Redmineの要員管理のプラグインLychee Resource Managementの感想
アジャイルウェアがRedmineの要員管理のプラグインLychee Resource Managementを公開されていたのでメモ。
ラフなメモ書き。
【参考】
Lychee Resource Management:アジャイルウェア
(引用開始)
「今誰が空いているかわからない」「予実をマッチさせたい」「スタッフの負担がバラバラ」…そんなマネージャの悩みにLychee Resource Management。
稼働時間、稼働率、生産性をグラフと表でリアルタイムに把握できる。
ユーザーごとの稼働時間、稼働率、生産性を任意の期間、任意のプロジェクトで把握することができます。
また、日単位、月単位やグループでまとめることも可能。様々な見方でリソースを把握し、マネジメントを支援します。
(引用終了)
【1】MSProjectを使っているマネージャなら、ガントチャートだけでなく、EVMや稼働率、クリティカルパス表示、要員のリソースヒストグラム表示など、Redmineでも同様な機能が欲しくなる。
アジャイルウェアのLycheeシリーズでは、プロジェクトマネージャ向けにRedmineを機能拡張したプラグインを次々に公開されている。
ガントチャート上で予実表示・クリティカルパス表示、EVM、要員管理のプラグインは、マネージャが欲しそうな機能だろう。
【2】僕個人の考えでは、マネージャが欲しそうな機能であるEVMやクリティカルパスなどに対し、Redmineでどのように実現できるか、というアイデアは過去にたくさん書いてきた。
それらの機能がRedmineのアドオン製品として実装されているので、自分のアイデアが正しいかどうか、評価したくなってくる。
【MSProjectとRedmineの機能比較】
RedmineのガントチャートはMS ProjectのWeb版になりうるか?: プログラマの思索
【クリティカルパス】
チケット駆動開発にPMBOKの概念を導入してみる: プログラマの思索
【EVM】
チケット駆動開発にEVMの概念を導入してみる: プログラマの思索
【要員管理】
Redmineでリソースヒストグラムを実現するアイデア: プログラマの思索
Redmineでリソースヒストグラムを出力してくれるプラグイン~RedminePlannerPlugin: プログラマの思索
【3】上記のLychee Resource Managementを見ると、稼働時間・稼働率・生産性の3つの観点で、要員管理を実現してくれている。
チケットに予定・工数工数が入力されていて、工数の数値の精度が高ければ、EVMと同様に、要員管理もできる。
基本的なアイデアは既に書いたが、チケットに担当者と予定工数をあらかじめ入力しておけば、1ヶ月先の作業予定も自動計算できる。
WF型開発ならば、プロジェクト計画時にWBSを作成しているので、それをチケットにマッピングすればいい。
【3-1】稼働時間の画面は、予定と実績を工数集計した画面になる。
日別に稼働時間を表示した場合、1人日8時間以上超えたセルは、赤色や黄色で表示される機能が付いている。
つまり、予定工数が赤色ならば、計画が非現実的であり、山崩しスべきであると分かる。
あるいは、実績工数が赤色ならば、既に作業負荷が高くなっているので、早めに対策を打つべき、と分かる。
日別・月別に稼働時間の合計が棒グラフで表示されているので、マネージャは例えば、要件定義や設計工程は少数精鋭でSE要員を配置し、製造・テスト工程で大量のPG要員を動員する必要がある、という計画を立てて、予実管理していくのに使える。
【3-2】稼働率は、担当者やチームごとの稼働率を表示してくれる。
生産性は、EVMのCPIと同じ。
稼働率は、SIにとって重要な指標だ。
自社で抱えるSEやPGの人件費は固定費なので、彼らの費用以上の売上が必須要件になる。
すると、稼働率がある程度高くないと、人月ビジネスでは売上を確保できないからだ。
普通は、1人月20人日として、稼働率は95%以上を設定しているのではないだろうか。
稼働率の画面では、担当者ごとの稼働率が数値とグラフで表示されているので、一目で稼働状況が分かるのが良い。
先の予定で稼働率が低ければ、別の案件にアサインを予定するなど、マネージャは色々手を打つことができる。
稼働率の観点で注意すべき点は、1個の案件内の稼働率と、所属部署内の全案件での稼働率の2種類を表示して欲しいことだろう。
マネージャとしては、所属部署の全案件でトータルの実績工数から、担当者ごとの稼働率とその内訳を見たいものだ。
なぜなら、余裕のある案件は良いが、既に火を噴いている案件があれば、ヘルプ要員として、稼働率が空いているメンバーをつぎ込んで、フォローしたいからだ。
つまり、SIの仕事では、生産性の高いメンバーほど、ヘルプ作業が多くなり、作業負荷が高くなるというパラドックスが生まれる。
日本のSIでは生産性を上げても、はかどっていないような仕事ぶりをする: プログラマの思索
Redmineで作業の見える化ができると良い面もあるが、逆に皆の稼働率が平均になって、皆が忙しくなってしまう危険もあるのかもしれない。
【4】Lychee Resource Managementのデモ画面で触ってみると、詳細情報がホバー表示されるなど、使い勝手もすごく良さそう。
簡単に触ってみた限り、マネージャが欲しそうなRedmineのプロジェクト管理機能として実現されているような気がする。
僕が以前から考えていたアイデア「マネージャの観点でRedmineにどんな機能が実現して欲しいか」について、実際の製品が実現されていくのは正直面白い。
PMBOKだけでなく、ITILでも既にRedmineの製品が販売されているし、このあたりのフィットギャップ分析は今後も試してみたい。
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