« Redmineが日本人好みのツールであるという仮説 part2~日本の硬い組織構造をRedmineが柔らかくしてくれる | トップページ | 法務脳の作り方part1 »

2016/09/17

技術の背後に数学の理論があると廃れない

最近考えていることをラフなメモ書き。
特に主張はなし。

【1】最近、IOTや自動運転の技術が注目されているが、それら技術はもうすぐ廃れるのだろうか?と考える時がある。
今までも、IT業界では数多くのバズワードが生まれては消えていった。

でも、たぶん廃れない技術であり、今後も発展していくだろうと思う。
理由は、その背後に、ベイズ推定という統計学の理論があるから。

統計学の検定、ベイズ推定の考え方は、既に20世紀に理論化されていた。
しかし、膨大な計算が必要なために、コンピュータのない時代には手計算でやれる範囲が限られていて、本来の力を発揮できなかった。
でも、今は、プログラミングによる強力な計算機能のおかげで、検定処理がすごく楽になった。
たとえば、販売予測や購買分析などのマーケティングは、プログラミング経験がある人ならば、ちょっと統計学の知識をマスターすれば、R言語を使って即座に仮説検証ができてしまう。

統計解析向けのプログラミング言語「R言語」の魅力と汎用言語との違い | Think IT(シンクイット)では、こんな文章がある。

(引用開始)
私がR言語を習得した時の印象としてはアソシエーション分析が簡単にできることが衝撃的でした。
アソシエーション分析とは、コンビニエンスストアや百貨店や店舗などで集めている顧客ごとの購買商品データを活用して、購買された商品の関連性について分析する手法です。
例えば、雨の日に購買された商品Aを購入した顧客は商品Bを同時に購入される割合が何%であるといったような感じで、分析することを指しています。
コンビニエンスストアや百貨店では、如何に店舗を有効に活用するかがとても重要であり、どの商品をどういうときに、どこに陳列するかなどを分析していく必要があります。
R言語の独自性(クセ)を理解し、関数を知ることができると、このアソシエーション分析も簡単な関数で行うことができるようになるのです。

R言語を習得すると、このような分析も試行錯誤しながら進めていくことができるようになるのです。
統計学をかじったことがある人でしたらどなたでも分かりますが、数値をどのように分析するか、どのように導き出すかは、分析者のセンスにもよりますし、ベストプラクティスに至るまでかなりの試行錯誤を繰り返すはずです。
まさにR言語はそのような試行錯誤に適した専用言語なのです。
(引用終了)

統計学の知識とR言語さえあれば、ECサイトにおける広告の最適化、とか、見込み客に対する営業活動の効率化、とか、勉強会のアンケート結果から因子分析、とか、本番システムのシステムログや本番障害データからアソシエーション分析で障害が発生しやすいルールを検出、など、色んな場面に適用できる。

数学の理論が確固としてあれば、その技術はもっと飛躍できる可能性が高い。
自分のアイデアをプログラミングできる能力さえあれば、色んな状況に適用していけばいい。

統計学の理論のように、理論が生まれた当時は計算力不足の環境でその威力が限定されていたが、コンピューティングパワーの発達によって、その理論の本来の可能性が具体化されたわけだ。

【2】そのような事象は、他の技術でも見受けられる。
たとえば、RDBやデータモデリングは、1970年代に集合理論を元に作られて発達してきた。

達人に学ぶSQL徹底指南書」によれば、コッドは「関係計算を定義したこと」「関係代数を定義したこと」「DB操作の基礎に1階の述語論理を適用したこと」の3つを成し遂げたという。
そこから、「データは命題である」という発想はすごいことではないだろうか。
RDBに格納すれば、そのデータは業務の状況や業務のロジックを表しているのだ。

だから、オブジェクト指向プログラミング言語が全盛の今でも、RDBはミッションクリティカルな技術として残り続けている。
RDBと数学の理論を背景として持っているから、SQLもどんどん拡張できているし、数多くの業務にも適用できている。
NoSQLや非RDBの技術が今後流行したとしても、RDBが廃れることはないだろう。

【3】Redmineにおけるチケット駆動開発も、単純なアイデアではあるが、その背景には、ソフトウェア工学・PMBOK・ITILのような理論が存在する。
また、品質管理、進捗管理だけでなく、CRMやBPMなどのツールにも関連する。
つまり、ソフトウェア工学のような理論や、数多くの具体的な事例が背景に連なっているので、そう簡単に廃れることはないだろうと直感している。

たぶん、他の技術でも背後の数学の理論やソフトウェア工学の理論が隠れているものがあると思うし、そういう技術がどのように生まれ、今後どのように発展していくのか、を見てみたいと思う。

|

« Redmineが日本人好みのツールであるという仮説 part2~日本の硬い組織構造をRedmineが柔らかくしてくれる | トップページ | 法務脳の作り方part1 »

ソフトウェア工学」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« Redmineが日本人好みのツールであるという仮説 part2~日本の硬い組織構造をRedmineが柔らかくしてくれる | トップページ | 法務脳の作り方part1 »