2016年8月のRedmineの機能改善に期待できること
最近のRedmineの機能改善に期待できることをメモ。
たぶん、Ver3.4で実現されるだろう。
【参考】
2016年8月のRedmine開発状況 | Redmine.JP Blog
2016年7月のRedmine開発状況 | Redmine.JP Blog
2016年6月のRedmine開発状況 | Redmine.JP Blog
【1】やっと「プロジェクトの設定画面の「バージョン」タブにフィルタ機能を追加」が対応されるようだ。
従来は、バージョンをたくさん作る運用を行うと、チケット一覧やプロジェクト設定画面で大量にバージョンが表示されて扱いづらい問題があった。
下記の記事を以前書いた。
Redmineチケット一覧のフィルタ「対象バージョン」のリストが大量表示されて使いにくい問題点: プログラマの思索
下記の記事では、「毎月10個ぐらいバージョン作成した運用」をすると、「3年運用するとなると、300個以上リストが出てくる」問題があったらしい。
チケット一覧のフィルタ「対象バージョン」のリストから終了したバージョンを表示させない方法 - Google グループ
下記チケットで、Ver3.4で解決されるようだ。
Feature #10412: Target version filter shoud group versions by status - Redmine
Feature #22608: Enable filtering versions on Project -> Settings -> Versions - Redmine
Redmineのバージョンは、使うチームと使わないチームが真っ二つに分かれる機能。
バージョンを使えないチームは、大量のチケットに溺れかけて、タスク管理できない場合が多い。
そもそも、ロードマップ画面がリリース計画作りに使われる、という気づきもないので、チケット管理が雑になりやすい。
この機能改善で、Redmineが更に使いやすくなるに違いない。
【2】興味深いのは、RedmineのTimeTrackingの機能強化だ。
作業時間の画面では、フィルタリングの機能がしょぼいし、検索条件を保存できなかった。
しかし、ようやく、作業時間画面をチケット一覧画面と同じように、クエリで保存できたり、検索条件の種類が多くなることで使い勝手が良くなるようだ。
Redmineには工数管理機能がデフォルトで付いている点に一つの特徴が従来からあった。
チケットに作業の実績工数を残せば、作業時間が一つのDBに蓄積されるので、データを出力すれば好きなように加工して集計できるメリットがあった。
SIならば、作業時間の報告が準委任契約の作業報告書の重要な項目なので、Redmineで作業管理するならば、取得したいメトリクスの一つになるだろう。
しかし、Redmineの画面UIでは、多種多様なフィルタリングができなかったために、せっかく作業時間を登録しても、利用ユーザが便利なビューがないのでメリットを感じにくかった。
WorkTimeプラグインなどの他プラグインで代用するしかなかった。
「次期feature releaseとなるRedmine 3.4.0向けのコミットとしてはTime tracking関係の改良が目につきます」「Redmine開発者のJean-Philippe Lang氏の関心が最近はTime trackingに向いていたのかもしれません」というコメントから、今後、Redmineの工数管理も機能改善が期待できるだろう。
【3】個人的に期待している機能は、ロードマップ画面でチケットをドラッグ&ドロップで並び順を変更できる機能だ。
既にパッチが添付されている。
Feature #22802: Add the posibility to set/change the position of an issue in a version - Redmine
2016年9月のRedmine開発状況 | Redmine.JP Blog
アジャイル開発では、かんばんやプロダクトバックログで、チケットを優先順位別に上から順に並べる。
そうすれば、メンバーはチケットの上から順に取って、作業していけばいい。
メンバーは優先順位をいちいち考える必要もない。
ロードマップ画面はリリース計画に相当する機能なので、チケットの並び順は優先順位順であって欲しい。
優先順位は、チケット番号別でもないし、チケットの優先度で決まるわけでもない。
唯一つの順序でチケットが並んで欲しいのだ。
たとえば、チケットのカスタムフィールドを作り、ナンバリングする運用が考えられるが、優先順位の入れ替えが発生すると運用が面倒になる。
上記のチケットが対応できれば、手動で並び順を設定できるので、ロードマップをより「かんばん」らしく扱う運用ができるようになるだろう。
【4】Redmineの今後の課題はUI改善だろうか。
JPLいわく「Redmine 4ではUI/UXの改善を行いたい。RedmineのUIは、3.2でのレスポンシブデザイン対応を除けば10年間ほとんど変わっていない」。
JenkinsがUIを刷新したように、Redmineもそろそろ現代風のUIにしたいところだろう。
個人的に注目しているのは、view customize pluginによるRedmineのUIカスタマイズだ。
Redmineのプラグイン「view customize plugin」のカスタマイズ例 - Qiita
View Customize - Plugins - Redmine
onozaty/redmine-view-customize-scripts: Script list for "Redmine View Customize Plugin"
たとえば、「カスタムフィールドを連動させる(親の値に応じて、子を絞り込む)」「チケット作成時にトラッカーに応じてデフォルト値を設定」「進行中にもかかわらず担当者が未設定の場合に警告を表示」のような機能は正直欲しい。
でも、現場ごとに実現方法は異なるので、ユーザが自由に修正できるような方法が欲しい。
そんな要望に見事に応えるプラグインがview customize pluginになる。
CSSとJavaScriptで自由に画面の挙動をカスタマイズできるのを見ると、RedmineはUI設計も非常に優れているのではないかと推測する。
画面UIの骨組みはCSSで定義されていて、綺麗に設計されているので、そこにフック処理やオーバーロードのような処理を埋め込みやすいのだろう。
Redmineが画面UIを改善する場合、機能本体をマイクロコア化して、画面UIは自由にカスタマイズできるような設計になったらいいなあと思う。
アイデアは下記に書いた。
元々、RailsはJavaScriptと相性が良いので、アーキテクチャとして可能だろうと思う。
ViewCustomizeプラグインでRedmineをマイクロコア化できるか: プログラマの思索
他にも、custom_workflowsプラグインのように、ワークフローにフック処理を自由に入れられる機能があればいいなあと思う。
ワークフローを現場ごとにカスタマイズしたい、という要望は多いからだ。
Redmineのワークフロー管理機能に分岐やロジックを追加するプラグインredmine_custom_workflows: プログラマの思索
Custom Workflows - Plugins - Redmine
色々考えてみる。
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