメージは「最高品質の高糖度トマトで、おいしさの感動をお届けします」。
ブランドアイデンティティである価値生(最高品質)、独自性(高糖度)、共感性(おいしさの感動)を伝えている。

強いブランドはコトを伝える。
消費者は財布の余裕ができると、モノからコトに向かう。

「トマトの購入」よりも「食の安全性」「美味しさの感動」の方が、購買額が高い。
「化粧品の購入」よりも「美しくなるため」「健康になるため」の方が、購買額が高い。

人々にモノを売り込むのではなく、コトを提供する。
それがブランドを強くする。

【4】ブランドを作るには、大きな市場の2番手よりも、ニッチな市場で1番手になること。
ポジショニングマップで、ブランドを対象とするマーケットや顧客を明確にすること。

ブランドイメージを擬人化すると分かりやすい。

例えば、一般的なトマトのイメージは「明るく元気な20代の女性」。
アメーラのイメージは「やさしく穏やかな大人の女性」。

ブランドパーソナリティが明確であれば、一貫性を持ったブレないブランド戦略が可能になる。
すると、パンフレットや広告、ロゴのイメージのすり合わせがやりやすくなる。

【5】強いブランドの土台は品質。
しかし、企業が提供する品質と消費者が求める品質は違う。

たとえば、アメーラというトマトの場合、「ヘタがない」「皮が厚い」というデメリットがある。
しかし、それを「ヘタがないので形が美しい」「ヘタがないのでゴミが出ない」「ヘタがないので弁当に使いやすい」「歯ごたえが楽しめる」「ぱきっとした食感がある」と読み替えればいい。

ブランドが持つ高い品質を、消費者が求める品質に合わせて伝えるようにすること。

【6】目に見えないブランド価値。
ブランドの具体的な表現要素をブランド要素と呼ぶ。

消費者は目を通して、ブランドを味わう。

ブランド要素では、ロゴ、パッケージングが重要。
たとえば、アメーラでは、白い箱にプラスチックの透明カップにミニトマトを入れて、おしゃれにした。
これが、女性層に受けた。

ブランド要素で重要なのはハーモニー。
ブランド要素間の統一感が大切。

強いブランドには色がある。
スターバックス、コカ・コーラ、アップルには色がある。
たとえば、アメーラには、赤いトマトと黄色いトマトがある。

でも、ブランドの拡張は諸刃の剣。
アメーラというトマトのブランド拡張なら、トマトジュースやトマト料理などがあるだろう。

【7】広告に頼らないブランドつくり。
中小企業は、宣伝広告にかける費用が少ない。
でも、現代は、SNSによる口コミ効果が大きい。

スタバ好きの人の周囲には、スタバ好きが多い。
類は友を呼ぶ。
コカ・コーラ、アップル、ソニー、ルイヴィトン、ディズニーランドなど。

広告よりも口コミの方が影響力が大きい。
また、口コミで獲得した顧客はリピータになりやすい。
そのブランドを気に入った人の周囲には、似たような人が多いので、ブランドと相性が良い人が多い可能性が高い。

口コミの促進を活発化させる方法は何か?
体験が口コミを促進する。
口コミの種を蒔く。
口コミを利用したブランドづくりでは、インフルエンサーを特定し、その人達の力を活用するのが最も有効。

インフルエンサーと自社の距離を縮めてもらうことが大切。

【8】強いブランドの価格戦略は、セールやディスカウントをしないこと。
低価格戦略ではなく、価値で顧客を惹きつける。

価格で惹きつけた顧客は、価格で逃げていく。

100万円のワインはなぜ美味しいか。
認知的不協和の理論。
人は、無意識でつじつまを合わせる。

ブランドが強くなると、価格の好循環を達成できる。
強いブランドは、価格競争に巻き込まれることもない。

【9】ブランドが失敗する10の理由。

品質管理がしっかりしていない。
戦略がない。
共感性の欠如。
コミュニケーションに一貫性がない。
無関係なブランド拡張。
なんでも屋になる。
消費者の声を聞かない。
値引き競争をする。
感性に訴えない。
チャレンジせず、現状維持で良しとする。

ブランドも定期的に健康診断すべき。

【10】感想

自分が何かしらのソフトウェア製品を作っていて、販売したいとする。
その時、その製品にどんなブランドを持たせて、販売すべきか、というように考えると、すごく身近に感じる。

ブランドづくりの話は、ビジネスフレームワークの4Pそのものだなあ、と思う。
4Pの製品戦略、価格戦略、物流戦略、販促戦略にそのまま展開される。

小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書が面白いと思う点は、現代は大企業よりも中小企業の方がブランドイメージを構築しやすいのでは、ということ。
中小企業の方が、とんがった製品にブランドイメージを作って販売することに向いている。
大企業はしがらみも多いし、既存の製品が逆に新製品の邪魔になる場合もあるから。

同著者の「スモールビジネス・マーケティング―小規模を強みに変えるマーケティング・プログラム」では、そんな内容をもっと書いているらしい。
今度また読んでみる。

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