「チケット駆動型進捗管理システムによるカーナビゲーション開発管理の効率化」のSQIP2012講演資料
「チケット駆動型進捗管理システムによるカーナビゲーション開発管理の効率化」のSQIP2012講演資料が公開されていたのでメモ。
資料はPDFでダウンロードできる。
【参考】
チケット駆動型進捗管理システムによるカーナビゲーション開発管理の効率化 | SQiPソフトウェア品質ライブラリ
はてなブックマーク - チケット駆動型進捗管理システムによるカーナビゲーション開発管理の効率化
【1】事例は、SQIP2012だから3年前の、デンソーという会社のチケット駆動開発の経験事例。
内容は、Jira+Subversionを使って、チケット駆動開発を導入し、アジャイル型開発+WF型開発の合わせ技でプロセス改善を試みた、というストーリー。
(引用開始)
我々が開発しているカーナビゲーションは、ソフトウェアの開発規模が1000万行を超え、1000人以上が関わる大規模製品となっている。
開発を取り巻く環境として、短納期開発、低コスト、仕様が固まらないなどの外部要因を抱えおり、要件変更が頻繁に起こる。
これは従来の製品開発で適用されているウォーターフォール型開発では、手戻りを発生させる要因となる。
要件変更が頻繁に起こる開発でも、手戻りの影響を減らす新たなプロセスの構築が必要であると考えた。
そこで、変更にすばやく適応することに主眼をおくアジャイルソフトウェア開発に着目した。
一般的にコミュニケーションを重視するアジャイル開発は、大規模開発には不向きとされている。
しかし、開発対象を細かな機能に分割し、開発のスコープをコミュニケーション可能な規模にする事で、アジャイル開発の適用が可能と考えた。
ウォーターフォール型開発にアジャイル的な要素を組み込む際に、進捗管理システムにチケット駆動型管理システムを採用した。
機能の開発計画を管理する計画チケットと、工程で発生する作業をコミュニケーション可能な粒度で管理する作業チケットに層別した。
本発表では、上記要件を備えたプロセスの構築と、それを製品開発に適用するためのプロジェクト進捗管理システムについて報告する。
(引用終了)
【2】上記のデンソー様の資料を読むと、どの箇所にチケット駆動開発を適用すると効果が出るのか、という点がよく考えられている。
社内標準のWF型開発プロセスにアジャイル開発の良さを適用するために、チケット管理ツールを上手く導入して運用したわけだ。
Jiraであろうが、Redmineであろうが、同じような効果を得たに違いない。
【2-1】ところで、最近、僕が「チケット駆動開発を実践したら、開発のリズムやアジャイル開発のプラクティスは、自然に出てくるものだ」と話したら、@sakaba37さんとこんな議論する時があった。
「チケット駆動開発の効果は、Redmineなどのチケット管理ツールを導入して自然に出てくるものではなく、問題や適用箇所を事前にきちんと把握しないと効果が出ない」
「チケット駆動開発の効果を自然に感じられず、失敗事例が多いとTwitterでよく見かけるのは、アジャイル開発やPJ管理の知識を持っていない前提で、いきなりRedmineを導入してしまうからだろう」
[#TiDD]失敗しないチケット駆動開発 - プロセスモデリングの視点から+告知 -: ソフトウェアさかば
[#TiDD] ウォータフォール型開発の問題点とチケット駆動開発 #seakansai: ソフトウェアさかば
その指摘を受けて、チケット駆動開発が自然に感じられない理由が別の所にあると気づいた。
僕はアジャイル開発を実践したくて、目の前にあるRedmineというツールを使ったら、既知のアジャイル開発のプラクティスがRedmineの機能に上手く当てはまると分かったが、これは、そういう意識を持っていたから気づいただけ。
普通は、そんな観点を持たないし、そういう発想も思いつかない。
そんなことを考えると、チケット駆動開発と今まで知られているソフトウェア工学の知識を比較したり、チケット管理ツールの適用範囲をまとめてみることが重要ではないか、と思う。
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