第17回Redmine大阪勉強会の見所~Redmineをナレッジシステム、そしてプロセス保証のツールへ進化させたい #RedmineOsaka
第17回Redmine大阪勉強会が8/26土で告知された。
見所を公開しておく。
【参考】
Redmine大阪 第17回勉強会 - connpass
Redmine大阪 第17回勉強会の懇親会 - connpass
【1】今回のテーマは「Redmine3.4.0と全文検索エンジンの徹底解説!」。
(引用開始)
2017/7/2にRedmineのメジャーバージョン3.4が無事にリリースされました。
Ver3.4には、Redmineのかゆい所に手が届く機能改善が多数リリースされているので、Redmineを利用できる場面がもっと増える効果があるでしょう。
今回の勉強会では、Redmine3.4.0の徹底解説と、Redmineの全文検索機能を強化することでRedmineをナレッジシステムへ飛躍させる可能性を秘めるお話の二つをメインテーマとして提供します。
Redmineの初心者から、Redmineをバリバリ使う経験者まで、興味のある方はぜひお越しください。
(引用終了)
【2】@g_maedaさんには、Redmine3.4.0の徹底解説やRedmineのVerUp手順、今後のRedmineの展望などを講演して頂く予定。
Ver3.4のメジャーバージョンのリリースに至るまで1年かかったが、リリースされた機能改善の内容は、Redmineの使い勝手を心地よくしてくれるものばかり。
現時点では、Ver3.4.2までリリースされていて、細かなバグはかなり潰されている。
個人的に興味があるのは、次のメジャーバージョン4.0の内容だ。
Ver4.0では、Rails5についに対応する。
今から知っておきたいRails 5の新機能・変更点 - Qiita
ざっくりRailsの各バージョンの流れ - kasei_sanのブログ
Rails5に対応する最大のメリットは、RubyやRailsの最新版に追随することで、Redmineの寿命を長持ちできること。
RedmineはSIにおける事実上の基幹業務システムなので、機能面だけでなく、セキュリティや性能面でも安定運用したい。
幸いなことに、RubyやRailsはVerUpするごとに安定しており、しかも性能アップになっているので、その恩恵をRedmineも受けられる。
個人的に注目する点は、最近流行のシングルページアプリケーションに対応できる点だろう。
最新のWebアプリケーションに慣れた人からは、RedmineのUIは古臭い、とよく言われるが、Rails5に対応することでUIは改善されていくだろうと思う。
但し、RedmineがRails5に対応することで、既存のRedmineプラグインはそのままでは事実上動作しなくなるリスクがある。
日本人のプラグイン開発者は多いので、Ver4にも早めに対応して欲しいなと思う。
neta@世界は私のオイスターさんのツイート: "@g_maeda @akipii プラグイン大量死の歴史がまた 1ページ ですか?"
【3】@ktohさんは全文検索プラグインのお話、@akahane92さんは全文検索プラグインの性能評価やRedmineのチューニングのお話。
前回の東京Redmine勉強会でも須藤さんに講演して頂いているが、今回は、そのお話に加えて、全文検索プラグインの可能性やそのアーキテクチャの説明もお願いしている。
第12回東京Redmine勉強会の感想 #redmineT: プログラマの思索
個人的には、全文検索プラグインはRedmineをナレッジシステムにできる可能性を示唆している、優れたプラグインだと思う。
Redmineの添付ファイルを全文検索するパッチの可能性~Redmineをナレッジシステムにするための要件とは何か?: プログラマの思索
Redmineの検索機能の改善はチケット管理システムにとって重要な要件だ: プログラマの思索
【3-1】Redmineの運用が数年も経てば、チケット枚数は軽く10万枚を超えるだろう。
50万枚~100万枚ぐらいまでチケットが蓄積されているRedmineもあるのではないか。
すると、デフォルトの全PJ横串の全文検索では応答速度が遅くなるのは知られていた。
(ただし、Ver3.0以後、全文検索は、表示されたPJだけに限定されるようにデフォルト設定されているので、性能悪化は感じない)
Redmineでは、チケットと構成管理ツール配下の成果物に対しトレーサビリティは保証するように運用できるし、Wikiやチケットに各PJの作業履歴、知見は全て蓄積されている。
