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2017/06/20

JAXAのRedmine利用事例の講演資料がWeb公開されました

昨年7月に開催された第65回 SEA関西プロセス分科会 & RxTStudy #15における、JAXAのRedmine利用事例の講演資料が公開されていたので、メモ。

【参考】
“CODA” チケット管理システム | JSS2@JAXA:「JAXAスパコン”JSS2″の運用を支えるチケット管理システム”CODA”」, 2016/7/30, イベント: 第65回 SEA関西プロセス分科会 & RxTStudy #15

JAXAの数値シミュレーションとスパコンの歴史 (2016年版) - YouTube

第65回 SEA関西プロセス分科会&RxTStudy #15 「チケット管理システムによるプロセス支援と今後の課題」の感想: プログラマの思索

JAXAのスーパーコンピュータ活用課でRedmineを使ったチケット管理システムの経験論文: プログラマの思索

JAXAのRedmineモデル~Redmineはレイヤ構造になっている: プログラマの思索

JAXAのRedmine運用に隠れている運用ルール: プログラマの思索

講演資料を読み直すと、昨年7月の講演会の熱い雰囲気が思い出されて懐かしい。
JAXAがなぜRedmineを導入しようとしたのか、その理由も詳しく書かれている。

個人的に興味を惹いた部分は、資料の後半にあるRedmineの管理画面の設定情報だ。

ロールは、レギュラー、文書係など7種類。
トラッカーは、全般、QA、会議開催など9種類。
チケットのステータスは、修正待、再現待、返却・抹消など13種類。
カスタムフィールドは、すごくたくさん。

文書カテゴリは、11個。
たぶん、DMSFプラグインを入れたためだろう。

IssueTemplateプラグインのチケットテンプレートは、5種類。
報告書や会議資料で使われているみたい。

プラグインは、DMSF、IssueTemplate、LocalAvatar、SidebarHideなど7個。
EnterCancelプラグインも入っている。

「プロジェクト分割の目安」も参考になる。
「Redmine活用の大きな要素」であり、「業務範囲の広がり時の分割判断」になる。
PJ分割の指針は下記らしい。

(引用開始)
a. セキュリティ等の属性で参加メンバーが異なる →親子プロジェクトの利用
b. 同一参加メンバー(ユーザ)のロール変更が必要な場合
c. 業務範囲に依存するフィールドの要・不要、更新頻度の多寡
d. Redmine保守は独立プロジェクト
e. プロジェクト毎に選択肢を設定できる、”強力な”標準フィールド「カテゴリ」の活用
(引用終了)

興味を惹くのは、セキュリティなどのユーザ属性でメンバーのロールが変わる場合に親子PJを使う点。
確かに、社外のベンダー開発者と社内メンバーでは、情報アクセス権限が異なるので、分けた方が良い場合はある。

また、「カテゴリ」機能を頻繁に有効活用している点も面白い。
カテゴリはPJ独自に設定できるので、PJの独自性を出したい検索キー項目があれば、カテゴリを使うといいかもしれない。

「フィールドの要・不要、更新頻度の多寡」は、CFのAND条件の運用ルールに相当するだろう。
この運用方法については下記でも書いた。

JAXAのRedmine運用事例の分析~「ロール設定のORルール」と「カスタムフィールド設定のANDルール」: プログラマの思索

最後に、「Redmineへの期待」の部分がすごく参考になる。

(引用開始)
1. 高い汎用性を持つチケット管理システム
2. 全体としては非常に満足
3. 活発な開発の継続とコミュニティや情報発信の充実
4. プラグインによる機能面・操作性の充実
5. ASP型エコシステムの確立によるOSSの普及・定着
(引用終了)

Redmineの利用が広まった理由には、コミッタによる定期的なVerUpと頻繁な改善、ユーザコミュニティが活発で書籍やWebの情報が多いことがあるだろう。
つまり、RedmineというOSSのエコシステムが自然に生まれて、成長のらせん構造になっている点があると思う。

コミュニティの一スタッフとしては、OSS活動を通じて、コミッタとユーザの交流と活発な議論によるコミュニティの場が重要であると肌身を持って感じた。
そういう活動を今後もやっていきたいと思う。

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