組織行動で知られている罠
「世界で最もイノベーティブな組織の作り方」を読みながら、組織行動で知られている罠についてメモ。
主張は特に無し。
【1】有能性の罠(competency trap)
「満足水準を超えた利潤を得て、不満がない状況では、あえて現在よりも優れた戦略や方法を探索する動機づけが失われる」
「当面の事業が成功すればするほど、知の探索をおこたちがりになり、結果として中長期的なイノベーションが停滞するというリスクが企業組織には本質的に内在している」
従来のやり方で成功し続けると、そのやり方に固執して、現在よりも優れた方法を探索しなくなる。
特に、保守的な大企業ほど、創業以来のやり方に固執してしまいがち。
【2】訓練された無能(官僚制の逆機能)
官僚制とは | ビジネススクールならグロービス・マネジメント・スクール
2/4 官僚制理論と官僚制批判理論その基礎 [社会ニュース] All About
「「訓練された無能」とは、あまりに規則などに固執することによって、変化した状況に対応できなくなってしまうことです」
「おかれた状況が変化しているのにもかかわらず、同じ行動パターンを繰り返してしまう 」
保守的な大企業に長くいる人ほど、周囲の環境が変化して以前の常識が通用しなくなっているのに、同じような行動パターンを踏んでいるケースを見かける時がある。
【3】グループシンク(集団浅慮)
グループ・シンクとは | ビジネススクールならグロービス・マネジメント・スクール
なぜこんなに発言しにくい? -集団浅慮 | GLOBIS 知見録 - 読む
「集団の圧力により、その集団で考えていることが適切かどうかの判断能力が損なわれる状況です」
「特に、集団の凝集性が高い場合や、外部と隔絶している場合、支配的なリーダーが存在する場合などに起きやすい」
特に日本人の一部の集団のように、集団の凝集性が高く、個人の異論を受け入れないような集団では、集団での意思決定が個人の意思決定よりも浅はかになってしまうリスクがある。
【4】リスキーシフト(集団極性化)
集団思考のワナ ー リスキーシフト|レイデル の「心のエラー」と「脳のトラップ」
「組織での意思決定は極端な方向に振れやすい」
「集団極性化現象(グループ・ポーラライゼーション)とも呼ばれる」
「集団浅慮(グループシンク)の結末として、往々にしてリスキーシフトと呼ばれる現象が起こります。これは、グループでの意思決定は、極端な方向に振れやすいという現象です。」
「リスキーシフトは、集団で決めたことが、個人で考えるよりも危険性の高い決定になることをいいます。」
大規模な組織ほど、実は、リスクのある意思決定が行いやすい時がある。
個人の意思決定よりも集団の意思決定の方が極端にぶれやすい。
【5】コーシャスシフト
集団思考のワナ2 ー コーシャスシフト|レイデル の「心のエラー」と「脳のトラップ」
いじめ、暴行・・・集団心理が危険な結果を招くわけ [ストレス] All About
2/2 「いじめ」にかかわる集団極性化と傍観者効果
いじめ、暴行・・・集団心理が危険な結果を招くわけ [ストレス] All About
「リスキーシフトとは真逆で、集団の意思決定が保守的で消極的な方向へ向かうものを言います」
「コーシャスシフトは、集団で決めた決定が、個人で決めるよりも、慎重でより安全志向になることをいいます」
「こうした集団心理の特性をよく理解し、小さな事件が大きな問題へとエスカレートする前に、今起こっている現象をよく検討する必要があります」
コンセンサスに重きをおくほど、ラディカルな企画や意見は、角が取れて、最終的な結論は何も言っていないに等しくなる場合がある。
日本の学校にけるいじめは、集団極性化現象そのものと同じだと思う。
個人では良い人なのに、集団になると、排除する力が大きくなりがち。
【6】バイアスの罠
番外その14 「バイアス」の罠~人間の判断にはバイアスがかかっている~
「人間の意思決定は気づかないうちにさまざまなバイアスを帯びている」
バイアスの罠を意識しておかないと、他人の意見に左右されやすく、意思決定がぶれやすくなると思う。
【7】我々は、学校、会社、コミュニティという集団に必ず属している。
過去の日本の歴史をたどれば、官僚的な組織になるほど、上記の罠にハマったケースが見受けられるだろう。
また、自分が所属する組織において、「有能性の罠」「訓練された無能」「グループシンク」「リスキーシフト」「コーシャスシフト」の現象なのかな、と思う時もある。
そういう概念を知っているだけでも、落とし穴を避ける事もできるはず。
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