しかし、Redmineにいくら、障害や課題、仕様変更のチケット、技術情報のWikiを蓄積したとしても、即座に検索できなければ、欲しい情報が取り出せない。
Redmineという一つの箱にデータが集約されているのだから、Redmineのデータを好きな時に好きなだけ検索して、過去の有用な知見を引き出したいのだ。
全文検索プラグインによって、200万チケットでもレスポンスに問題なし、という結果は、今回、@akahane92さんが回答してくれるはず。
つまり、Redmineに全文検索プラグインによる機能追加で、検索の性能要件は問題なくなる。
また、全文検索プラグインでは、Google検索のように、有用なランク別にソートしてくれるので、検索結果にノイズがない。
おそらく、他の検索プラグインよりもかなり使い勝手が良いだろう。
【3-2】さらに、全文検索プラグインで興味を引くのは、入力補完や類似Issue表示、類義語管理などの、Redmineの操作性を向上させる機能を秘めている点だ。
第12回東京Redmine勉強会の感想 #redmineT: プログラマの思索
Redmineのチケット入力は面倒、という声はよく聞くが、チケット入力時に、Google検索やGoogle日本語入力みたいに、ある程度の文字列を入力したら、コードアシストみたいに文字列を補完してくれてもいいはずだ。
しかも、個別のRedmineに蓄積されたチケットデータを元に、個別のRedmineに応じて入力補完してくれたら、プログラマだけでなく、普通の事務担当者やサポートデスクのオペレータにも優しいシステムになるだろう。
つまり、入力補完によって、チケット内容の単語や表記の揺れが少なくなりデータの精度が上がるし、入力する人にとっても、最初にいくつかの文字を入力するだけで、Redmineが勝手にサポートしてくれると便利なはず。
すなわち、Redmineをナレッジシステムにしていく、という動機づけにもなるはず。
【3-3】そして、最終的には、Redmineがナレッジシステムとして運用できるようになれば、製造業におけるISO9001やISMSなどのシステム監査やサービス監査にも適用できるだろうと思う。
おそらく、日本の企業が最終的に目指したい点はそこにあるだろうと推測するから。
すなわち、Redmineのチケット入力さえ徹底できれば、各PJでは、標準プロセスに基いた成果物は構成管理ツールの配下にあり、プロセスの作業履歴はRedmineに一元化されて蓄積されていて、そのトレーサビリティもRedmineの運用ルールで保証できる。
そうすれば、Redmineに蓄積されたデータ(作業履歴、成果物)に対し、検索するだけで、ランク別に検索結果が表示されているので、監査に必要かつ、有用な情報をいつでも即座に取り出せるようになるはず。
【3-4】さらに、Redmineをナレッジシステムにした場合、プロセスに基づいた作業構造や、プロセスに必要な成果物の一覧を出力したくなる。
プロセスに基いて作られたチケットに対し作業漏れがないか、プロセスに必要な成果物(設計書だけでなくソースも含めて)は漏れていないか、をチェックするために、ツリー構造の一覧を出力して、プロセスの網羅性や完全性を保証したいのだ。
そうすれば、PL法(製造物責任法)に対して、事故が起きたとしても、メーカーはプロセスに基づいて必要十分な作業を行ったので、そこまでのリスクは取る必要はないから、メーカーは無過失責任から免れる、と主張することができるはず。
実装方法としては、チケットがWBSと一致しているならば、チケットからPERT図を出力できるし、PERT図にある最下層のWBSは必ず、どれかの成果物に紐づくはず。
Lychee Association Chartがそのイメージに近いが、品質保証部によるシステム監査などの作業に耐えれるレベルまでの機能かどうかは不明。
プロセスフロー図をRedmineチケットで表現するアイデア~Lychee Association Chartで実現できるか: プログラマの思索
チケット駆動開発にPMBOKの概念を導入してみる: プログラマの思索
つまり、Redmineをプロセス保証のツールにまで進化させたい。
現時点では、これらはまだ構想段階に過ぎないが、Redmineの可能性を更に広げてくれるはずと思う。
【4】LTでは、大阪以外の人達の講演があるので楽しみ。
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